医療一般|page:511

ドーパミン活性レベルの維持に関与する遺伝子多型を特定:弘前大

 弘前大学大学院医学研究科の土嶺 章子氏らは、認知機能測定の指標として、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)遺伝子Val158MET多型が有用であることを明らかにした。COMTはドーパミンやアドレナリン、ノルアドレナリンなどの代謝酵素で、ドーパミン代謝経路の主成分である。今回の検討で、同遺伝子多型がドーパミン活性の最適レベルを維持しているという仮説を支持する知見も得られたという。PLoS One誌2013年11月号の掲載報告。

ザリガニから重篤な皮膚感染症の原因菌:日本でブルーリ潰瘍が増加

 熱帯および亜熱帯地域ではよくみられるブルーリ潰瘍の発症例が、近年、日本で増加しているという。ブルーリ潰瘍(アフリカ・ウガンダのブルーリ地方で多く報告されたことで命名)は、細菌の一種である抗酸菌のMycobacterium(M.) ulceransを原因とする重篤な皮膚感染症であるが、これまで環境中からの病原菌の検出には至っていなかった。福島県立医科大学医学部皮膚科学講座の大塚 幹夫氏らは、まれな症例であった家族3人の同時発生例について調査した結果、居宅の裏庭にある流れが停滞した水路で捕獲したザリガニから同病原菌が有するのと同一の遺伝子を検出したという。JAMA Dermatology誌オンライン版2013年11月6日号の掲載報告。

アトピー性皮膚炎や喘息がてんかんの有病率に影響

 小児において、アトピー性皮膚炎や喘息などのアレルギー性疾患の有無はてんかんの既往と関連しており、また、アレルギー性疾患の数が増えると、てんかんの有病率や生涯有病率が高まることが、米国ノースウェスタン大学のJonathan I Silverberg氏らの調査によって報告された。Allergy誌オンライン版2013年11月20日掲載の報告。

慢性腰痛の痛みや機能障害などの改善に水中療法の集中プログラムが有効

 水中療法の週5回2ヵ月間集中プログラムは、慢性腰痛患者の疼痛、機能障害、身体組成値および体力測定値を改善するとともにQOLを向上させることが認められた。スペイン・グラナダ大学のPedro Angel Baena-Beato氏らによる比較臨床試験で明らかとなった。Clinical Rehabilitation誌オンライン版2013年10月31日号の掲載報告。

β遮断薬はメラノーマの再発・死亡リスク低下に関連

 イタリア・フローレンス大学のVincenzo De Giorgi氏らは、1993~2009年にわたる741例の連続患者を対象に、メラノーマ(悪性黒色腫)の再発および死亡に対するβ遮断薬とそのほかの降圧薬の影響について検討した結果、β遮断薬は同リスク低下と関連しているという以前と同様の所見が得られたことを報告した。著者は、今回の結果は、その関連をより確定的なものとするために、無作為化試験による検討が必要であることをも強く示す結果であると述べている。Mayo Clinic Proceedings誌2013年11月号の掲載報告。

統合失調症の実行機能障害に関与する遺伝子を発見:獨協医大

 統合失調症と関連していることが知られているHPS4遺伝子は、臨床症状にどのように関連しているのか。獨協医科大学の倉冨 剛氏らは、統合失調症の実行機能障害に、HPS4遺伝子が関与していることを初めて明らかにした。また同遺伝子は、健常対照では作業記憶に関与していた。結果を受けて著者は、「動物モデルを用いたさらなる研究により、高次脳機能におけるHPS4が果たす役割を明らかにする必要がある」と述べている。(HPS4遺伝子:Hermansky-Pudlak症候群type 4遺伝子)BMC Psychiatry誌オンライン版2013年10月30日号の掲載報告。

セックスが苦痛に…分娩による肛門括約筋損傷

 分娩時の肛門括約筋損傷(OASI)により持続的な便失禁を認める女性は、大半が性機能障害を抱えていることがオランダ・VU 大学医療センターのA.P.Visscher氏らによる研究で明らかになった。また、内部・外部両方の肛門括約筋裂傷をもつ症例は、外部のみの例よりも便失禁の重症度が高く、肛門の圧力値も低かった。女性たちの今後の人生を考えると、これらの症状の緩和を念頭に置いて治療を行う必要がある。 International Urogynecology Journal誌2013年11月7日号の報告。

