脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:58

日本における認知症高齢者に対するエビデンスベースの作業療法の実践と影響要因

 日本では、認知症患者数が急速に増加しており、エビデンスベースの作業療法(EBOT)に対するニーズが高まっている。このEBOTについて、認知症に対する臨床的改善効果が報告されている。北海道大学の長谷川 愛氏らは、日本の認知症患者に対するEBOTの現在の実践状況を調査し、EBOTの実践に影響を及ぼす因子を明らかにするため、検討を行った。Hong Kong Journal of Occupational Therapy誌2020年12月号の報告。  認知症患者の治療を行っている作業療法士432人を対象に、郵送にて匿名の自己報告アンケートを実施した。記述統計データを整理し、EBOTの実践に影響を及ぼす因子を明らかにするため、重回帰分析を行った。

脳卒中後の上肢麻痺、“慢性期”でも回復の希望―リハビリの効果を底上げする神経刺激デバイス(解説:森本悟氏)-1399

脳卒中診療は、近年血栓溶解療法や血栓回収療法、あるいは急性期・回復期リハビリテーションの発達により、機能予後の改善は着実にみられている。しかしながら、それでもなお、麻痺等の後遺障害が残存、数ヵ月以上を経て症状が固定し、いわゆる慢性期というそれ以上回復の望みにくいステージへと移行していく。無論治療法がないわけではなく、脳卒中治療ガイドライン2015(追補2019対応)において、脳卒中後の上肢機能障害に対するリハビリテーションは、慢性期であっても麻痺の程度に応じて、麻痺側上肢の強制使用や、特定の動作の反復を伴った訓練、あるいは電気刺激の使用が、(上肢機能障害に対して)行うよう勧められている。

がん通院中患者の新型コロナ抗体量は低値、投与薬剤によって差も/国がん

 国立がん研究センターとシスメックスは、2021年6月2日、がん患者における新型コロナウイルスの罹患状況とリスクを評価するため、2020年8月から10月にかけて500人のがん患者と1,190人の健常人について新型コロナウイルスの抗体保有率と抗体量を調査した。  その結果、新型コロナウイルスの罹患歴のない対象では、がん患者、健常人共に抗体保有率は低く、両群で差がないことがわかった。一方、抗体の量は、健常人と比較し、がん患者で低いことが明らかになった。これは年齢、性別、合併症の有無、喫煙歴といった因子で調整しても有意な差を認めた。

日本においてアルツハイマー病の重症度が介護費用などに及ぼす影響

 アルツハイマー病は、社会的費用を増加させ、患者のADLやQOLを低下させる。東京大学の芦澤 匠氏らは、日本の高齢者施設におけるアルツハイマー病の重症度がADL、QOL、介護費用にどのような影響を及ぼすかについて、検討を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌2021年号の報告。  対象は、47の高齢者施設に入所しているアルツハイマー病患者3,461例。患者のADL、QOL、アルツハイマー病の重症度は、それぞれBarthel Index(BI)、EuroQoL-5D-5L(EQ-5D-5L)、ミニメンタルステート検査(MMSE)を用いて評価した。年間介護費用は、患者のレセプトデータを用いて推定した。対象患者は、MMSEスコアに従って、軽度(MMSE:21~30)、中等度(MMSE:11~20)、高度(MMSE:0~10)の3群に分類した。3群間の違いは、Jonckheere-Terpstraテストを用いて評価した。

治療抵抗性片頭痛に対する抗CGRPモノクローナル抗体fremanezumab~FOCUS試験

 FOCUS試験では、世界各国の片頭痛患者、とくに治療困難な患者に対する予防薬の有効性や安全性を検討している。米国・Boston PainCareのEgilius L. H. Spierings氏らは、FOCUS試験のサブグループ解析として、既存の片頭痛予防の2~4つのクラスを用いた治療に奏効しなかった反復性および慢性片頭痛成人患者に対する抗CGRPモノクローナル抗体fremanezumabによる治療の有効性を評価した。The Journal of Headache and Pain誌2021年4月16日号の報告。

