ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:176

喘息に対するdupilumab、第IIb相試験でも有効性確認/Lancet

 dupilumabは、コントロール不良の持続型喘息患者において、吸入ステロイド(ICS)+長時間作用性β2刺激薬(LABA)への併用投与により、血中好酸球数にかかわらず肺機能を改善し、重度の喘息増悪の発現を減少することが認められた。安全性プロファイルは良好で、QOLの改善も示唆された。米国・ピッツバーグ大学のSally Wenzel氏らが、dupilumabの4用量を検討した第IIb相試験の結果、報告した。dupilumabは、インターロイキン(IL)-4受容体αサブユニットに対する完全ヒトモノクローナル抗体で、2型ヘルパーT細胞による免疫反応の鍵となるIL-4およびIL-13のシグナル伝達を阻害する。第I相ならびに第IIa相試験において、喘息患者におけるdupilumabの有効性と安全性が示されたが、対象が好酸球数高値の患者に限られ、検討された用法も週1回投与のみであった。Lancet誌オンライン版2016年4月26日号掲載の報告。

看護師の夜勤シフトと冠動脈疾患リスク/JAMA

 通常勤務(日勤・準夜勤)に加え月3回以上の夜勤シフト(ルーティン夜勤シフト)勤務に従事する女性看護師は、夜勤シフト従事歴のない人と比べて冠動脈性心疾患(CHD)イベントのリスク増大がみられ、同従事歴が長いほど、リスクは高まることが明らかにされた。米国ハーバード・メディカル・スクールのCeline Vetter氏らが、大規模前向きコホート研究「Nurses’ Health Studies」(看護師健康調査:NHS)の結果を分析した結果で、JAMA誌2016年4月26日号で発表した。勤務シフトとCHDの関連を検討した先行前向き研究では、相反する結果が報告されており、また追跡期間も短期のものだった。

バレニクリン、精神神経系リスク増大せず/Lancet

 禁煙補助薬バレニクリン(商品名:チャンピックス)およびbupropionは、プラセボやニコチンパッチと比べ、精神神経系有害事象リスクの有意な増大は認められないことが示された。被験者に精神疾患の既往があっても同リスクは増大せず、また、バレニクリンはプラセボ、ニコチンパッチ、bupropionのいずれと比べても、禁煙達成率が高かった。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のRobert M. Anthenelli氏らが、禁煙希望の喫煙者8,144例を対象に行った大規模臨床試験「EAGLES」(Evaluating Adverse Events in a Global Smoking Cessation Study)の結果、明らかにした。バレニクリンやbupropionの禁煙補助薬の精神神経系への安全性に関する懸念は払拭されていない。これまでに行われたニコチンパッチとの比較検討は間接的な試験であり、安全性、有効性に関する情報は精神疾患を有する患者に限られていた。Lancet誌オンライン版2016年4月22日号掲載の報告。

虚血性脳卒中、血管内治療を行うほうが機能的転帰良好/BMJ

 虚血性脳卒中の患者に対し、発症から6~8時間内に血栓除去法などの血管内治療を行うほうがrt-PA静注療法を含む内科的治療のみを行った場合に比べ、発症90日以内の機能的アウトカムは良好である。ポルトガル・リスボン大学のFilipe Brogueira Rodrigues氏らが、10の無作為化比較試験を対象に行ったメタ解析の結果、明らかにした。結果を踏まえて著者は、「今回示されたエビデンスは、現行の介入リソースを再構築する必要性、および治療行為を変更する必要性を支持するものであった」とまとめている。BMJ誌オンライン版2016年4月18日号掲載の報告より。

