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糖尿病患者へのインフルエンザ予防接種、HbA1c値は抗体保有に影響するのか

 インフルエンザA(H1N1)pdm09ワクチンは、1回の接種で、糖尿病患者の免疫力を十分なレベルまで高めることができ、HbA1c値は抗体保有割合に悪影響を及ぼさないことが、大阪市立大学の江川 裕美氏らによる研究で明らかになった。ただし、高齢者やBMIが低い患者では、免疫応答が低下する可能性があるという。Human vaccines & immunotherapeutics誌2014年5月号の報告。

統合失調症の治療目標、急性期と維持期で変更を:京都大学

 抗精神病薬は、統合失調症の治療の柱であり、その効果は数百件の無作為化臨床試験によって確立されたものである。しかしながら、ベースライン時の症状の重症度を問わず有効なのか、どれぐらい効果があるのかは解明されていない。京都大学の古川 壽亮氏らは、統合失調症の初期重症度と抗精神病薬の有効性についてメタ解析にて検討した。その結果、抗精神病薬の効果は、急性期およびより陰性症状が主体となっている統合失調症の、全スペクトラムにおいて期待できるとの示唆が得られたことを報告した。所見を踏まえて著者は、「医師は、スペクトラムで軽症に向かっている患者については、症状改善の効果が減少している一方で有害作用のリスクが高まっていることに気付かなくてはならない。同時に、寛解期の患者の再発予防を見据えた抗精神病薬の使用に配慮する必要があり、この点が本検討の主眼であった」と述べている。JAMA Psychiatry誌オンライン版2014年11月5日号掲載の報告より。

2つのNMDA受容体拮抗薬、臨床像はなぜ異なるのか

 メマンチンとケタミンは、いずれも臨床的にNMDA受容体のオープンチャンネル阻害により著明な薬理学的効果を示すが、臨床像は明確に異なる。米国・ワシントン大学のChristine M. Emnett氏らは、NMDA受容体チャンネル阻害と陽性アロステリック修飾物質(positive allosteric modulators:PAM)の相互作用について検討した。著者らは、以前の検討においてこの両者の違いを明らかにしNMDAの重要性を明確にしたが、PAMが薬理学的な阻害活性や阻害の違いに影響を与えているのかどうかについては不明なままであった。British Journal of Pharmacology誌オンライン版2014年11月6日号の掲載報告。

慢性骨髄性白血病に新たな治療薬登場

 2014年11月19日、ファイザー株式会社は「慢性骨髄性白血病に残るアンメットニーズへの新たな治療選択肢」をテーマに、都内でプレスセミナーを開催した。  慢性骨髄性白血病(CML)は、造血幹細胞で染色体転座によって融合したBCR-ABL遺伝子によって引き起こされる。年間の発生率は10万人に1人程度で、慢性期には自覚症状はほとんどなく、移行期、急性転化期に進行すると予後不良となる。  今回のセミナーでは、同社のボスチニブ(商品名: ボシュリフ)が、9月26日に製造販売承認を取得したことを踏まえ、CML治療の概要やボスチニブの臨床成績などが紹介された。

抗精神病薬の皮質線条体系への影響を検証

 統合失調症初回エピソード患者における、第二世代抗精神病薬による治療と大脳にある線条体の機能的結合性との関連について、米国・ジャッカー・ヒルサイド病院のDeepak K. Sarpal氏らが検討を行った。その結果、治療による精神症状改善に伴い、前頭葉部位との機能的結合性が増大する正の関連性や、頭頂葉内での機能的結合性が低下するといった負の関連性を明らかにした。JAMA Psychiatry誌オンライン版2014年11月5日号の掲載報告。

女性は男性より有害な心血管代謝プロファイルを示す―日本の糖尿病患者

 日本人の糖尿病患者は、男性よりも女性のほうが有害な心血管代謝プロファイルを示すことが、兵庫医科大学の若林 一郎氏による研究で明らかになった。日本の糖尿病女性は、男性よりも腹部肥満、高脈圧、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症、メタボリックシンドロームの有病率が高いという。Journal of women's health誌オンライン版2014年11月14日号の報告。

レビー小体病を画像診断で層別解析

 パーキンソン病(PD)、認知症を伴うパーキンソン病(PDD)、レビー小体型認知症(DLB)は、レビー小体病(LBD)と総称される。神経症状を欠く一次性レビー小体病(pure psychiatric presentation:PPP)は、明らかなパーキンソン症候がなく、長年にわたり認知障害が続くという精神症状において、第四のサブタイプといえるかもしれない。石川県・粟津神経サナトリウムの小林 克治氏らは、60例のmeta-iodobenzylguanidine(MIBG)心筋シンチグラフィー検査の解析を行い、層別解析結果を報告した。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2014年10月22日号の掲載報告。

かゆみは腫瘍マーカーとなりうるのか?

 そう痒(かゆみ)は、オカルトがん(occult cancer)のマーカーとなりうることを、デンマーク・オーフス大学病院のJohannesdottir S.A.氏らがデンマークの全国コホート研究の結果、報告した。がん患者は、かゆみを訴える頻度が高いが、かゆみが診断のついていないがんのマーカーとなるかについて大規模研究による検討はされていなかった。

抗てんかん薬、ペットのてんかんにも有効か

 イヌの特発性てんかん(IE)の治療には、さまざまな抗てんかん薬(AED)が使用されているが、それらの臨床的有効性に関する情報は限定的なものであった。英国ロンドン大学ロイヤル・ベタリナリー・カレッジのMarios Charalambous氏らは、従来エビデンスの評価を行うことを目的に、イヌのてんかん治療について系統的レビューを行った。BMC Veterinary Research誌2014年10月号の掲載報告。

コーヒーをよく飲む糖尿病者はうつが少ない

 糖尿病患者では、非糖尿病者よりもうつ病の頻度が高いとの報告がある。うつ病と糖尿病には因果関係や双方向の関連性がみられるが、これまで糖尿病患者の食品摂取頻度が抑うつ症状に及ぼす影響について、十分に検討されていなかった。長崎県立大学の大曲 勝久氏らは、糖尿病患者における食品摂取頻度を調査し、コーヒー摂取が非抑うつ状態の独立した予測因子であることを明らかにした。Journal of clinical biochemistry and nutrition誌2014年9月号(オンライン版7月31日号)の掲載報告。

若年双極性障害への治療効果を高めるには

 双極性障害の青少年・若年成人では、薬物療法の補助的療法として対人関係・社会リズム療法(interpersonal and socialrhythm therapy:IPSRT)と専門家支持療法(specialist supportive care:SSC)を用いることは、抑うつまたは躁病症状を抑制する効果、および社会的機能を改善する効果があることが明らかにされた。ニュージーランド・オタゴ大学のMaree L Inder氏らによる無作為化対照試験の結果、示された。著者は今回の成果を、「とくに抑うつ症状に対処する有効な治療の特定は、双極性障害の負荷を軽減するうえで重要となる」と強調している。Bipolar Disorders誌オンライン版2014年10月24日号の掲載報告。