ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:12

小児~成人期のnon-HDL-C高値、中年期の心血管イベントと関連/JAMA

 小児期から成人期まで、持続的な非HDLコレステロール(non-HDL-C)高値の脂質異常症を有する人は心血管イベントのリスクが高かったが、成人期までにnon-HDL-C値が改善した人は脂質異常症ではなかった人と心血管リスクは同程度であることが、オーストラリア・メルボルン大学のFeitong Wu氏らによる、International Childhood Cardiovascular Cohort(i3C)コンソーシアムの前向きコホート研究で示された。non-HDL-C上昇は小児によくみられ、成人期の心血管リスクを増大することが知られる。しかし、小児期のnon-HDL-C上昇が成人期までに改善することが臨床的な心血管リスクの低下と関連するかどうかは不明であった。著者は今回の結果から、「小児期のnon-HDL-C上昇を予防・軽減するための介入が、早発性心血管疾患の予防に役立つ可能性が示唆された」とまとめている。JAMA誌オンライン版2024年4月12日号掲載の報告。

左室駆出率が保たれた急性心筋梗塞、β遮断薬の長期投与は有効か/NEJM

 左室駆出率(LVEF)が保たれている(≧50%)急性心筋梗塞患者では、長期のβ遮断薬投与は投与しなかった場合と比較して、全死因死亡と新たな心筋梗塞の発生の複合主要エンドポイントを改善せず、安全性のエンドポイントには差がないことが、スウェーデン・ルンド大学のTroels Yndigegn氏らが実施した「REDUCE-AMI試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌2024年4月7日号で報告された。  REDUCE-AMI試験は、3ヵ国(スウェーデン、エストニア、ニュージーランド)の45施設で実施したレジストリーベースの前向き非盲検無作為化並行群間比較試験であり、2017年9月~2023年5月に患者を登録した(Swedish Research Councilなどの助成を受けた)。

olezarsen月1回投与、トリグリセライドを50%減/NEJM

 olezarsenは、開発中のアポリポ蛋白C-III(APOC3)mRNAを標的とするN-アセチルガラクトサミン結合型アンチセンス・オリゴヌクレオチド。米国・ハーバード大学医学大学院のBrian A. Bergmark氏らBridge-TIMI 73a Investigatorsは、「Bridge-TIMI 73a試験」において、主に中等度の高トリグリセライド(TG)血症を有し心血管リスクが高い患者集団では、本薬の月1回投与によりプラセボと比較して、TG値を有意に低下させ、安全性に関する重大な懸念は生じないことを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年4月7日号に掲載された。

難治性狭心症、冠静脈洞へのデバイス留置で症状改善/Lancet

 冠静脈洞狭窄デバイス(coronary-sinus reducer:CSR)は、狭心症患者の心筋血流を改善しなかったが、狭心症エピソード数を減少した。英国・Imperial College Healthcare NHS TrustのMichael J. Foley氏らが、英国の6施設で実施した医師主導の無作為化二重盲検プラセボ対照試験「ORBITA-COSMIC試験」の結果を報告した。CSRは、心筋血流を改善することにより、安定冠動脈疾患患者の狭心症を軽減することが示唆されていた。著者は、「今回の結果は、CSRが安定冠動脈疾患患者に対するさらなる抗狭心症治療の選択肢となりうるエビデンスを提供するものである」としている。Lancet誌2024年4月20日号掲載の報告。

不安定プラーク、至適薬物療法+予防的PCI追加で予後改善/Lancet

 冠動脈に血流を阻害しない不安定プラークを有する患者において、予防的経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の追加は至適薬物療法のみと比較し、高リスクの不安定プラークに起因する主要有害心血管イベントが減少したことを、韓国・蔚山大学のSeung-Jung Park氏らが、韓国、日本、台湾およびニュージーランドの計15施設で実施した医師主導の無作為化非盲検比較試験「PREVENT試験」の結果を報告した。著者は、「PREVENT試験は不安定プラークに対する局所治療の効果を示した最初の大規模臨床試験であり、今回の知見はPCIの適応を、血流を阻害しない高リスクの不安定プラークに拡大することを支持するものである」とまとめている。急性冠症候群や心臓死は不安定プラークの破裂および血栓症によって引き起こされることが多く、その多くは冠血流を阻害しない。不安定プラークに対するPCIによる予防的治療の安全性と心臓有害事象の減少に対する有効性は不明であった。Lancet誌オンライン版2024年4月8日号掲載の報告。

