ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:34

進行・再発子宮体がん、ペムブロリズマブ追加でMMRによらずPFS延長(NRG-GY018)/NEJM

 進行または再発子宮体がん患者において、標準化学療法+免疫チェックポイント阻害薬ペムブロリズマブの併用療法は、標準化学療法単独と比較して無増悪生存期間(PFS)が有意に延長し、有害事象の発現状況は両群とも予想どおりであったことが、米国・カリフォルニア大学のRamez N. Eskander氏らが実施した「NRG-GY018試験」で示された。研究結果は、NEJM誌オンライン版2023年3月27日号に掲載された。  NRG-GY018試験は、4ヵ国(米国、カナダ、日本、韓国)の395施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2019年7月~2022年12月に患者の登録が行われた(米国国立がん研究所[NCI]などの助成を受けた)。

コロナ感染率と死亡率、米国各州で異なる要因は?/Lancet

 米国は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックへの対応に苦労したが、州別にみると一律ではなく、将来的なパンデミックの対策に活かせる点が見いだせたことを、米国・外交問題評議会(CFR)のThomas J. Bollyky氏らが、同国の公的データベースを用いた観察的分析の結果で報告した。著者は、「今回の調査結果は、将来の危機において、より良い健康アウトカムを促進するための臨床的および政治的介入の設計と目標に寄与するものとなるだろう」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年3月23日号掲載の報告。

CTAで側副血行を確認の急性脳梗塞、6~24h後でも血管内治療は有効か/Lancet

 発症または最終健常確認から6~24時間(late window)の前方循環系主幹動脈閉塞による脳梗塞で、CT血管造影(CTA)により側副血行が確認された患者において、血管内治療は有効かつ安全であることが、オランダ・マーストリヒト大学医療センターのSusanne G. H. Olthuis氏らが実施した第III相試験「MR CLEAN-LATE試験」の結果、示された。前方循環系脳梗塞に対する血管内治療は、発症後6時間以内での有効性および安全性が確認されていた。著者は、「今回の結果は、主に側副血行路の有無に基づいてlate windowにおける血管内治療の対象患者を選択できることを支持するものである」と述べている。Lancet誌オンライン版2023年3月29日号掲載の報告。

死亡・CVリスクを低下させる食事法は?40試験のメタ解析/BMJ

 カナダ・マニトバ大学のGiorgio Karam氏らが7つの代表的な食事プログラムに関する試験についてメタ解析を行い、地中海式食事と低脂肪食を推奨するプログラムは、身体活動やその他の介入の有無にかかわらず、心血管疾患リスクが高い患者の全死因死亡および非致死的心筋梗塞を低減するという、中程度のエビデンスが示されたことを明らかにした。地中海式食事プログラムは、脳卒中リスクも低減することが示唆された。概してその他の食事プログラムは、最低限の介入(食事パンフレット配布など)に対する優越性は示されなかったという。BMJ誌2023年3月29日号掲載の報告。

インヒビター保有の重症血友病A・B、siRNA薬fitusiranが出血抑制/Lancet

 インヒビターを保有する重症血友病AまたはB患者において、fitusiranの予防的皮下投与は、年間出血率を統計学的有意に改善し、被験者の3分の2において出血を認めなかったことが、米国・南カリフォルニア大学のGuy Young氏らによる第III相多施設共同非盲検無作為化試験「ATLAS-INH試験」で示された。fitusiranは、アンチトロンビンを標的とする新規開発の短鎖干渉RNA(siRNA)治療薬で、インヒビター保有の有無を問わず血友病AまたはB患者の止血バランスを調整する。本検討は、fitusiranの予防的投与の有効性と安全性を評価したもので、結果を踏まえて著者は、「fitusiranの予防的投与が、血友病患者の治療管理を改善する可能性がある」と述べている。Lancet誌オンライン版2023年3月29日号掲載の報告。