左室駆出率低下の心不全、年齢・性別問わずβ遮断薬が有効/BMJ

 左室駆出分画(LVEF)が0.45未満の心不全患者に対するβ遮断薬は、年齢や性別を問わず、死亡リスクや心不全による入院リスクをいずれも低下する効果があることが、11の無作為化比較試験を対象に行ったメタ解析の結果、明らかになった。英国・バーミンガム大学のDipak Kotecha氏らが行った試験で明らかにしたもので、BMJ誌オンライン版2016年4月20日号で発表した。同服薬について、現状では高齢や女性の患者において、効果が実証された用量よりも少ない量を服用している場合が少なくないという。結果を踏まえて著者は、「年齢、性別を問わず、低LVEFの心不全患者はβ遮断薬を投与されるべきである」とまとめている。

pembrolizumab、進行性悪性黒色腫に有望/JAMA

 進行性悪性黒色腫の治療において、免疫チェックポイント阻害薬pembrolizumabは、高い有効性と良好な安全性を発揮することが、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のAntoni Ribas氏らが行ったKEYNOTE-001試験の長期データの解析で示された。研究の成果は、JAMA誌2016年4月19日号に掲載された。pembrolizumabは、プログラム細胞死1(PD-1)に対するヒト型モノクローナルIgG4-κ抗体であり、同試験の悪性黒色腫の拡大コホート奏効例のフォローアップ期間中央値11ヵ月時の解析では、投与スケジュールの違いやイピリムマブ投与歴の有無により25~52%の客観的奏効率が報告されている。

TIA後の心血管系イベントリスク、従来より低下/NEJM

 一過性脳虚血発作(TIA)発症後の心血管系イベントリスクは先行研究報告よりも低いことを、フランス・Bichat HospitalのPierre Amarenco氏らTIAregistry.org研究グループが、21ヵ国4,789例の患者を対象とした国際多施設共同前向き観察試験の結果、明らかにした。1997~2003年に行われた研究では、TIAまたは軽症脳卒中の発症後3ヵ月間の脳卒中または急性冠症候群発症のリスクは12~20%と推定されていた。その後、TIA治療は大きく変化したが、最近の患者の予後やリスクスコアシステムの有用性については明らかになっていない。研究グループによるTIAregistry.orgプロジェクトは、脳卒中専門医が緊急性を評価するようになった現行医療体制下で治療を受けた、TIAまたは軽症脳卒中患者の最新のプロファイル、再発等のリスク因子、そしてアウトカムを明らかにするようデザインされた研究であった。NEJM誌2016年4月21日号掲載の報告。

リノール酸はヘルシーとは言えない?/BMJ

 リノール酸を多く含む食事により冠動脈疾患または全死亡のリスクが低下する、という伝統的な仮説に否定的な見解が示された。リノール酸を多く含む食事は飽和脂肪酸を多く含む食事と比較して、血清コレステロール値を低下させるが、その低下が大きすぎるとむしろ死亡リスクは高まり、これまで飽和脂肪酸を植物性脂肪に置き換える効果が過大評価されてきた可能性があるという。米国立衛生研究所(NIH)のChristopher E Ramsden氏らが、Minnesota Coronary Experiment(MCE)研究の未発表文書を発見し、生データを再解析するとともに、類似の無作為化比較試験も含めてシステマティックレビューならびにメタ解析を行った結果、報告した。BMJ誌オンライン版2016年4月12日号掲載の報告。

ICUでのチェックリスト等の介入で院内死亡率は改善するか/JAMA

 集中治療室(ICU)の重症患者に対するケアの質を改善するため、毎日のチェックリスト・目標設定・臨床医の指示による多面的な介入を行っても、院内死亡率は減少しない。ブラジル・HCor病院のAlexandre B. Cavalcanti氏らが、観察研究とクラスター無作為化比較試験から成るCHECKLIST-ICU研究の結果、報告した。ICUでのチェックリスト等の導入による多面的質改善介入の有効性に関する研究は、これまですべて高所得国で実施されたものであり、無作為化試験によるエビデンスはなく、ブラジルのような低~中所得国での有効性は不明であった。JAMA誌2016年4月12日号掲載の報告。

