ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:262

自宅での自己採取HPV検査は子宮頸がん予防に有効か?

自宅で行う腟分泌物自己採取法によるヒトパピローマウイルス(HPV)DNA検査は、細胞診よりも陽性適中率は低いものの、医療資源に乏しく有効な細胞診プログラムを実施できない環境下では、グレード2以上の頸部上皮内がん(CIN)を検出するのに好ましい方法であることが報告された。メキシコ国立公衆衛生研究所のEduardo Lazcano-Ponce氏らによる。腟分泌物HPV DNA検査は、診療所で行う場合は、細胞診と同じかそれ以上の検出力があることが明らかになっていたが、自宅で行う場合の有効性については明らかにされていなかった。Lancet誌2011年11月26日号(オンライン版2011年11月2日号)掲載報告より。

びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫に対する標準+リツキシマブvs. 強化+リツキシマブ

びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫に対し、標準化学療法(CHOP)+リツキシマブ(R-CHOP)と比べて、強化化学療法(ACVBP)+リツキシマブ(R-ACVBP)が、18~59歳患者の生存を有意に改善することが第III相オープンラベル無作為化試験の結果、示された。フランス・トゥールーズ大学病院のChristian Recher氏らによる。強化療法の血液毒性は高まったが管理可能だったという。びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫のアウトカムは、化学療法にリツキシマブ(抗CD20モノクローナル抗体、商品名:リツキサン)を加えることでかなり改善される。その知見を踏まえRecher氏らは、標準療法への追加と強化療法への追加について比較を行った。Lancet誌2011年11月26日号掲載報告より。

喘息リスク幼児へのグルココルチコイド、低用量連日 vs. 高用量間欠

前年に修正版喘息予測指標(API)陽性または喘息増悪を示した喘息リスクを有する幼児には、グルココルチコイドの連日吸入が推奨されている。米国・カイザーパーマネント南カリフォルニアのRobert S. Zeiger氏ら全米心臓・肺・血液治療ネットワークは、連日吸入に対して懸念される発育への影響について検討するため、12~53ヵ月児278例を対象に、低用量連日投与と高用量間欠投与とを比較する、1年間の無作為化二重盲検パラレル比較試験を行った。結果、増悪に関して、低用量連日投与の高用量間欠投与に対する優位性は示されず、低用量連日投与のほうが1年時点の薬剤曝露量が多かったことが報告された。NEJM誌2011年11月24日号掲載報告より。

プライマリ・ケアでの減量介入、「遠隔支援のみ」と「遠隔支援+対面支援」に有意差なし

プライマリ・ケアでの減量指導について、遠隔支援のみ(電話とWeb、e-mailで支援)介入群と、それらに対面支援(集団または個人セッションで支援)を加えた介入群とを比較した結果、両群間の基線から24ヵ月時点の体重減少は有意差を示さなかったことが報告された。肥満およびそれへの心血管疾患の合併は極めて一般的な医学的問題であるが、臨床での効果的な減量指導方法に関するエビデンスは乏しい。そこで米国・ジョンズ・ホプキンス大学Welch予防疫学臨床研究センターのLawrence J. Appel氏らが、6診療所・415例を被験者とした無作為化対照試験で方法論について検証を行った。米国では肥満関連の直接・間接コストが年間1,100億ドルに上るという。NEJM誌2011年11月24日号掲載報告より。

心不全による感染性心内膜炎、弁手術実施で入院死亡率、1年死亡率ともに大幅低下

心不全による感染性心内膜炎は、初回入院時に弁手術を実施することで、入院死亡率、1年死亡率ともに、およそ半減することが示された。米国デューク大学メディカルセンターのTodd Kiefer氏らが、4,000人超について行った前向きコホート試験の結果、明らかにしたもので、JAMA誌2011年11月23・30日号で発表した。

24時間ナトリウム排泄量、少な過ぎる場合も心血管イベントリスク上昇

24時間尿中ナトリウム排泄量は、少なすぎる場合も、多い場合と同様に、心血管死や心血管イベント発生リスクが上昇することが明らかになった。また、24時間尿中カリウム排泄量については、その量が多くなるほど、脳卒中リスクが低下することが示された。カナダ・McMaster大学ハミルトン総合病院公衆衛生部門のMartin J. O’Donnell氏らが、3万人弱について行った観察研究の結果から報告したもので、JAMA誌2011年11月23・30日号で発表した。

腹壁破裂児の1年アウトカム予測のベンチマーク

出生時に腹壁破裂を伴った新生児について、患児を単純群(腸が無傷、無損傷、連続している)と複雑群(腸に穿孔・壊死または閉塞が起きている)に階層化することで、1年アウトカムを確実に予測できることが明らかにされた。Bradnock氏英国・グラスゴー王立小児病院のTimothy J Bradnock氏らが、英国およびアイルランドで行った全国住民ベースのコホート研究からの報告による。Bradnock氏は、同方法が、各治療施設のアウトカムやパフォーマンスを評価するベンチマークになり得、次なるステップとして、同法を用いて、懸念されている腹壁破裂児の初期治療戦略や治療アルゴリズム開発のための無作為化試験を行うことも提言した。BMJ誌2011年11月19日号(オンライン版2011年11月15日号)掲載報告より。

