医療一般|page:236

抗うつ薬とベンゾジアゼピン併用療法に関連する死亡リスク

 抗うつ薬による治療開始後の数週間は、治療効果が十分でないため、不眠や不安による抑うつ症状の軽減に、ベンゾジアゼピン(BZD)が併用される。しかし、抗うつ薬とBZDの併用療法に関連する死亡リスクは調査されておらず、うつ病治療に対するベネフィットも明らかになっていない。この疑問について、韓国・成均館大学校のHan Eol Jeong氏らが、コホート研究による検討を行った。BMC Medicine誌2020年12月9日号の報告。  2002~17年の韓国医療データベースを用いて、人口ベースのコホート研究を実施した。うつ病患者260万人のうち、抗うつ薬またはBZDを新たに処方された患者61万2,729例を抽出した。診断後6ヵ月以内に実施されたうつ病治療に応じて、抗うつ薬単独療法群(AD群)または抗うつ薬とベンゾジアゼピン併用療法群(AD+BZD群)に分類した。群間比較を実施するため、ベースライン特性の調整に傾向スコアを用いた。主要アウトカムは、全死因死亡とした。フォローアップ期間は、アウトカム発現時または研究期間終了時とした。AD群とAD+BZD群の死亡リスクのハザード比(HR)、95%信頼区間(CI)を推定するため、多変量Cox比例ハザードモデルを用いた。

COVID-19治療でシクレソニドの推奨見直し/厚生労働省

 2020年12月25日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第4.1版」を公開した。  同手引きは診療の手引き検討委員会が中心となって作成され、第1版は3月17日に、第2版は5月18日に、第3版は9月4日に、第4版は12月4日に公表され、今回重要事項について大きく3点で加筆が行われた(なお、この手引きは2020年12月23日現在の情報を基に作成。今後の知見に応じ、内容に修正が必要となる場合がある)。

オラパリブ、卵巣がん、前立腺がん、膵がんに国内承認/アストラゼネカ・MSD

 アストラゼネカとMSDは、2020年12月28日、オラパリブ(商品名:リムパーザ)について、2020年12月25日付で、「相同組換え修復欠損を有する卵巣癌におけるベバシズマブ(遺伝子組換え)を含む初回化学療法後の維持療法」、「gBRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌」および「gBRCA遺伝子変異陽性の治癒切除不能な膵癌における白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法後の維持療法」の3つの適応症を対象に厚生労働省より承認を取得したと発表。

慢性不眠症に対する処方デジタル治療「Somryst」について

 処方デジタル治療(PDT)は、米国食品医薬品局(FDA)に承認された新たなソフトウエアベースの医療機器であり、疾患の治療に用いられる。Somrystは、慢性不眠症治療に対しFDAにより承認された最初のPDTであり、不眠症の認知行動療法(CBT-I)を、モバイルアプリケーションを通じて提供するものである。CBT-Iは、慢性不眠症のガイドラインで推奨される第1選択治療であるが、CBT-Iのセラピストには限りがあり、より多くの患者へCBT-Iを提供するニーズにSomrystは合致する。カナダ・ラバル大学のCharles M. Morin氏は、Somrystについてのレビューを報告した。Expert Review of Medical Devices誌オンライン版2020年11月23日号の報告。

ニボルマブ、米国での小細胞肺がんの適応に関して声明/BMS

 米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)は、米国でのニボルマブ(商品名:オプジーボ)の小細胞肺がん(SCLC)の適応を撤回するとの声明を発表した。  ニボルマブは、プラチナベース化学療法と1ライン以上の他の治療後に疾患進行した小細胞肺がん(SCLC)の治療について、米国食品医薬品局(FDA)から、2018年に迅速承認を受けた。迅速承認は、進行または転移のある固形がん患者を対象とした第I/II相CheckMate-032試験におけるオプジーボの有効性に基づいたものであった。

