ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:11

ビソプロロール併用、COPDの治療を要する増悪を低減せず/JAMA

 増悪リスクの高い慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の治療において、β1選択性β遮断薬ビソプロロールの追加はプラセボと比較して、経口コルチコステロイド、抗菌薬、あるいはこれら両方による治療を要するCOPD増悪の回数を抑制しないことが、英国・リバプール熱帯医学校のGraham Devereux氏らが実施した「BICS試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2024年5月19日号で報告された。   BICS試験は、英国の76施設(プライマリケア施設45、二次医療施設31)で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、2018年10月~2022年5月に参加者を登録した(英国国立衛生研究所[NIHR]医療技術評価[HTA]プログラムの助成を受けた)。

デュピルマブ追加で、COPDの増悪が減少、肺機能改善/NEJM

 血中好酸球数の増加に基づく2型炎症を呈する慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の治療において、標準治療へのヒト型抗ヒトインターロイキン(IL)-4/13受容体モノクローナル抗体デュピルマブの上乗せはプラセボと比較して、COPD増悪の年間発生率を有意に減少させ、肺機能の改善をもたらすことが、米国・アラバマ大学バーミンガム校のSurya P. Bhatt氏らNOTUS Study Investigatorsが実施した「NOTUS試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年5月20日号に掲載された。  NOTUS試験は、29ヵ国329施設で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2020年7月~2023年5月に参加者の無作為化を行った(サノフィとリジェネロン・ファーマシューティカルズの助成を受けた)。

モジュール式リードレスペーシング除細動システム、主要エンドポイント達成/NEJM

 皮下植込み型除細動器(S-ICD)と無線通信するリードレスペースメーカーは、植込み後6ヵ月時におけるリードレスペースメーカー関連主要合併症非発生率、リードレスペースメーカーとS-ICD間の通信成功率、およびパルス幅0.4msでペーシング閾値2.0V以下の患者の割合に関して、パフォーマンス目標を超えた。オランダ・アムステルダム大学医療センターのReinoud E. Knops氏らが、国際共同単群試験「Effectiveness of the EMPOWER Modular Pacing System and EMBLEM Subcutaneous ICD to Communicate Antitachycardia Pacing study:MODULAR ATP試験」の結果を報告した。S-ICDは、経静脈ICDよりリード関連合併症が少ないが、抗頻拍および徐脈ペーシングができない。リードレスペースメーカーとS-ICDの無線通信による抗頻拍および徐脈ペーシングを行うモジュール式ペーシング除細動システムの安全性は明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2024年5月18日号掲載の報告。

前立腺全摘除術後放射線療法へのADT追加、6ヵ月vs.24ヵ月/Lancet

 前立腺全摘除術後の放射線療法への24ヵ月のアンドロゲン除去療法(ADT)の追加は、6ヵ月のADTを追加した場合と比較して無転移生存期間(MFS)を改善したことが示された。英国・The Institute of Cancer ResearchのChris C. Parker氏らRADICALS investigatorsが、カナダ、デンマーク、アイルランド、英国の138施設で実施した無作為化非盲検試験「RADICALS-HD試験」の結果を報告した。これまで、中間および高リスクの限局性前立腺がんに対しては、初期治療として放射線療法とADTの併用を支持するエビデンスがあるが、前立腺全摘除術後の放射線療法とADTの至適併用期間は不明であった。Lancet誌オンライン版2024年5月16日号掲載の報告。

超急性期脳卒中、救急車内での降圧治療は有効か?/NEJM

 急性脳卒中が疑われる血圧高値の患者において、病院到着前に救急車内で降圧治療を行っても機能的アウトカムは改善しない。中国・同済大学のGang Li氏らが、同国51施設で実施した無作為化非盲検試験「INTERACT4試験」の結果を報告した。本試験では、病院到着後に対象患者の46.5%が脳出血と診断された。虚血性か出血性か病型判別前の急性脳卒中の治療は困難で、救急車内の超早期血圧コントロールが、未診断の急性脳卒中患者のアウトカムを改善するかどうかは不明であった。NEJM誌オンライン版2024年5月16日号掲載の報告。  研究グループは、FASTスコア(顔[顔面下垂]、腕[上がらない]、言語[言葉が不明瞭]、時間[救急車を呼ぶまでの時間])が2以上(範囲:0~4、スコアが高いほど症状が強いことを示す)、収縮期血圧150mmHg以上、症状発現後2時間以内の急性脳卒中が疑われる成人患者を、救急車内でただちに降圧治療を行う群(介入群)と、病院到着後に血圧管理を開始する群(通常ケア群)に、地域(中国の東部vs.西部)、年齢(65歳以上vs.65歳未満)、FASTスコア(3点以上vs.2点)を層別因子として無作為に割り付けた。

