ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:50

ブタ心臓のヒトへの異種移植手術、初期の経過は良好/NEJM

 米国・メリーランド大学医療センターのBartley P. Griffith氏らの研究チームは、2022年1月7日、実験的なブタ心臓のヒトへの異種移植手術を世界で初めて行った。患者は、自発呼吸が可能になるなど良好な経過が確認されたが、約2ヵ月後の3月8日に死亡した。臓器不足の解消につながると期待された遺伝子編集ブタ心臓の移植の概要が、NEJM誌オンライン版2022年6月22日号に短報として掲載された。  患者は、慢性的な軽度の血小板減少症、高血圧症、非虚血性心筋症を有し、僧帽弁形成術の既往歴がある57歳の男性で、左室駆出率(LVEF)10%の重症心不全により入院となった。複数の強心薬の投与が行われたが、入院11日目には大動脈内バルーンポンプが留置され、23日目には末梢静脈-動脈体外式膜型人工肺(ECMO)が導入された。

liso-cel、再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫の2次治療に有効か?/Lancet

 早期再発または難治性の大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)の2次治療において、CD19を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法リソカブタゲン マラルユーセル(liso-cel)は従来の標準治療と比較して、無イベント生存期間を約8ヵ月延長することが、米国・コロラド大学がんセンターのManali Kamdar氏らが進めている「TRANSFORM試験」の中間解析で示された。安全性に関する新たな懸念は認めなかったという。研究の成果は、Lancet誌2022年6月18日号に掲載された。

術後オピオイド、退院後の疼痛への有効性は?/Lancet

 手術後の退院時におけるオピオイドの処方は、オピオイドを使用しない鎮痛レジメンと比較して、退院後の疼痛の強度を軽減しない可能性が高く、嘔吐などの有害事象の有意な増加をもたらすことが、カナダ・マギル大学のJulio F. Fiore Jr氏らの調査で示された。研究の詳細はLancet誌2022年6月18日号に掲載された。  研究グループは、退院時のオピオイド処方が自己申告による疼痛の強度や有害事象にどの程度の影響を及ぼすかを評価する目的で、無作為化臨床試験の系統的レビューとメタ解析を行った(カナダ保健研究機構[CIHR]の助成を受けた)。

2価RSVpreFワクチン、第IIa相チャレンジ試験で有効性を確認/NEJM

 2価の呼吸器多核体ウイルス(RSV)融合前F蛋白ベース(RSVpreF)のワクチンはプラセボと比較して、症候性のRSV感染やウイルス排出の予防効果が高く、安全性に関する明らかな懸念も認めないことが、ドイツ・Pfizer PharmaのBeate Schmoele-Thoma氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年6月23日号で報告された。  本研究は、2価RSVpreFワクチンの有効性と安全性の評価を目的に、単施設で行われた探索的なRSVチャレンジ試験(二重盲検無作為化プラセボ対照第IIa相試験)である(米国Pfizerの助成を受けた)。

子宮内膜症、レルゴリクス併用療法が有効か/Lancet

 経口ゴナドトロピン放出ホルモン受容体拮抗薬レルゴリクス+エストラジオール+酢酸ノルエチステロン併用療法は、子宮内膜症関連疼痛を有意に改善し、忍容性も良好であることが、米国・カリフォルニア大学のLinda C. Giudice氏らが実施した2つの多施設共同無作為化二重盲検第III相試験「SPIRIT 1試験」と「SPIRIT 2試験」の結果、示された。著者は、「この経口療法は、オピオイドの使用や外科的治療の必要性を減らし、子宮内膜症の長期薬物療法に対するアンメットニーズを解決する可能性がある」とまとめている。子宮内膜症は女性の骨盤痛でよくみられる原因であり、現状では最適な治療選択肢がない。Lancet誌2022年6月18日号掲載の報告。

費用対効果分析へのスポンサーバイアスは?/BMJ

 費用対効果分析(CEA)におけるスポンサーバイアスの影響力は大きく、隅々にまで及んで、さまざまな疾患や試験デザインにわたって存在することを、カナダ・マックマスター大学のFeng Xie氏らが、企業スポンサー(医薬品、医療機器、バイオテクノロジー企業)と費用対効果との関連性を検証したレジストリベースの解析結果を報告した。多くの国で、製薬企業は新薬の保険適用申請の際にCEAの提出を求められているため、過去数十年で経済性評価に関する研究が急速に拡大したが、先行研究においてCEAの約20%が製薬企業の資金提供を受けていることが示されている。また、業界の資金提供による経済評価は、スポンサーに有利な費用対効果の結果を報告する傾向にあることが、これまで一貫して示されてきた。ただし、それら研究のほとんどが、特定の疾患や治療に限定されたもので、システマティックレビューに基づく最新の分析は15年以上前に発表されたものであった。著者は今回の結果を踏まえて、「独立機関が実施するCEAを用いることで、支払者はより低価格で交渉することができる可能性がある。そのような公平性を用いることは、独自の経済分析能力が限定的で、保険適用に関する政策決定の情報を、公表されたCEAに依存する国にとって、とくに重要である」とまとめている。BMJ誌2022年6月22日号掲載の報告。