STAMP阻害薬asciminib 、慢性骨髄性白血病で良好なMMR率/ノバルティス

 ノバルティスは、2020年12月8日、第III相ASCEMBL試験において、ABLミリストイルポケット(STAMP)を特異的に標的とする新規治験薬asciminib(ABL001)が、2剤以上のTKI治療歴のある慢性期のフィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病(Ph+ CML-CP)患者において、ボスチニブに比べほぼ2倍の投与24週時点のMMR率を達成したと発表(25.5% vs.13.2%、両側p=0.029)。これらのデータは第62回米国血液学会議(ASH)のLate Breakingセッションで発表された。  ASCEMBL試験では、233例の患者が無作為化され、asciminib40mg x 2/日(n=157)、またはボスチニブ500mg/日(n=76)のいずれかが投与された。

免疫チェックポイント阻害薬関連の乾癬、重症度や対処法は?

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)に関連した乾癬について、ギリシャ・アテネ大学のVasiliki Nikolaou氏らが欧州9施設から報告された115例について、重症度等のデータを明らかにし、段階的な治療アルゴリズムの提案を検討した。ICIに関連した乾癬は、診断上および治療上の重大な課題をもたらすが、検討によりacitretin、アプレミラスト、メトトレキサートは安全で効果的な治療法であり、ほとんどの場合でICI投与を中断することなく完了できることを示した。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2020年12月3日号掲載の報告。  研究グループは、前例のない最大コホートから報告されたICIに関連した乾癬に関するデータを報告し、段階的な治療アルゴリズムを提案するため、欧州の9施設で組織するEuropean Network for Cutaneous ADverse Event to Oncologic drugs(ENCADO)のデータを用いて検討した。  9施設からの、ICIに関連した乾癬を呈した全患者の医療記録をレトロスペクティブにレビューした。

循環器科医のためのCOVID-19解説サイト/ライフサイエンス出版

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は世界の日常を一変させ、12月現在、わが国でも感染者数・重症者数ともに増加し、深刻な状況となっている。  そのような状況のなか、ライフサイエンス出版は、特設サイト「循環器科医のためのCOVID-19超解説」を開設した。  COVID-19と循環器疾患との関連は非常に注目されるトピックである。本サイトでは、わが国を代表する循環器領域の専門家が、「川崎病」「血栓症」「心不全」「高血圧」をテーマに解説している。また、COVID-19は、ウイルス感染に起因する炎症反応が重要なキーワードとなっているため、免疫領域の専門家による解説も予定している。

COVID-19入院時、ビタミンD欠乏で死亡オッズ比3.9

 ビタミンD欠乏症と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の関連は、これまでもさまざまな報告があるが、依然として情報は不足している。今回、ベルギー・AZ Delta Medical LaboratoriesのDieter De Smet氏らが、入院時の血清ビタミンDレベルとCOVID-19の病期および肺炎の転帰との関連を調査した。その結果、COVID-19で入院した患者の59%がビタミンD欠乏症であり、COVID-19による死亡リスクが3.9倍に増加することが示された。American Journal of Clinical Pathology誌2020年11月25日号での報告。

日本人うつ病就労者における職場での主観的事例の性差

 日本におけるうつ病患者数は、増加を続けている。うつ病による経済的影響には、アブセンティズム(欠勤や遅刻、早退など)とプレゼンティズム(心身の問題によるパフォーマンスの低下)の両方を介した生産性の低下がある。また、うつ病の有病率、発症経緯、自覚症状には、男女間で差があるといわれている。大阪市立大学の仁木 晃大氏らは、日本人うつ病就労者が、職場における問題をどのように認識しているかを調査し、うつ病の初期段階における職場での主観的な機能レベルの性差について検討を行った。Occupational Medicine誌オンライン版2020年11月28日号の報告。