手術低~中等度リスク重症大動脈弁狭窄症、TAVI vs.SAVRの1年成績/NEJM

 手術リスクが低~中等度の症候性重症大動脈弁狭窄症患者において、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)は外科的大動脈弁置換術(SAVR)に対して、1年時の全死因死亡または脳卒中の複合アウトカムに関して非劣性であることが示された。ドイツ・ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターのStefan Blankenberg氏らが、同国の38施設で実施した医師主導の無作為化非劣性試験「DEDICATE-DZHK6試験」の結果を報告した。TAVIとSAVRの両方が適応となる手術リスクが低い症候性重症大動脈弁狭窄症患者では、日常診療における適切な治療戦略に関するデータが不足していた。NEJM誌オンライン版2024年4月8日号掲載の報告。

狭小弁輪を伴う大動脈弁狭窄症へのTAVR、自己拡張型弁vs.バルーン拡張型弁/NEJM

 狭小弁輪を伴う重症大動脈弁狭窄症患者において、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)は自己拡張型弁のバルーン拡張型弁と比較して、12ヵ月時点の臨床アウトカムに関する非劣性、および生体弁機能不全に関する優越性が検証された。米国・ペンシルベニア大学のHoward C. Herrmann氏らSMART Trial Investigatorsが、13ヵ国83施設で実施した無作為化試験「Small Annuli Randomized to Evolut or SAPIEN Trial:SMART試験」の結果を報告した。狭小弁輪を伴う重症大動脈弁狭窄症患者は、TAVR後に弁の血行動態が低下し心血管系臨床アウトカムが不良となるリスクが報告されていた。NEJM誌オンライン版2024年4月7日号掲載の報告。

ACSへのPCI後1~12ヵ月でのチカグレロル単独vs.アスピリン併用/Lancet

 最新の薬剤溶出性ステントを用いた経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後、抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)で1ヵ月間イベントフリーを維持した急性冠症候群(ACS)患者において、PCI後1~12ヵ月のチカグレロル単独投与は、チカグレロル+アスピリン投与に比べ、臨床的に重要な出血リスクを減少し、主要有害心脳血管イベント(MACCE)リスクが同等であることが示された。中国・南京医科大学のZhen Ge氏らが、3,400例を対象とした無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果を報告した。著者は、「先行研究の結果と照らし合わせ、この集団のほとんどの患者は1ヵ月間のDAPT後に、アスピリンの中止およびチカグレロル単独の維持療法による優れた臨床アウトカムを得られることが示された」とまとめている。Lancet誌2024年4月7日号掲載の報告。

セマグルチド、肥満関連の心不全・2型糖尿病に有効/NEJM

 肥満に関連した左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF)と2型糖尿病を有する患者に対し、セマグルチドの週1回投与はプラセボ投与と比較し、1年時点で心不全関連の症状と身体的制限の軽減、および体重減少が大きかった。米国・Saint Luke's Mid America Heart InstituteのMikhail N. Kosiborod氏らSTEP-HFpEF DM Trial Committees and Investigatorsが、616例を対象とした無作為化試験の結果を報告した。肥満症と2型糖尿病は、HFpEF患者では一般的にみられ、症状の負荷が大きいことが特徴であるが、2型糖尿病を有する肥満に関連したHFpEFを標的とする治療法は、これまで承認されていない。NEJM誌2024年4月18日号掲載の報告。

急性冠症候群へのPCI、血管内超音波ガイド下vs.血管造影ガイド下/Lancet

 急性冠症候群患者に対する最新の薬剤溶出性ステントを用いた経皮的冠動脈インターベンション(PCI)において、血管造影ガイド下と比較して血管内超音波ガイド下では、心臓死、標的血管心筋梗塞、臨床所見に基づく標的血管血行再建術の複合アウトカムの1年発生率が有意に良好であることが、中国・南京医科大学のXiaobo Li氏らが実施した「IVUS-ACS試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年4月8日号に掲載された。  IVUS-ACS試験は、4ヵ国(中国、イタリア、パキスタン、英国)の58施設で実施した無作為化臨床試験であり、2019年8月~2022年10月に患者の登録を行った(Chinese Society of Cardiologyなどの助成を受けた)。  年齢18歳以上の急性冠症候群患者3,505例(年齢中央値62歳、男性73.7%、2型糖尿病31.5%)を登録し、血管内超音波ガイド下PCIを受ける群(1,753例)、血管造影ガイド下PCIを受ける群(1,752例)に無作為に割り付けた。1年間の追跡を完了したのは3,504例(>99.9%)であった。

