ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:196

ステント留置後DAPTの至適期間は?/Lancet

 薬剤溶出ステント留置後1年超の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)は、心筋梗塞およびステント塞栓症のリスクは低いが、死亡リスクは増大することが明らかにされた。同群の死亡増大は、心臓死の減少分よりも非心血管死の増大分が大きかったためであった。イタリア・ボローニャ大学のTullio Palmerini氏らがネットワークメタ解析の結果、報告した。直近の試験報告でも、ステント留置後DAPTの至適期間は不明なままであった。Lancet誌オンライン版2015年3月13日号掲載の報告より。

クロ-ン病の新規経口薬、臨床的寛解を維持/NEJM

 クローン病に対する新規開発経口薬のモンジャーセン(mongersen)について、第II相の二重盲検プラセボ対照無作為化試験の結果、寛解維持および臨床効果の達成割合が有意に高いことが示された。イタリア・トルヴェルガタ大学のGiovanni Monteleone氏らが報告した。モンジャーセンは、経口SMAD7アンチセンスオリゴヌクレオチドで、回腸および結腸のSMAD7を標的とすることが示されていた。クローン病に関連する炎症は、免疫サイトカインのトランスフォーミング増殖因子β1(TGF-β1)の活性低下によって特徴付けられ、TGF-β1の低下は、SMAD7の発現量が増加しTGF-β1シグナルを阻害するためであることが知られていた。NEJM誌2015年3月19日号掲載の報告より。

チカグレロル、心筋梗塞後1年超での効果は?/NEJM

 心筋梗塞の既往歴(1~3年前)を有する患者について、P2Y12受容体拮抗薬チカグレロル(国内未承認)の有効性と安全性を検討したPEGASUS-TIMI 54試験の結果、心血管系死亡、心筋梗塞、脳卒中のリスクを有意に低下し、重大出血リスクは増大することが示された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のMarc P. Bonaca氏らが報告した。これまでに、P2Y12受容体拮抗薬の心筋梗塞後1年間超の長期にわたる2次予防効果については明らかにされていなかった。NEJM誌オンライン版2015年3月14日号掲載の報告より。

心房細動へのジゴキシン、死亡増大/Lancet

 心房細動(AF)患者へのジゴキシン(商品名:ジゴシンほか)治療は、全死因死亡、血管系による死亡、および突然死の有意な増大と関係していることが、Jeffrey B Washam氏らが行ったROCKET AF被験者データの後ろ向き分析で示された。関連は、他の予後因子とは独立しており、著者は「残余交絡の影響の可能性も示唆されたが、ジゴキシンの影響の可能性が示された。心不全あり・なしのAF患者で、ジゴキシン治療の無作為化試験を行う必要がある」と報告している。ジゴキシンは、無作為化試験のデータが不足しているにもかかわらずAF患者に広く使われている。Lancet誌オンライン版2015年3月5日号掲載の報告。

臨床開発中止で患者2万超例分のデータが未公表/BMJ

 カナダ・マギル大学のAmanda Hakala氏らは、臨床開発中止となった薬物(stalled drugs)の試験報告へのアクセシビリティについて、登録試験を系統的に評価して定量化を行った。その結果、開発に成功し承認された薬物(licensed drugs)の試験公表率は75%に対し、開発が中止となった薬物については37%で、公表について両者に大きな差があることを明らかにした。著者は、「開発が遅れている薬物試験で収集された情報の大半が、研究や臨床に生かされてない」と述べ、「臨床研究における透明性、倫理性、説明責任を促進するポリシー改善を行うべきことが実証された」とまとめている。BMJ誌オンライン版2015年3月9日号掲載の報告。

家族性高コレステロール血症患者は2型糖尿病の有病率が低い/JAMA

 家族性高コレステロール血症を有する患者のほうが、有さない患者よりも2型糖尿病の有病率が有意に低いことが、オランダ・アムステルダム大学メディカルセンター(AMC)のJoost Besseling氏らによる検討の結果、明らかにされた。同国6万3,320例を対象とした横断研究による結果で、遺伝子変異のタイプによっても有意に異なることが判明し、著者は、「今回の知見が縦断研究でも確認されれば、2型糖尿病発症の原因として、LDL受容体を介する膜内外コレステロール輸送が関連している可能性が高まるだろう」と指摘している。JAMA誌2015年3月10日号掲載の報告より。

多面的な介入、認知機能改善や維持に有効/Lancet

 認知症リスクが高い高齢者に対して、食事や運動などの生活習慣および血管リスクモニタリングといった多面的な介入を行うことで、認知機能の改善あるいは維持が可能であることが実証された。フィンランド国立健康福祉センターのTiia Ngandu氏らが、同国一般市民を対象とした二重盲検無作為化対照比較試験FINGERの結果、報告した。Lancet誌オンライン版2015年3月11日号掲載の報告より。