前立腺全摘除術後放射線療法、ADTなしvs.短期ADT/Lancet

 前立腺全摘除術後の前立腺床に対する放射線療法後に転移がみられることはまれであるが、放射線療法に6ヵ月のアンドロゲン除去療法(ADT)を追加しても、ADTを行わない場合と比較して無転移生存期間(MFS)は改善しないことが示された。英国・The Institute of Cancer ResearchのChris C. Parker氏らRADICALS investigatorsが、カナダ、デンマーク、アイルランド、英国の121施設で実施された無作為化非盲検試験「RADICALS-HD試験」の結果を報告した。これまで、中間および高リスクの限局性前立腺がんに対しては、放射線療法とともに術後補助療法として短期間のADTを行うとMFSが改善することが示されていたが、前立腺全摘除術後の放射線療法とADT併用の有用性は不明であった。Lancet誌オンライン版2024年5月16日号掲載の報告。

HPVワクチン接種プログラムの効果、社会経済的格差で異なるか?/BMJ

 以前の検討によってイングランドで観察されたヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種プログラムの高い予防効果は、その後12ヵ月間の追跡調査においても継続しており、とくにワクチンの定期接種を受けた女性では、社会経済的剥奪の程度5つの段階のすべてで子宮頸がんとグレード3の子宮頸部上皮内腫瘍(CIN3)の発生率が大きく低下したが、剥奪の程度が最も高い地域の女性では低下の割合が最も低い状態にあることがわかった。一方で、子宮頸がんの罹患率は、ワクチン接種女性において、未接種の女性でみられる社会経済的剥奪の程度による勾配はみられなかったことが、英国・ロンドン大学クイーンメアリー校のMilena Falcaro氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年5月15日号に掲載された。

CVDの1次予防にバイオマーカー追加は有用か/JAMA

 心血管イベントの1次予防において、5つの心血管バイオマーカーはいずれもアテローム性動脈硬化性心血管疾患の発生と有意に関連するものの、その関連性は小さく、心不全と死亡率についてはより強力な関連を認めるが、確立された従来のリスク因子と心血管バイオマーカーを組み合わせてもアテローム性動脈硬化性心血管疾患のリスク予測能の改善はわずかであることが、ドイツ・University Heart and Vascular Center HamburgのJohannes Tobias Neumann氏らの検討で示された。研究の成果はJAMA誌オンライン版2024年5月13日号で報告された。

第Xa因子阻害薬投与中の頭蓋内出血、アンデキサネットvs.通常治療/NEJM

 第Xa因子阻害薬投与中の頭蓋内出血患者において、アンデキサネット アルファ(以下、アンデキサネット)は通常治療と比較して優れた止血効果を示し血腫拡大を抑制したが、虚血性脳卒中を含む血栓イベントと関連していた。カナダ・マクマスター大学のStuart J. Connolly氏らANNEXA-I Investigatorsが報告した。第Xa因子阻害薬投与中の急性頭蓋内出血患者は、血腫が拡大するリスクを有している。アンデキサネットは第Xa因子阻害薬の抗凝固作用を中和する薬剤であるが、血腫拡大に対する効果は十分検討されていなかった。NEJM誌2024年5月16・23日号掲載の報告。

Ph陽性ALLの1次治療、減弱化学療法下のポナチニブvs.イマチニブ/JAMA

 新たに診断されたフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph陽性ALL)成人患者において、ポナチニブはイマチニブと比較し、強度減弱化学療法併用下で導入療法終了時の微小残存病変(MRD)陰性完全寛解(CR)率が有意に高く、優越性が認められた。安全性プロファイルはイマチニブと同等であった。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのElias Jabbour氏らが、77施設で実施された第III相国際共同無作為化非盲検比較試験「PhALLCON試験」の結果を報告した。Ph陽性ALLの1次治療では、第1世代または第2世代のBCR-ABL1チロシンキナーゼ阻害薬に対する耐性獲得による病勢進行が一般的であるが、ポナチニブはBCR-ABL1およびT315Iを含むすべての単一変異体を阻害する第3世代のチロシンキナーゼ阻害薬である。JAMA誌オンライン版2024年5月9日号掲載の報告。