迅速承認の抗がん剤の臨床的有用性/JAMA

 米国では、食品医薬品局(FDA)の迅速承認を受けたがん治療薬の多くは、承認から5年以内に全生存期間(OS)または生活の質(QOL)に関して有益性を示せず、確認試験で臨床的有用性を示したのは半数に満たないことが、米国・ハーバード大学医学大学院のIan T. T. Liu氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年4月7日号で報告された。  研究グループは、FDAによる迅速承認を受けたがん治療薬が最終的に臨床的有用性を示すかを確認し、通常承認への転換の根拠を評価する目的でコホート研究を行った(Arnold Ventures and the Commonwealth Fundの助成を受けた)。  迅速承認は、満たされない医療ニーズのある重篤な疾患の特定の治療薬について、代替評価項目の改善に基づいて承認を許可する優先審査制度。迅速承認を受けた医薬品の製造企業は、有効性を確認するために臨床評価項目の評価を行う承認後臨床試験の実施を求められる。

エンパグリフロジン、急性心筋梗塞後には?/NEJM

 心不全リスクが高い急性心筋梗塞後の患者に対し、エンパグリフロジンによる治療はプラセボ治療との比較において、入院を要する初回心不全または全死因死亡リスクの有意な低下にはつながらなかった。米国・Baylor Scott and White Research InstituteのJaved Butler氏らが、無作為化プラセボ対照試験の結果を報告した。先行研究でエンパグリフロジンは、心不全を有する患者、心血管リスクの高い2型糖尿病患者、慢性腎臓病(CKD)患者において心血管アウトカムを改善することが示されていたが、急性心筋梗塞後の患者における安全性および有効性は不明であった。NEJM誌オンライン版2024年4月6日号掲載の報告。

がんスクリーニング試験の主要評価項目、StageIII/IVがん罹患で代替可能か/JAMA

 がんスクリーニングに関する無作為化試験では一般的に、がん特異的死亡が主要評価項目として用いられている。その代替評価項目としてStageIII~IVのがん罹患を用いるのは、一部のがん種については適切ではないことが、フランス・国際がん研究機関(IARC)のXiaoshuang Feng氏らによる検討で示された。StageIII~IVのがん罹患を代替評価項目として用いると、がんスクリーニング無作為化試験をより早期に終了できる可能性が示唆されていた。著者は、「今回の結果は、多がんスクリーニング検査の臨床試験に影響を及ぼすだろう」と述べている。JAMA誌オンライン版2024年4月7日号掲載の報告。

多枝病変のSTEMI、FFRガイド下完全血行再建か責任病変のみPCIか/NEJM

 多枝病変を有するST上昇型心筋梗塞(STEMI)または超高リスクの非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)患者において、追跡期間4.8年時点の全死因死亡、心筋梗塞または予定外の血行再建術の複合リスクは、血流予備量比(FFR)ガイド下完全血行再建術と責任病変のみの経皮的冠動脈インターベンション(PCI)で差は認められなかった。スウェーデン・カロリンスカ研究所のFelix Bohm氏らが、スウェーデン、デンマーク、セルビア、フィンランド、ラトビア、オーストラリア、ニュージーランドの7ヵ国32施設で実施した無作為化試験「FFR-Guidance for Complete Nonculprit Revascularization trial:FULL REVASC試験」の結果を報告した。多枝病変を有するMI患者およびSTEMI患者におけるFFRガイド下完全血行再建術の有益性は明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2024年4月8日号掲載の報告。

ALK陽性非小細胞肺がんの術後補助療法、アレクチニブvs.化学療法/NEJM

 切除可能なStageIB~IIIAのALK融合遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の術後補助療法として、アレクチニブはプラチナ製剤ベースの化学療法と比較し無病生存期間(DFS)を有意に改善した。中国・南方医科大学のYi-Long Wu氏らALINA Investigatorsが、日本を含む26ヵ国の113施設で実施した国際共同無作為化非盲検第III相試験「ALINA試験」の結果を報告した。切除可能なALK融合遺伝子陽性NSCLC患者の術後補助療法はプラチナ製剤ベースの化学療法が標準治療であるが、化学療法と比較したアレクチニブの有効性および安全性についてはデータが不足していた。NEJM誌2024年4月11日号掲載の報告。  研究グループは、18歳以上で抗がん剤による全身療法歴のない切除可能なStageIB(腫瘍≧4cm)、II、またはIIIA(UICC/AJCC第7版に基づく)のALK融合遺伝子陽性NSCLC患者を、アレクチニブ群(600mgを1日2回、24ヵ月間または再発・容認できない毒性発現まで経口投与)またはプラチナ製剤ベースの化学療法群(1サイクル21日として最大4サイクル静脈内投与)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。

