血液内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:59

鉄剤静注はメリットあるが感染リスクで相殺/BMJ

 鉄剤の静注投与は、ヘモグロビン濃度を増大し、同種異系の赤血球輸血リスクを低下して急性期治療を要する幅広い場面で適用可能だが、一方で感染リスクの増大もあり、その潜在的有効性は相殺されてしまうことが明らかにされた。オーストラリア・王立パース病院のEdward Litton氏らがシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。急性期の患者に対し赤血球輸血は有用だが関連有害事象、コストや不足に対する懸念が増加している。一方で鉄剤の静注投与は、鉄欠乏性貧血患者のヘモグロビン濃度を増大するのに有効であることは明らかであったが、その他の重大有害事象との関連や感染リスクについては不明であった。BMJ誌オンライン版2013年8月15日号掲載の報告より。

高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫、早期介入が有用/NEJM

 くすぶり型多発性骨髄腫の高リスク例については、レナリドミド(商品名:レブラミド)、デキサメタゾン(同:レナデックス)を用いた治療を早期に開始したほうがベネフィットを得られることが、スペイン・サラマンカ大学病院のMaria-Victoria Mateos氏らによる検討の結果、明らかにされた。くすぶり型多発性骨髄腫に対する治療は、有効な治療薬がほとんどなく、利用可能な治療薬は長期毒性への懸念があり、症状が発現するまでは経過観察が標準とされている。背景には、同疾患の活動性疾患への進行リスクが低い(年率10%)ことがあるが、研究グループは、これまで研究ターゲット集団として検討されていなかった、同患者の40%を占める高リスク例(進行する確率が2年で50%)について、早期介入の有用性を検討する第3相無作為化オープンラベル試験を行った。NEJM誌2013年8月1日号の掲載報告。

再発・難治性B細胞リンパ増殖性腫瘍に対する新規分子標的薬イブルチニブ(コメンテーター:大田 雅嗣 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(120)より-

Bruton's Tyrosine Kinase(BTK) 阻害薬イブルチニブは、B細胞受容体シグナル伝達系阻害薬で、B細胞性慢性リンパ増殖性疾患に対する有望な治療薬である。本論文は再発・難治性CLLに対するPhase 1b-2多施設研究である。用量にかかわらず有害事象の低さ、26ヵ月時点での無増悪生存率(PFS) 75%、全生存率(OS) 83%と、良好な長期有効率が報告されている。

APLに対し、ATRA+三酸化ヒ素がATRA+化学療法より優れる可能性/NEJM

 急性前骨髄球性白血病(APL)に対し、全トランス型レチノイン酸(ATRA)+三酸化ヒ素の併用治療は、標準治療とされているATRA+化学療法と比較して少なくとも非劣性であり、優れている可能性が示された。イタリア・トール・ヴェルガータ大学のF. Lo-Coco氏ら研究グループが、第3相多施設共同の無作為化試験を行い報告した。APLに対する標準治療のATRA+化学療法の治癒率は80%を超える。一方で、三酸化ヒ素のAPLに対する有効性も高く、また、ATRAの併用療法について検討した予備試験(ATRA有無別で検討)では、高い有効性と血液毒性の軽減が示されていた。NEJM誌2013年7月11日号掲載の報告より。

慢性リンパ性白血病に対して国内初の分子標的薬

 白血病の1つである慢性リンパ性白血病(CLL)は、わが国の患者数が約2,000人と推計されている希少疾病である。治療はフルダラビンやシクロホスファミドを用いた化学療法が第一選択であるが、これらに効果がない場合や再発した場合の新たな治療選択肢として、分子標的薬であるアーゼラ(一般名:オファツムマブ)が今年5月24日に発売された(適応は「再発または難治性のCD20陽性のCLL」)。

イブルチニブ、再発・難治性CLLで高い長期寛解率を達成/NEJM

 ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬イブルチニブ(ibrutinib、国内未承認)は、再発・難治性慢性リンパ性白血病(CLL)および小リンパ球性リンパ腫(SLL)の治療において高い有用性を示す可能性があることが、米国・オハイオ州立大学のJohn C. Byrd氏らの検討で明らかとなった。BTKはB細胞受容体シグナル伝達系の主要コンポーネントで、腫瘍微小環境との相互作用を誘導し、CLL細胞の生存や増殖を促進するとされる。イブルチニブはBTKを阻害する経口薬で、正常T細胞には有害な影響を及ぼさないという特徴を持ち、CLL、SLLを含む第I相試験で有望な安全性と抗腫瘍効果が確認されている。NEJM誌オンライン版2013年6月19日号掲載の報告。