ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:210

妊娠間隔は早産リスクに無関係?/BMJ

 出産から次の妊娠までの間隔が短すぎたり長すぎたりしても、早産や出生時低体重などのリスクの増大はほとんど認められないことが明らかにされた。西オーストラリア大学のStephen J. Ball氏らが、単生児3人を出産した4万人超の女性について、後ろ向きコホート研究を行い報告した。これまでの検討では、被験者個別のリスク因子に関する適切な補正が難しかったが、今回は被験者1人が経験した複数の出産を比較して検討が行われた。結果を踏まえて著者は、「母体に転帰不良のリスク要因があることが示唆された」とまとめている。BMJ誌オンライン版2014年7月23日号掲載の報告より。

HIV新規感染、介入方法で15万人の差/Lancet

 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染予防活動は、ある広い地域全体に画一的に提供するのではなく、個々の地域の疫学的・地理的状況に合わせ、集中的に実施したほうが、同じ予算内でより大きな予防効果が期待できることが報告された。英国インペリアル・カレッジ・ロンドンのSarah-Jane Anderson氏らが、数理モデルを用いて行った分析で明らかにした。アフリカ諸国間の疫学的データにはかなりのバラツキがあることから、活動の介入を一定地域と感染リスクの高い集団に集中することで、費用対効果が改善するのではと仮定し本検討を行った。Lancet誌2014年7月19日号掲載の報告より。

HIV-HCV重複感染にSOF+RBVが有効/JAMA

 HIV感染患者でC型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型1、2または3型にも重複感染している患者に対し、インターフェロンを用いない経口薬治療のソホスブビル(SOF)+リバビリン(RBV)は、12週間投与または24週間投与とも高い持続性ウイルス学的著効(SVR)を達成したことが報告された。米国・ジョンズホプキンス大学のMark S. Sulkowski氏らによる非盲検非無作為化非対照の第III相臨床試験の結果、示された。今回の結果について著者は、「さまざまな重複感染患者集団で、この経口療法の試験を進めるべき根拠が示された」とまとめている。JAMA誌2014年7月23・30日号掲載の報告より。

スタチン時代にHDL上昇薬は必要か/BMJ

 スタチン治療中の患者に対し、HDL値の上昇効果があるナイアシン、フィブラート系薬、コレステリルエステル転送蛋白(CETP)阻害薬の併用はいずれも、全死因死亡、冠動脈疾患死、また心筋梗塞や脳卒中を減少しないことが示された。英国インペリアル・カレッジ・ロンドンのDaniel Keene氏らが患者11万7,411例のデータを含む無作為化試験をメタ解析し報告した。「観察研究では、HDL上昇と心血管アウトカム改善の相関性が示されているが、スタチンが広く使用されるようになった現在では、HDL値を上昇するこれら3つの薬剤の有益性を裏付ける試験はなかった」とまとめている。BMJ誌オンライン版2014年7月18日号掲載の報告より。

腰痛へのアセトアミノフェンの効果に疑問/Lancet

 常用量および頓用量のアセトアミノフェン(オーストラリアでの一般名は「パラセタモール」、日本とは投与量が異なる)は腰痛の回復までの期間の短縮には効果がないことが、オーストラリア・シドニー大学のChristopher M Williams氏らが行ったPACE試験で示された。急性腰痛のガイドラインでは、第一選択の鎮痛薬としてアセトアミノフェンが広く推奨されているが、他の薬剤との比較では効果に差はないとされており、この推奨を直接的に支持する質の高いエビデンスはないという。Lancet誌オンライン版2014年7月24日号掲載の報告。

敗血症のアルブミン、死亡抑制に差なし/BMJ

 成人敗血症に対する体液補充や蘇生輸液におけるアルブミン製剤の使用は、クリスタロイド溶液やコロイド溶液に比べて全死因死亡を改善しないことが、英国インペリアル・カレッジ・ヘルスケアNHSトラスト、ハマースミス病院のAmit Patel氏らの検討で示された。イギリス国立医療技術評価機構(NICE)やSurviving Sepsis Campaignのガイドラインは、主に2011年のメタ解析や2004年のSAFE試験の結果に基づき、成人敗血症の体液補充や蘇生輸液へのアルブミン製剤の使用を推奨している。一方、これらの試験の質は十分に高いとは言えず、その後に行われた試験の結果も相反するものだという。BMJ誌オンライン版2014年7月22日号掲載の報告。

HIV感染者の肝・心血管疾患死が減少/Lancet

 最近10年ほどの間に、HIV感染患者のAIDS関連疾患死、肝疾患死、心血管疾患死が実質的に減少したが、AIDS非関連腫瘍による死亡が増えていることが、英国ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのColette J Smith氏らが行ったD:A:D試験で示された。有効性の高い抗レトロウイルス療法(ART)の出現に伴い、HIV感染患者の余命は一般人口に近づきつつある。その結果として、AIDSに関連のない従来の合併症の重要性が相対的に増大しているという。Lancet誌2014年7月19日号掲載の報告。

