吸入薬の使い方、効果発現の要は舌を下げること 気管支喘息治療の根幹はステロイド薬を中心とした吸入薬であり、正しい吸入操作を行うことが必要不可欠である。今回、藤田保健衛生大学の堀口 高彦氏らは、吸入デバイスの操作だけでなく、目に見えない口腔内の状況、とくに舌に焦点を当て、吸入薬使用時の望ましい舌の位置について検討を行った。その結果、舌を下げて吸入薬の通り道をつくることで、より多くの薬剤が咽頭に到達し、気管方向に流入していく様子が確認できた。舌が吸入薬の流入経路の妨げにならないよう、舌と舌根をなるべく下げ、喉の奥を広げるよう患者に指導することが望ましい。今回の結果は、The journal of allergy and clinical immunology:In practice誌2018年5~6月号に掲載された。
日本の急性期統合失調症患者に対するブレクスピプラゾールの有効性と安全性 CNS薬理研究所の石郷岡 純氏らは、日本人急性期統合失調症患者におけるブレクスピプラゾールの有効性、安全性、忍容性について、プラセボと比較し、評価を行った。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2018年5月18日号の報告。
認知症リスクが高い睡眠時間は?~久山町研究 日本人高齢者において、「睡眠時間5時間未満もしくは10時間以上」「睡眠薬の使用」が、認知症や死亡の危険因子であることが示唆された。九州大学の小原 知之氏らが久山町研究での調査結果をJournal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2018年6月6日号に報告。
食の欧米化で前立腺がんリスクが高まる 食の欧米化は前立腺がんのリスクを高める可能性があることが、国立がん研究センターのSangah Shin氏らの研究で明らかになった。Cancer Causes & Control誌2018年6月号に掲載。
日本における抗認知症薬の処方量に関する研究 2015年時点で、世界で認知症を有する人は4,700万人いるといわれている。認知症の有病者数は、2050年には1億3,200万人に達すると予想されており、そのうちアジア諸国が51%を占めると予想されている。日本は、OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で最も認知症の有病率が高く、人口の2%(約500万人)が認知症に罹患している。
全粒穀物食は内臓脂肪を減少させる 全粒穀物食を取り入れることによって内臓脂肪が減少することが、株式会社日清製粉グループ本社の菊池 洋介氏らの研究によって明らかになった。Plant Foods for Human Nutrition誌2018年4月18日号に掲載。
緑茶は口腔関連QOLに好影響~亀岡スタディ 緑茶とコーヒーはどちらも健康によい効果をもたらすことが知られているが、口腔健康に関連する生活の質(OHRQoL)との関連は不明である。今回、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の南里 妃名子氏らは、高齢者コホートでの調査で、緑茶摂取量がOHRQoLと関連することを報告した。とくに男性では、1日3杯以上の摂取でOHRQoL不良リスクが減ることが示唆された。一方、コーヒー摂取量との関連は示されなかった。European Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2018年5月23日号に掲載。
乳児期に被災した福島の子供は体重増加の傾向 生後10ヵ月までに福島県で東日本大震災の被害を受けた子供は、過体重の傾向があることが福島県立医科大学の小野 敦史氏らの研究により明らかになった。この結果について小野氏は、福島第一原子力発電所に近く放射線量がより高い浜通りや中通りにおいて外出が制限されたことが関係しているという見解を示している。BMJ Paediatrics Open誌2018年2月7日号に掲載。
足趾力が糖尿病の診断マーカーとなる可能性 糖尿病患者の足趾力は、糖尿病に罹患していない人よりも有意に弱いことがトヨタ自動車健康支援センターウェルポの諏訪 雅貴氏らの研究によって明らかになった。著者らは、「糖尿病の診断マーカーとしては、握力よりも足趾力が適しているだろう」としている。Endocrine Journal誌オンライン版2018年3月28日号に掲載。
何kg増加から高リスク? 体重過多や肥満の妊婦 体重過多の妊婦では出産までの体重増加を11.5kgまでにおさめ、肥満の妊婦では出産時に体重を減少させることが望ましいことが、横浜市立大学附属市民総合医療センターの廣岡 潤子氏らによる研究で明らかになった。Endocrine Journal誌2018年5月28日号に掲載。
