ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:223

脳梗塞急性期の積極的な降圧治療は2週間後の転帰を改善するか?/JAMA

 虚血性脳卒中患者の急性期における降圧治療は、死亡や身体機能障害の抑制に寄与しないことが、米国・チューレーン大学のJiang He氏らが行ったCATIS試験で示された。高血圧患者や脳卒中、一過性脳虚血発作(TIA)の既往歴を有する正常血圧者では、降圧治療により脳卒中のリスクが低減することが報告されている。脳卒中の1次および2次予防における降圧のベネフィットは確立されているが、血圧の上昇がみられる急性虚血性脳卒中患者に対する降圧治療の効果は知られていないという。JAMA誌オンライン版2013年11月17日号掲載の報告。

腎動脈ステントは薬物療法を超えるか?/NEJM

 アテローム硬化性腎動脈狭窄で、高血圧あるいは慢性腎臓病を有する患者への腎動脈ステントは、薬物療法単独と比べて臨床イベントの予防に関して有意なベネフィットをもたらさないことが明らかになった。米国・トレド大学のChristopher J. Cooper氏らによる多施設共同オープンラベル無作為化対照試験「CORAL」の結果、報告された。高齢者に一般的にみられるアテローム硬化性腎動脈狭窄について、先行研究2件において、腎動脈ステントは腎機能改善にベネフィットがないことが示されていた。しかし、重大有害腎・心血管イベント予防に関しては不明であったことから本検討が行われた。NEJM誌オンライン版2013年11月18日号掲載の報告より。

遺伝子型に基づきワルファリンの初期投与量を決める試み/NEJM

 遺伝子型に基づきワルファリンの初期投与量を決めることで、投与開始12週間に治療域の国際標準比(INR)2.0~3.0であった時間の割合が改善したことが示された。過剰抗凝固(INR 4.0以上)の発生率も、有意に低下したという。英国・リバプール大学のMunir Pirmohamed氏らが、心房細動または静脈血栓塞栓症の患者を対象とした前向き無作為化比較試験の結果、報告した。NEJM誌オンライン版2013年11月19日号掲載の報告より。

ナッツを毎日食べる人ほど健康長寿/NEJM

 ナッツ摂取頻度が多い人ほど、総死亡やがんなど特異的死亡リスクが低くなるという、逆相関の関連性が認められることが、大規模コホート試験で明らかになった。米国・ハーバードメディカルスクールのYing Bao氏らが、米国の看護師健康調査(1980~2010年)と医療従事者追跡調査(1986~2010年)の参加者約12万人について行った試験で明らかにしたもので、NEJM誌2013年11月21日号で発表した。先行研究で、ナッツ摂取量が多い人ほど、心血管疾患や2型糖尿病など主要な慢性疾患リスクが低くなることは知られていたが、死亡リスクとの関連は不明だった。

虚血性心筋症における幹細胞注入療法の安全性/JAMA

 慢性虚血性心筋症患者における自己間葉系幹細胞(MSC)と自己骨髄単核細胞(BMC)による経心内膜幹細胞注入療法は、安全と思われることが報告された。米国・マイアミ大学のAlan W. Heldman氏らが、65例の患者について行った第1相および第2相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。同患者への自己細胞培養による幹細胞注入療法の有効性と安全性については議論の的となっている。著者は、「今回の結果は、サンプルサイズと多重比較の点で限定的だが、より大規模な試験で、安全性の明確なエビデンスを得ること、また治療アプローチの有効性の評価を行うことを支持するものであった」と述べている。JAMA誌オンライン版2013年11月18日号掲載の報告より。

院外心停止に対する機械的心肺蘇生、予後は手動と同等/JAMA

 院外心停止患者に対する、除細動併用の機械的心肺蘇生(CPR)と手動CPRとを比較した結果、4時間生存率に有意差は認められなかったことが判明した。スウェーデン・ウプサラ大学のSten Rubertsson氏らが、英・オランダを含めた3ヵ国6施設で登録された2,589例の院外心停止患者を対象に行った多施設共同無作為化試験「LINC」の結果、報告した。院外心停止に対する機械的CPRは、予後を改善する可能性が示唆されていたが、これまで大規模試験は行われていなかった。なお、6ヵ月時点までの神経学的アウトカムについても報告されているが、両群間に有意差はなく生存患者の94~99%のアウトカムが良好であったという。JAMA誌オンライン版2013年11月17日号掲載の報告より。

ワルファリン投与量を遺伝子ガイドにより調整してみた/NEJM

 抗凝固療法コントロールについて、薬理遺伝学的ベースの遺伝子ガイドによりワルファリン投与量を調整して行っても、治療開始4週間の改善はみられなかったことが大規模無作為化試験の結果、示された。米国・ペンシルベニア大学のStephen E. Kimmel氏らが報告した。遺伝子ガイド(薬理遺伝学的をベースとした)によるワルファリン投与法は、これまで小規模臨床試験および観察試験で検討されたのみで、臨床における有用性は曖昧であった。NEJM誌オンライン版2013年11月19日号掲載の報告より。

