ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:196

耐性菌が増加する尿路感染症に有望な抗菌薬/Lancet

 複雑性下部尿路感染症や腎盂腎炎に対し、新規抗菌薬セフトロザン/タゾバクタム配合薬は、高用量レボフロキサシンに比べ高い細菌学的効果をもたらすことが、ドイツ・ユストゥス・リービッヒ大学のFlorian M Wagenlehner氏らが実施したASPECT-cUTI試験で示された。尿路感染症は生命を脅かす感染症の発生源となり、入院患者における敗血症の重要な原因であるが、抗菌薬耐性の増加が治療上の大きな課題となっている。本薬は、新規セファロスポリン系抗菌薬セフトロザンと、βラクタマーゼ阻害薬タゾバクタムの配合薬で、多剤耐性緑膿菌のほか、基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生腸内細菌などのグラム陰性菌に対する効果がin vitroで確認されている。Lancet誌オンライン版2015年4月27日号掲載の報告。

1型糖尿病への強化療法、眼科手術リスク抑制/NEJM

 1型糖尿病患者に対する早期の強化療法は、眼科手術を受けるリスクを長期にわたり著明に抑制することが、米国ハーバード・メディカル・スクールのLloyd Paul Aiello氏らDCCT/EDIC研究グループの最新の検討で示された。DCCT試験(Diabetes Control and Complications Trial)では6.5年間の強化療法により網膜症の発症が従来療法に比べ76%減少し、引き続き行われたEDIC試験(Epidemiology of Diabetes Interventions and Complications)では、血糖値がほぼ同等であるにもかかわらずDCCT試験の強化療法例において細小血管および大血管の合併症の進展が持続的に抑制されたことが報告されている。NEJM誌2015年4月30日号掲載の報告より。

第3世代EGFR-TKI、既存TKI耐性のNSCLCに有効/NEJM

 開発中の上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)であるAZD9291は、既存のEGFR-TKIに耐性となった非小細胞肺がん(NSCLC)に対し高い抗腫瘍効果を発揮することが、米国・ダナファーバーがん研究所のPasi A Janne氏らの検討で示された。 EGFR T790M変異は、 EGFR 変異を認める肺がん( EGFR 変異陽性肺がん)患者のEGFR-TKIに対する薬剤耐性の獲得機構として最も頻度が高いとされる。AZD9291は、EGFR-TKI活性化変異およびT790M耐性変異を選択的かつ不可逆的に阻害する第3世代の経口EGFR-TKIで、前臨床モデルではこれらの変異の双方に有効であることが確認されている。NEJM誌2015年4月30日号掲載の報告より。

新規抗凝固薬、高齢者では消化管出血リスク増大/BMJ

 ダビガトラン(商品名:プラザキサ)やリバーロキサバン(同:イグザレルト)は、ワルファリンに比べ、心房細動の有無にかかわらず、消化管出血リスクを増大しないことが示された。ただし76歳以上の高齢者の場合には、ダビガトランでは心房細動患者について、リバーロキサバンは心房細動の有無にかかわらず、ワルファリンに比べ消化管出血リスクを増大することが示されたという。米国・メイヨークリニックのNeena S. Abraham氏らが、9万例超を対象に行った後ろ向き傾向スコア適合コホート試験で明らかにした。新規経口抗凝固薬の消化管出血リスク増大のエビデンスの大半は、追跡期間や試験への包含基準により限定的なものであった。また観察研究では、相反する結果も示されていた。BMJ誌オンライン版2015年4月24日号掲載の報告より。

新規抗凝固薬、消化管出血リスクは増大しない?/BMJ

 ダビガトラン(商品名:プラザキサ)やリバーロキサバン(同:イグザレルト)は、ワルファリンに比べ、消化管出血リスクを増大することはないと思われることが示された。米国・ジョンズホプキンス大学のHsien-Yen Chang氏らが、約4万6,000例のデータを分析した結果、統計的有意差を示すエビデンスは得られなかったという。ただしChang氏らは、「今回の試験結果で、ダビガトランの消化管出血リスクはワルファリンに比べて50%ほど高いということや、リバーロキサバンはワルファリンに比べ同リスクが2倍超高いということを排除はできない」と述べている。BMJ誌オンライン版2015年4月24日号掲載の報告より。

