ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:181

幸せだと長生きするとは本当か?/Lancet

 幸福であることで寿命が伸びたり、ストレスによる苦痛が死亡を早めることはないとの研究結果が、オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のBette Liu氏らにより報告された。幸福や、精神的負担感(ストレス)が少ない、落ち着いて、くつろぎ感(リラックス)のある生活は、死亡率を低下させることが示唆されている。一方、不幸は、喫煙、アルコールの過剰摂取、肥満、運動不足など、疾患の危険のある生活様式をもたらす可能性があるが、むしろ不健康が不幸の原因となる逆因果関係の重要性が指摘されており、これらの交絡因子で補正すると、不幸は死亡率の上昇とは関連しないとする研究もあり、統一的な見解は得られていないという。Lancet誌オンライン版2015年12月9日号掲載の報告。

若年性皮膚筋炎、プレドニゾン+MTXが有益/Lancet

 新規発症の若年性皮膚筋炎に対し、プレドニゾン+シクロスポリン併用またはプレドニゾン+メトトレキサート(MTX)併用は、いずれもプレドニゾン単剤と比較して有効であるが、安全性プロファイル、ステロイド節約効果においてプレドニゾン+MTX併用が支持されることが明らかにされた。イタリア・Istituto Giannina GasliniのNicolino Ruperto氏らが、22ヵ国54施設が参加した無作為化試験の結果、報告した。これまで皮膚筋炎および若年性皮膚筋炎の治療に関するデータは、大半が散発的で非無作為化によるケースシリーズ報告しかなかった。Lancet誌オンライン版2015年11月27日号掲載の報告より。

予定帝王切開児は喘息や死亡リスクがわずかに高い/JAMA

 予定帝王切開分娩児は、経腟分娩児と比べて、5歳時点における入院またはサルブタモール吸入薬(商品名:サルタノールインヘラーほか)投与を要する喘息の絶対リスク、およびフォローアップ期間中(21歳時点)の全死因死亡の絶対リスクがわずかだが高いことが、英国・アバディーン大学のMairead Black氏らによる検討の結果、明らかにされた。予定帝王切開分娩は世界的に顕著な割合を占めており、予定・予定外を合わせると50%に達する国・地域もあることが報告されている。観察研究で、帝王切開分娩児は小児期の疾病リスクが高いことが示唆されているが、それらはキーとなる交絡因子が考慮されておらず、また予定帝王切開分娩児の、新生児期以降の死亡リスクに関する報告はなかったという。JAMA誌2015年12月1日号掲載の報告。

第1子と第2子妊娠間の体重増、死産・新生児死亡リスク増大/Lancet

 第1子妊娠から第2子妊娠の間に母親の体重が増加すると、死産や新生児死亡リスクが増大することが確認された。とくに死産リスクについては、体重増と線形増加の関連性が認められた。スウェーデン・カロリンスカ大学病院のSven Cnattingius氏らが、約46万人の女性を対象に行った住民ベースのコホート試験の結果、明らかにした。著者は、「今回示された結果は、健康で過体重の女性について妊娠前の体重増を防止する必要があること、過体重女性では減量の促進が必要であることを強調するものである」と指摘している。Lancet誌オンライン版2015年12月2日号掲載の報告。

ハイリスクIgA腎症への免疫抑制療法の効果は?/NEJM

 ハイリスクIgA腎症の患者に対し、積極的支持療法に加え免疫抑制療法を併用しても、臨床的完全寛解率に有意差はみられなかった。また、推定糸球体濾過量(eGFR)の低下率についても有意差はみられず、一方で、併用群では有害事象の発生が多く観察された。ドイツ・アーヘン工科大学のThomas Rauen氏らが3年にわたる多施設共同の非盲検無作為化比較試験の結果、報告した。IgA腎症患者について、支持療法に免疫抑制療法を併用した場合のアウトカムについては、これまで明らかにされていなかった。NEJM誌2015年12月3日号掲載の報告。

股関節痛の主訴とX線上の股関節OAは必ずしも一致しない/BMJ

 2件の試験コホートの高齢参加者を対象に、股関節痛の主訴とX線画像診断結果との一致について調べた結果、乖離が認められることが、米国・ボストン大学のChan Kim氏らによる検討の結果、示された。股関節痛を訴え画像所見で変形性股関節症(OA)が確認された患者は9.1~15.6%の一方、画像所見で股関節OAが認められるが疼痛なしの患者は20.6~23.8%であった。また、疼痛主訴の部位を鼠径部などに限定した場合の診断感度は16.5~36.7%などとなっており、著者は「X線所見に依拠すると、診断医は多くの高齢者の股関節OAを見逃す可能性がある」と指摘している。BMJ誌オンライン版2015年12月2日号掲載の報告。