禁煙の初期治療失敗、治療別の次の一手は?/JAMA

 バレニクリンによる初期治療(6週間)で禁煙できなかった場合は増量が、ニコチン置換療法(CNRT)による初期治療で禁煙できなかった場合は増量またはバレニクリンへの切り替えが、禁煙率を改善する実行可能な救済戦略となりうることが示された。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのPaul M. Cinciripini氏らが、逐次多段階無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告した。喫煙者のほとんどが最初の試みでは禁煙を達成できないが、これまで初期治療失敗後の治療の選択肢を検証した研究はほとんどなかった。JAMA誌オンライン版2024年5月2日号掲載の報告。

症候性閉塞性肥大型心筋症へのaficamten、酸素摂取量や身体機能が改善/NEJM

 症候性閉塞性肥大型心筋症(HCM)患者において、経口選択的心筋ミオシン阻害薬aficamtenはプラセボと比較し最大酸素摂取量を有意に改善させたことが示された。米国・Lahey Hospital and Medical CenterのMartin S. Maron氏らSEQUOIA-HCM Investigatorsが、14ヵ国101施設で実施された無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「SEQUOIA-HCM試験」の結果を報告した。閉塞性HCM患者における運動耐容能低下や症状の主な原因の1つは、左室流出路(LVOT)閉塞による心内圧の上昇である。aficamtenは、心筋の過剰収縮を軽減することによってLVOT圧較差を減少させることが示唆されていた。NEJM誌オンライン版2024年5月13日号掲載の報告。

特発性重症深部脳内出血、減圧開頭術+内科的治療vs.内科的治療単独/Lancet

 特発性重症テント上深部脳内出血患者において、減圧開頭術+最善の内科的治療が最善の内科的治療単独と比べて優れる可能性のエビデンスは弱いことが、スイス・ベルン大学のJurgen Beck氏らSWITCH study investigatorsによる検討で示された。著者は、「今回の結果は、他の部位の脳内出血に当てはまるものではなく一般化はできない。また、生存は、併用群、内科的治療単独群の両者ともに重度の障害を伴った」と述べている。特発性重症深部脳内出血患者において、減圧開頭術がアウトカムを改善するかは不明であった。Lancet誌オンライン版2024年5月15日号掲載の報告。

切除可能NSCLC、周術期ニボルマブ追加でEFS改善/NEJM

 切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、周術期(術前および術後)補助療法にニボルマブを用いることで、化学療法単独の補助療法と比較して無イベント生存期間(EFS)が有意に延長し、新たな安全性シグナルは観察されなかった。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのTina Cascone氏らCheckMate 77T Investigatorsが試験の結果を報告した。切除可能なNSCLC患者において、ニボルマブ+化学療法の術前補助療法はアウトカムを有意に改善することが示され、術前補助療法における標準治療となっている。ニボルマブを周術期に用いることで、臨床的アウトカムがさらに改善する可能性が示唆されていた。NEJM誌2024年5月16日号掲載の報告。

PSA検査の勧奨は前立腺がん死亡を減らすか?~40万人超・15年間追跡/JAMA

 50~69歳の男性に前立腺特異抗原(PSA)のスクリーニング検査の勧奨を1回行うと、これを行わない通常の診療と比較して、15年後の前立腺がんによる死亡が有意に減少するもののその差はわずかであり、全生存への効果は認めないことが、英国・ブリストル大学のRichard M. Martin氏らが実施した「CAP試験」の2次解析で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌2024年5月7日号で報告された。  本研究では、PSAスクリーニング検査の勧奨から追跡期間中央値10年の時点においては前立腺がん死を抑制しないことが示されており、研究グループは今回、追跡期間中央値15年の結果を報告した(英国王立がん研究基金などの助成を受けた)。  2001年9月~2007年8月に、イングランドとウェールズの573のプライマリケア施設(クラスター)を2つの群に無作為化し、2002年1月~2009年1月までにこれらの施設を受診した年齢50~69歳の男性を解析の対象とした。  介入群では、参加者はPSAスクリーニング検査の勧奨を1回受け、検査でPSA値が3.0~19.9ng/mLの場合は経直腸的超音波ガイド下生検(10コア)を提示された。対照群の参加者は、標準的な管理を受け、PSA検査の勧奨は行われなかった。