脳卒中後の超急性期リハは本当に有効か/Lancet

 脳卒中後24時間以内に開始する超急性期リハビリテーション(very early mobilization)は、介入量が多いほど、また早期であるほど3ヵ月後の良好なアウトカムのオッズ比減少と関連していることが報告された。オーストラリア・メルボルン大学のJulie Bernhardt氏らAVERT試験研究グループが、2,104例の患者について行った無作為化試験の結果、明らかにした。著者は「世界中のガイドラインで脳卒中後の早期リハが推奨されているが、われわれの検討結果は現行のガイドラインを改善して臨床に反映すべきであることを示すものであった。ただし臨床的な勧告は、さらなる用量反応関連の分析を行い告知するべきである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2015年4月16日号掲載の報告。

大腸がんスクリーニングは何歳まですべき?/BMJ

 ガイドラインは高齢者(50~74歳)のがんスクリーニングについて、スクリーニングの恩恵がもたらされるよう平均余命を考慮して実施することを推奨している。米国・サンフランシスコ退役軍人医療センターのVictoria Tang氏らは、高齢者に対する大腸がんスクリーニングについて、どれくらいの平均余命を考慮すればよいのか、軟性S状結腸鏡を用いたスクリーニング試験の生存メタ解析を行い検討した。結果、おおよそ10年超の平均余命を有する高齢者については実施されるべきであることが明らかになったという。BMJ誌オンライン版2015年4月16日号掲載の報告より。

急性虚血性脳卒中、血栓除去術の追加は有用/NEJM

 急性期虚血性脳卒中患者に対する発症後8時間以内のステント型リトリーバー(血栓回収デバイス)を用いた血栓除去術は、脳卒中による障害の重症度を改善し、機能的自立の割合を増加させることが、米国・ピッツバーグ大学医療センターのTudor G Jovin氏らが実施したREVASCAT試験で示された。近年、機械的血栓除去療法の臨床的有効性が複数の無作為化試験によって報告されているが、脳卒中の血管内治療の試験では、間断のない連続的な患者登録が困難なことが問題とされる。その解決策として、本試験では地域住民ベースの前向き患者登録システムが用いられた。NEJM誌オンライン版2015年4月17日号掲載の報告。

重症アルコール性肝炎の推奨薬、その効果は?/NEJM

 アルコール性肝炎は、重症化すると短期的死亡率が30%を超えるという。英国・インペリアル・カレッジのMark R Thursz氏らSTOPAH試験の研究グループは、本症の治療におけるプレドニゾロンとペントキシフィリン(国内未承認)の有用性について検討した。本症は黄疸と肝障害を特徴とする臨床症候群であり、多量のアルコールを長期間摂取することで発症する。両薬剤とも重症例の治療薬として推奨されているが、そのベネフィットは確立されていない。NEJM誌2015年4月23日号掲載の報告より。

t-PA+血栓除去、急性脳卒中の機能的自立率アップ/NEJM

 前大脳動脈近位部閉塞による急性脳卒中患者に対し、組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)静注療法に加えてステント型血栓回収デバイスを用いた血栓除去術を行うことで、90日時点での機能的自立率は60%と、t-PA静注療法単独の35%と比べて大幅に改善することが示された。米国UCLA脳卒中センターのJeffrey L. Saver氏らが、196例について行った無作為化試験の結果、報告した。先行研究で、同患者へのt-PA静注療法単独では機能的自立率は40%未満と報告されており、ステント型血栓回収デバイスを用いた血栓除去術を併用した場合には再灌流率が上昇し、長期的な機能的アウトカム改善の可能性が示されていた。NEJM誌オンライン版2015年4月17日号掲載の報告より。