エドキサバン、臨床的特徴で減量しても有効?/Lancet

 心房細動患者に対し、エドキサバン(商品名:リクシアナ)の投与量を、臨床的特徴に応じて半減しても、脳卒中・全身性塞栓症の予防効果は維持され、大出血リスクは低下することが明らかにされた。米国ハーバード・メディカル・スクールのChristian T Ruff氏らが、2万人超を対象に行った二重盲検無作為化試験「ENGAGE AF-TIMI 48」のデータを分析し報告した。Lancet誌オンライン版2015年3月10日号掲載の報告より。

ガイドライン改善には個人データに基づくメタ解析の活用を/BMJ

 臨床ガイドラインの作成に当たり、被験者個人データ(IPD)に基づくメタ解析の引用の割合は4割未満であることが明らかにされた。英国・ロンドン大学のClaire L Vale氏らが、177の診療ガイドラインについて調べた結果、報告した。IPDに基づくメタ解析は、エビデンスのゴールド・スタンダードと考えられており、臨床ガイドライン作成の鍵となるエビデンスを示している可能性も大きいとされる。結果について著者は、「IPDに基づくシステマティック・レビューとメタ解析が、活用されていないことが示された」と述べ、「ガイドライン開発者はルーティンに質のよい最新のIPDメタ解析を探索すべきである。IPDメタ解析の活用増大が、ガイドラインの改善につながり、最新の最も信頼性のあるエビデンスに基づくケアを患者にルーティンに提供することが可能となる」と指摘している。BMJ誌オンライン版2015年3月6日号掲載の報告より。

アログリプチン、心不全リスク増大せず:EXAMINE試験の事後解析結果/Lancet

 2型糖尿病で直近に急性冠症候群(ACS)を発症した患者について、DPP-4阻害薬アログリプチン(商品名:ネシーナ)は心不全リスクを増大しないことが示された。フランス・ロレーヌ大学のFaiez Zannad氏らがEXAMINE試験の事後解析を行い明らかにした。同試験では、2型糖尿病で直近にACSを発症した患者の主要有害心血管イベント(MACE)について、アログリプチンがプラセボに対して非劣性であることが示された。しかし、他のDPP-4阻害薬試験で院内心不全の過剰な発生に対する懸念が報告され、研究グループは本検討を行った。Lancet誌オンライン版2015年3月9日号掲載の報告より。  EXAMINEは、2009年10月~2013年3月に49ヵ国898施設から被験者を登録して行われた多施設共同無作為化二重盲検試験であった。被験者は、2型糖尿病と直近15~90日以内にACSイベントを経験した患者で、糖尿病と心血管疾患予防のためアログリプチンまたはプラセボ+標準治療に無作為に割り付けられた。

TAVR後、1年アウトカムは?/JAMA

 米国・メイヨークリニックのDavid R. Holmes Jr氏らは、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)を受けた患者1万2,182例について、1年時点のアウトカムを発表した。全死因死亡は23.7%、脳卒中発生は4.1%であり、死亡と脳卒中の複合アウトカムの発生は26.0%であることが明らかにされた。新規医療デバイスに対しては臨床導入後、無作為化試験での結果とはアウトカムが異なるのではないかとの懸念がある。TAVRについてはこれまでに30日時点のアウトカムは報告されていたが、長期アウトカムについては不明なままであった。著者は、「今回の所見を、TAVRを受ける患者とのディスカッションに役立てるべきであろう」と述べている。JAMA誌2015年3月10日号掲載の報告。

抗凝固療法の出血リスク、遺伝子型で異なる/Lancet

 ワルファリンの出血リスクについて、CYP2C9、VKORC1の遺伝子型を持つ患者において早期出血の傾向がある人を特定できることが示された。米国ハーバード・メディカル・スクールのJessica L Mega氏らが、ENGAGE AF-TIMI 48試験の被験者データを分析し報告した。検討では、ワルファリンと比較して、エドキサバンの早期安全性に関するベネフィットが大きいことも明らかになったという。Lancet誌オンライン版2015年3月10日号掲載の報告より。

臨床ガイドラインは複数疾患併存患者への考慮を/BMJ

 英国・ダンディー大学のSiobhan Dumbreck氏らは、英国立医療技術評価機構(NICE)の12の臨床ガイドラインにおける複数疾患を有する患者に関する潜在的に重篤な薬物-疾患(drug-disease)および薬物間(drug-drug)相互作用の記述について、システマティックレビューを行った。その結果、患者が慢性腎臓病(CKD)を併存している場合を除き薬物-疾患相互作用の記述はまれにしかみられない一方、薬物間相互作用については多くの記述がみられたこと、ただしいずれもガイドラインでは強調されていないことを明らかにした。臨床ガイドラインを、複数疾患を併存する患者についてより考慮したものにすべきとの認識が増している。しかし、研究グループは「多くのガイドラインで薬物療法を推奨しているが、そのような患者を設定した薬物-疾患および薬物間相互作用に関する勧告はあまりみられないと思われる」として本レビューを行った。BMJ誌オンライン版2015年3月11日号掲載の報告より。

