脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:60

レベチラセタムは、全般/分類不能てんかんの第一選択薬か/Lancet

 全般てんかんおよび分類不能てんかんの治療において、レベチラセタムにはバルプロ酸に匹敵する臨床効果はなく、質調整生存年(QALY)に基づく費用対効果もバルプロ酸のほうが良好であることが、英国・リバプール大学のAnthony Marson氏らが実施した「SANAD II試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2021年4月10日号で報告された。  研究グループは、新たに診断された全般てんかんおよび分類不能てんかんの治療におけるレベチラセタムの長期的な臨床的有効性と費用対効果を、バルプロ酸と比較する目的で、非盲検無作為化第IV相非劣性試験を行った(英国国立健康研究所[NIHR]医療技術評価プログラムの助成による)。

片頭痛に対するeptinezumabの安全性・忍容性

 ヒト化抗CGRPモノクローナル抗体の1つであるeptinezumabは、片頭痛患者を対象とした5つの大規模臨床試験により評価が行われている。米国・StudyMetrix ResearchのTimothy R. Smith氏らは、これらの研究結果を統合分析し、eptinezumabの包括的な安全性および忍容性を評価した。The Journal of Headache and Pain誌2021年3月30日号の報告。  4つのランダム化二重盲検プラセボ対照試験のデータおよび1つのオープンラベル試験における最初の1年間のデータをプールし、分析を行った。  主な結果は以下のとおり。

小児高悪性度神経膠腫への遺伝子組み換えヘルペスウイルスG207、第I相試験結果/NEJM

 小児の再発/進行性高悪性度神経膠腫(HGG)患者において、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)G207の腫瘍内投与単独または放射線療法併用は、忍容性が良好であることが認められた。米国・アラバマ大学バーミングハム校のGregory K. Friedman氏らが、第I相試験の結果を報告した。再発/進行性HGGの小児/青年の予後は不良で、これまでの報告では全生存(OS)期間中央値はわずか5.6ヵ月とされている。G207は、HSV-1を用いた遺伝子組み換え腫瘍溶解性ウイルスで、成人HGG患者の第I相試験で腫瘍内投与と単回放射線照射併用の安全性が確認され、前臨床試験において小児脳腫瘍モデルはG207による腫瘍溶解に高い感受性があることが示されていた。小児HGGは、腫瘍浸潤リンパ球がほとんどない免疫学的に“silent”または“cold”tumorであるが、著者は「G207により、免疫学的に“cold”tumorが“hot”tumorに変わった」とまとめている。NEJM誌オンライン版2021年4月10日号掲載の報告。

日本における認知症専門チームに対する金銭的インセンティブの効果

 これまで、急性期治療環境下における認知症治療の質は批判的にみられていた。2016年に日本において、急性期病院の認知症専門家チームによる認知症ケアに対する金銭的インセンティブが導入された。筑波大学の森田 光治良氏らは、この金銭的インセンティブが、短期的な結果(院内死亡率および30日間の再入院)に対して有用であったかを調査した。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2021年3月17日号の報告。

わずか1mLの尿で脳腫瘍を判定、99%の正確度/名大

 脳腫瘍は、手足が動かない、言葉が話せないといった神経症状が出現するまでCTやMRI検査を受ける機会がなく、発見時にはすでにかなりの大きさに進行しているケースが多い。しなしながら、進行した脳腫瘍は手術で完全に取り除くことは難しく、いかに腫瘍が小さい段階で発見し、治療を開始するかが肝要である。名古屋大学の夏目 敦至氏ら研究チームは、尿中に含まれるマイクロRNAを測定することにより、99%の正確度で脳腫瘍が診断できる可能性を見出だした。本研究結果は、2021年4月1日付でACS Applied Materials & Interfaces誌オンライン版に掲載された。

難治性片頭痛に対する抗CGRPモノクローナル抗体の効果

 スペイン・Hospital Universitari Vall d'HebronのMarta Torres-Ferrus氏らは、難治性片頭痛患者に対する抗CGRPモノクローナル抗体の効果について、評価を行った。Journal of Neurology誌オンライン版2021年3月27日号の報告。  対象は、1ヵ月間に8日以上の頭痛が認められ、3回以上予防薬を服用しなかった片頭痛患者。人口統計学的、医学的情報および片頭痛の病歴を収集した。ベースライン時および12週間後に電子頭痛日誌を用いて患者報告アンケートを実施し、1ヵ月間の頭痛日数、1ヵ月間の片頭痛日数、痛みの強さ(0~3の数値回答)、鎮痛薬の使用に回答した。患者は、改善頻度に応じて、治療反応50%以上、75%以上、100%に分類された。