LDLコレステロールを推算する新方程式/JAMA

 LDLコレステロール(LDL-C)値推算法について、従来のFriedewald式よりも正確なガイドラインのリスク層別化に優れた新たな方程式が、米国・ジョンズ・ホプキンス大学チッカローネ心疾患予防センターのSeth S. Martin氏らにより開発された。Friedewald式は1972年に448例の患者のデータを分析して編み出された、LDL-C実測の手間とコストがかからない計算式であり、長年、研究や臨床の目標値として、また国際的ガイドライン等の主要目標として取り入れられてきた。新推算法は、従来式の「トリグリセリド(TG)/5」の5という固定係数の解消を図ったもので、135万人の脂質データを分析して新たに補正係数を作成し、それを用いた評価法を開発した。JAMA誌2013年11月20日号掲載の報告より。

心房細動患者、減量も大事/JAMA

 心房細動患者の治療マネジメントにおいては、心血管代謝リスク因子のマネジメント強化とともに減量を指導することが、心房細動の症状および重症度の軽減に結びつき、また心臓リモデリングに有益であることが示された。オーストラリア・アデレード大学のHany S. Abed氏らが、単施設150例を対象とした無作為化試験の結果、報告した。肥満は心房細動のリスク因子であることは知られているが、減量と心血管代謝リスク因子のマネジメントが、心房細動の症状を軽減するかについては不明であった。JAMA誌2013年11月20日号掲載の報告より。

冠動脈石灰化スコア、密度スコアを加えることでリスク予測能上昇/JAMA

 冠動脈石灰化(CAC)容積スコアと冠動脈性心疾患・心血管疾患イベントリスクには正の関連が、またCAC密度スコアと同イベントリスクにはCAC容積値とは独立した有意な負の相関関係があることが明らかにされた。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のMichael H. Criqui氏らが、約3,400例の観察試験被験者データを分析し明らかにした。CT測定のCACは、心血管疾患発生予測について高い適中率を有する。標準的なAgatstonスコアでは、カルシウム密度と正の相関があるとしているが、いくつかのデータにおいて、プラークのカルシウム密度上昇は心血管疾患に保護的に寄与する可能性があることが示唆されていた。JAMA誌オンライン版2013年11月18日号掲載の報告より。

バルドキソロンメチルが心血管イベントリスク増大で試験中止/NEJM

 2型糖尿病でステージ4の慢性腎臓病(CKD)の患者に対する、新規開発中の転写因子Nrf2活性化剤バルドキソロンメチル(bardoxolone methyl)は、末期腎不全(ESRD)または心血管疾患死の抑制に効果が認められず、また心血管イベントリスクがバルドキソロンメチル群で有意に増大したため、開発試験を中止したことが発表された。オランダ・フローニンゲン大学のDick de Zeeuw氏らが、2,000例超を対象に行った第3相臨床試験「BEACON」の結果、報告した。NEJM誌オンライン版2013年11月9日号掲載の報告より。

エドキサバン:心房細動患者の脳卒中予防、ワルファリンに劣らない結果示す/NEJM

 直接第Xa因子阻害薬エドキサバン(商品名:リクシアナ)は、心房細動(AF)患者における脳卒中の予防効果がワルファリンに劣らず、出血リスクが有意に低いことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のRobert P. Giugliano氏らが実施したENGAGE AF-TIMI 48試験で示された。エドキサバンは、活性化血液凝固第Xa因子を可逆的かつ直接的に阻害する経口薬であり、1~2時間で最高血中濃度に達し50%が腎で排泄される。すでに、8,000例以上の急性静脈血栓塞栓症患者を対象とした第III相試験(Hokusai-VTE試験)において、再発予防効果がワルファリンに劣らず、出血の発症率が有意に低いことが確認されている。本研究は、米国心臓協会学術集会(AHA)で発表され、NEJM誌オンライン版2013年11月19日号に掲載された。

閉経前女性の膀胱炎原因菌の予測能を飛躍的に高める方法/NEJM

 急性単純性膀胱炎の症状がみられる閉経前健常女性では、自然排泄中間尿の培養によって膀胱内の大腸菌を高率に予測でき、腸球菌やB型レンサ球菌が膀胱炎の原因菌となるのはまれなことが、米国・マイアミ大学のThomas M. Hooton氏らの検討で示された。女性の場合、自然排泄尿に尿道周囲の細菌が混入する可能性が高いため、培養結果の解釈が複雑になり、細菌尿が膀胱由来か尿道周囲由来かの判別が難しい。とくにグラム陽性菌の増殖を認める場合に、培養結果の解釈の指針となるデータは、これまでほとんどなかったという。NEJM誌2013年11月14日号掲載の報告。

成人バーキットリンパ腫、低強度EPOCH-Rベース療法が非常に有効/NEJM

 成人のバーキットリンパ腫の未治療患者に対して、低強度のEPOCH-Rベース治療が非常に有効であることが報告された。米国国立がん研究所(NCI)のKieron Dunleavy氏らが行った非対照前向き試験の結果、明らかになった。バーキットリンパ腫は、小児および成人にみられるアグレッシブなB細胞リンパ腫で、大部分は集中的な抗がん剤療法で治療が可能となっている。ただし現在の治療法は、成人および免疫不全を有する患者では、小児に対するよりも有効性が低い一方、重篤な副作用があった。NEJM誌2013年11月14日号掲載の報告より。

