腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:347

PSA検診は有用か:13年後の比較/Lancet

 前立腺がん(PSA)検診の有効性に関して評価するヨーロッパ前立腺がん検診の無作為化試験(ERSPC)のフォローアップ13年時点の成績が発表された。これまで検診9年後、11年後において、前立腺がん死亡の有意な減少が報告されていたが、今回もさらなる減少が確認され、大幅な有効性の増大が認められたという。オランダ・エラスムス大学医療センターのFritz H Schroder氏らERSPC研究チームが報告した。しかしながら著者は、「今回の結果にかかわらず、住民ベースのスクリーニング導入の前提条件として、さらなる検診の有害性の定量化と減少が検討されなければならない」とまとめている。9年、11年時に有効性が示された時も、過剰診断といった有害イベントを理由にスクリーニングの実施については論争の的となっていた。Lancet誌オンライン版2014年8月7日号掲載の報告より。

脳転移乳がんのタイプ別予後~国内24施設

 東海大学の新倉 直樹氏らは、脳転移した乳がん患者の予後因子を調べるために、国内24施設で脳転移と診断された乳がん患者において、乳がんのサブタイプごとに臨床経過と予後を比較し、死亡原因を分析した。その結果、脳転移した乳がん患者における転移前・後の臨床経過および予後は、サブタイプにより異なることが示唆された。著者らは、乳がんのサブタイプに着目することにより、脳転移の予防や早期発見、治療の改善を最大限に行えるとしている。Breast cancer research and treatment誌オンライン版2014年8月9日号に掲載。

PALB2変異で乳がんリスクが5~9倍/NEJM

 PALB2遺伝子の機能喪失型変異は遺伝性乳がんの重要な原因であることが、英国・ケンブリッジ大学のAntonis C Antoniou氏らの検討で示された。生殖細胞系におけるPALB2遺伝子の機能喪失型変異は、乳がん発症の素因となることが知られているが、この変異がもたらす乳がんの生涯リスクは明らかにされていないという。NEJM誌2014年8月7日号掲載の報告。

大腸がん診断後のスタチンで生存延長

 英国・クイーンズ大学ベルファストのChris R Cardwell氏らは、大規模な大腸がん患者のコホートにおいて、大腸がん診断後のスタチン使用が大腸がん特異的死亡リスクを低下させるかどうかを調査した。その結果、大腸がん診断後のスタチン使用が生存期間延長に関連することが示された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2014年8月4日号に掲載。

地中海食が乳がんリスクを減少

 Instituto de Salud Carlos IIIのA Castello氏らは、スペイン人女性における食事パターンと乳がんリスクの関連を、閉経状態と腫瘍のサブタイプ別に層別化し、症例対照研究で検討した(EpiGEICAM試験)。その結果、西洋食パターン(高脂肪乳製品・加工肉・精製穀物・菓子・高カロリー飲料などを高摂取、低脂肪乳製品・全粒穀物は低摂取)が乳がんリスクに悪影響を及ぼすことが認められた。さらに、すべてのサブタイプの乳がん(とくにトリプルネガティブ乳がん)の予防に、果物・野菜・豆類・多脂性魚・植物油の豊富な食事パターンによるベネフィットが示唆された。British Journal of Cancer誌オンライン版2014年8月7日号に掲載。

ステージIV大腸がんの位置による予後の違い

 右側結腸がんは左側結腸がんとは生物学的に異なると考えられているが、予後の違いについては矛盾する結果が報告されている。東京大学の石原 聡一郎氏らは、ステージIV結腸がんにおいて腫瘍位置が予後に及ぼす影響を明らかにするために、多施設共同研究による傾向スコア分析を実施した。その結果、ステージIVの右側結腸がんは、左側結腸がんに比べて、同じステージIVでもより進行した状態で診断され、予後が有意に不良であったことから、腫瘍学的に左側結腸がんより侵攻性であることが示唆された。International Journal of Surgery誌オンライン版2014年8月1日号に掲載。