免疫も老化、その予防が新型コロナ対策に重要

 国内初の新型コロナウイルスのワクチン開発に期待が寄せられるアンジェス社。その創業者でありメディカルアドバイザーを務める森下 竜一氏(大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学 寄附講座教授)が、12月15日に開催された第3回日本抗加齢医学会WEBメディアセミナー「感染症と免疫」において、『免疫老化とミトコンドリア』について講演した。  新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策やワクチン開発を進めていく上で世界中が難局に直面している。その最大の問題点について森下氏は、「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のモデルが作れないこと」だという。その理由として、「マウスはSARS-CoV-2に感染しない。ハムスターやネコは感染するものの肺炎症状が出ないため、治療薬に最適なモデルを作り出すことが難しい。つまり、従来の開発方法に当てはめられず、未知な領域が多い」と同氏は言及した。

統合失調症の新たな治療標的としてのPPARαの可能性

 統合失調症の病態生理は、いまだによくわかっていない。理化学研究所の和田 唯奈氏らは、統合失調症患者における核内受容体の一つであるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)/レチノイドX受容体(RXR)の役割について分析を行った。EBioMedicine誌2020年11月19日号の報告。  日本人統合失調症患者1,200例のDNAサンプルを用いて、分子反転プローブ(MIP)ベースのターゲット次世代シークエンシング(NGS)により、PPAR/RXR遺伝子のスクリーニングを行った。その結果について、日本のコホートデータ(ToMMo)やgnomADの全ゲノムシークエンスデータベースとの比較を行った。PPAR/RXR遺伝子の機能低下と統合失調症との関係を明らかにするため、Ppara KOマウスとフェノフィブラートを投与したマウスを用いて、行動学的、組織学的およびRNA-seq解析により評価を行った。

COVID-19パンデミックによるメンタルヘルスへの影響~メタ解析

 COVID-19に関連したうつ病、不安神経症、不眠症、PTSD、精神的苦痛(PD)の有病率を推定するため、カナダ・オタワ大学のJude Mary Cenat氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Psychiatry Research誌オンライン版2020年11月26日号の報告。  Medline、Embase、APA PsycInfo、CINAHL、Scopus、Web of Scienceより検索を行った。うつ病、不安神経症、不眠症、PTSD、PDの有病率について性別、医療従事者、調査対象地域におけるグループ間の違いを評価するため、ランダム効果メタ解析を実施した。  主な結果は以下のとおり。

MSI-H大腸がん1次治療、ペムブロリズマブによるPFS延長証明(KEYNOTE-177)/NEJM

 抗PD-1抗体ペムブロリズマブについて、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)/ミスマッチ修復機能欠損(dMMR)の進行大腸がんの1次治療における有効性が示された。化学療法と比較して無増悪生存(PFS)期間を有意に延長し、治療関連有害事象は少ないことを、フランス・ソルボンヌ大学のThierry Andre氏らが無作為化非盲検第III相試験「KEYNOTE-177試験」で明らかにした。これまでに、既治療のMSI-H/dMMR腫瘍に対するPD-1阻害の臨床的有効性は示されているが、MSI-H/dMMR陽性の進行・転移を有する大腸がんに対する1次治療として、化学療法と比較した有効性は明らかになっていなかった。NEJM誌2020年12月3日号掲載の報告。

COVID-19の症状悪化をフルボキサミンが抑制する可能性/JAMA

 選択的セロトニン再取り込み阻害薬のフルボキサミンが、サイトカイン産生を調節するσ-1受容体を刺激することにより、軽度のCOVID-19患者の臨床的悪化を抑制する可能性が示唆された。米国セントルイス・ワシントン大学のEric J. Lenze氏らは、症状を有するCOVID-19の成人外来患者を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、フルボキサミンで治療された患者がプラセボより臨床的悪化が少なかったことを報告した。ただし、本研究はサンプルサイズが小さく観察期間が短いため、臨床効果を判断するために大規模無作為化試験が必要としている。JAMA誌2020年12月8日号に掲載。