血清尿酸値と認知症リスク~メタ解析

 中国医科大学のZhike Zhou氏らは、血清尿酸値(UA)と認知症およびそのサブタイプのリスクとの関連を調査するため、メタ解析を実施した。Frontiers in Aging Neuroscience誌2021年2月25日号の報告。  Embase、PubMed、Web of Scienceより、2020年7月までに公表された文献を検索した。標準平均差(SMD)および95%信頼区間(CI)を算出するため、変量効果モデルを用いた。  主な結果は以下のとおり。 ・適格基準を満たした研究は23件(5,575例)であった。 ・全体として、認知症患者のUAレベルは、非認知症患者と比較し、低かった(SMD:-0.32、95%CI:-0.64~-0.01、p=0.04)。 ・認知症タイプのサブグループ解析では、UAとアルツハイマー病(AD)およびパーキンソン病認知症(PDD)との関連が認められたが、血管性認知症(VaD)との関連は認められなかった。

片頭痛に対するCGRPモノクローナル抗体eptinezumab~メタ解析

 片頭痛は、最も一般的な神経疾患の1つである。片頭痛の病態生理には、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)が重要な役割を果たしている。中国・蘇州大学附属第一医院のZeya Yan氏らは、片頭痛に対するCGRP関連モノクローナル抗体eptinezumabの有効性、安全性をシステマティックに評価するため、メタ解析を実施した。The Journal of Headache and Pain誌2021年3月6日号の報告。  Medline、Embase、Cochrane Library、Clinicaltrials.govより、2020年9月までに公表された片頭痛に対するeptinezumabのプラセボ対照ランダム化比較試験(RCT)を検索した。データの評価には、Review Manager 5.3ソフトウエアを用いた。リスク比(RR)および標準平均差(SMD)は、ランダム効果モデルによる2分アウトカムおよび連続アウトカムを用いてそれぞれ分析した。

降圧治療と副作用:システマティックレビューおよびメタ解析(解説:石川讓治氏)-1370

高血圧は心血管イベント発症のリスク増加と関連し、降圧治療が心血管イベント発症を抑制することが報告されている。STRATIFY研究グループのメンバーは、降圧薬の介入試験や大規模観察研究の結果のシステマティックレビューとメタ解析を行い、降圧治療は全死亡、心血管死亡、脳卒中の発症抑制と関連し、降圧治療の副作用としては、転倒のリスク増加とは有意な関連がなく(1次評価項目:リスク比1.05、95%信頼区間0.89~1.24)、2次評価項目である急性腎障害(リスク比1.18、95%信頼区間1.01~1.39)、高カリウム血症(リスク比1.89、95%信頼区間1.56~2.30)、低血圧(リスク比1.97、95%信頼区間1.67~2.32)、失神(リスク比1.28、95%信頼区間1.03~1.59)といった副作用のリスク増加と関連していたことを報告した1)。Bromfieldら2)の以前の研究においても、降圧治療中の転倒のリスクは血圧レベルよりもフレイルの存在やポリファーマシーと関連していたことが報告されており、本研究のメタ解析においても降圧治療は転倒のリスク増加と関連していなかったことが再確認された。

脳卒中再発予防のためには、一過性脳虚血発作(TIA)症状をどこまで広くとらえるべきか?(解説:森本悟氏)-1372

日本脳卒中学会(2019)や国際疾病分類(ICD-11)により、一過性脳虚血発作(TIA)とは、“局所脳または網膜の虚血に起因する神経機能障害の一過性のエピソードであり、急性梗塞の所見がないもの。かつ、神経機能障害のエピソードは、長くとも24時間以内に消失すること。”と定義されている。また、1975年の米国国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS)による報告では、突然発症の“複視、構音障害、眩暈、失調、感覚低下、両側の視覚障害”といった非進行性かつ単発の症状は、TIAとしては典型的ではないとしている(Stroke. 1975;6:564-616.)。2017年にLavallee氏らが、これらの症状をisolated atypical transient symptomsとして、1年後の脳卒中再発率を検討したところ、典型的なTIA患者と比較しても差は認められなかった(Lavallee PC, et al. Stroke. 2017;48:1495-1500.)。