腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:350

かゆみは腫瘍マーカーとなりうるのか?

 そう痒(かゆみ)は、オカルトがん(occult cancer)のマーカーとなりうることを、デンマーク・オーフス大学病院のJohannesdottir S.A.氏らがデンマークの全国コホート研究の結果、報告した。がん患者は、かゆみを訴える頻度が高いが、かゆみが診断のついていないがんのマーカーとなるかについて大規模研究による検討はされていなかった。

抗CTLA-4抗体+GM-CSF、転移性悪性黒色腫に有効/JAMA

 転移性悪性黒色腫の治療において、イピリムマブ(承認申請中)+サルグラモスチム(sargramostim、国内未承認)併用療法は、イピリムマブ単独に比べ全生存期間(OS)を延長し、有害事象も少ないことが、米国・ダナファーバーがん研究所のF Stephen Hodi氏らの検討で示された。顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)は、抗原提示細胞である樹状細胞の活性を増強し、TおよびBリンパ球性抗腫瘍効果を促進するサイトカインであり、サルグラモスチムはイースト菌由来の遺伝子組み換えヒトGM-CSF製剤である。また、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)はTリンパ球活性を抑制する免疫チェックポイントであり、イピリムマブはCTLA-4を阻害する完全ヒトIgG1モノクローナル抗体である。CTLA-4遮断薬とGM-CSF分泌腫瘍ワクチンを併用すると相乗的な抗腫瘍効果が得られることが前臨床研究で確認されている。JAMA誌2014年11月5日号掲載の報告。

臍帯血移植1単位vs. 2単位/NEJM

 小児・青少年の造血器腫瘍患者に対する臍帯血移植について、1単位vs. 2単位移植後の生存率は同等であったことが、米国・ミネソタ大学のJohn E. Wagner氏らによる第III相の非盲検無作為化試験の結果、示された。また1単位移植群のほうが、血小板回復が良好で、移植片対宿主病(GVHD)のリスクも低かったという。本検討は、移植時の造血細胞数が1単位よりも2単位のほうが多くなることから転帰が改善するとの仮説に基づき行われたものであった。NEJM誌2014年10月30日号掲載の報告。

子宮頸部上皮内腫瘍の切除、流産リスク増大/BMJ

 英国インペリアル・カレッジ・ロンドンのMaria Kyrgiou氏らが行ったシステマティックレビューとメタ解析の結果、子宮頸部上皮内腫瘍における頸部切除が、妊孕性に悪影響を与えるとのエビデンスは示されなかったが、妊娠第2期の流産リスクの有意な増加と関係していたことが明らかにされた。著者は、さらなる検討を行い、この流産リスク増大のメカニズムを調べること、また妊孕性および妊娠早期のアウトカムへの治療の影響について、切除サイズや用いる治療法の層別化を行うべきであると提言した。BMJ誌オンライン版2014年10月28日号掲載の報告より。

転移性前立腺がんに対する新規ホルモン療法の威力は?(解説:勝俣 範之 氏)-274

転移性前立腺がんに対する第一選択は、去勢療法(男性ホルモンであるアンドロゲンをブロックする方法:除睾術やホルモン療法などが行われる)である。転移性がんでは、当初は去勢療法が奏効するが、ほとんどが治療抵抗性となる。治療抵抗性となった場合には、これまでは化学療法しか選択肢がなかった。  エンザルタミドは、アンドロゲン受容体を阻害する作用を持つ新規ホルモン療法の1つと考えてよい。化学療法のような強い副作用がないため、患者さんにとっては福音であるといえる。

コーヒーは悪性黒色腫リスクを減らす?

 これまでの研究報告から、コーヒーや紅茶の成分には抗腫瘍効果があることが示されている。また、疫学研究の中には、コーヒーおよび紅茶を摂取する女性は悪性黒色腫(メラノーマ)リスクが低いと報じているものもある。マサチューセッツ大学アマースト校のHaotian Wu氏らは、WHI(Women's Health Initiative)観察研究コホート(フォローアップ中央値 7.7年)に登録されている6万6,484人の閉経後女性を対象に、コーヒー・紅茶と悪性黒色腫リスクとの関連をプロスペクティブに検討した。その結果、長期的にコーヒーを飲む人の間で悪性黒色腫リスクが低いという観察結果は得られたが、著者らは「摂取の量やタイプによる一貫性が欠如していることから、本結果を過剰解釈することは適切ではない」との見解を示している。European journal of cancer prevention誌オンライン版2014年10月16日号に掲載報告。

切除不能大腸がんの1次治療、FOLFOXIRI+BVが有効/NEJM

 切除不能大腸がんの1次治療において、フルオロウラシル(5-FU)/ロイコボリン(LV)+オキサリプラチン+イリノテカン(FOLFOXIRI)とベバシズマブ(BV)の併用療法は、標準治療である5-FU/LV+イリノテカン(FOLFIRI)とBVの併用療法よりも良好な予後をもたらすことが、イタリア・ピサ大学のFotios Loupakis氏らが行ったTRIBE試験で示された。切除不能大腸がんの1次治療では、従来、FOLFIRIまたは5-FU/LV+オキサリプラチン(FOLFOX)と血管内皮細胞増殖因子(VEGF)のモノクローナル抗体であるBVの併用療法が標準治療とされる。しかしBVの臨床導入以前にFOLFOXIRIのほうがFOLFIRIやFOLFOXよりも有効性が優れることが示されており、またFOLFOXIRI+BVの第II相試験において、有望な抗腫瘍効果と良好な安全性が確認されていた。NEJM誌2014年10月23日号掲載の報告より。

白血病等へのCD19-CAR改変T細胞療法、有望/Lancet

 再発性・難治性の急性リンパ性白血病、または非ホジキンリンパ腫の患者に対する、CD19をターゲットとするキメラ抗原受容体(CD19-CAR)改変T細胞を投与する治療法について、その実行可能性は90%、最大耐量は1×106個/kgであり、有害事象はすべて可逆的であることが明らかにされた。米国立がん研究所(NCI)のDaniel W Lee氏らが、21例の患者について行った第I相臨床試験の結果で、Lancet誌オンライン版2014年10月13日号で発表した。

卵巣がんのリスク予測モデル、識別良好/BMJ

 ベルギー、ルーヴェン・カトリック大学のBen Van Calster氏らは、卵巣がんの良性または悪性を識別する術前のリスク予測モデル「Assessment of Different NEoplasias in the adnexa(ADNEX)」を開発した。10ヵ国24施設5,909例の患者の協力を得た開発・検証の前向き診断試験において、良好に識別したことを報告。また、同モデルにより、良性、境界悪性、ステージI浸潤、ステージII~IV浸潤、および二次性(転移性)腫瘍を識別できたという。著者は、「ADNEXモデルは、患者トリアージおよび治療方針を改善し、付属器関連の罹患率および死亡率に大きな影響を及ぼすだろう」と述べている。BMJ誌オンライン版2014年10月15日号掲載の報告より。