ビタミンK拮抗薬の急速中和製剤(4F-PCC)の効果は?/Lancet

 緊急の外科的・侵襲的手技においてビタミンK拮抗薬(VKA)投与を必要とする患者について、4因子含有プロトロンビン複合体濃縮製剤(4F-PCC)の血漿製剤に対する、急速VKA中和および止血効果に関する非劣性と優越性が確認された。米国・マサチューセッツ総合病院のJoshua N Goldstein氏らによる第IIIb相の非盲検非劣性無作為化試験の結果、示された。VKAによる抗凝固療法は、緊急外科的・侵襲的手技を要する患者に関して迅速中和を必要とする頻度が高い。しかしこれまでその至適な手法について、臨床比較試験による確定は行われていなかったという。Lancet誌オンライン版2015年2月26日号掲載の報告より。

がん検診での過剰検出、人々の許容度は?/BMJ

 がん検診における「過剰検出」(症状がみられず早期死亡を引き起こすことのないがん病変をスクリーニングで検出と定義)について、一般の人々の受け止め方は事前に与えられる情報(死亡率やベネフィット)で大きく異なることが、英国・オックスフォード大学のAnn Van den Bruel氏らによるサーベイの結果、明らかにされた。乳がん、前立腺がん、腸がんスクリーニングの設定で調べたところ、腸がんスクリーニングでの過剰検出に対する許容度が有意に低かったという。著者は、「スクリーニング案内時に過剰検出の可能性やその影響に関する明確な情報を伝え、人々が情報に基づいた選択(インフォームド・チョイス)ができるようにしなければならない」と指摘している。BMJ誌オンライン版2015年3月4日号掲載の報告より。

E型肝炎ワクチン、4.5年の有効率は?/NEJM

 E型肝炎(HEV)ワクチンの予防接種により、防御能4.5年の持続を確認したことが報告された。中国・厦門大学のJun Zhang氏らが、11万例超の成人を対象に行ったプラセボ対照無作為化比較試験の延長追跡調査の結果を発表した。試験に用いられたワクチンは2012年から中国で製造販売されているHecolinで、これまで短期有効性については報告されていたが長期有効性については確認されていなかった。NEJM誌2015年3月5日号掲載の報告より。

ドイツ「医薬品市場再編法」、新薬試験結果報告に有用/BMJ

 ドイツで2011年に施行された「医薬品市場再編法(AMNOG)」に則って作成された新薬試験結果の公開資料は、ClinicalTrials.govなどそれ以外の公開資料と比べて、試験方法・結果に関する完全報告の割合が高いことが示された。なかでも、部分母集団の分析結果の報告については、非AMNOGでは完全報告の割合がきわめて低かったという。ドイツ医療品質・効率性研究機構(Institute for Quality and Efficiency in Health Care、IQWiG)のMichael Kohler氏らが分析し発表した。BMJ誌オンライン版2015年2月26日号掲載の報告。

リンパ節転移陽性早期乳がん、dose-dense FEC-Pは有益か/Lancet

 リンパ節陽性早期乳がん患者に対し、エピルビシン、シクロホスファミド、パクリタキセル(EC-P)にフルオロウラシル(F)を追加し投与間隔を短縮して行うdose-dense化学療法としてのFEC-Pは、無病生存率を有意に改善することが示された。一方で、投与間隔を短縮しない場合は、フルオロウラシルを追加しても無病生存アウトカムは改善しなかった。イタリア・IRCCS AOU San Martino-ISTのLucia Del Mastro氏らが、第III相の非盲検2×2因子無作為化試験の結果、報告した。これまで、同患者へのdose-dense化学療法としてのFEC-P療法が有益性を増大するかどうかについては、議論の的となっていた。Lancet誌オンライン版2015年2月27日号掲載の報告より。

スタチンの効果、遺伝子リスクで異なる/Lancet

 米国ハーバード・メディカル・スクールのJessica L Mega氏らは、JUPITER、CAREなど5試験の被験者データを分析し、冠動脈疾患の初発と再発両リスクを増大する遺伝子型に基づく遺伝リスクスコアを特定した。また、同スコアが最も高い人でスタチン治療の効果が最も大きいことも明らかにした。これまでの検討で、冠動脈疾患リスクと関連する複数の遺伝子型があることが示されていた。Lancet誌オンライン版2015年3月3日号掲載の報告より。

ゴセレリン、乳がん患者の卵巣機能を保護/NEJM

 化学療法中の乳がん患者にゴセレリン(商品名:ゾラデックス)を併用することで、卵巣機能不全を予防し、早期閉経リスクの低下や、妊娠の可能性が向上することが報告された。米国・クリーブランドクリニックのHalle C.F. Moore氏らPOEMS/S0230研究グループによる無作為化試験の結果、示された。卵巣機能不全は、化学療法の頻度の高い毒性作用である。これまでに行われた卵巣機能の保護を目的としたゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)を用いた試験では、混在した結果が示され、妊娠アウトカムについてのデータは不足していた。NEJM誌2015年3月5日号掲載の報告より。