肥満者減量プログラム、プライマリ・ケア提供より商業プログラムのほうが安価で効果大

肥満者減量プログラムは、プライマリ・ケアベースの特別に訓練を受けたスタッフによるものよりも、商業ベースの体重管理プログラムのほうが、効果が大きく効率的であることが、英国・バーミンガム大学公衆衛生校のKate Jolly氏らによる無作為化試験の結果、報告された。BMJ誌2011年11月19日号(オンライン版2011年11月3日号)掲載報告より。

重症肺炎児への母親による抗菌薬投与、医療施設紹介よりも有効

パキスタンの重症肺炎の小児に対し、地域の女性医療従事者(LHW)が母親に経口抗菌薬を提供する方法は、LHWが経口抗菌薬を投与後に医療施設を紹介する標準治療よりも有用なことが、Save the Children USパキスタン支局のAbdul Bari氏らによる検討で示された。WHOの定義による重症肺炎児に対しては、経口コトリモキサゾール(ST合剤、商品名:バクタほか)を投与後に専門医療施設へ紹介することが推奨されている。しかし、医療資源が乏しい環境では患児が実際に専門施設を受診することは困難で、適切な治療へのアクセス率は低いという。Lancet誌2011年11月19日号(オンライン版2011年11月11日号)掲載の報告。

ocrelizumab、再発寛解型多発性硬化症の脳病変を低減

ヒト化抗CD20モノクローナル抗体ocrelizumabは、再発寛解型多発性硬化症における脳MRI上のガドリニウム増強病変の低減や臨床的な予後の改善に有用なことが、スイス・バーセル大学病院のLudwig Kappos氏らの検討で示された。多発性硬化症における炎症は、炎症誘発性のCD4陽性T細胞(Th1、ThIL-17)によって誘導されると考えられるが、B細胞も抗体依存性/非依存性の経路を介して関与している可能性があるという。ocrelizumabはCD20陽性B細胞を選択的に阻害し、CD20のキメラ型モノクローナル抗体リツキシマブ(商品名:リツキサン)に比べ抗体依存性で細胞誘導性の細胞障害性作用が強いため組織依存性の発病機序の調整能が高く、ヒト化されているため反復投与しても免疫原性が低いことから、ベネフィット-リスクプロファイルが優れると期待されている。Lancet誌2011年11月19日号(オンライン版2011年11月1日号)掲載の報告。

ADHD薬と重篤な心血管イベントリスク上昇との証拠示されず

注意欠陥・多動性障害(ADHD)薬について、北米で持ち上がっている、重篤な心血管イベントリスクを増大するのではないかとの懸念に対し、米国・ヴァンダービルト大学小児科部門のWilliam O. Cooper氏らは、2~24歳約120万人を対象とする大規模な後ろ向きコホート試験を行った。結果、両者の因果関係は認められなかったことを報告した。95%信頼区間の上限値がリスク倍増の可能性を無視できない値ではあったが、「しかしながら、リスク増大の絶対値は低い」と結論している。NEJM誌2011年11月17日号(オンライン版2011年11月1日号)掲載報告より。

乳幼児へのマラリアワクチンRTS,S/AS01、疾患発症および重症化とも予防に効果

世界のマラリア罹患者は年間約2億2,500万人、うち死亡は78万1,000人に上り、ほとんどがアフリカの小児だという。そのような公衆衛生上の脅威であるマラリアに対して開発されたワクチンRTS,S/AS01が、5~17ヵ月児の臨床症状発症を約半分に抑え、重症化を予防し得ることが、RTS,S Clinical Trials Partnershipらにより行われている第3相試験の結果、報告された。試験は、アフリカ7ヵ国・11施設共同で行われており、本報告は同試験初の報告で、NEJM誌2011年11月17日号(オンライン版2011年10月18日号)で発表された。

脳卒中再発リスク、収縮期血圧120mmHg未満でも増大

非心原性虚血性脳卒中患者の脳卒中再発リスクは、収縮期血圧値が130~140mmHg未満で最も低く、低過ぎても(120mmHg未満)、高過ぎても(140mmHg以上)、再発リスクは増大することが明らかにされた。米国・カリフォルニア大学サン・ディエゴ校のBruce Ovbiagele氏らが、2万人超について行った事後観察研究の結果、明らかにしたもので、JAMA誌2011年11月16日号で発表した。脳卒中再発予防のガイドラインでは、収縮期血圧が低いほどリスクはより低下するとして、120mmHgも正常値としている。