ACS発症の糖尿病におけるリキシセナチド、心血管転帰への影響は?/NEJM

 2型糖尿病で急性冠症候群(ACS)を発症した患者に対し、GLP-1受容体作動薬リキシセナチド(商品名:リキスミア)を追加投与しても通常治療のみの場合と比べて、主要心血管イベントやその他重篤有害事象の発生率について有意な変化はみられなかった。米国ハーバード・メディカル・スクールのMarc A. Pfeffer氏らによる6,068例を対象とした多施設共同無作為化プラセボ対照試験ELIXAの結果、報告された。リキシセナチドなどGLP-1受容体作動薬は多くの国で2型糖尿病患者への血糖降下薬として承認されているが、これまで大規模な心血管アウトカム試験の報告はなかった。NEJM誌2015年12月3日号掲載の報告。

過体重の思春期1型糖尿病にメトホルミン追加は有用か/JAMA

 過体重/肥満の思春期1型糖尿病患者に対し、インスリン治療にメトホルミンを追加投与しても、血糖コントロールは改善しなかった。米国・ピッツバーグ小児病院のIngrid M. Libman氏らが平均年齢15.3歳の140例を対象とした無作為化試験の結果、報告した。メトホルミン投与群ではインスリン使用量および体重の減少はみられたが、安全性の解析で胃腸障害発現の有意な増大(70% vs.35%)が認められた。著者は「今回の結果は、過体重の思春期1型糖尿病患者に対する、血糖コントロール改善のためのメトホルミン処方を支持しないものであった」とまとめている。これまでにも同様の検討は行われているが、断定的な結果は示されていなかった。JAMA誌2015年12月1日号掲載の報告より。

睡眠時無呼吸症候群へのCPAP/MADの降圧効果/JAMA

 閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者に対して、持続的気道陽圧(CPAP)または下顎前方誘導装置(mandibular advancement devices:MAD)のいずれの治療法によっても同等の降圧効果を得られることが、スイス・チューリッヒ大学病院のDaniel J. Bratton氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果、示された。ネットワークメタ解析の結果、収縮期血圧(SBP)、拡張期血圧(DBP)ともに、治療間における降圧の統計的な有意差はみられなかったという。JAMA誌2015年12月1日号掲載の報告。

妊婦の週末の入院・出産は、平日よりハイリスク/BMJ

 英国で妊婦が週末に入院または出産した場合、平日の場合と比べて、母体および新生児の臨床的アウトカムを示す7つの指標のうち4つまでが劣っており、いわゆる“週末効果”が存在することが確認された。すべての妊婦が平日に出産した場合に比べると、年間で周産期死亡が770件、母体感染症が470件、過剰に発生していることが推定されたという。インペリアル・カレッジ・ロンドンのWilliam L. Palmer氏らが行った観察試験の結果、明らかにされた。BMJ誌オンライン版2015年11月24日号掲載の報告。

新型インフルエンザH7N9、初の院内感染例か/BMJ

 鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスの院内ヒト-ヒト感染例が、中国・浙江省衢州市疾病予防管理センターのChun-Fu Fang氏らにより報告された。感染入院患者と5日間、同一病棟に入院していたCOPD既往患者への伝播が、疫学調査により確認されたという。その他同一病棟患者への感染が検体不足で確認できず、患者間の感染は確定できなかったが、著者は「今回の調査結果は、病院内での無関係のヒト-ヒト間におけるH7N9ウイルス感染のエビデンスを提示するものだ」と述べ、「インフルエンザ様疾患を呈した入院患者および家禽市場のサーベイランスを強化し、ウイルスの伝播・病原のモニタリングを十分に行う必要がある」と提言している。BMJ誌オンライン版2015年11月19日号掲載の報告。

転移性膵臓がん、イリノテカン+フルオロウラシル+葉酸で生存延長/Lancet

 ゲムシタビン治療歴のある転移性膵臓がんの患者に対して、ナノリポソーム型イリノテカン+フルオロウラシル+葉酸(NAPOLI-1)の投与が、ナノリポソーム型イリノテカン単独投与やフルオロウラシル/葉酸のみの投与に比べ、生存期間は有意に延長することが示された。米国・ワシントン大学のAndrea Wang-Gillam氏らによる第III相の非盲検無作為化比較試験の結果、報告された。第II相試験で、同患者へのナノリポソーム型イリノテカン単独投与の有効性が示され、研究グループは第III相試験では、単独投与とフルオロウラシル/葉酸を併用した場合を比較した。Lancet誌オンライン版2015年11月20日号掲載の報告。

高齢視覚障害者のうつ、段階的ケアの長期効果を確認/BMJ

 うつ病や不安症がみられる高齢視覚障害者への、経過観察→ロービジョン施設セラピストによる自立支援指導等介入→かかりつけ医による治療という段階的ケアの長期有効性が、オランダ・アムステルダム自由大学医療センターのHilde P A van der Aa氏らによる、通常ケアと比較した多施設無作為化試験の結果、報告された。段階的ケアについては先行研究で、高齢視覚障害者のうつ症状を短期的に軽減することは示されていたが、長期的な効果について、また不安症に対するエビデンスは不足していた。今回の検討では約1年間にわたる介入を必要に応じて行い、2年時点で評価した結果だという。著者は、「本アプローチは、うつ病や不安症がみられる高齢視覚障害者の標準的な戦略(スクリーニング、モニタリング、介入、紹介)となりうるだろう」と述べている。BMJ誌オンライン版2015年11月23日号掲載の報告。

