ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:198

脳梗塞、最新デバイスによる早期介入が有効/NEJM

 CT灌流画像法(CT perfusion imaging:CTP)で近位部大脳動脈輪閉塞と救助可能な組織(salvageable tissue)の残存が確認された虚血性脳卒中患者では、ステント型血栓回収デバイスSolitaire FRを用いた早期血管内治療が、アルテプラーゼ(rt-PA)治療単独と比較して、再灌流や早期神経学的回復および機能的アウトカムを改善することが示された。オーストラリア・王立メルボルン病院のB.C.V. Campbell氏らが、無作為化試験EXTEND-IAを行い報告した。虚血性脳卒中の患者に対する血管内治療の試験報告にはばらつきがあることから、研究グループは、より最新の画像診断やデバイスを用いた早期の介入が、アウトカムを改善するのかについて検討した。NEJM誌オンライン版2015年2月11日号掲載の報告より。

献血後のHb回復に鉄サプリが有効/JAMA

 献血後の低用量鉄分サプリメント服用は、非服用と比較して、ヘモグロビン値の80%回復までの期間を短縮することが、米国・輸血医療研究所(Institute for Transfusion Medicine、ピッツバーグ)のJoseph E. Kiss氏らによる非盲検無作為化試験の結果、示された。服用群の回復までの期間中央値は76日だった。また期間の短縮は、試験のベースラインで層別化したフェリチン値低値(26ng/mL以下)群または高値(26ng/mL超)群ともにみられたという。米国では献血の間隔を8週間空けることとされているが、献血者のヘモグロビン値標準値(12.5g/dL)への回復が遅れる頻度が高く、一部の献血者では貧血になることがみられるという。研究グループは、献血後の鉄分貯蔵状態への鉄サプリ服用の効果を調べるため本検討を行った。JAMA誌2015年2月10日号掲載の報告より。

甲状腺がん新薬、無増悪生存期間を大幅延長/NEJM

 ヨウ素131治療抵抗性の進行性甲状腺がんに対し、レンバチニブ(国内承認申請中)は、無増悪生存期間を大幅に延長し、増悪・死亡リスクを約8割低減することが示された。フランス・ギュスターヴ・ルシィ研究所のMartin Schlumberger氏らが第III相無作為化二重盲検多施設試験の結果、報告した。レンバチニブは、血管内皮増殖因子受容体1、2、3、線維芽細胞増殖因子受容体1~4、血小板由来増殖因子受容体α、RET、KITの経口阻害薬で、ヨウ素131治療抵抗性の分化型甲状腺がん患者を対象とした第II相試験で臨床活性を示したことが報告されていた。NEJM誌2015年2月12日号掲載の報告より。

心不全、心筋梗塞、肺炎で入院の高齢者の再入院・死亡リスク/BMJ

 心不全や急性心筋梗塞、肺炎で入院した高齢者は、退院後数ヵ月にわたり、再入院や死亡リスクが高い状態にあることが明らかにされた。初回再入院リスクが最大値から50%に減少するのは、心不全で退院後38日だった。米国・コロンビア大学医療センターのKumar Dharmarajan氏らが、メディケアに加入する米国高齢者300万人超のデータについて分析し明らかにした。結果を踏まえて著者は、「高齢患者は退院後、しばらくの間は健康に関して用心することが必要である。一方、医療提供者は、退院後高齢患者の絶対リスクや回復への軌跡に関する知識を活用することで有害転帰を軽減する介入を行うことができるだろう」とまとめている。BMJ誌オンライン版2月5日号掲載の報告より。

血管内治療の追加で脳梗塞の予後改善/NEJM

 急性期虚血性脳卒中の患者に対し、標準治療に加えステント型血栓回収デバイスによる迅速血管内治療を行うと、身体機能や死亡率が改善され、QOLも良好であることが、カナダ・カルガリー大学のMayank Goyal氏らが行ったESCAPE試験で示された。前方循環の動脈近位部閉塞に起因する脳卒中では、t-PA(アルテプラーゼ)治療を行っても患者の60~80%が発症後90日以内に死亡または機能的自立が回復されない。これまでの試験からは、閉塞の部位が動脈近位部であることを証明し、迅速かつ効果的な画像法で梗塞巣が大きい患者を除外し、効率のよい作業手順で迅速な再疎通と高い再灌流率を達成することが重要であり、血栓の回収には前世代よりもステント型デバイスのベネフィットが優れることが知られている。NEJM誌オンライン版2015年2月11日号掲載の報告。