ステント留置後DAPT投与の至適期間は?/BMJ

 薬剤溶出ステント埋設を伴う経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)の推奨投与期間は12ヵ月間とされているが、根拠に乏しく議論の的となっている。ドイツ・ハインリッヒハイネ大学のEliano Pio Navarese氏らは至適な投与期間を明らかにするため、無作為化試験のメタ解析による検討を行った。その結果、12ヵ月未満の短期間投与は、虚血性の合併症を増大することなく出血を抑制し、大半の患者において至適と考えられること、出血リスクが低く虚血性リスクが非常に高い患者では12ヵ月超の長期間投与が至適と考えられることを示した。なお12ヵ月超の投与について、心血管死は増大しないが全死因死亡の増大がみられ、さらなる検討が必要だと述べている。BMJ誌オンライン版2015年4月16日号掲載の報告より。

術前CT冠動脈造影、周術期心イベント予測能高まるが…/BMJ

 動脈硬化性疾患、またはそのリスクがある患者で非心臓手術が予定されている患者について、術前にCT冠動脈造影を行うことで、心血管死や術後30日以内の非致死的心筋梗塞発症リスクの予測能が高まることが示された。しかし同時に、そうしたイベントを発症しない人についても、ハイリスクと過剰評価してしまう傾向があることも示された。カナダPopulation Health Research InstituteのTej Sheth氏らが、955例の患者について行った前向きコホート試験で明らかにした。BMJ誌オンライン版2015年4月22日号掲載の報告より。

うつ再発にマインドフルネス認知療法が有望/Lancet

 うつの再発・再燃の予防療法として、マインドフルネス認知療法(mindfulness-based cognitive therapy:MBCT)と抗うつ薬維持療法を比較検討する無作為化試験PREVENTが、英国・オックスフォード大学のWillem Kuyken氏らにより行われた。有効性および費用対効果の観点で行われた評価の結果、MBCTが抗うつ薬維持療法より優れるというエビデンスは示されなかったが、両療法とも、再発・再燃、残存性のうつ症状およびQOLなどで良好なアウトカムを保つことが認められたという。Lancet誌オンライン版2015年4月20日号掲載の報告より。

ペムブロリズマブ、進行非小細胞肺がんに有用/NEJM

 現在の進行非小細胞肺がん(NSCLC)の標準治療の全生存期間(OS)中央値は約1年にすぎず、新たな治療薬の開発が切望されている。米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校のEdward B Garon氏らは、進行NSCLCに対する免疫チェックポイント阻害薬ペンブロリズマブ(国内未承認)の国際的な第I相試験(KEYNOTE-001試験、Merck社の助成による)を行い、副作用プロファイルは許容範囲内であり、持続性の抗腫瘍活性を発揮することを示した。研究の成果は、米国がん学会(AACR、2015年4月18~22日、フィラデルフィア)で発表され、4月19日号のNEJM誌オンライン版に掲載された。

高齢者の喫煙リスク~50万例でのエビデンス/BMJ

 高齢者においては、喫煙は心血管イベントや心血管死の独立した強力なリスク因子であるとの従来のエビデンスを、あらためて裏付ける知見が、ドイツがん研究センター(DKFZ)のUte Mons氏らCHANCESコンソーシアム(http://www.chancesfp7.eu/)が実施したメタ解析で得られた。一般に、喫煙は疾患や死亡の修正可能な主要リスク因子であり、禁煙は喫煙関連リスクの抑制に有効とされる。一方、心血管イベントのほとんどが高齢者で発現しており、この年齢層のデータを代用して一般化されているが、高齢者に焦点を当てた検討は少ないという。BMJ誌オンライン版2015年4月20日号掲載の報告より。