抗リン脂質抗体症候群にmTORC経路が関与/NEJM

 抗リン脂質抗体症候群(APS)の血管病変の形成には、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質複合体(mTORC)の分子経路が関与している可能性があることが、フランス国立保健医学研究機構(INSERM)、パリ・デカルト大学(第5大学)のGuillaume Canaud氏らの検討で示された。APSの主な特徴は血栓症とされるが、慢性血管病変もよくみられ、とくに生命に関わる合併症を有する患者で頻度が高く、移植を要する患者では再発病変が高頻度にみられるという。APSの血管障害に関与する分子経路は知られておらず、適切な治療法は確立されていない。NEJM誌2014年7月24日号掲載の報告。

悪性黒色腫、抗PD-1抗体が奏効/Lancet

 イピリムマブ(国内未承認)耐性の進行期悪性黒色腫に対して、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(pembrolizumab、国内未承認)の3週間ごとの投与は、2mg/kgまたは10mg/kgの用量のいずれでも、全奏効率(ORR)が26%であった。フランスのギュスターヴ・ルシィ研究所のCaroline Robert氏らが、第I相試験の非盲検多施設共同拡大コホート試験を行った結果、報告した。結果を踏まえて著者は、「ペムブロリズマブは、有効な治療選択肢がない患者にとって有効な治療となるかもしれない」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年7月15日号で発表した。

シェーグレンに免疫抑制薬、効果なし/JAMA

 原発性シェーグレン症候群に対する免疫抑制薬ヒドロキシクロロキン(国内未承認)の投与について、24週時点の症状改善効果は認められなかったことが判明した。フランス・ストラスブール大学病院のJacques-Eric Gottenberg氏らが、120例の患者を対象に行った無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験の結果、明らかになった。ヒドロキシクロロキンは日本では未承認であるが、海外では同症候群に対して最も多く処方されている。しかし、その有効性に関するエビデンスは限定的なものしか報告されていなかった。なお今回の結果について著者は、「さらなる試験を行い長期のアウトカム評価が必要である」としている。JAMA誌2014年7月16日号掲載の報告より。

サブ解析の9割がプロトコル記載なし/BMJ

 スイス・バーゼル大学病院のMatthias Briel氏らDISCO研究グループは、無作為化試験のサブグループ解析について、プロトコルとジャーナル発表論文における内容が一致するかを調べた。その結果、両者間には大きな矛盾があり、また「サブグループ解析は事前に規定されていた」という発表論文の記述のうち約3分の1は、実際には試験プロトコルに記録がなかったことなどを明らかにした。著者は、「サブグループ解析の有効性は、ほとんどが信憑性のないものだが、今回の検討で、サブグループの有効性の信憑性に関する最終的な判断は、プロトコルと分析プランへの評価なしでは行えないことが示された」と述べている。そのうえで無作為化試験のプロトコルをより完全かつ正確なものとすること、およびジャーナル編集者やレビュワー、読者のプロトコルへのアクセスのしやすさが重要であると指摘している。BMJ誌オンライン版2014年7月16日号掲載の報告より。

脳卒中既往者の非心臓手術のタイミング/JAMA

 脳卒中既往患者への非心臓手術の実施リスクについて、とくに発作後9ヵ月未満で行った場合は有害転帰と関連することが明らかにされた。また9ヵ月超でも、脳卒中を起こしていない患者と比べるとリスクは高く一定のままであることも示された。デンマーク・コペンハーゲン大学のMads E. Jorgensen氏らが、同国住民コホートで待機的非心臓手術を受けた約48万件の手術データを後ろ向きに解析し報告したもので、著者は「今回の結果は、今後のガイドラインにおいて時間依存的リスクに注意を払う必要があることの根拠になると思われる」とまとめている。JAMA誌2014年7月16日号掲載の報告より。

ランレオチド 腸膵NETのPFS延長/NEJM

 転移性腸膵神経内分泌腫瘍に対し、ソマトスタチンアナログ製剤のランレオチドは無増悪生存期間を有意に延長したことが、英国のロイヤル・フリー病院Martyn E. Caplin氏らによる国際共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告された。ソマトスタチンアナログ製剤は、神経内分泌腫瘍でホルモン過剰分泌関連症状の治療に用いられることが多い(日本では、商品名ソマチュリンが先端巨大症・下垂体性巨人症を適応症として承認されている)。しかし、その抗腫瘍効果のデータは限定的なものであった。神経内分泌腫瘍は稀少な疾患で、米国における年間発生例は10万人に5例の頻度であるという。NEJM誌2014年7月17日号掲載の報告より。

