腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:347

NSAIDsは大腸がんを予防しうるか

 以前より、NSAIDsの使用が大腸がんのリスクを低減するという実質的なエビデンスがあるが、どのようなサブグループで化学的予防効果が副作用のリスクを上回るかについては特定されていない。米国・Fred Hutchinson Cancer Research CenterのXiaoliang Wang氏らは、VITAL試験のコホートを対象に、大腸がんのあらゆるリスク因子とNSAIDs使用との関連性を調べた。その結果、NSAIDsの高頻度・長期投与と大腸がんリスクとの関連性について、サブグループ間の有意差は認められなかったとしたうえで、「NSAIDsは他の因子に大きく影響されることなく、大腸がん予防において全体的に有益な役割を持つ」と結論付けた。Cancer epidemiology, biomarkers & prevention誌オンライン版2015年1月22日号掲載の報告。

早期乳がん、診断率や生存率は人種間で異なる/JAMA

 米国で浸潤性乳がんと診断された女性のうち、早期乳がんの診断率やStage I診断後の生存率は、人種や民族の違いによって多彩であり、これは腫瘍の生物学的悪性度の違いで説明できる可能性があることが、カナダ・Women’s College HospitalのJavaid Iqbal氏らの検討で示された。乳がん管理プログラムの目標は、Stage I乳がんの割合を相対的に多くすることで、がん死亡率を減少させることとされる。そのためには、Stage I診断の関連因子やStage Iの検出率がよくない集団を同定することが重要である。JAMA誌2015年1月13日号掲載の報告。

2型糖尿病と関連するがんは?/BMJ

 ギリシャ・ヨアニナ大学医学部のKonstantinos K Tsilidis氏らは、2型糖尿病とがんの関連について、メタ解析/システマティックレビューを包括的レビュー(umbrella review)するという手法で大規模な検討を行った。その結果、大半の試験で関連性が有意であると強く主張していたが、バイアスの可能性がなく強固なエビデンスで関連性が支持されるのは、乳がん、肝内胆管がん、大腸がん、子宮体がんの発症リスクにおいてのみと少数であったことを報告した。BMJ誌オンライン版2015年1月2日号掲載の報告より。

3cm以下のHER2陽性乳がん、補助療法の効果は?/NEJM

 リンパ節転移陰性HER2陽性乳がんで、腫瘍最大径が3cm以下の人に対し、パクリタキセルとトラスツズマブによる補助療法は、早期再発リスクは約2%であることが示された。米国・ダナファーバーがん研究所のSara M. Tolaney氏らが、406例を対象に行った試験で明らかにした。これまでの主なトラスツズマブ補助療法の試験では、腫瘍径が小さい患者の多くは被験者として不適格であったため、同患者群に対する標準治療がないという。NEJM誌2015年1月8日号掲載の報告より。

HPVワクチン、複数回接種の費用対効果/JAMA

 2価と4価のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの、接種回数と費用対効果について、英国・イングランド公衆衛生局(Public Health England:PHE)のMark Jit氏らが伝播モデルをベースに検討した。その結果、仮に2回接種による防御効果が10年しか持続せず、3回接種の効果が生涯持続するのなら、そのほうが費用対効果は高いこと、一方で2回接種の効果が20年超持続するのなら、2回接種が最適な選択肢であることを明らかにした。2価/4価HPVワクチンは、長期にわたりHPV16/18への防御効果をもたらす可能性が示されているが、その正確な期間・規模について、3回接種の場合と比較した検討はこれまで行われていなかった。BMJ誌オンライン版2015年1月7日号掲載の報告より。

ステージIV大腸がんの原発巣切除率が減少、生存率は増加

 近年の効果的な新薬の登場により、ステージIV大腸がんにおいて原発巣切除はすべての患者で必須とはいえなくなっている。米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのChung-Yuan Hu氏らは、米国におけるステージIV大腸がんでの原発巣切除実施と生存率の年次推移を検討した。それによると、1988年にはステージIV大腸がん患者の4人に3人が原発巣切除を受けていたが、2001年を境に切除率の減少が大きくなり、2010年には6割を切っていた。生存率は原発巣切除率の減少にもかかわらず改善した。著者らは「原発巣切除が不要な患者に対しても、いまだ切除が実施されている可能性があり、実際の治療はエビデンスに基づく治療ガイドラインより遅れている」と指摘している。JAMA surgeryオンライン版2015年1月14日号に掲載。

前糖尿病の生活改善で膵がん予防の可能性/BMJ

 前糖尿病状態を早期に発見し生活様式を改善することで、膵がんの発症が抑制される可能性があることが、国立台湾大学医学院のWei-Chih Liao氏らの検討で示された。膵がんは、最も致死性の高いがんであり、2型糖尿病はその確立されたリスク因子である。2型糖尿病の前駆病態である前糖尿病は、膵がんのリスク因子である可能性があり、生活様式の変更によって改善することから、膵がんの予防戦略として関心を集めている。BMJ誌2015年1月2日号掲載の報告。

がん検診、過剰診断の回避に向けた第一歩/BMJ

 米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のJamie L Carter氏らは、がん検診の過剰診断を定量化・モニタリングする最適な方法についてシステマティックレビューにより検討した。その結果、複数設定に基づく実行性が良好な生態学的およびコホート試験が、最も適した手法であることを報告した。さらなる検討により国際標準指標を確立すること、および公平な多国籍の研究者チームによる分析の継続が必要であるとまとめている。これまで行われたがん検診の過剰診断に関する研究は、さまざまな手法が用いられ、非常にばらつきのある結果が示されている。それら相反する結果を解釈するために各方法論をどのように評価すればよいのか、またより良い試験方法について明らかになっていなかった。BMJ誌オンライン版2015年1月7日号掲載の報告より。

4価HPVワクチン接種、多発性硬化症と関連なし/JAMA

 4価ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種は、多発性硬化症などの中枢神経系の脱髄疾患の発症とは関連がないことが、デンマーク・Statens Serum研究所のNikolai Madrid Scheller氏らの調査で示された。2006年に4価、その後2価ワクチンが登場して以降、HPVワクチンは世界で1億7,500万回以上接種されているが、多発性硬化症のほか視神経炎、横断性脊髄炎、急性散在性脳脊髄炎、視神経脊髄炎などの脱髄疾患との関連を示唆する症例が報告されている。ワクチンが免疫疾患を誘発する可能性のある機序として、分子相同性や自己反応性T細胞活性化が指摘されているが、HPVワクチンが多発性硬化症のリスクを真に増大させるか否かは不明であった。JAMA誌2015年1月6日号掲載の報告。

ホジキンリンパ腫のABVD、BとDの除外は可能か/Lancet

 ドイツ・ホジキン研究グループ(GHSG)によるHD10試験では、早期ホジキンリンパ腫(HL)のfavourable risk例の治療として、ABVD(ドキソルビシン+ブレオマイシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)レジメンを2サイクル施行後に総線量20Gyの放射線区域照射(IFRT)を行い、5年生存率(OS)が96.6%、5年無治療失敗(freedom from treatment failure:FFTF)率は91.2%と良好な成績が得られている。一方、HL患者の治療関連副作用は30年以上持続するとの報告があり、さらなる安全性の改善が求められている。そこで、GHSGは、ABVDからのブレオマイシンとダカルバジンの除外の可能性の検討を目的にHD13試験を行った。研究の詳細はLancet誌オンライン版2014年12月21日号に掲載された。