妊娠中のコロナワクチン2回接種、生後6ヵ月未満児の入院を半減/NEJM

 妊娠中に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のmRNAワクチンを2回接種することにより、生後6ヵ月未満の乳児におけるCOVID-19による入院および重症化のリスクが低減することが、米国・ヴァンダービルト大学医療センターのNatasha B. Halasa氏らが実施した検査陰性デザインによる症例対照研究の結果、示された。生後6ヵ月未満児はCOVID-19の合併症のリスクが高いが、ワクチン接種の対象とはならない。妊娠中の母親がCOVID-19ワクチンを接種することで新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する抗体が経胎盤移行し、乳児にCOVID-19に対する防御を与える可能性が示唆されていた。NEJM誌オンライン版2022年6月22日号掲載の報告。

持続性心房細動、線維化領域のアブレーション追加の有効性は?/JAMA

 持続性心房細動(AF)患者において、遅延造影MRIで検出された心房線維化領域のアブレーション+肺静脈隔離術(PVI)はPVIアブレーションのみと比較し、心房細動の再発に有意差はないことが、米国・テュレーン大学のNassir F. Marrouche氏が行った「DECAAF II試験」で示された。持続性AFに対するアブレーションは依然として困難である。左房の線維化は心房細動の病態生理に重要な役割を演じており、転帰不良と関連していることが示唆されていた。著者は、「今回の結果は、持続性AFの治療におけるMRIガイド下線維化領域のアブレーションの使用を支持しない」とまとめている。JAMA誌2022年6月21日号掲載の報告。

ICUでのビタミンC投与は敗血症に有効か/NEJM

 敗血症では、ビタミンC投与による抗酸化作用が酸化ストレスによる組織障害を軽減すると考えられているが、集中治療室(ICU)で昇圧薬治療を受けている敗血症の成人患者への、ビタミンC静脈内投与を評価した先行研究の結果は、相反するものだという。カナダ・シャーブルック大学のFrancois Lamontagne氏らは今回「LOVIT試験」において、ICUでの敗血症患者へのビタミンC投与はプラセボと比較して、28日の時点での死亡または持続的な臓器障害のリスクが有意に高いという、予想外の結果を確認した。研究の詳細は、NEJM誌2022年6月23日号で報告された。

がんやコロナで使用されるマスタープロトコル試験、適切な報告の方法は/BMJ

 マスタープロトコル研究計画(master protocol research programs:MPRPs)は、複数の問いに答えるために1つの包括的な研究プロトコルに基づき複数のサブ試験を行う方法で、対象の特性(疾患、組織型、分子マーカーなど)や治療の種類・数に基づきバスケット試験、アンブレラ試験、プラットフォーム試験に分けられ、現在、主にがん(ALCHEMIST試験、NCI-MATCH試験など)や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(RECOVERY試験など)の研究に使用されている。MPRPは、さまざまな利点を有する一方で、複数のサブ試験についてプロトコルで詳細に指定された試験デザイン情報を1つの登録記録にまとめると、各サブ試験の解析集団や主要評価項目、試験終了日などの重要な記述の詳細が不明瞭化し、その全体像の迅速な把握が困難になるという問題が指摘されている。そこで、米国国立衛生研究所(NIH)のRebecca J. Williams氏らは、既存の優れた試験報告とは矛盾せずに、構造化された情報を用いてマスタープロトコル全体と各サブ試験のデザインを伝達するための、MPRPの適切な報告の仕方について検討した。研究の詳細は、BMJ誌2022年6月10日号に掲載された。

中等症~重症クローン病、ウステキヌマブvs.アダリムマブ/Lancet

 生物学的製剤未使用の中等症~重症活動期クローン病患者に対する導入療法および維持療法として、ウステキヌマブ単剤療法とアダリムマブ単剤療法はいずれも高い有効性を示し、主要評価項目に両群で有意差はなかった。米国・マウントサイナイ医科大学のBruce E. Sands氏らが、18ヵ国121施設で実施した無作為化二重盲検並行群間比較第IIIb相試験「SEAVUE試験」の結果を報告した。ヒト型抗ヒトIL-12/23p40モノクローナル抗体ウステキヌマブと、ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体アダリムマブは、いずれもクローン病の治療薬として承認されているが、どちらもプラセボ対照比較試験の結果に基づいており、患者への説明や医師の治療選択にとっては直接比較する実薬対照試験が必要であった。Lancet誌オンライン版2022年6月11日号掲載の報告。