NASHへのリラグルチド、第II相試験で有望/Lancet

 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に対するリラグルチドの有効性と安全性が、第II相多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果、報告された。組織所見の改善が認められ、安全性および良好な忍容性が確認されたという。英国・バーミンガム大学のMatthew James Armstrong氏らが報告した。結果を踏まえて著者は「長期試験を行う根拠が得られた」と述べている。GLP-1アナログ製剤については、マウスモデルで肝脂肪、肝酵素濃度、インスリン抵抗性の改善が確認されている。製剤は2型糖尿病治療薬としては承認されているが、非アルコール性脂肪性肝炎に対する有効性は明らかになっていない。Lancet誌オンライン版2015年11月19日号掲載の報告。

心房細動の抗血栓療法時の消化管出血後、再開による死亡リスクは?/BMJ

 心房細動患者の消化管出血後の抗血栓療法再開による全死因死亡などのリスクについて調べた結果、再開しなかった患者群との比較で、再開レジメン別にみると経口抗凝固薬単独再開群の全死因死亡および血栓塞栓症のアウトカムが良好であったことが、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のLaila Staerk氏らによるコホート試験の結果、明らかにされた。消化管出血は、経口抗凝固療法を受ける心房細動患者の出血部位として最も多いが、同出血後に抗血栓療法を再開するのか見合わせるのかに関してはデータが不足していた。BMJ誌オンライン版2015年11月16日号掲載の報告。

エベロリムス溶出、生体吸収性スキャフォールドvs.金属ステント/Lancet

 エベロリムス溶出生体吸収性冠動脈スキャフォールド(BVS)は、エベロリムス溶出金属ステント(EES)に比べ、中期的には冠動脈造影上の性能が劣るものの1年時の標的病変の再血行再建率は同等であり、その一方で亜急性期のステント血栓症のリスクは増大することが、ドイツ・ミュンヘン工科大学のSalvatore Cassese氏らの検討で示された。経皮的冠動脈インターベンション(PCI)では、生体吸収性冠動脈ステントがアウトカムを改善する可能性が示唆されている。エベロリムス溶出BVSは最も研究が進んでいるプラットホームであるが、EESと比較した性能は十分には知られていないという。Lancet誌オンライン版2015年11月16日号掲載の報告。

遺伝子型2/3型HCV、ソホスブビル+velpatasvirが有効/NEJM

 遺伝子型2および3型のC型肝炎ウイルス(HCV)感染患者の治療において、ソホスブビル(SOF)とvelpatasvir(VEL)の併用療法は、従来の標準治療に比べ持続性ウイルス学的著効(SVR)の達成率が優れることが、英国・ロンドン大学クイーンメアリー校のGraham R Foster氏らが実施した2つの臨床試験(ASTRAL-2、-3試験)で示された。ヌクレオチドアナログNS5Bポリメラーゼ阻害薬であるSOFは、リバビリン(RIB)との併用で2/3型HCVの治療薬として使用されている。VELは、すべての遺伝子型のHCVに抗ウイルス活性を有する新規NS5A阻害薬であり、SOFとの併用の第II相試験で慢性2/3型HCV感染患者において良好なSVR率が報告されている。NEJM誌オンライン版2015年11月17日号掲載の報告。

間欠性跛行への運動療法単独 vs.血管内血行再建術併用/JAMA

 間欠性跛行を呈する末梢動脈疾患(PAD)患者に対し、血管内血行再建術と運動療法の併用は、運動療法単独と比べて有用であることが、オランダ・エラスムス大学医療センターのFarzin Fakhry氏らによる無作為化試験の結果、明らかにされた。1年後時点で、併用群のほうが歩行距離および健康関連QOLが有意に大きく改善した。間欠性跛行に対しては運動療法が第一選択治療とされている。血管内血行再建術との併用については有望視はされていたが、これまで比較検討されたデータはほとんどなかったという。JAMA誌2015年11月10日号掲載の報告。

脳内出血の原因診断、DSA実施で精度アップ/BMJ

 非外傷性脳内出血の診断率および精度について、早期CT血管造影は大血管出血原因を検出する最初の診断法として適してはいるが、診断精度は低く、追加でMRI/MRAを行うことで海綿状血管腫の発見や代替診断法を明らかにすることが可能であり、その場合にデジタルサブトラクション血管造影(DSA)の診断が必要になるとの見解を、オランダ・ユトレヒト大学医療センターのCharlotte J J van Asch氏らが多施設前向きコホート研究の結果、報告した。BMJ誌オンライン版2015年11月9日号掲載の報告。

医師・患者双方への成功報酬で、LDL値が有意に改善/JAMA

 プライマリケア診療でのLDLコレステロール(LDL-C)値コントロールに関して、目標値を達成した場合にプライマリケア医と患者の双方に対して金銭的成功報酬を与えると効果があることが示された。米国・ペンシルベニア大学のDavid A. Asch氏らが、医師340人と患者1,503人を対象に行った4群クラスター無作為化試験の結果で、医師のみ、または患者のみへの成功報酬では、成功報酬がない場合と比べて有意な差は示されなかったという。JAMA誌2015年11月10日号掲載の報告より。