初発の心筋梗塞後の院内死亡率、冠動脈心疾患リスクが少ないほど増大

 心筋梗塞を初めて発症し、それ以前に心血管疾患歴のない人の院内死亡リスクについて、5つの主要な冠動脈心疾患リスクの数との関連を調べた結果、リスクが少ないほど高くなる逆相関の関連がみられることが大規模試験の結果、示された。米国フロリダ州にあるWatson ClinicのJohn G. Canto氏らが、約54万人を対象とした試験で明らかにしたもので、JAMA誌2011年11月16日号で発表した。これまで地域ベースでの急性心筋梗塞の冠動脈心疾患リスク因子数とアウトカムとの関連について、調査されたことはほとんどなかった。

リピート処方の質と安全に、受付・事務スタッフの創造的判断が貢献

リピート処方(repeat prescribing)、いわゆるDo処方について、受付または事務スタッフが、質および安全性に対して重大な「隠れた」貢献を行っているとの研究結果が報告された。英国・バーツ&ロンドン医科歯科大学校のDeborah Swinglehurst氏らによる。BMJ誌2011年11月12日号(オンライン版2011年11月3日号)掲載報告より。

英国における待機的手術施行への民間活力導入、その質的評価は?

英国待機的手術のアウトカムについて、民間治療センター(ISTC)とNHS治療センターとを比較した結果、両者はほぼ同等であることが報告された。英国では、患者が待機的手術をすみやかに、より強い選択権を有して受けられ、より良好なアウトカムを得られるようにするとの目的で、1999年より公的医療サービスであるNHS治療センターの改革プログラムが開始。そのさらなる進展のため2002年より民間活力を導入、2009年12月末までに29のISTCが開設(さらに2施設が建設中)された。しかし、治療センター増大が歓迎される中、ISTCの“民間運営”“外国人医師”に対する懸念が高まり、2006年以降、第三者機構によるISTCとNHSとを比較する質的評価の取り組みが行われているという。本論の報告は、英国保健省がRoyal College of Surgeons of Englandに質的評価の比較について委嘱したPatient Outcomes in Surgery(POiS)監査機構(2007年11月設立)による最終報告で、Royal College of Surgeons of EnglandのJ Chard氏らが、BMJ誌2011年11月12日号(オンライン版2011年10月19日号)で発表した。

乳房温存術後の放射線療法による再発抑制効果は背景因子で異なる

乳房温存術後の温存乳房に対し放射線療法を追加することにより、再発率がほぼ半減して乳がん死は約6分の5にまで低下し、これらのベネフィットはほとんどのサブグループで認められるが、その程度は背景因子によって異なることが、Early Breast Cancer Trialists’ Collaborative Group(EBCTCG)によるメタ解析で示された。早期乳がんには通常、乳房温存術が行われるが、温存乳房内には微小腫瘍病変が残存している可能性があり、後年、局所再発や遠隔転移を来す恐れがある。乳房温存術後の放射線療法により再発や乳がん死が低減することが示されているが、より有効性の高いサブグループが存在する可能性があるという。Lancet誌2011年11月12日号(オンライン版2011年10月20日号)掲載の報告。

専門病棟での集学的管理プロトコールが急性期脳卒中の予後を改善

急性期脳卒中専門病棟における看護師による発熱、高血糖、嚥下障害の集学的な管理プロトコールの実践により、退院後の良好な患者アウトカムがもたらされることが、オーストラリア・カソリック大学看護学研究所のSandy Middleton氏らが行ったQASC試験で示された。組織化された脳卒中専門病棟は脳血管イベントによる死亡や身体機能障害を低減するが、長期的な患者の回復に重要なことが知られているにもかかわらず十分な管理が行われていない因子として、発熱、高血糖、嚥下障害が挙げられるという。同氏らは、これら3つの因子のエビデンスに基づく集学的な管理プロトコールを専門病棟で遂行するための標準化された教育プログラムを開発した。Lancet誌2011年11月12日号(オンライン版2011年10月12日号)掲載の報告。

重症型急性アルコール性肝炎に対するプレドニゾロン+N-アセチルシステイン併用療法

 死亡率が高い重症型急性アルコール性肝炎について、プレドニゾロン+N-アセチルシステイン併用療法が生存率を改善するかについて検討した試験が行われた。結果、1ヵ月生存率は上昇したが、主要転帰とした6ヵ月生存率は改善されなかったという。フランス・Picardy大学のEric Nguyen-Khac氏らが、174例を対象とした無作為化試験の結果、報告した。同疾患患者の死亡率は、グルココルチコイド治療を行っても6ヵ月以内の死亡率が35%と高い。NEJM誌2011年11月10日号掲載報告より。

2011年初夏にドイツで大流行したO104:H4の疫学的プロファイル

ドイツでは、2011年5月、6月、7月に、志賀毒素産生性大腸菌O104:H4による胃腸炎および溶血性尿毒症症候群(HUS)が大流行した。その疫学的プロファイル調査の結果、同定された大腸菌株は通常のO104:H4ではみられないタイプであったこと、HUS発生が主に成人の女性で多かったことが明らかにされた。ドイツ・Robert Koch研究所Christina Frank氏らHUS研究チームによる。同大流行は、もやしの消費が媒介となった可能性が最も高いとされている。NEJM誌2011年11月10日号(オンライン版2011年6月22日号)掲載報告より。