片頭痛でも診療を受けない人は43%も/日本イーライリリー

 日本イーライリリー株式会社は、わが国の片頭痛診療の現状に関する大規模横断的疫学調査を行った。本調査は、日本に居住しかつ片頭痛の診断基準(ICHD-3)に該当するもしくは1年以内に頭痛発作を経験しかつ医師による片頭痛の診断を受けたことがある成人を対象に、わが国おける片頭痛の診断状況、治療パターン、および治療の妨げに関して、記述的に評価することを目的に行われ、その結果を第62回 日本神経学会学術大会で発表した。

脳底動脈閉塞、血管内治療vs.内科的治療/NEJM

 脳底動脈閉塞による脳梗塞患者において、血管内治療と内科的治療は良好な機能的アウトカムに有意差は認められなかったことが、オランダ・St. Antonius HospitalのLucianne C M Langezaal氏らが7ヵ国23施設300例を対象に実施した評価者盲検無作為化比較試験の結果で示された。なお、この結果について著者は、「主要評価項目の信頼区間が広いことから、血管内治療の実質的な有益性を排除するものではないと考えられる」と指摘し、「脳底動脈閉塞に対する血管内治療の有効性と安全性を判断するためには、より大規模な試験が必要である」とまとめている。NEJM誌2021年5月20日号掲載の報告。

日本におけるアルツハイマー病と歯数との関連

 日本人高齢者における残存または欠損している歯数とアルツハイマー病との関連について、日本歯科総合研究機構の恒石 美登里氏らは、レセプト情報・特定健診等情報データベースを用いて、横断的な分析を行った。PLOS ONE誌2021年4月30日号の報告。  歯周病(400万9,345例)またはう蝕(虫歯)による抜歯(66万2,182例)の治療を行った60歳以上の患者を対象に、歯科医療レセプトデータを用いて、残存または欠損している歯数に関するデータを収集した。これらの歯数に関するデータとアルツハイマー病の診断を含む医療データを組み合わせて分析を行った。残存する歯数および第3大臼歯(親知らず)を除く欠損している歯数は、歯科医療レセプトの歯科用式を用いて算出し、それぞれ3群に分類した。アルツハイマー病のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)の算出には、年齢、性別で調整した後、ロジスティック回帰モデルを用いた。

日本人高齢者における認知症リスクと音楽活動

 認知症リスクの低減のために、余暇の認知活動が推奨されている。大阪大学のAhmed Arafa氏らは、日本人高齢者における認知症リスクとさまざまな音楽活動との関連について調査を行った。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2021年4月6日号の報告。  日本老年学的評価研究(JAGES)プロジェクトに参加した65歳以上の高齢者5万2,601人を対象に、縦断的データを分析した。楽器演奏、カラオケ、合唱、民謡などの音楽活動についてアンケートを用いて評価した。認知症の診断には、介護保険制度で標準的に使用される認知症尺度を用いた。Cox回帰を用いて、音楽活動に関連した認知症のハザード比および95%信頼区間(CI)を算出した。

脳梗塞後の上肢運動機能障害、リハ+迷走神経刺激で改善/Lancet

 虚血性脳卒中後の長期にわたる中等度~重度の上肢運動機能障害の治療において、リハビリテーション療法との組み合わせによる迷走神経刺激療法(VNS)は偽(sham)刺激と比較して、Fugl-Meyer Assessment上肢運動項目(FMA-UE)で評価した上肢運動機能障害の改善効果が優れ、新たな治療選択肢となる可能性があることが、英国・グラスゴー大学のJesse Dawson氏らが実施した「VNS-REHAB試験」で示された。Lancet誌2021年4月24日号掲載の報告。  本研究は、英国と米国の19の脳卒中リハビリテーション施設が参加した三重盲検擬似的処置(sham)対照比較試験であり、2017年10月~2019年9月の期間に参加者の無作為化が行われた(米国MicroTransponderの助成による)。