ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:9

脳卒中後の血圧コントロール不良、看護師電話管理で改善/JAMA

 コントロール不良の高血圧で主に低所得の黒人およびヒスパニックの脳卒中生存者では、家庭血圧遠隔モニタリング(HBPTM)単独と比較して、電話を用いた看護師による患者管理(NCM)をHBPTMに追加することで、1年後の収縮期血圧(SBP)が有意に低下し、2年後の脳卒中の再発には差がないことが、米国・ニューヨーク大学ランゴーン医療センターのGbenga Ogedegbe氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2024年7月2日号で報告された。  本研究は、ニューヨーク市の合計8つの脳卒中センターと外来診療施設で実施した臨床ベースの無作為化試験であり、2014年4月~2017年12月に参加者を登録した(米国国立神経疾患・脳卒中研究所[NINDS]の助成を受けた)。

EGFR陽性NSCLCの1次治療、amivantamab+lazertinibがPFS延長/NEJM

 未治療の上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者の治療において、標準治療であるオシメルチニブ(第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬[TKI])と比較して、amivantamab(EGFRと間葉上皮転換因子[MET]を標的とする二重特異性抗体)+lazertinib(活性化EGFR変異とT790M変異を標的とする第3世代EGFR-TKI)の併用療法は、無増悪生存期間(PFS)が有意に長く、安全性のデータは既報の第I、II相試験と一致することが、韓国・延世大学校医科大学のByoung C. Cho氏らMARIPOSA Investigatorsが実施した「MARIPOSA試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年6月26日号に掲載された。

中絶薬の有効性・安全性、遠隔医療(検査なし)vs.対面(超音波検査実施)/JAMA

 遠隔医療でのスクリーニング(無検査)と薬の郵送による中絶は、超音波検査を伴う対面診療を経ての処方・中絶と比較し、完全な中絶率に関して非劣性であり、有害事象の発現率は低かった。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のLauren J. Ralph氏らが、非劣性解析を伴う前向き観察研究の結果を報告した。米国では、遠隔医療およびミフェプリストン製剤の郵送を介するなど、診療履歴による適格性評価(無検査)を用いた中絶薬による中絶の利用希望が急速に拡大しており、その有効性と安全性に関するさらなるエビデンスが求められていた。JAMA誌オンライン版2024年6月24日号掲載の報告。

高リスク高血圧患者の降圧目標、140mmHg未満vs.120mmHg未満/Lancet

 心血管リスクの高い高血圧患者では、糖尿病や脳卒中の既往によらず、収縮期血圧(SBP)の目標を120mmHg未満とする厳格降圧治療は、140mmHg未満とする標準降圧治療と比較して、主要心血管イベントのリスクが低下したことが示された。中国・Fuwai HospitalのJiamin Liu氏らESPRIT Collaborative Groupが無作為化非盲検評価者盲検比較試験「Effects of Intensive Systolic Blood Pressure Lowering Treatment in Reducing Risk of Vascular Events trial:ESPRIT試験」の結果を報告した。SBPを120mmHg未満に低下させることが140mmHg未満に低下させることより優れているかどうかは、とくに糖尿病患者や脳卒中の既往患者でははっきりしていなかった。Lancet誌オンライン版2024年6月27日号掲載の報告。

局所進行上咽頭がんの1次治療、sintilimab併用は有益か/Lancet

 局所進行の上咽頭がんの1次治療として、化学放射線療法へのsintilimab上乗せは、無イベント生存(EFS)率を改善し、有害事象の発現が増加したが管理可能な範囲のものであったことが、中国・中山大学がんセンターのXu Liu氏らによる第III相多施設共同非盲検並行群間無作為化試験「CONTIUUM試験」で示された。再発または転移のある上咽頭がんでは、抗PD-1療法+化学療法が1次治療として推奨されているが、局所進行の上咽頭がんにおけるPD-1阻害薬の有益性については明らかになっていなかった。Lancet誌2024年6月22日号掲載の報告。