新規ワクチンMV-LASV、ラッサ熱の予防に有望/Lancet

 ラッサ熱の予防において、遺伝子組み換え弱毒生麻疹ベクターラッサ熱ワクチン(MV-LASV)は、安全性と忍容性が許容範囲内であり、免疫原性はベクターに対する既存の免疫の影響を受けないと考えられ、さらなる開発の有望な候補であることが、オーストリア・Themis Bioscience(米国・Merckの子会社)のRoland Tschismarov氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年3月16日号で報告された。

スコットランド、P4P廃止でプライマリケアの質が低下/BMJ

 Quality and Outcomes Framework(QOF)は、英国の国民保健サービス(NHS)におけるプライマリケア向けの「pay-for-performance(P4P)」制度であり、2004年に英国の4つのカントリー(イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド)のすべてに導入されたが、2016年にスコットランドはこれを廃止した。英国・ダンディー大学のDaniel R. Morales氏らは、この経済的インセンティブを継続したイングランドと比較して、スコットランドではQOF廃止後に多くのパフォーマンス指標に関してケアの質の低下が認められたと報告した。研究の詳細は、BMJ誌2023年3月22日号に掲載された。  研究グループは、2016年のスコットランドにおけるQOFの廃止がケアの質に及ぼした影響を、QOFを継続したイングランドとの比較において評価する分割時系列対照比較試験を実施した(筆頭著者は、英国・Wellcome Trust Clinical Research Career Development Fellowshipの助成を受けた)。

最低価格制限で、飲酒による死亡・入院が減少/Lancet

 スコットランドで販売されるアルコール飲料は、2018年5月1日以降、法律で1単位(純アルコール10mLまたは8g)当たりの最低単位価格(MUP)が0.5ポンドに設定されている。これにより販売量が3%減少したことが先行研究で確認されているが、今回、英国・スコットランド公衆衛生局(Public Health Scotland)のGrant M. A. Wyper氏らは、MUP法の施行により、アルコール摂取に起因する死亡と入院が大幅に減少し、その効果はとくに社会経済的に最も恵まれない層で顕著に高いことを示した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年3月21日号に掲載された。

重症市中肺炎、ヒドロコルチゾンが死亡を抑制/NEJM

 集中治療室(ICU)で治療を受けている重症の市中肺炎患者では、ヒドロコルチゾンの投与はプラセボと比較して、全死因死亡のリスクを有意に低下させ、気管挿管の割合も低いことが、フランス・トゥール大学のPierre-Francois Dequin氏らCRICS-TriGGERSepネットワークが実施した「CAPE COD試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2023年3月21日号で報告された。  CAPE COD試験は、フランスの31施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2015年10月~2020年3月の期間に患者の登録が行われた(フランス保健省の助成を受けた)。

急性非特異的腰痛への鎮痛薬を比較~RCT98件のメタ解析/BMJ

 1万5千例以上を対象とした研究が行われてきたにもかかわらず、急性非特異的腰痛に対する鎮痛薬の臨床決定の指針となる質の高いエビデンスは、依然として限られていることを、オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のMichael A. Wewege氏らがシステマティックレビューとネットワークメタ解析の結果、報告した。鎮痛薬は、急性非特異的腰痛に対する一般的な治療であるが、これまでのレビューではプラセボと鎮痛薬の比較で評価されており、鎮痛薬の有効性を比較したエビデンスは限られている。著者は、「臨床医と患者は、鎮痛薬による急性非特異的腰痛の管理に慎重となることが推奨される。質の高い直接比較の無作為化試験が発表されるまで、これ以上のレビューは必要ない」とまとめている。BMJ誌2023年3月22日号掲載の報告。

