統合失調症の治療目標、急性期と維持期で変更を:京都大学
抗精神病薬は、統合失調症の治療の柱であり、その効果は数百件の無作為化臨床試験によって確立されたものである。しかしながら、ベースライン時の症状の重症度を問わず有効なのか、どれぐらい効果があるのかは解明されていない。京都大学の古川 壽亮氏らは、統合失調症の初期重症度と抗精神病薬の有効性についてメタ解析にて検討した。その結果、抗精神病薬の効果は、急性期およびより陰性症状が主体となっている統合失調症の、全スペクトラムにおいて期待できるとの示唆が得られたことを報告した。所見を踏まえて著者は、「医師は、スペクトラムで軽症に向かっている患者については、症状改善の効果が減少している一方で有害作用のリスクが高まっていることに気付かなくてはならない。同時に、寛解期の患者の再発予防を見据えた抗精神病薬の使用に配慮する必要があり、この点が本検討の主眼であった」と述べている。JAMA Psychiatry誌オンライン版2014年11月5日号掲載の報告より。