ブタからヒトへ、心臓異種移植アウトカムに影響した因子/Lancet

2022年1月7日、米国・メリーランド大学のMuhammad M. Mohiuddin氏らは、世界初となる10個の遺伝子改変ブタ心臓のヒトへの異種移植手術を行った。既往症や複数の外科的および非外科的な合併症にもかかわらず、レシピエントは術後60日目に移植片不全で死亡するまで生命が維持された。今回、同氏らは異種移植手術のアウトカムに影響を及ぼす因子の重要性について報告を行った。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2023年6月29日号に掲載された。 異種移植手術の成功後、移植片は心エコー上で良好に機能し、拡張期心不全が発現する術後47日目まで、心血管系および他の臓器系の機能は維持されていた。 術後50日目に、心内膜心筋生検で、間質浮腫や赤血球の血管外漏出、血栓性微小血管症、補体沈着を伴う損傷した毛細血管が見つかった。 低ガンマグロブリン血症に対する静脈内免疫グロブリン(IVIG)療法後と、初回の血漿交換中に、IgGを主とする抗ブタ異種抗体の増加が検出された。