日本発エビデンス|page:71

日本人肺がんの悪液質に対するanamorelin二重盲検試験の結果(ONO-7643-04)

 進行がん患者では、除脂肪体重を主体とする体重減少と食欲不振といった形で表れる悪液質がよくみられる。悪液質を有する日本のがん患者において、新たな選択的グレリン受容体アゴニストであるanamorelin(ONO-7643)の有効性と安全性を検討したONO-7643-04試験の結果が、先端医療センター研究所 片上 信之氏らによりCancer誌に発表された。

青年期におけるうつや不安の変化と精神病様症状体験との関連

 最近の横断研究では、精神病様症状体験(PLE:psychotic-like experience)が青年のうつ病や不安に関連していることが示唆されている。縦断研究において、PLEの持続により、青年のうつ病や不安がより重篤であることが観察されているが、PLEの出現や寛解により、うつ病や不安の悪化や改善が認められるかはわかっていない。東京都医学総合研究所の山崎 修道氏らは、青年期におけるうつ病や不安の縦断的変化と1年間のPLE軌跡との関連について、学校ベースの調査により検討を行った。Schizophrenia research誌オンライン版2017年10月18日号の報告。

スタチン長期投与で頸動脈硬化進行を抑制

 スタチンの頸動脈内中膜複合体厚(IMT)の進行抑制効果は、脳梗塞の既往がない欧米人でのみ確認されている。今回、心原性脳梗塞症以外の脳梗塞を発症した日本人において、プラバスタチン(10mg/日、日本における通常用量)の頸動脈IMTへの影響を検討した結果、5年間で頸動脈IMTの進行を有意に抑制したことを国立循環器病研究センターの古賀 政利氏らが報告した。本結果から、低用量(10mg/日)でも長期投与により頸動脈硬化進行を抑制し、アテローム血栓性脳梗塞の再発予防につながることが示唆された。Stroke誌オンライン版2017年11月30日号に掲載。

日本の出生年別のピロリ菌感染率~17万人のメタ解析

 一般集団におけるH. pylori感染率(有病率)のトレンドの変化が、日本での胃がん死亡率の低下をもたらした主な要因と考えられている。そこで、愛知医科大学のChaochen Wang氏らは、H. pylori感染率それ自体が出生コホートパターンを示すかどうかを確認するために、日本人のH. pylori感染率を報告した研究の系統的レビューを行い、17万752人のメタ回帰分析を実施した。Scientific reports誌2017年11月14日号に掲載。

化学療法制吐薬としてのオランザピンの本邦第II相試験/IJCO

 近年、がん化学療法に対する制吐薬としてのオランザピンの研究結果が報告されている。本邦においても、高度催吐性化学療法に対する、オランザピンの多施設無作為化二重盲検第II相用量設定試験が行われ、国立がん研究センター中央病院の矢内 貴子氏らがInternational Journal of Clinical Oncology誌に結果を報告した。

日本人男性、不眠でうつ病リスクが10倍にも

 椙山女学園大学の西谷直子氏らは、男性労働者における不眠症とうつ病発症との関連を調査し、不眠症の重症度とうつ病発症との関連を明らかにするため、3年間のコホート研究を行った。International journal of public health誌オンライン版2017年10月20日号の報告。  男性労働者を対象に、うつ病と不眠症に関する自己管理アンケートを3年間実施した。うつ病はうつ病自己評価尺度(CES-D)を用いて評価し、不眠症はアテネ不眠尺度(AIS)を用いて評価した。ベースライン時にうつ病でない男性840例について分析を行った。  主な結果は以下のとおり。 ・113例にうつ病が認められた。 ・Cox回帰分析では、ベースライン時に不眠症(AISスコア1以上)であった男性は、うつ病発症リスクが7倍以上高かった。 ・さらに、不眠症ではなかった男性(AISスコア0)と比較し、AISスコア1~3の男性のうつ病リスクは5.2倍高く、AISスコア4以上の男性はうつ病リスクが約10倍高かった。  著者らは「本研究による新たな知見は、不眠症の重症度とともにうつ病発症リスクが増加することであった」としている。

日本の喫煙者のがんリスク、禁煙何年で喫煙歴ゼロと同じに?

 日本人のがん罹患リスクは、男性で21年以上、女性で11年以上禁煙すれば、喫煙歴のない人と同レベルまで低下することが、東京大学の齋藤 英子氏らによる研究で明らかになった。男性では、20 pack-year以上のヘビースモーカーにおいても同様の結果であるという。早いうちに禁煙することが、がん予防への近道であると考えられる。Cancer epidemiology誌オンライン版2017年11月2日号の報告。

O型女性は胃十二指腸潰瘍リスクが高い~日本ナースヘルス研究

 ABO式血液型でO型の日本人女性は、他の血液型の女性よりも胃十二指腸潰瘍の発症リスクが有意に高いことが、群馬大学のLobna Alkebsi氏らの研究により明らかになった。また、1955年以前に出生した群は、それ以降に出生した群よりも高リスクであった。Journal of epidemiology誌オンライン版2017年10月28日号の報告。

うつ病リスクが低下する日本人に適切な魚類の摂取量は

 魚類の消費やイコサペント酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)などのn-3多価不飽和脂肪酸(PUFA)レベルがうつ病のリスク低下と関連していることが、観察研究のシステマティックレビューにより明らかとなっている。また、n-3PUFAの逆J字型効果が示唆されている。しかし、魚類の消費量の多い集団からのエビデンスは限られており、うつ病の標準的な精神医学的ベースの診断を用いた研究はない。国立がん研究センターの松岡 豊氏らは、日本人における魚類、n-3PUFA、n-6PUFAの消費とうつ病リスクとの関連を、集団ベースのプロスペクティブ研究にて調査を行った。Translational psychiatry誌2017年9月26日号の報告。