急性腎障害、低所得国ほど市中感染が原因に/Lancet

 急性腎障害(AKI)は、その約6割が市中感染で、低所得国や低中所得国ではその割合は8割と高いことが、米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のRavindra L. Mehta氏らによる、世界72ヵ国、約4,000例のデータを対象に前向きに収集して行った国際横断研究「International Society of Nephrology Global Snapshot」の結果、明らかになった。治療7日目の死亡率は、低所得国・低中所得国では12%と、高所得国や高中所得国より高率だったという。Lancet誌オンライン版2016年4月13日号掲載の報告より。

17歳前後の肥満、成人後の心血管死リスクが3.5倍/NEJM

 青年期BMIが50パーセンタイル以上において、成人での心血管疾患死のリスクが増大することが明らかにされた。BMIが50~74パーセンタイルの、いわゆる“許容範囲”と考えられている群でも同リスクの増加が認められ、95パーセンタイル以上群では5~24パーセンタイル群に比べて、心血管疾患死のリスクが3.5倍に増大したという。イスラエル・Sheba Medical CenterのGilad Twig氏らが、平均年齢17.3歳の青年男女230万人について約40年間追跡を行った試験で明らかにしたもので、NEJM誌オンライン版2016年4月13日号で発表した。

駆出率低下心不全、自家骨髄由来の細胞療法で転帰改善/Lancet

 ixmyelocel-T細胞療法は、虚血性拡張型心筋症に起因する駆出率が低下した心不全患者の転帰を改善することが、米国・ユタ大学のAmit N Patel氏らが行ったixCELL-DCM試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2016年4月4日号に掲載された。ixmyelocel-Tは、選択的に増殖させた患者骨髄由来の2種の単核細胞(CD90陽性間葉系幹細胞、CD45陽性/CD14陽性/自家蛍光陽性の活性化マクロファージ)を用いた細胞療法である。初期の臨床試験において、虚血性拡張型心筋症による心不全患者に心筋内投与し、臨床、機能、症状、QOLの転帰を改善する可能性が示唆されている。

心臓手術後の心房細動、心拍数調節か?洞調律維持か?/NEJM

 心臓手術後の心房細動の治療において、心拍数調節(heart-rate control)と洞調律維持(rhythm control)の効果に差はないことが、米国・クリーブランド・クリニックのA. Marc Gillinov氏らCardiothoracic Surgical Trials Network(CTSN)の検討で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2016年4月4日号に掲載された。心房細動は、心臓手術後にみられる最も頻度の高い合併症で(20~50%)、死亡や他の合併症、入院の発生を増加させることが知られている。術後心房細動の予防を目指した種々の研究が進められているが、有効な方法は確立されておらず、病態が安定した患者の初回治療では、心拍数調節と洞調律維持のどちらが優れるかの議論が続いている。

慢性心不全、エナラプリルへのアリスキレン追加は有用か/NEJM

 慢性心不全患者に対し、エナラプリルに加えてアリスキレン(商品名:ラジレス)を投与しても、有害事象が増大するだけでベネフィットは増大しないことが、英国・グラスゴー大学のJohn J.V. McMurray氏らによる無作為化試験の結果、示された。アリスキレンのエナラプリルに対する非劣性は示されなかった。慢性心不全患者に対し、ACE阻害薬は死亡および入院の発生を減少することが知られている。しかし、それら患者に対するレニン阻害薬がどのような役割を果たすのかは不明であった。NEJM誌2016年4月21日号(オンライン版2016年4月4日号)掲載の報告。

中等度虚血性MRへのCABG+僧帽弁形成術、2年時点の結果/NEJM

 中等度の虚血性僧帽弁閉鎖不全症(MR)に対する冠動脈バイパス移植術(CABG)単独手術vs.CABG+僧帽弁形成の併用手術について検討したCTSN(Cardiothoracic Surgical Trial Network)による無作為化試験の、2年アウトカムの結果が米国・マウントサイナイ医科大学のR.E. Michler氏らにより発表された。左室逆リモデリングの有意差は認められず、併用群ではより多くの弁修復が認められたが、単独群と比較して生存の改善、全有害事象や再入院の減少に関する有意差は認められず、一方で神経学的合併症や上室性不整脈の早期発生リスク増大が確認された。本検討については1年時点の評価報告でも、左室収縮終末期容積係数(LVESVI)や生存率の有意差はみられず、有害事象も併用群で多かったが中等度~重度MRの有病率低下がみられ、長期アウトカムの結果における変化が期待されていた。NEJM誌オンライン版2016年4月3日号掲載の報告。