6~17歳におけるAZ製ワクチンの安全性と免疫原性/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンChAdOx1 nCoV-19(AZD1222、アストラゼネカ製)は、6~17歳の小児において忍容性と免疫原性が高く、成人を対象とした第III相試験で示された高い有効性と関連する抗体濃度と同程度の抗体を誘導することができ、安全性に関する懸念は認められなかった。英国・チャーチル病院のGrace Li氏らが、英国の4施設で実施した第II相単盲検無作為化比較試験「COV006試験」の結果を報告した。COVID-19ワクチンについては、小児および若年者への接種を推奨している国もあるが、18歳未満におけるCOVID-19ワクチンの免疫反応に関するデータは成人と比較して十分ではなかった。Lancet誌オンライン版2022年6月11日号掲載の報告。  研究グループは、慢性呼吸器疾患および検査で確認されたCOVID-19の既往がなく、莢膜B群髄膜炎菌ワクチン(対照)未接種の6~17歳の健康小児を、AZD1222(ウイルス粒子量5×1010)を28日間隔、対照ワクチンを28日間隔、AZD1222を84日間隔、対照ワクチンを84日間隔でそれぞれ2回接種する群に、4対1対4対1の割合で無作為に割り付け筋肉内投与した。

乳がん検出の違い、3Dマンモvs.デジタルマンモ/JAMA

 乳がんスクリーニングにおける、デジタル乳房トモシンセシス(DBT)とマンモグラフィの検出の違いを比較した結果、浸潤性中間期乳がんリスクについては有意差が認められなかったが、「きわめて高濃度乳房で乳がんリスクが高い」女性(試験集団の3.6%)の進行乳がんリスク低下については有意な関連が示された。一方で、試験集団の96.4%の女性(非高濃度乳房、不均一な高濃度乳房、またはきわめて高濃度乳房だがリスクが高くない)で、有意差は観察されなかった。米国・カリフォルニア大学のKarla Kerlikowske氏らが、コホート研究の結果を報告した。DBTは女性の高濃度乳房のがん検出を改善することを期待して開発されたものだが、浸潤性中間期乳がんおよび進行乳がん、乳がん死亡と関連する中間アウトカムについて、高濃度乳房および乳がんリスク別に評価する研究が必要とされていた。JAMA誌2022年6月14日号掲載の報告。

mRNAワクチン後の心筋炎/心膜炎リスク、何回目が高いか/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のmRNAワクチン接種後に、稀ではあるが心筋炎または心膜炎のリスク増加が認められ、とくに18~25歳の男性で2回目接種後に最も高いことが、米国食品医薬品局(FDA)のHui-Lee Wong氏らによる後ろ向きコホート研究で示された。米国の医療保険請求データベースを用い、mRNA-1273(モデルナ製)とBNT162b2(ファイザー製)の接種後における心筋炎または心膜炎のリスクを定量的に直接比較した。これまで、いくつかの受動的サーベイランスシステムにより、とくに若年男性において、COVID-19 mRNAワクチン接種後の心筋炎または心膜炎のリスク増加が報告されていた。著者は、「今回の結果は、mRNA-1273とBNT162b2との間に統計学的に有意なリスク差があることを示していないが、差が存在する可能性は除外されるべきではない。また、ベネフィット-リスクプロファイルに従い、いずれかのmRNAワクチンの接種は引き続き支持される」とまとめている。Lancet誌2022年6月11日号掲載の報告。

オミクロン株症候性感染の予防、既感染+3回接種が高い効果/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン(BNT162b2[ファイザー製]、mRNA-1273[モデルナ製])接種やオミクロン変異株(B.1.1.529)以外への既感染、およびその両者(ハイブリッド免疫)を有する場合、オミクロン変異株亜種のBA.1/BA.2感染による重症化の予防効果について、識別可能な違いはないことが示された。症候性感染に対する予防効果は、既感染+最近のブースター接種からなるハイブリッド免疫が最も強力だったという。Weill Cornell Medicine-QatarのHeba N. Altarawneh氏らが、カタール国内で行った診断陰性ケースコントロール試験の結果で、NEJM誌オンライン版2022年6月15日号で発表された。  研究グループは、2021年12月23日~2022年2月21日にカタール国内でマッチド診断陰性ケースコントロール試験を行い、COVID-19ワクチン(BNT162b2またはmRNA-1273)接種や、オミクロン変異株以前の変異株への感染による自然免疫、およびハイブリッド免疫(既感染+ワクチン接種)による、症候性オミクロン変異株感染および重症・重篤・致死的COVID-19に対する有効性を検証した。