DES1年後のDAPT:継続か?中断か?/Lancet

 薬剤溶出ステント(DES)留置後の2剤併用抗血小板療法(DAPT)の継続について、留置後1年間でイベントが起きなかった場合、その後も継続して行うことに明白な有益性はなく、むしろ出血イベントのリスクが増し有害であることが示された。フランス・INSERMのJean-Philippe Collet氏らが、無作為化試験ARCTIC-Interruptionの結果を分析し報告した。冠動脈ステント留置後のDAPTの至適な継続期間はいまだ明らかになっていない。著者は今回の結果について、「高リスク患者が除外された試験であり、同患者については結論を出すことはできない」としつつ、「同様に中断した試験すべての所見が、冠動脈ステント留置後のDAPTの治療期間について短縮する方向でガイドラインを再検討する必要があることを示唆している」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年7月16日号掲載の報告より。

週1回GLP-1アナログでは初の非劣性/Lancet

 血糖コントロール不良の2型糖尿病患者において、週1回デュラグルチド(dulaglutide、国内未承認)のHbA1c値の改善効果は1日1回リラグルチド(商品名:ビクトーザ)に劣らないことが、米国・オハイオ州立大学のKathleen M Dungan氏らが行ったAWARD-6試験で示された。両薬はいずれもGLP-1受容体作動薬であり、2型糖尿病患者において血糖コントロールを改善し、体重の減少をもたらすとともに、低血糖のリスクを低減することが報告されている。これまでに、2つの週1回投与のGLP-1作動薬(エキセナチド、アルビグルチド)とリラグルチドの直接比較試験が実施されたが、いずれの長時間作用型製剤もリラグルチドに対する非劣性は確認されていないという。Lancet誌オンライン版2014年7月11日号掲載の報告。

妊婦への百日咳ワクチン接種は安全か/BMJ

 妊娠第3三半期の妊婦に対し百日咳ワクチンを接種しても、非接種妊婦に比べて死産のリスクは増大しないことが、英国医薬品庁(MHRA)のKatherine Donegan氏らの検討で示された。グラム陰性桿菌である百日咳菌(Bordetella pertussis)に起因する百日咳は、初期症状は比較的軽いものの、とくに3ヵ月未満の幼児に重篤で致死的な合併症を引き起こす可能性がある。米国では、市販後調査で安全性に関する懸念が払拭された2011年以降、妊婦への接種が推奨されているが、接種率は現在も低迷しており、安全性に関するエビデンスは限られたものだという。BMJ誌オンライン版2014年7月11日号掲載の報告。

乾癬へのセクキヌマブの有効性/NEJM

 中等症~重症の局面型乾癬に対し、新規開発中のインターロイキン-17A阻害薬セクキヌマブ(secukinumab、国内承認申請中)を投与することで、12週間後に症状が75%以上改善した人は約7割に上ることが示された。カナダ・ダルハウジー大学のRichard G. Langley氏らが、2件の第III相プラセボ対照無作為化二重盲検試験、「ERASURE」と「FIXTURE」の結果、報告したもので、著者は、「中等症~重症の局面型乾癬に対し、セクキヌマブは有効であることが示された」とまとめている。NEJM誌オンライン版2014年7月9日号掲載の報告より。

valve-in-valve法の1年生存率/JAMA

 生体弁機能不全でvalve-in-valve法による経カテーテル大動脈弁植え込み術(TAVI)を受けた人の、1年生存率は83.2%であることが判明した。また、狭窄のある人は1年死亡リスクが約3倍に、小型弁を使用した人は同リスクが約2倍に、それぞれ増大することも示された。カナダ、セント・ポールズ病院のDanny Dvir氏らが国際レジストリのデータを分析して明らかにした。valve-in-valve法は侵襲性が低いアプローチ法として知られるが、施術後の生存に関する総合的な評価は、これまで行われていなかった。JAMA誌2014年7月9日号掲載の報告より。

バレニクリンにNRT併用の禁煙効果/JAMA

 禁煙治療について、ニコチンパッチ+バレニクリン(商品名:チャンピックス)の併用療法(治療期間12週間)は、バレニクリン単独よりも12週時点(治療終了時)および6ヵ月時点で禁煙率が有意に高く有効であることが示された。南アフリカ共和国・ステレンボス大学のCoenraad F. N. Koegelenberg氏らが、無作為化盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。行動療法と薬物療法の組み合わせが禁煙支援に有益であることは示されている。しかし、ニコチン補充療法(NRT)とバレニクリンの組み合わせによる禁煙への寄与について、有効性および安全性は明らかではなかった。JAMA誌2014年7月9日号掲載の報告より。

テロメア長と脳心血管リスク/BMJ

 白血球テロメア長は、従来血管リスク因子とは独立した冠動脈心疾患(CHD)のリスク因子であり、テロメア長が短い人ほどCHDとの関連が強いことが示された。英国・ケンブリッジ大学のPhilip C Haycock氏らがシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。脳血管疾患との関連も評価したが、確実な関連性は得られなかったという。テロメア長は老化に関わると考えられており、慢性疾患のマーカーとして提案されるようになっている。しかし、テロメア長と心血管疾患との関連エビデンスは相反する結果が報告されていた。BMJ誌オンライン版2014年7月9日号掲載の報告より。