メタ解析で明らかになったHIV/AIDSにおける発癌リスク

HIV治療の進歩により、HIV感染後の生命予後は以前に比べだいぶ長くなった。そこで近年、関心の高まりを見せているのが、「発癌リスク」などHIVの長期感染に伴う合併症の問題だ。元来、免疫低下が直接関係する癌としてHIV感染者やAIDS患者で指摘されてきたのは、カポジ肉腫、非ホジキン性リンパ腫、子宮癌の3種のみだが、臓器移植後の免疫低下患者では、広範囲の癌種の発症増加が報告されている。 このような中、7月7日付Lancet誌で報告されたオーストラリアにあるニュー・サウス・ウェールズ大学のGrulich氏らの研究では、HIV/AIDSを対象にしたコホート試験と、臓器移植のレシピアントを対象にしたコホート試験とをメタ解析した結果、臓器移植レシピアント群だけでなくHIV/AIDS群においても、免疫低下が主因と考えられる多種の感染症由来の癌発症リスクが増大していることが明らかにされた。