カフェイン入りコーヒー、期外収縮への影響は?/NEJM

 カフェイン入りコーヒーの摂取はカフェインを摂取しない場合と比較し、毎日の心房期外収縮が有意に増加することはないことが、米国・カリフォルニア大学のGregory M. Marcus氏らが実施した単施設での前向き無作為化ケースクロスオーバー試験「Coffee and Real-time Atrial and Ventricular Ectopy trial:CRAVE試験」で確認された。コーヒーは、世界で最もよく消費されている飲料の1つであるが、コーヒーの摂取による健康への急性の影響は依然として不明であった。NEJM誌2023年3月23日号掲載の報告。

子宮内避妊具の装着、産後早期vs.標準/JAMA

 子宮内避妊具(IUD)の産後2~4週での装着は産後6~8週での装着と比較し、完全脱落に関して非劣性が認められた。部分脱落については認められなかった。米国・カリフォルニア大学のSarah Averbach氏らが、無作為化試験の結果を報告した。IUDの装着は、エビデンスではなく先例に基づき、通常産後6週で行われる。産後2~4週の産褥期には妊娠しないことが知られていることや、米国産婦人科学会では産後3週以内での受診が推奨されており、通常よりも早期である産後2~4週でのIUD装着について検討が行われた。結果を踏まえて著者は、「これら装着時期による脱落リスクを理解することは、IUD装着のタイミングについての患者および臨床医のインフォームド・チョイスに役立つと考えられる」とまとめている。JAMA誌2023年3月21日号掲載の報告。

看護施設スタッフの検査強化で、入所者のコロナ関連死減少/NEJM

 米国の高度看護施設(skilled nursing facilities)において、職員に対する新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)サーベイランス検査の強化は、とくにワクチン承認前において、入所者の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症および関連死の、臨床的に意味のある減少と関連していた。米国・ロチェスター大学のBrian E. McGarry氏らが、メディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)のデータベースを用いた後ろ向きコホート研究の結果を報告した。高度看護施設の職員へのCOVID-19サーベイランス検査は広く行われているが、施設入所者のアウトカムとの関連性についてのエビデンスは限定的であった。NEJM誌2023年3月23日号掲載の報告。

inaxaplin、APOL1バリアント保有患者で蛋白尿を抑制/NEJM

 アポリポ蛋白L1をコードする遺伝子(APOL1)の毒性機能獲得型バリアント(G1またはG2)を持つ人は、蛋白尿性慢性腎臓病(CKD)のリスクが高く、CKD患者はこれら2種のバリアントを持たない人に比べ末期腎臓病への進展が加速化することが知られている。米国・Vertex PharmaceuticalsのOgo Egbuna氏らは、VX19-147-101試験において、2種のAPOL1バリアントを有する巣状分節性糸球体硬化症の患者では、低分子量の経口APOL1チャネル機能阻害薬inaxaplinの投与により蛋白尿が減少することを示した。研究の成果は、NEJM誌2023年3月16日号に掲載された。

経鼻投与の百日咳ワクチン、単回でも感染抑制の可能性/Lancet

 経鼻投与型の弱毒生百日咳ワクチンであるBPZE1は、鼻腔の粘膜免疫を誘導して機能的な血清反応を引き起こし、百日咳菌(Bordetella pertussis)感染を回避し、最終的に感染者数の減少や流行の周期性の減弱につながる可能性があることが、米国・ILiAD BiotechnologiesのCheryl Keech氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌2023年3月11日号で報告された。  研究グループは、BPZE1の免疫原性と安全性を破傷風・ジフテリア・沈降精製百日咳ワクチン(Tdap)と比較する目的で、米国の3施設で二重盲検無作為化第IIb相試験を行った(ILiAD Biotechnologiesの助成を受けた)。