PET-CT検査:放射性トレーサーの違いで、冠動脈プラークの検出に差/Lancet

 18Fフルオライド陽電子放射断層撮影(PET-CT)による高リスクプラークの検出・特定能について、2種の放射性トレーサー、18Fフッ化ナトリウム(18F-NaF)と18F-フルオロデオキシグルコース(18F-FDG)の検出・特定能を比較検討した結果、18F-NaF PET-CTが非侵襲的画像診断法では最も有用である可能性が示された。英国・エジンバラ大学のNikhil V Joshi氏らによる前向き試験の結果で、著者は「この方法が、冠動脈疾患患者のマネジメントと治療の改善に役立つかどうかを立証するための、さらなる研究が必要である」とまとめている。非侵襲的画像診断法による同プラークの特定は、冠動脈疾患の予防と治療の臨床的前進に大きく寄与することを意味するものである。Lancet誌オンライン版2013年11月11日号掲載の報告より。

生分解性ポリマー薬剤溶出ステントの実力/BMJ

 米国・ニューヨーク大学のSripal Bangalore氏らはメタ解析にて、冠動脈疾患に対する生分解性ポリマー薬剤溶出ステントの有効性と安全性について、ベアメタルステント(BMS)および耐久性ポリマー薬剤溶出ステントと比較する検討を行った。その結果、標的血管血行再建術の減少について、生分解性ポリマー薬剤溶出ステントは、初期の耐久性ポリマー薬剤溶出ステントよりも優れるが、新世代の耐久性ポリマー薬剤溶出ステントよりも劣性であることなどを明らかにした。BMJ誌オンライン版2013年11月8日号掲載の報告より。

新規ソホスブビル+レジパスビル合剤、遺伝子1型HCV治療に有望/Lancet

 C型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型1型の大半の患者は、治療歴や代償性肝硬変の有無にかかわらず、新規合剤[ヌクレオチドポリメラーゼ阻害薬ソホスブビル+HCV NS5A阻害薬レジパスビル(ledipasvir)]単独または+リバビリン併用による治療が有効である可能性が報告された。米国・テキサス大学のEric Lawitz氏らによる、非盲検無作為化第2相試験LONESTARの結果、示された。インターフェロンベースの治療は、精神疾患などの禁忌があったり有害イベントの負荷が高いため、HCV患者の多くについて適していない。研究グループは、インターフェロンを使わない新規開発の合剤の有効性と安全性について評価を行った。Lancet誌オンライン版2013年11月5日号掲載の報告より。

深夜~早朝に執刀後、同日に腹腔鏡下胆摘術を施行したときの合併症リスク/JAMA

 日中の待機的腹腔鏡下胆嚢摘出術について、施術外科医が前の晩の深夜から早朝にかけて執刀を行っていた場合と、深夜以降に執刀していなかった場合とを比べた結果、開腹胆嚢摘除への転換や医原性損傷といった合併症リスクは増大しなかったことが報告された。カナダ・ウェスタンオンタリオ大学のChristopher Vinden氏らが、待機的腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った2,000例超の患者と、そのマッチング群について行った住民ベースの後ろ向きコホート試験の結果、明らかにした。患者アウトカムへの執刀医の睡眠不足の影響については明確にはなっていないという。JAMA誌2013年11月6日号掲載の報告より。

最も安全な薬剤溶出ステントが明らかに/BMJ

 薬剤溶出ステント(DES)の安全性と有効性は、種類間で異なり、エベロリムス溶出ステントとResoluteゾタロリムス溶出ステントが他のDESに比べて安全性が高く、現状最も安全なステントであることが明らかになった。ポーランド・ニコラス・コペルニクス大学のEliano P Navarese氏らが、60件の無作為化試験について行ったメタ解析の結果、報告した。BMJ誌オンライン版2013年11月6日号掲載の報告より。

またしてもACE阻害薬+ARBの併用、有効性示せず-糖尿病性腎症-/NEJM

 ACE阻害薬(ACEI)+ARB併用療法は、蛋白尿がみられる糖尿病性腎症患者の末期腎不全(ESRD)への病態進行のリスクを低減しないことが、米国・ピッツバーグ大学のLinda F. Fried氏らが行ったVA NEPHRON-D試験で確認された。糖尿病性腎症はESRDの主要原因であり、蛋白尿がみられる糖尿病患者はESRDのリスクが高い。観察試験では、レニン-アンジオテンシン系(RAS)の抑制により腎不全に起因する蛋白尿が低減し、腎機能が改善することが示されている。ACEIとARBの併用療法により蛋白尿が低下することが知られているが、腎不全の進行に及ぼす効果や安全性は確かめられていなかった。NEJM誌2013年11月14日号掲載の報告。