認知障害はうつ病の中核症状とみなすべきなのか

 認知障害はうつ病の中核症状とみなすべきなのか?そしてそれは価値ある治療目標なのか? 英国・ケンブリッジ大学のP. L. Rock氏らは、これらの疑問を解決するため、系統的レビューとメタ解析を行った。その結果、うつ病において認知障害は中核症状であり、重大な治療目標であるとみなすべきであることが明らかになったことを報告した。Psychological Medicine誌オンライン版2013年10月29日号の掲載報告。

大腸がんリスク、体重変化と関連なし

 BMIと大腸がんには中等度の関連があるといわれているが、体重変化と大腸がんの関連についてはあまり知られていなかった。今回、オランダ・ユトレヒト大学のCharlotte N Steins Bisschop氏らの研究で、体重変化は男女ともに結腸・直腸がんリスクと関連を認めないことが明らかになった。The American journal of clinical nutrition誌オンライン版2013年11月13日号の報告。

うつ病から双極性障害へ転換するリスク因子は

 単極性精神病性うつ病(PD)は双極性障害(BD)に転換するリスクが高いとされるが、その転換は治療選択に関わる重要な事項である。そこで、デンマーク・オールボー大学病院のSoren Dinesen Ostergaard氏らは、PDがBDに転換するリスク因子を明らかにするため、住民ベースのヒストリカル前向きコホート研究を行った。その結果、有意な因子として、PDの早期発症、うつ再発、独居、障害年金受給、最高レベルの専門教育、短期高等教育、中期高等教育などがあり、なかでも学歴の関与が大きいことが示唆されたことを報告した。Bipolar Disorders誌オンライン版2013年11月12日号の掲載報告。

難治性にきびへのイソトレチノイン、やはり高用量がよい?

 難治性ざ瘡患者に対するイソトレチノイン(国内未承認)治療について、累積投与量(220mg/kg未満または以上)をベースとした高用量治療群と低用量治療群の患者について比較検討した結果、高用量のほうが有意に有効で、有害事象を増大することなく再発を抑制することが示された。米国・ノースカロライナ大学のRachel C. Blasiak氏らが、前向き観察介入試験の結果、報告した。JAMA Dermatology誌オンライン版2013年10月30日号の掲載報告。

慢性腎臓病における2つのエンドポイントを予防するために

 わが国の慢性腎臓病(CKD)患者数は2005年に1,330万人に達し、成人の8人に1人がCKDといわれている。CKDは、腎機能が悪化すると透析が必要な末期腎不全に進行するだけではなく、心血管疾患の発症リスクが高まる。そのリスク因子であるリンの管理について、2013年11月19日に都内にてプレスセミナーが開催された(主催・バイエル薬品株式会社)。そのなかで、東京大学医学部附属病院 腎疾患総合医療学講座 特任准教授の花房 規男氏は、CKDという概念が提唱された経緯やCKD治療の目的、リンコントロールを介したCKD-MBD(CKDに伴う骨・ミネラル代謝異常)対策について講演した。

食生活の改善は本当にうつ病予防につながるか

 これまで行われた単体の栄養成分とうつ病との研究では、相反する結果が報告されており、また栄養成分間の複雑な相互作用を考慮することができなかった。最近の研究では、食事の構成要素全体とうつ病の関連を検討している試験が増えている。オーストラリア・Priority Research Centre for Gender, Health and AgeingのJun S Lai氏らが、成人住民ベースで、食事構成とうつ病との関連を評価するシステマティックレビューとメタ解析を行った。American Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2013年11月6日号の掲載報告。

軽~中等症アトピー治療にピメクロリムスの選択肢も

 ドイツ・ミュンスター大学のThomas Luger氏らは、アトピー性皮膚炎(AD)に対するピメクロリムス1%クリーム(国内未承認)の公表された臨床データのレビューを行った。その結果、小児および成人の軽症~中等症ADの治療において、とくに敏感肌の部分について、ピメクロリムスは治療選択薬の一つとなりうる可能性があることを報告した。European Journal of Dermatology誌オンライン版2013年11月4日号の掲載報告。

非定型抗精神病薬との併用、相互作用に関するレビュー

 統合失調症や双極性障害の治療では抗精神病薬や抗うつ薬、気分安定薬、抗てんかん薬などさまざまな薬剤が用いられることも少なくない。米国・マーサー大学のWilliam Klugh Kennedy氏らは、第二世代抗精神病薬(SGA)について、臨床において重要となる薬物相互作用を明らかにすることを目的に文献レビューを行った。その結果、SGAには臨床において重大な薬物相互作用の可能性を増大するさまざまな因子があることを報告し、臨床医はそれらについて十分に認識すべきであると述べている。CNS Drugs誌オンライン版2013年10月30日号の掲載報告。