3回接種後の効果、ファイザー製/モデルナ製各160万人で比較/BMJ

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のデルタ変異株~オミクロン変異株の流行期において、BNT162b2(ファイザー製)ワクチンまたはmRNA-1273(モデルナ製)ワクチンによるブースター接種はいずれも、接種後20週以内のSARS-CoV-2感染および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による入院に関して適度な有益性があることが、英国・オックスフォード大学のWilliam J. Hulme氏らのマッチドコホート研究で明らかとなった。BMJ誌2023年3月15日号掲載の報告。  研究グループは、OpenSAFELY-TPPデータベースを用いてコホート研究を行った。本データベースは英国の一般診療所の40%をカバーし、国民保健サービス(NHS)番号を介して救急外来受診記録、入院記録、SARS-CoV-2検査記録および死亡登録と関連付けられている。

前立腺がん15年後の転帰、監視vs.手術vs.放射線/NEJM

 英国・オックスフォード大学のFreddie C. Hamdy氏らは、Prostate Testing for Cancer and Treatment(ProtecT)試験の追跡調査期間中央値15年時点における、PSA監視療法vs.根治的前立腺全摘除術vs.内分泌療法併用根治的放射線療法の有効性を比較し、いずれの治療法でも前立腺がん特異的死亡率は低いことを明らかにした。著者は、「新たに限局性前立腺がんと診断された患者に対しては、治療の有益性と有害性のバランスを慎重に検討して治療法を選択する必要がある」とまとめている。NEJM誌オンライン版2023年3月11日号掲載の報告。

出産後の母親へのオピオイド処方、乳児の短期有害アウトカムに関連なし/BMJ

 カナダ・サニーブルック保健科学センターのJonathan S. Zipursky氏らは、出産後の母親へのオピオイド処方が、児の有害アウトカムの短期的リスクを増加させるかどうかを検討する住民ベースコホート研究を行い、両者間に関連はないことを明らかにした。北米では、ほとんどの母親が出産後に母乳で育児を開始する。乳児の呼吸器系または中枢神経系の抑制を引き起こすと予想されない量ではあるが、すべてのオピオイドは母乳へ移行する。母乳で育てられた乳児のオピオイド毒性に関する報告が散見されているが、母乳中のオピオイドを大量摂取したためと考えられていた。BMJ誌2023年3月15日号掲載の報告。

複雑な冠動脈病変のPCI、血管内イメージングガイドvs.造影ガイド/NEJM

 複雑な冠動脈病変を有する患者において、血管内超音波(IVUS)または光干渉断層法(OCT)を用いた血管内イメージングガイド下の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は、血管造影ガイド下PCIと比較して、心臓死・標的血管関連心筋梗塞・臨床所見による標的血管血行再建術の複合イベントのリスクを低下させることが示された。韓国・成均館大学校医科大学のJoo Myung Lee氏らが、同国20施設で実施した医師主導の前向き無作為化非盲検試験「Randomized Controlled Trial of Intravascular Imaging Guidance versus Angiography-Guidance on Clinical Outcomes after Complex Percutaneous Coronary Intervention:RENOVATE-COMPLEX-PCI試験」の結果を報告した。複雑病変に対する血管内イメージングガイド下PCI後の臨床転帰に関するデータは、血管造影ガイド下PCIと比較して限られていた。NEJM誌オンライン版2023年3月5日号掲載の報告。

二次性僧帽弁逆流へのTEER、5年間の評価/NEJM

 ガイドラインに基づく最大用量の薬物療法後も心不全と中等度~重度の二次性僧帽弁逆流症が認められる患者において、僧帽弁の経カテーテル的edge-to-edge修復術(TEER)は薬物療法単独と比較し、フォローアップ5年間での心不全による入院リスクを半減し、全死因死亡リスクも約30%低減した。米国・マウントサイナイ・アイカーン医科大学のGregg W. Stone氏らが、614例を対象に行った無作為化比較試験の結果を報告した。NEJM誌オンライン版2023年3月5日号掲載の報告。  研究グループは、2012年12月27日~2017年6月23日に米国とカナダにある78ヵ所の医療機関を通じて、ガイドラインに基づく最大用量の薬物療法を実施後、心不全と中等度~重度の二次性僧帽弁逆流症が認められる患者614例を登録した。