医療一般|page:149

採血時間が入院患者の睡眠不足に影響か

 早朝の採血は入院患者の睡眠に有害な影響を与えるが、それは依然として一般的な医療行為として行われている。そこで米国・イェール・ニューヘブン病院のCesar Caraballo氏らは、早朝採血の実施割合を調査したところ、午前4:00~6:59までの時間帯に最も行われ、採血の10分の4近くを占めていたことが明らかになった。ただし、本研究の終盤には採血時間がわずかだが遅くなっていた。JAMA誌オンライン版2023年1月17日号のリサーチレターでの報告。

ADHD患者の不安症やうつ病の併発、その影響はどの程度か

 注意欠如多動症(ADHD)患者では精神医学的疾患の併発が多く、診断に難渋したり、治療のアウトカムおよびコストに影響を及ぼしたりする可能性がある。米国・大塚ファーマシューティカルD&CのJeff Schein氏らは、同国におけるADHDおよび不安症やうつ病を併発した患者の治療パターンとコストを調査した。その結果、不安症やうつ病を併発したADHD患者では、これらの併存疾患がない患者と比較し、治療変更が行われる可能性が有意に高く、治療変更の追加によるコスト増加が発生することが明らかとなった。Advances in Therapy誌オンライン版2023年3月13日号の報告。

コロナ罹患後症状、睡眠障害が長期持続/日本呼吸器学会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患後、長期にわたって症状が残存する患者が存在する。症状はさまざまであるが、その中の1つとして睡眠障害が挙げられている。そこで、中等症以上のCOVID-19患者を日本全国55施設で追跡した「COVID-19後遺障害に関する実態調査(中等症以上対象)」において、睡眠障害の実態が検討された。その結果、中等症以上のCOVID-19患者の睡眠障害が遷延していることが明らかになった。2023年4月28~30日に開催された第63回呼吸器学会学術集会において、佐藤 晋氏(京都大学大学院医学研究科 呼吸管理睡眠制御学講座 特定准教授)が発表した。

コロナとインフルの死亡リスク、最新研究では差が縮まる

 COVID-19を季節性インフルエンザと比較した場合、死亡リスクの差はどのくらいか。COVID-19パンデミックの初年度、米国の2つの研究では、COVID-19で入院した人は、季節性インフルエンザで入院した人と比べ、30日死亡リスクが約5倍になることが示唆されている。その後、COVID-19の臨床ケア、集団免疫など、多くの変化があり、この数字は変化した可能性がある。

ブレクスピプラゾールの治療継続に影響を及ぼす8つの因子

 治療中止に関連する未知の因子の特定は、自然言語処理(NLP)のテクノロジーを用いて精神科電子カルテのテキスト情報を分析および整理することにより可能であると考えられる。千葉大学の伊豫 雅臣氏らは、NLPのテクノロジーを用いたMENTATによるデータベースを使用し、ブレクスピプラゾールの治療継続率および治療中断に影響を及ぼす因子の評価を試みた。その結果、ブレクスピプラゾールの治療中止と関連する可能性のある、8つの潜在的な新たな因子が特定された。著者らは、今後の統合失調症患者に対する治療戦略や治療継続率の改善につながるとまとめている。Schizophrenia Research誌オンライン版2023年3月27日号の報告。

閉経後HR+乳がんの術後アナストロゾール、10年vs.5年(AERAS)/JCO

 閉経後ホルモン受容体(HR)陽性乳がん患者に対する術後のアロマターゼ阻害薬の投与期間について、5年から10年に延長すると無病生存(DFS)率が改善することが、日本の多施設共同無作為化非盲検第III相試験(N-SAS BC 05/AERAS)で示された。岩瀬 拓士氏(日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院)らによる論文が、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2023年4月20日号に掲載された。

日本人救急医における不眠症・睡眠薬使用リスク

 救急医は、不眠症の有病率や睡眠薬の使用頻度が高いといわれている。救急医の睡眠薬使用に関するこれまで研究では、回答率の低さから、現状を十分に把握できていなかった。国際医療福祉大学の千葉 拓世氏らは、若手日本人救急医を対象に、不眠症の有病率および睡眠薬使用状況を調査し、不眠症や睡眠薬使用に関連する因子の評価を試みた。その結果、日本における若手救急医は慢性不眠症の有病率および睡眠薬の使用率が高く、慢性不眠症には長時間労働やストレスが、睡眠薬の使用には性別、婚姻状況、ストレスが関連していることが報告された。The Western Journal of Emergency Medicine誌2023年2月20日号の報告。