すでに一度補助を受けた医療機関も対象、国による追加支援策/日医

 第3次補正予算案が12月15日に閣議決定され、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえ、医療機関に対する更なる支援策が講じられている。この中には、第2次補正予算による補助を受けた医療機関が、改めて対象となる支援策も含まれる。12月23日の日本医師会定例記者会見において、松本 吉郎常任理事が支援策の全体像を整理し、有効活用を呼び掛けた。

COVID-19ワクチンに関する提言(第1版)を公開/日本感染症学会

 欧米では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの接種が2020年12月初旬に開始され、わが国でも接種開始が期待されている。日本感染症学会では、学会会員および国民に対し、現在海外で接種が開始されているCOVID-19ワクチンの有効性と安全性に関する科学的な情報を提供し、それぞれが接種の必要性を判断する際の参考にしてもらうべく、COVID-19ワクチンに関する提言(第1版)を作成し、12月28日、学会サイトに公開した。今後、COVID-19ワクチンの国内外における状況の変化に伴い、内容を随時更新する予定という。

コロナ禍で増えた失業・自殺・労災請求、今後の見通しは?/日医

 日本医師会・松本 吉郎常任理事が、コロナ禍における今日の社会経済情報として、失業、自殺、労災認定などのデータを示しながら、日本医師会の見解を述べた。  まず、完全失業率(季節調整値)のデータを示し、本年10月は男3.4%、女2.7%(男女計3.1%)と、コロナ流行以前の1月(男2.4%、女2.2%、平均2.2%)と比較して高い状況にあることを説明。完全失業者のうち、「勤め先や事業の都合による離職」は45万人と、前年同月に比べ22万人増加している。割合としては男性より低い女性も、完全失業者数は「15~24歳」を除くすべての年齢階級で前年同月に比べ増加していることを示した。

国立がん研究センターの遺伝子パネル検査に基づく患者申出療養試験とは?/日本肺癌学会2020

 2019年6月に遺伝子パネル検査が保険適用になってから1年あまりが過ぎた。11月に行われた第61回日本肺癌学会学術集会では、「遺伝子パネル検査によって肺がん診療はどう変わったか?」と題したシンポジウムが行われた。  この中で国立がん研究センター中央病院 臨床検査科の角南 久仁子氏は「がん遺伝子パネル検査に基づく新たな治療選択肢としての患者申出療養試験」と題し、同院が行う試験の概要を紹介した。  現在の遺伝子パネル検査を取り巻く問題点の1つに「パネル検査を受けても、治療への到達性が低い」ことがある。治療に結びつく遺伝子異常が検出されても、承認薬や治験といった薬剤の選択肢が限られているためだ。この問題に対応するため、保険診療もしくは先進医療で遺伝子パネル検査を実施した患者のうち、一定の基準を満たした場合に患者申出療養制度のもと既存承認薬を適応外使用して有効性を見る、というのが今回の試験(通称:受け皿試験)の概要。現状でも患者申出療養制度を用いて適応外薬剤を使用するという選択肢はあるが、申請に時間がかかる、データが蓄積されない、等の問題点があった。

新型コロナワクチン、国産希望が約7割/アイスタット

 世界的に収まる気配のない新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対し、英国、米国、ロシア、中国などではCOVID-19ワクチンの投与が開始された。わが国でも国産ワクチンの開発・研究が進んでいるが、その道のりは険しい。  こうした社会の動きを踏まえ、株式会社アイスタット(代表取締役社長 志賀保夫)は、12月20日に「新型コロナウイルス感染症のワクチンに関するアンケート調査」を行った。  アンケートは、業界最大規模のモニター数を誇るセルフ型アンケートツール“Freeasy”に登録している会員で20歳~79歳の全員に調査を実施したもの。同社では今後も毎月定期的に定点調査を行い、その結果を報告するとしている。