StageIII悪性黒色腫への術後ダブラフェニブ+トラメチニブの最終結果/NEJM

 BRAF V600変異陽性StageIII悪性黒色腫の患者に対するダブラフェニブ+トラメチニブの併用による術後補助療法は、約10年の追跡調査時点でプラセボと比較して、無再発生存期間(RFS)および無遠隔転移生存期間(DMFS)は良好であった。全生存期間(OS)については、併用群の死亡リスクがプラセボ群と比較して約20%低かったが、有意差は示されなかった。オーストラリア・シドニー大学のGeorgina V. Long氏らが870例を対象とした第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「COMBI-AD試験」の最終解析結果を報告した。同試験事前規定の中間解析では、3年時のOSが有意差は示されなかったが併用群で延長したことが、また5年時解析ではRFSとDMFSについて併用群での延長が示され、OSを含むより長期の結果が求められていた。NEJM誌オンライン版2024年6月19日号掲載の報告。

PPIのpantoprazole、侵襲的換気患者の上部消化管出血を予防/NEJM

 集中治療室(ICU)で侵襲的機械換気を受けている患者では、プラセボと比較してプロトンポンプ阻害薬pantoprazoleは、臨床的に重要な上部消化管出血のリスクを有意に低下させ、その一方で死亡率には影響を及ぼさないことが、カナダ・マクマスター大学のDeborah Cook氏らが実施した「REVISE試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2024年6月14日号に掲載された。  REVISE試験は、8ヵ国68施設で実施した医師主導の無作為化試験であり、2019年7月~2023年10月に患者を登録した(カナダ保健研究機構[CIHR]などの助成を受けた)。

低リスク前立腺がんの監視療法、10年後の病勢進行率は?/JAMA

 未治療の低リスク前立腺がん患者では、プロトコールに基づく監視療法(active surveillance)により、診断から10年の時点で49%の男性が病勢の進行がないか治療を開始しておらず、転移病変の発生は2%に達せず、前立腺がんによる死亡は1%未満であり、監視療法中の病勢進行や治療はアウトカムの悪化とは関連しないことが、米国・Fred Hutchinson Cancer CenterのLisa F. Newcomb氏らが実施した「Canary PASS研究」で示された。研究の成果は、JAMA誌2024年6月25日号で報告された。  Canary PASS研究は、米国とカナダの10施設で実施した前向き観察研究であり、2008~22年8月に、低リスク前立腺がんと診断され、前治療歴のない男性2,155例を登録した(Canary Foundationなどの助成を受けた)。

低用量コルヒチン、脳梗塞の再発を予防せず/BMJ

 軽症~中等症の非心原性脳梗塞または一過性脳虚血発作の急性期患者の治療において、プラセボと比較して抗炎症薬コルヒチンの低用量投与は、90日以内の脳卒中再発リスクを減少させず、重篤な有害事象の発生にも差はないことが、中国・首都医科大学のJiejie Li氏らCHANCE-3 Investigatorsが実施した「CHANCE-3試験」で示された。研究の詳細は、BMJ誌2024年6月26日号に掲載された。  CHANCE-3試験は、中国の244の病院で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照試験であり、2022年8月~2023年4月の期間に患者を登録した(中国国家重点研究開発計画などの助成を受けた)。

チルゼパチド、閉塞性睡眠時無呼吸の肥満者の睡眠アウトカムを改善/NEJM

 中等症~重症の閉塞性睡眠時無呼吸と肥満のある患者の治療において、プラセボと比較してチルゼパチド(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド[GIP]とグルカゴン様ペプチド1[GLP-1]の受容体作動薬)は、無呼吸低呼吸指数(AHI)の改善とともに体重減少をもたらし、良好な睡眠関連の患者報告アウトカムを示すことが、米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のAtul Malhotra氏らSURMOUNT-OSA Investigatorsが実施した「SURMOUNT-OSA試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年6月21日号で報告された。