食物依存性運動誘発アナフィラキシーの有病率と特性:日本の小学生 小学生の食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)の有病率は、中学生のそれと比べて有意に低いことが、神奈川県立足柄上病院の真部 哲治氏らの研究により明らかになった。また、主な原因食物は小麦であった。Pediatrics International誌2018年4月号に掲載。
現代女性は低体温 基礎体温36℃未満が4割近くも 現代女性の平均基礎体温は36.5℃で、36℃未満の女性が38%もいる。こんな研究結果が5月25日~27日大阪で開催された日本抗加齢医学会で発表された。産科婦人科舘出張 佐藤病院院長の佐藤雄一氏、順天堂大学医学部小児科学講座らの共同研究グループが民間の3万2000人のビッグデータを分析して明らかにした。
認知症を除外できない?高齢者の新運転免許制度 多発する高齢ドライバーによる事故を防ぐため、2017年3月の道路交通法改正で75歳以上の運転免許更新の手続きが変更になったが、新制度でも認知症の高齢者を必ずしもスクリーニングできていない―。八千代病院認知症疾患医療センターの川畑信也氏は、5月25日~27日大阪で開催された日本抗加齢医学会の「自動車運転の現在と未来」と題したシンポジウムで、こうした問題提起を行った。
男女の排尿時間はどちらが長いか?~日本抗加齢医学会総会 「あなたは自分が何秒間おしっこしているか知っていますか?」 男女別の排尿時間という、これまで泌尿器科、婦人科の世界できちんと検証されてこなかったシンプルな疑問を明らかにしたのは、旭川医科大学病院臨床研究支援センターの松本 成史氏。5月25日~27日に大阪で開催された日本抗加齢医学会のシンポジウム中でその研究成果を発表した。
中高生時代の部活が心血管死リスクに影響か~日本人7万人調査 日本人の中高生時代における運動部への参加と成人期の運動習慣が心血管疾患(CVD)死亡率にどのように関連するのかを、米国・Harvard T.H. Chan School of Public Healthのゲロ クリスティーナ氏らが調査した。その結果、成人期に運動している男性において、中高生時に運動部に参加していた人の冠動脈疾患(CHD)死亡リスクはより低いことが示唆された。Preventive Medicine誌オンライン版2018年5月10日号に掲載。
日本人は身長が高いと脳血管死亡リスク低い~JPHC研究 成人の身長と死亡リスクの関連が以前の研究で示唆されているが、日本人における身長と全死因死亡率・疾患別死亡率との包括的な関連は不明である。今回、わが国の前向きコホート研究(JPHC研究)で評価したところ、成人での身長が高いと、男女共に脳血管疾患死亡リスクが低く、逆に男性のがん死亡リスクが高いことが示唆された。PLOS ONE誌2018年5月14日号に掲載。
うつ病に関する理解とスティグマの調査 うつ病による負荷は、世論、スティグマ、そしてその結果として生じる行動から影響を受ける。うつ病患者やその周囲に関する知識の欠如、誤解、スティグマは、彼らのメンタルヘルスを改善するうえで障壁となっている。筑波大学の横谷 省治氏らは、うつ病に関する世論、とくに認知、治療法、スティグマについて調査を行った。Journal of clinical medicine research誌2018年3月号の報告。
うつ病に対するアリピプラゾールとセルトラリン併用療法の二重盲検ランダム化比較試験 昭和大学の上島 国利氏らは、セルトラリン100mg/日で効果不十分なうつ病患者を対象に、アリピプラゾール併用またはプラセボ併用による有効性および安全性の比較検討を行った。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2018年4月16日号の報告。
喫煙による難聴リスク~日本の大規模コホート わが国の職域多施設研究であるJapan Epidemiology Collaboration on Occupational Health Study(J-ECOH Study)において、喫煙が難聴(とくに高音域)リスクと関連することが示された。この喫煙による過剰リスクは、禁煙後、比較的短期間で消失するという。Nicotine & Tobacco Research誌オンライン版2018年3月14日号に掲載。
日本人の学歴・職歴と認知症の関連に糖尿病は関与するか 欧米では、低い社会経済的地位(SES)と認知症との関連は生活習慣病(糖尿病)を介すると報告されている。しかし、わが国では低SESと認知症の関連は研究されていない。今回、敦賀看護大学(福井県)の中堀 伸枝氏らの研究から、低SESと認知症の間のメディエーターとして、生活習慣病の役割はきわめて小さいことが示唆された。BMC Geriatrics誌2018年4月27日号に掲載。