TAF配合の新規抗HIV薬、TDF配合薬に非劣性/Lancet

 HIV-1感染症の初回治療としての新規抗HIV薬配合薬エルビテグラビル/コビシスタット/エムトリシタビン/テノホビル-アラフェナミド(E/C/F/TAF、国内承認申請中)の安全性と有効性を、E/C/F/テノホビル-ジソプロキシルフマル酸塩(E/C/F/TDF、商品名:スタリビルド配合錠)と比較検討した2つの第III相二重盲検無作為化非劣性試験の結果が、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のPaul E Sax氏らにより報告された。48週時点で両投与群とも90%超の患者で抗ウイルス効果が認められた一方で、腎臓と骨への影響は、E/C/F/TAF投与群がE/C/F/TDF投与群に比べて有意に低かった。著者は、「いずれの試験も、骨折や腎障害といった臨床的安全性イベントを評価する検出力はなかったが、E/C/F/TAFは、良好で長期的な腎臓および骨の安全性プロファイルを有すると思われる」と結論している。Lancet誌オンライン版2015年4月15日号掲載の報告より。

中高年の僧帽弁置換、機械弁vs. 生体弁/JAMA

50~69歳の中高年患者について、僧帽弁置換術における機械弁vs. 生体弁の、生存およびアウトカムを調べた結果、15年時点で両群に有意な差はみられなかったことが報告された。米国・マウントサイナイ医科大学のJoanna Chikwe氏らが、ニューヨーク州の病院で手術を受けた同年齢集団3,433例を後ろ向きに分析し報告した。なお検討では、機械弁のほうが、再手術リスクが低く、出血および脳卒中リスクは大きいことが示され、機械弁よりも生体弁が妥当かとの所見がみられたが、著者は「15年のフォローアップでは生涯リスク、とくに再手術について評価をするには不十分である」とまとめている。非高齢者の人工弁置換を必要とする僧帽弁疾患患者において、機械弁か生体弁かの決定は、長期生存や罹患率が明確ではなくチャレンジングなこととされている。JAMA誌2015年4月14日号掲載の報告より。

RAへのTNF阻害薬、漸減戦略は有効か/BMJ

 低疾患活動性の関節リウマチ(RA)患者に対し、腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬の投与を疾患活動性に応じて段階的に投与間隔を延長して投与量を減らす方法は、通常の一定量を継続して行う方法に比べ、有効性について非劣性であることが示された。オランダ・Sint MaartenskliniekのNoortje van Herwaarden氏らが、180例について行った非盲検無作為化非劣性試験で明らかにした。BMJ誌オンライン版2015年4月9日号掲載の報告より。

ダビガトランの服薬順守のカギは薬剤師?/JAMA

 67ヵ所の米国退役軍人病院を対象に、非弁膜症性心房細動患者のダビガトラン(商品名:プラザキサ)の服薬アドヒアランスを調べたところ、病院間でばらつきがあることが明らかにされた。適切な患者選択や薬剤師によるモニタリングを行っている施設では、アドヒアランスが高かったという。米国・エモリー大学のSupriya Shore氏らが報告した。同じ経口抗凝固薬でも、ワルファリンと異なりダビガトランは、ルーチンの検査と用量調整を必要としない。一方で、アドヒアランスが悪くてもそれを改善する適切なフォローアップ法は知られていなかった。JAMA誌2015年4月14日号掲載の報告より。

妊娠糖尿病は子供の自閉スペクトラム症のリスク/JAMA

 妊娠26週までに妊娠糖尿病(GDM)と診断された母親から出生した子供は、母親が糖尿病でない場合に比べ自閉スペクトラム症(ASD)を発症するリスクが高いことが、米国・カイザーパーマネンテ南カリフォルニア(KPSC)のAnny H Xiang氏らの検討で示された。胎児における母親の高血糖への曝露は、臓器の発達や機能に長期に影響を及ぼす可能性が示唆され、妊娠前の糖尿病だけでなく妊娠期間中の高血糖(=GDM)と、子供の肥満や代謝異常の長期的リスクとの関連が確認されている。一方、母親の糖尿病と子供のASDとの関連を検討した研究は少なく、GDMの発症時期を重視した報告はこれまでなかったという。JAMA誌2015年4月14日号掲載の報告より。