今後もマスクをする人は約4割/アイスタット

 2023年5月8日より新型コロナウイルス感染症の感染法上の位置付けが、2類から5類へ移行することで施策が大きく変わる。今後、一般市民は新型コロナウイルス感染症にどのように対応していくのか。マスクの着用は個人の自由になるが、はたしてどのように考えているのか。株式会社アイスタットは4月13日に「今後のマスク着用&コロナワクチン接種」に関するアンケートを行った。  アンケート調査は、セルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の全国の会員20~59歳の有職者300人が対象。

統合失調症における睡眠依存性の記憶の定着~メタ解析

 睡眠障害と認知機能障害は、統合失調症でみられる持続的な症状である。これまでのエビデンスにより、統合失調症患者は健康対照者と比較し、睡眠依存性の記憶の定着が損なわれている可能性が示唆されている。トルコ・Dokuz Eylul UniversityのCemal Demirlek氏らは、統合失調症における睡眠依存性の記憶の定着に関するシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、健康成人においては睡眠が記憶の定着を改善するが、統合失調症患者では睡眠依存性の記憶の定着が不足していた。Schizophrenia Research誌2023年4月号の報告。

喘息診断で注目、タイプ2炎症バイオマーカーの手引き発刊/日本呼吸器学会

 タイプ2炎症は、主に2型ヘルパーT細胞(Th2細胞)や2型自然リンパ球(ILC2)が産生するIL-4、IL-5、IL-13などの2型サイトカインが作用する炎症である。気道・肺疾患と密接な関係にあり、診断や治療に直結する。とくに、生物学的製剤の治療選択や効果予測に重要な役割を果たすことから、近年注目を集めている。そのような背景から、「タイプ2炎症バイオマーカーの手引き」が2023年4月3日に発刊された。第63回日本呼吸器学会学術講演会において、本書の編集委員長を務めた松永 和人氏(山口大学大学院医学系研究科呼吸器・感染症内科学講座 教授)が「タイプ2炎症バイオマーカーが切り拓く未来」と題し、主に「喘息の診断と管理効率の向上」「疾患修飾による喘息寛解の展望」について、解説した。

日本の父親・母親の産後うつ病リスクは?

 産後うつ病は、親に悪影響を及ぼすだけでなく、子供の認知機能、社会感情、行動発達などの障害につながる可能性がある。長崎大学の山川 裕子氏らは、出産後1年間の母親および父親の産後うつ病に関連する因子を調査した。その結果、父親と母親の双方にとって、ストレス対処スキルが産後1年間の産後うつ病に影響を及ぼす重要な因子であることが確認された。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2023年3月13日号の報告。

スタチンでアジア人乳がん患者のがん死亡リスク低下

 スタチン製剤を服用しているアジア人の乳がん患者では、スタチンを服用していない乳がん患者と比べて、がん関連の死亡リスクが有意に低かったことを、台湾・国立成功大学のWei-Ting Chang氏らが明らかにした。なお、心血管疾患による死亡リスクには有意差はなかった。JAMA Network Open誌4月21日号掲載の報告。  スタチンは化学療法と併用することで、がんの進行や微小転移を抑制することが報告されていて、乳がんの再発リスクを低減させる可能性が示唆されている。しかし、欧米の乳がん患者とは異なり、アジアの乳がん患者は診断時の年齢が比較的若く、ほとんどが心血管リスク因子を有していないため、スタチンの服用によって生存率が改善するかどうかは不明である。そこで研究グループは、アジア人の乳がん患者において、スタチン使用とがんおよび心血管疾患による死亡リスクとの関連を後方視的に調査した。

日本におけるオミクロン対応2価ワクチンの有効性~多施設共同研究/感染症学会・化学療法学会

 2021年7月より新型コロナワクチンの有効性を長期的に評価するために開始された多施設共同サーベイランス研究「VERSUS study [Vaccine Effectiveness Real-time Surveillance for SARS-CoV-2]」の最新の結果について、4月28~30日に開催された第97回日本感染症学会総会・学術講演会/第71回日本化学療法学会学術集会合同学会にて、長崎大学の前田 遥氏が発表した。本結果により、国内の高齢者に対するオミクロン対応2価ワクチンの発症予防および入院予防の有効性が、国内の若年者および欧米のデータよりも高いことが示唆された。

CGRPモノクローナル抗体に反応しやすい日本人片頭痛患者の特徴

 抗カルシトニン遺伝子関連ペプチドモノクローナル抗体(CGRPmAb)は、頭痛障害が従来の予防的治療オプションに奏効しない片頭痛患者にとって有用な薬剤であると考えられる。しかし、日本国内におけるCGRPmAbの使用実績は2年と短く、治療反応が得られやすい患者とそうでない患者を治療前に判別することは困難である。慶應義塾大学の井原 慶子氏らは、CGRPmAbに奏効した日本人片頭痛患者の臨床的特徴を明らかにするため、リアルワールドデータに基づいた検討を行った。その結果、年齢が高く、過去の予防薬治療失敗の合計回数が少なく、免疫リウマチ性疾患の病歴のない片頭痛患者は、CGRPmAbに対する良好な治療反応が期待できることが示唆された。The Journal of Headache and Pain誌2023年3月9日号の報告。