2型糖尿病薬で高K血症リスクが低いのは?/BMJ

 2型糖尿病患者において、SGLT2阻害薬およびGLP-1受容体作動薬はDPP-4阻害薬と比較して高カリウム血症のリスクが低いことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のEdouard L. Fu氏らによる同国内の3つの医療保険請求データベースを用いた解析結果で示された。SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬およびDPP-4阻害薬は、2型糖尿病の治療においてますます用いられるようになっているが、日常臨床における高カリウム血症の予防に関して、これらの薬剤の相対的な有効性は不明であった。著者は、「SGLT2阻害薬およびGLP-1受容体作動薬の各クラスにおける個々の薬剤で結果は一貫していることから、クラス効果が示唆される。このことは2型糖尿病患者、とくに高カリウム血症のリスクがある患者へのこれらの薬剤の使用を支持するものである」とまとめている。BMJ誌2024年6月26日号掲載の報告。

中等度~重度の外傷性脳損傷アウトカム、非制限輸血vs.制限輸血/NEJM

 貧血を伴う重度の外傷性脳損傷患者において、非制限輸血戦略は制限輸血戦略と比較して6ヵ月後の不良な神経学的アウトカムのリスクを改善することはなかった。カナダ・ラヴァル大学のAlexis F. Turgeonらが、無作為化比較試験「Hemoglobin Transfusion Threshold in Traumatic Brain Injury Optimization pragmatic trial(HEMOTION試験)」の結果を報告した。重度の外傷性脳損傷患者のアウトカムに対する制限的輸血戦略と非制限輸血戦略の有効性は不明であった。NEJM誌オンライン版、2024年6月13日号掲載の報告。

脳梗塞発症後4.5~24時間、tenecteplase vs.標準治療/NEJM

 大血管閉塞による脳梗塞で、ほとんどが血管内血栓除去術を受けていない中国人患者に対する発症後4.5~24時間のtenecteplase投与は、標準治療と比較して、90日後に機能障害を有する患者の割合が少なく生存率は同程度であった。中国・首都医科大学のYunyun Xiong氏らが、同国58施設で実施した第III相無作為化非盲検評価者盲検試験「TRACE-III試験」の結果を報告した。tenecteplaseは、脳梗塞発症後4.5時間以内の脳梗塞急性期に対する有効な血栓溶解薬であるが、発症後4.5時間以降の有効性に関するデータは限られていた。NEJM誌オンライン版2024年6月14日号掲載の報告。

再発/転移上咽頭がんの1次治療、nab-TPC vs.GC/BMJ

 再発または転移のある上咽頭がんの1次治療において、nab-パクリタキセル+シスプラチン+カペシタビン(nab-TPC)療法はゲムシタビン+シスプラチン(GC)療法と比較し優れた抗腫瘍効果と良好な安全性プロファイルを示したことを、中国・中山大学がんセンターのGuo-Ying Liu氏らが中国の4施設で実施した第III相無作為化非盲検比較試験の結果で報告した。著者は、「nab-TPC療法は再発または転移のある上咽頭がんに対する1次治療の標準治療と考えるべきであるが、全生存期間(OS)に対する有益性の確認には、より長期間の追跡調査が必要である」とまとめている。BMJ誌2024年6月19日号掲載の報告。

手術部位感染予防、ポビドンヨードvs.クロルヘキシジン/JAMA

 心臓手術または腹部手術後の手術部位感染(SSI)の予防において、術前の皮膚消毒薬としてのポビドンヨードのアルコール溶液はクロルヘキシジングルコン酸塩のアルコール溶液に対し非劣性で、心臓と腹部の手術のいずれにおいてもSSI発生率に有意な差はないことが、スイス・バーゼル大学のAndreas F. Widmer氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年6月17日号で報告された。  本研究は、スイスの3つの大学病院で実施したクラスター無作為化クロスオーバー非劣性試験であり、2018年9月~2020年3月の期間に患者を登録した(スイス国立科学財団[SNSF]の助成を受けた)。  心臓または腹部の待機的手術が予定されている成人患者を対象とした。各施設は、連続18ヵ月間にわたり、毎月、ポビドンヨードまたはクロルヘキシジングルコン酸塩のいずれかのアルコール溶液を使用する群(クラスター)に無作為化された。治療の割り付け情報は、アウトカムの評価者や各施設の責任医師、統計解析の担当者などにはマスクされたが、試験薬の固有の色の違いのため患者と外科医のマスクは不可能だった。