手術中の麻酔ケア引き継ぎ、術後アウトカムに影響なし/JAMA

 18歳以上の成人患者に対する2時間以上の手術中に、複数医師間で術中麻酔ケアの引き継ぎを行っても、術後30日間の死亡や再入院、重度合併症の発生といった術後アウトカムには影響しないことが示された。ドイツ・ミュンスター大学病院のMelanie Meersch氏らが、1,817例を対象に行った並行群間比較無作為化試験の結果で、JAMA誌オンライン版2022年6月4日号で発表した。これまで大規模な観察試験において、術中麻酔ケアの引き継ぎは高い死亡率など有害アウトカムと関連することが報告されていた。  研究グループは2019年6月~2021年6月にかけて、ドイツ12ヵ所の医療センターで試験(患者登録)を開始し、術中麻酔ケアの引き継ぎと術後アウトカムの関連を検証した(最終フォローアップは2021年7月31日)。適格被験者は、米国麻酔科学会身体状態分類(ASA-PS)3~4で、2時間以上の主要入院手術が予定されていた18歳以上の1,817例だった。

新規抗体薬teclistamab、再発・難治性多発性骨髄腫に有効/NEJM

 新規の抗体製剤teclistamabは、3クラスの薬剤(免疫調節薬、プロテアソーム阻害薬、抗CD38抗体)の投与歴がある再発・難治性多発性骨髄腫の治療において、深く持続的な奏効を高率にもたらし、安全性も良好であることが、フランス・University Hospital Hotel-DieuのPhilippe Moreau氏らが実施した「MajesTEC-1試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年6月5日号に掲載された。teclistamabは、T細胞表面に発現しているCD3と、骨髄腫細胞表面に発現しているB細胞成熟抗原(BCMA)の双方を標的とし、T細胞の活性化とそれに続くBCMA発現骨髄腫細胞の溶解を誘導するT細胞再指向型二重特異性抗体で、本試験の用量設定第I相試験で有望な有効性が確認されていた。

大腸内視鏡、医師の腺腫検出率と検査後がんリスクが相関/JAMA

 大腸内視鏡検査は、大腸腺腫検出率(ADR)が高い医師が行うと、検出率の値の広い範囲にわたって、大腸内視鏡検査後の大腸がん(PCCRC)のリスクが有意に低く、PCCRCによる死亡も少ないことが、米国・Kaiser Permanente Bernard J. Tyson School of MedicineのJoanne E. Schottinger氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌2022年6月7日号で報告された。  研究グループは、医師の大腸内視鏡によるADRと、PCCRCおよびPCCRCによる死亡との関連を評価する目的で、米国の3つの大規模ヘルスケアシステム(カイザーパーマネンテ北カリフォルニア[KPNC]、カイザーパーマネンテ南カリフォルニア[KPSC]、カイザーパーマネンテワシントン[KPWA])の統合データを用いて後ろ向きコホート研究を行った(米国国立がん研究所[NCI]のPopulation-based Research to Optimize the Screening Process[PROSPR]IIの助成を受けた)。

高齢未治療MCL、標準化学免疫療法へのイブルチニブ上乗せでPFS延長(SHINE)/NEJM

 未治療のマントル細胞リンパ腫(MCL)高齢患者において、標準化学免疫療法(ベンダムスチン+リツキシマブ:BR療法)へのブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬イブルチニブの上乗せは、プラセボとの比較において、無増悪生存(PFS)期間を有意に延長したことが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのMichael L. Wang氏らによる国際無作為化二重盲検第III相試験「SHINE試験」の結果、示された。これまでに未治療/再発/難治性MCLの患者17例を対象とした第Ib相試験で、BR療法へのイブルチニブ上乗せは、患者の76%が完全奏効(CR)を有し、安全かつ有効であることが示されていた。NEJM誌オンライン版2022年6月3日号掲載の報告。

ミスマッチ修復機能欠損の局所進行直腸がん、PD-1阻害薬単独で治癒?/NEJM

 ミスマッチ修復機能欠損を有する局所進行直腸がんは、PD-1阻害薬のみの治療で治癒する可能性が高いことが、米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのAndrea Cercek氏らが行った、前向き第II相試験の結果、示された。局所進行直腸がんは、術前化学療法と放射線療法、その後の手術療法が標準治療となっているが、ミスマッチ修復機能欠損を有する局所進行直腸がんでは、標準的な化学療法では十分な奏効を得られないことが示されていた。一方で、転移を有する患者および治療抵抗性の患者における免疫チェックポイント阻害薬のみの客観的奏効率は33~55%と、第一選択薬として非常に有効であることが報告されており、研究グループはこれらの知見に基づき、PD-1阻害薬の単剤投与が、ミスマッチ修復機能欠損の局所進行直腸がんに有益であるとの仮説を立て、dostarlimabによる術前化学療法の奏効率を調べる試験を行った。NEJM誌オンライン版2022年6月5日号掲載の報告。