院外心停止に対するアミオダロン vs.リドカイン vs.プラセボ/NEJM

 電気的除細動抵抗性の心室細動(VF)または無脈性心室頻拍(VT)の院外心停止患者に対し、アミオダロンまたはリドカインの投与はプラセボと比較して、生存率や良好な神経学的アウトカムの改善に結び付かないことが、約3,000例を対象とした無作為化二重盲検試験の結果、示された。難治性ショックVF/VTの院外心停止患者に抗不整脈薬が投与されるのは一般的になっているが、生存ベネフィットは実証されていなかった。NEJM誌オンライン版2016年4月4日号掲載の報告。

心房細動患者の出血リスク予測に有用な新規スコア/Lancet

 心房細動患者の抗凝固薬治療に伴う出血リスクを予測するのに有用な新たなスコアが開発された。バイオマーカーベースの「ABC出血リスクスコア」と名付けられたこのスコアは、年齢(Age)、バイオマーカー(Biomarkers)、病歴(Clinical history)の、5つの予測変数(年齢、cTnT-hs、GDF-15[growth differentiation factor-15]、ヘモグロビン、出血歴)から成る。スウェーデン・ウプサラ大学のZiad Hijazi氏らが開発したもので、検証試験の結果、これまでのHAS-BLEDスコアやORBITスコアよりもパフォーマンスに優れていることが示された。著者は「ABC出血リスクスコアを、心房細動患者の抗凝固薬治療に関する意思決定支援に活用すべきである」と報告している。Lancet誌オンライン版2016年4月4日号掲載の報告。

虚血性心筋症、CABG+薬物治療で生存ベネフィット改善/NEJM

 虚血性心筋症の患者に対し、冠動脈バイパス術(CABG)と薬物治療を併用することで、薬物治療のみの場合に比べ、約10年間の全死因死亡率(主要アウトカム)、心血管死亡率や全死因死亡または心血管系が原因の入院の発生率(副次アウトカム)は、いずれも2~3割有意に減少することが示された。米国・デューク大学のEric J. Velazquez氏らが、約1,200例の患者を対象に行った無作為化比較試験STICHESの結果、明らかにしNEJM誌オンライン版2016年4月3日号で発表した。薬物治療のみと比較したCABG+薬物治療の生存ベネフィットは、冠動脈疾患、心不全、および重篤な左室収縮機能障害を有する患者については不明であった。

中等度リスク患者へのスタチン+降圧薬治療の効果は?/NEJM

 心血管疾患既往のない、心血管イベントリスクが中等度の患者に対し、ロスバスタチンと、カンデサルタン+ヒドロクロロチアジドを投与しコレステロール値と血圧値を下げることで、主要心血管イベントリスクは約3割減少することが示された。カナダ・Population Health Research InstituteのS. Yusuf氏らが、約1万3,000例を対象に行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験HOPE-3の結果、明らかにした。NEJM誌オンライン版2016年4月2日号掲載の報告。

院内心停止、早期アドレナリン投与で転帰不良/BMJ

 ショック適応心停止の院内患者について、50%超が初回除細動後2分以内にアドレナリンを投与されている実態が、米国ベスイスラエル・ディーコネス医療センターのLars W Andersen氏らによる調査の結果、判明した。また、早期にアドレナリン投与を受けた患者は、生存退院、心拍再開、機能的アウトカム良好での生存退院のオッズ比が低いことも明らかになった。これまで、心肺蘇生におけるアドレナリン投与の有効性について、とくに早期投与の効果については明らかになっていなかった。BMJ誌オンライン版2016年4月6日号掲載の報告。