脳内出血24時間以内の低侵襲血腫除去術、180日アウトカム良好/NEJM

 急性期脳内出血後24時間以内に手術が可能だった患者において、低侵襲血腫除去術はガイドラインに基づく内科的管理に比べ、180日時点の機能的アウトカムが良好であることが示された。米国・エモリー大学のGustavo Pradilla氏らによる300例を対象とした多施設共同無作為化試験の結果で、著者らは「脳葉出血への介入が手術の効果に寄与しているものと思われる」と述べている。先行研究では、テント上脳内出血の外科的除去の試験は、概して機能への効果がないことが示されている。早期の低侵襲外科的除去により、内科的管理よりも良好なアウトカムが得られるかは明らかになっていなかった。NEJM誌2024年4月11日号掲載の報告。

早期パーキンソン病へのGLP-1受容体作動薬、進行抑制効果を確認/NEJM

 診断後3年未満のパーキンソン病患者を対象とした糖尿病治療薬のGLP-1受容体作動薬リキシセナチド療法について、第II相のプラセボ対照無作為化二重盲検試験で、プラセボと比較して12ヵ月時点での運動障害の進行を抑制したことが示された。ただし、消化器系の副作用を伴った。フランス・トゥールーズ大学病院のWassilios G. Meissner氏らLIXIPARK Study Groupによる検討結果で、NEJM誌2024年4月4日号で発表された。リキシセナチドは、パーキンソン病のマウスモデルで神経保護特性を示すことが報告されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「より長期かつ大規模な試験により、パーキンソン病患者に対するリキシセナチドの有効性および安全性を確認することが必要である」とまとめている。

診療ファシリテーターの介入、CKDや高血圧患者の入院は減少せず/NEJM

 腎機能障害をもたらす3疾患(慢性腎臓病[CKD]、2型糖尿病、高血圧)を有する患者のケアに対し、電子健康記録(electronic health record:EHR)に基づくアルゴリズムと、医療従事者を支援する診療ファシリテーターを導入する介入は、通常ケアと比較して、1年の時点での入院の減少に至らないことが、米国・テキサス大学サウスウェスタン医療センターのMiguel A. Vazquez氏らが実施した「ICD-Pieces試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌2024年4月4日号に掲載された。

肺静脈隔離術+左心耳結紮術、心房細動の予後を改善するか/JAMA

 初回カテーテルアブレーションを受ける非発作性心房細動患者では、肺静脈隔離術(PVI)単独と比較して左心耳(LAA)結紮術+PVIは、術後30日以内の重篤な有害事象の発現(安全性)を有意に改善するものの、12ヵ月後の時点で心房細動の発現がない状態(有効性)に有意な差はないことが、米国・Kansas City Heart Rhythm InstituteのDhanunjaya R. Lakkireddy氏らが実施した「aMAZE試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2024年4月2日号で報告された。  aMAZE試験は、非発作性心房細動に対するカテーテルアブレーションにおけるLAA結紮デバイス(LARIAT、AtriCure製)の安全性と有効性の評価を目的とする非盲検無作為化試験。2015年10月~2019年12月に米国の53施設で患者を登録し行われた(AtriCureの助成を受けた)。

新型コロナが世界の死因の第2位に(GBD 2021)/Lancet

 米国・ワシントン大学のMohsen Naghavi氏らGBD 2021 Causes of Death Collaboratorsは、「世界疾病負担研究(GBD)」の最新の成果としてGBD 2021の解析結果を報告した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行により、長期にわたる平均余命の改善や多くの主要な死因による死亡の減少が妨げられ、このような悪影響が地域によって不均一に広がった一方、COVID-19の流行にもかかわらず、いくつかの重要な死因の減少には継続的な進展がみられ、世界的な平均余命の改善につながったことが明らかとなった。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2024年4月3日号に掲載された。