再発・難治性DLBCL、複数の分子標的薬を含む5剤併用療法が有効/NEJM

 再発または難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療において、ベネトクラクス+イブルチニブ+prednisone+オビヌツズマブ+レナリドミド(ViPOR)の5剤併用療法は、特定の分子サブタイプのDLBCLに持続的な寛解をもたらし、有害事象の多くは可逆性であることが、米国・国立衛生研究所(NIH)のChristopher Melani氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2024年6月20日号に掲載された。  研究グループは、DLBCLの複数の発がん性遺伝子変異を標的とするレジメンであるViPOR療法の安全性と有効性の評価を目的に、単一施設において第Ib/II相試験を行った(米国国立がん研究所などの助成を受けた)。  2018年2月~2021年6月に、年齢18歳以上でECOG PSスコアが0~2点の再発または難治性B細胞リンパ腫患者60例を登録した。このうち20例(DLBCL 10例を含む)を第Ib相試験、40例(すべてDLBCL)を第II相試験の対象とした。

脳梗塞発症後4.5時間以内、reteplase vs.アルテプラーゼ/NEJM

 発症後4.5時間以内の脳梗塞急性期患者において、90日後の良好な機能的アウトカムに関してreteplaseのアルテプラーゼに対する優越性が示された。中国・首都医科大学のShuya Li氏らRAISE Investigatorsが、同国62施設で実施した第III相無作為化非盲検非劣性試験「Reteplase versus Alteplase for Acute Ischemic Stroke trial:RAISE試験」の結果を報告した。アルテプラーゼは脳梗塞急性期再灌流療法の標準的な薬剤であるが、それに代わる血栓溶解薬としてreteplaseをアルテプラーゼと比較した有効性が第II相試験で示されていた。NEJM誌2024年6月27日号掲載の報告。

家族性アルツハイマー病、APOE3Chヘテロ接合体も発症遅延に関与/NEJM

 常染色体優性遺伝性アルツハイマー病に関連するPSEN1E280A変異保因家系において、アポリポ蛋白E3クライストチャーチ変異体(APOE3Ch)を1コピー有するヘテロ接合体保有者では認知機能障害の発症が遅いことを、米国・ハーバード大学医学大学院のYakeel T. Quiroz氏らがレトロスペクティブコホート研究で明らかにした。アポリポ蛋白EをコードするAPOEとプレセニリン1をコードするPSEN1の変異はアルツハイマー病のリスクを変化させる。著者らは先行研究にて、PSEN1E280A変異による常染色体優性遺伝性アルツハイマー病患者において、APOE3Chを2コピー有するホモ接合体患者における認知機能障害の発症遅延を報告していた。NEJM誌2024年6月19日号掲載の報告。

不定愁訴を改善する介入法をRCTで検証/Lancet

 持続性身体症状(persistent physical symptoms:PPS)を有する成人に対して、自己管理の支援に重点を置き、症状に関する説明を強化した臨床的介入(symptom-clinic intervention)は、複数のPPSの改善をもたらすことが、英国・シェフィールド大学のChristopher Burton氏らが実施したプラグマティックな多施設共同無作為化並行群間比較試験「Multiple Symptoms Study 3:MSS3試験」で示された。先行研究で、複数のPPSを抱える人々は生活の質が低下し、医療を受ける機会も不足していることが示されているが、地域の総合診療医(GP)によるコミュニケーションの強化に重点を置いた介入が、PPSを改善するかは検討されていなかった。Lancet誌2024年6月15日号掲載の報告。

CAR-T療法、2次がん・T細胞リンパ腫のリスクは?/NEJM

 キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法では、2次がん、とくにウイルスベクターの組み込みに関連するT細胞腫瘍のリスクが新たな懸念事項となっているが、米国・スタンフォード大学のMark P. Hamilton氏らは、同大学医療センターで2016年以降にCAR-T細胞療法を行った症例について解析し、2次がんはまれであることを明らかにした。「クローンの関連を明確にし、ウイルスベクターのモニタリングに関する枠組みが必要と考えられる」とまとめている。NEJM誌2024年6月13日号掲載の報告。  研究グループは、2016年2月4日~2024年1月15日に、スタンフォード大学医療センターでCAR-T細胞療法を実施した724例(791件)について、2次がんの発生率を調査した。