ワクチン接種、50年間で約1億5,400万人の死亡を回避/Lancet

 1974年以降、小児期の生存率は世界のあらゆる地域で大幅に向上しており、2024年までの50年間における乳幼児の生存率の改善には、拡大予防接種計画(Expanded Programme on Immunization:EPI)に基づくワクチン接種が唯一で最大の貢献をしたと推定されることが、スイス熱帯公衆衛生研究所のAndrew J. Shattock氏らの調査で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年5月2日号に掲載された。  研究グループは、EPI発足50周年を期に、14種の病原菌に関して、ワクチン接種による世界的な公衆衛生への影響の定量化を試みた(世界保健機関[WHO]の助成を受けた)。  モデル化した病原菌について、1974年以降に接種されたすべての定期および追加ワクチンの接種状況を考慮して、ワクチン接種がなかったと仮定した場合の死亡率と罹患率を年齢別のコホートごとに推定した。

遺伝性網膜変性症、CRISPR-Cas9遺伝子治療が有望/NEJM

 CEP290遺伝子変異による遺伝性網膜変性症患者において、EDIT-101の単回投与は忍容性が良好で光受容体機能の改善が示された。米国・ハーバード大学医学部のEric A. Pierce氏らが、第I/II相非盲検単回投与漸増試験「BRILLIANCE試験」の結果を報告した。CEP290関連遺伝性網膜変性症は、早期に重度の視力低下を引き起こす。EDIT-101は、CEP290のイントロン26(IVS26バリアント)を標的としたCRISPR-Cas9生体内遺伝子編集治療。今回の結果を受けて著者は、「CEP290のIVS26変異体やその他の遺伝子変異による遺伝性網膜変性症の治療において、CRISPR-Cas9生体内遺伝子編集治療のさらなる研究を支持するものである」とまとめている。NEJM誌オンライン版2024年5月6日号掲載の報告。

未治療MCL、免疫化学療法+イブルチニブ±ASCT(TRIANGLE)/Lancet

 未治療・65歳以下のマントル細胞リンパ腫(MCL)患者において、自家造血幹細胞移植(ASCT)+免疫化学療法へのイブルチニブ追加はASCT+免疫化学療法に対する優越性を示したが、ASCT後のイブルチニブの投与継続により有害事象が増加した。ドイツ・ミュンヘン大学病院のMartin Dreyling氏らEuropean Mantle Cell Lymphoma Networkが欧州13ヵ国およびイスラエルの165施設で実施した無作為化非盲検第III相優越性試験「TRIANGLE試験」の結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「導入療法および維持療法にイブルチニブを追加することは、65歳以下のMCL患者の1次治療の一部とすべきで、イブルチニブを含むレジメンにASCTを追加するかどうかはまだ決定されていない」とまとめている。Lancet誌オンライン版2024年5月2日号掲載の報告。

超加工食品、摂取量が多いと死亡リスク増大~30年超の調査/BMJ

 超加工食品の摂取量が多いほど、がんおよび心血管疾患以外の原因による死亡率がわずかに高く、その関連性は超加工食品のサブグループで異なり、肉/鶏肉/魚介類をベースとした調理済みインスタント食品のサブグループでとくに強い死亡率との関連性が認められたという。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のZhe Fang氏らによる、追跡期間30年超のコホート研究で示された。超加工食品は健康に悪影響を及ぼすことが示唆されているが、長期間にわたり食事評価を繰り返し行う大規模コホートでの超加工食品摂取による死亡率への影響に関するエビデンスは限られていた。BMJ誌2024年5月8日号掲載の報告。

新生児の緊急挿管、ビデオ喉頭鏡vs.直接喉頭鏡/NEJM

 新生児の緊急挿管において、ビデオ喉頭鏡は直接喉頭鏡よりも初回挿管成功率が高いことが示された。アイルランド・National Maternity HospitalのLucy E. Geraghty氏らが、単施設無作為化臨床試験の結果を報告した。新生児に気管挿管を繰り返し試みることは有害事象の増加と関連しているが、臨床医が喉頭鏡で気道を直接観察する場合、初回挿管に成功する割合は半分以下とされている。ビデオ喉頭鏡は、ブレードの先端にカメラが付いており気道の様子が画面に映し出されることから、成人および小児では直接喉頭鏡を使用した場合より初回挿管成功率が高いことが報告されているが、新生児におけるビデオ喉頭鏡の有効性については不明であった。NEJM誌オンライン版2024年5月5日号掲載の報告。