コロナワクチン接種スケジュールを簡略化、初回接種に2価を承認/FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は4月18日付のリリースにて、モデルナおよびファイザーの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)2価mRNAワクチンの緊急使用許可(EUA)を修正し、より簡略化した接種スケジュールを発表した。これにより、ワクチン未接種者や生後6ヵ月以上の小児に対し、オミクロン株BA.4/BA.5対応2価ワクチンの初回接種の使用許可などが決定された。また、今回の修正に伴い、モデルナおよびファイザーの従来型の1価ワクチンは、米国での使用許可が取り消された。

若年乳がん患者、出産は予後に影響するのか~日本の傾向スコアマッチング研究

 若年乳がん患者の出産に関するこれまでの研究は潜在的なバイアスがあり不明な点が多い。今回、聖路加国際病院の越智 友洋氏らが傾向スコアマッチングを用いて、乳がん診断後の出産が予後に及ぼす影響を検討した結果、出産により再発や死亡リスクは増加しないことが示唆された。Breast Cancer誌2023年5月号に掲載。  本研究は、単施設での後ろ向きコホート研究で、2005~14年に乳がんと診断された45歳以下の患者を対象とし、診断後に出産した患者(出産コホート)104例と出産していない患者(非出産コホート)2,250例で無再発生存率(RFS)および全生存率(OS)を比較した。傾向スコアモデルの共変量は、年齢、腫瘍の大きさ、リンパ節転移の有無、乳がん診断前の分娩回数、エストロゲン受容体およびHER2の発現状態とした。

夢で記憶が定着、レム睡眠とノンレム睡眠はどちらが重要?

 脳は睡眠中に記憶の整理などを行っていることが、近年明らかになっている。また、睡眠中には起床時の記憶が夢に登場することがあるため、夢が記憶の定着に関連しているのではないかといわれている。そこで、米国・ファーマン大学のLauren Hudachek氏らは、学習課題に関連する夢と睡眠後の記憶との関連について、システマティックレビューおよび16試験のメタ解析を実施し、夢と記憶の間には関連があることが明らかになった。また、記憶はレム睡眠よりもノンレム睡眠との関連が大きいことも示唆された。Sleep誌オンライン版2023年4月14日号の報告。

非小細胞肺がん免疫併用療法の多施設共同臨床試験に係る現状と重要な注意事項について/国立がん研究センター

 日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)は、全国59施設で実施していた、未治療の進行・再発非小細胞肺がんに対する、化学療法+ペムブロリズマブ療法と化学療法+ニボルマブ+イピリムマブ療法の有効性比較第III相試験(JCOG2007試験、特定臨床研究)において、化学療法+ニボルマブ+イピリムマブ療法患者で、予期範囲を超える約7.4%(148例中11例)の治療関連死亡が認められたため、試験継続困難と判断して2023年3月30日に同試験を中止した、と発表した。

女性の認知症、出産回数・初産年齢との関連は弱い

 出産回数の多さや初産の年齢の高さが女性の認知症リスクと関連しているとされ、妊娠に伴う生理学的な変化への曝露と説明されてきた。しかし、社会経済学的およびライフスタイルの要因が関連しているとも考えられ、男性でも同様のパターンがみられる可能性がある。デンマーク・Statens Serum InstitutのSaima Basit氏らは、女性の出産回数の多さや初産の年齢の高さと認知症リスクとの関連性について、男女両方に当てはまるかを検討した。その結果、子供の数や親になる年齢と認知症リスクとの関連性が男女間で同様であることから、社会経済学的およびライフスタイルの要因が認知症リスクと関連している可能性が示唆された。BMC Neurology誌2023年3月1日号の報告。

喘息の悪化、寒い時期だけでなく夏の高温でも増加か

 喘息症状の発現や増悪には冷気の吸入、大気汚染物質やアレルゲンの吸入などが関連していることが知られている。気温の高さが喘息による入院の増加に関連するという報告も存在し、日本では姫路市の住民を対象とした研究において、夏季に気温が高くなると夜間の喘息増悪による来院が増加したことが報告されている。しかし、研究間で結果は一貫していない。また、年齢や性別、時間(日時)、地理的な要因による違いや交絡因子の影響は明らかになっていない。そこで、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのGaryfallos Konstantinoudis氏らは、イングランド全土における2002~19年の夏季の喘息による入院を調査した。その結果、交絡因子を調整しても夏季の気温上昇が喘息による入院リスクを上昇させ、その影響は16~64歳の男性で大きく、時間の経過と共に小さくなる傾向にあることが示された。Thorax誌オンライン版2023年4月17日号の報告。