2型糖尿病に降圧治療は有効か/JAMA

 2型糖尿病患者に対する降圧治療は、全死因死亡や心血管疾患のほか、脳卒中、網膜症、アルブミン尿などのリスクを改善することが、英国・オックスフォード大学のConnor A. Emdin氏らの検討で示された。糖尿病患者は平均血圧が高く、血圧の上昇は糖尿病患者における大血管障害および細小血管障害のリスク因子として確立されている。一方、糖尿病患者への降圧治療の是非や目標血圧値については、現在もさまざまな議論が続いている。JAMA誌2015年2月10日号掲載の報告。

溺水児の蘇生術、30分が目処か/BMJ

 心停止・低体温の溺水児の蘇生について、30分以内に自己心拍再開がみられなかった場合、予後はきわめて不良であることを、オランダ・フローニンゲン大学のJ K Kieboom氏らが後ろ向きコホート研究の結果、報告した。30分以内に自己心拍再開した場合は神経学的転帰は良好となる可能性は高まり、とくに溺水事故が冬に起きた場合にその傾向が認められたという。著者は、「所見は、心停止・低体温となった溺水児について30分超の蘇生治療の価値に疑問符を付けるものであった」とまとめている。BMJ誌2015年2月10日号掲載の報告より。

降圧強化治療はタイムリーな管理が重要/BMJ

 高血圧治療において、収縮期血圧強化閾値が150mmHg超であること、血圧上昇後の降圧強化治療開始が1.4ヵ月超遅れること、強化治療後の次回受診までの期間が2.7ヵ月超空くことは、急性心血管イベントや死亡の増大と関連することが明らかにされた。米国ベスイスラエル・ディーコネス・メディカルセンターのWenxin Xu氏らが住民ベースの後ろ向きコホート研究の結果、報告した。著者は、「高血圧患者の治療ではタイムリーな管理とフォローアップが重要であることを支持する所見が示された」と述べている。BMJ誌オンライン版2015年2月5日号掲載の報告より。

オセルタミビルは有効か?メタ解析で検討/Lancet

 成人インフルエンザ患者に対しオセルタミビル(商品名:タミフル)は、臨床的な症状緩和までの時間を短縮し、下気道合併症や入院リスクを低下することが明らかにされた。英国のロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院のJoanna Dobson氏らが、9試験4,328例を組み込んだメタ解析の結果、報告した。なお安全性に関しては、悪心と嘔吐の発生増大が判明したという。本分析では神経学的または精神医学的な障害や重篤な有害事象の記録はなかったと報告している。Lancet誌オンライン版2015年1月30日号掲載の報告より。

疾病負担大きい疾病の研究が必ずしも活発ではない/BMJ

 英国・オックスフォード大学のConnor A Emdin氏らは、世界疾病負担(global burden of disease)と無作為化試験との関連について分析した。その結果、同負担と試験数との関連は弱いことなどを報告した。以前の検討では、特定の疾病の同負担と試験のアウトプットおよび低所得地域との間で中程度の関連があることが示唆されていた。しかし、低所得地域の人々が影響を受ける疾病に向けられる研究投資は多くはない。そこで研究グループは、無作為化試験の発表件数と世界疾病負担とに関連性がみられるかどうか、また、負担に比して研究調査が少ない特定の疾病があるかどうか、さらに無作為化試験のアウトプットと世界疾病負担の関連について、高所得地域および低所得地域別に説明可能であるかについて分析を行った。BMJ誌オンライン版2015年1月28日号掲載の報告より。

心房細動へのワルファリン、腎機能低いと大出血リスク増/BMJ

 心房細動でワルファリン服用を開始した高齢患者について、腎機能が低下しているほど、大出血リスクが増大することが明らかにされた。とくに服用開始30日以内でその傾向は顕著で、また消化管出血により増大することも示された。カナダ・カルガリー大学のMin Jun氏らが、アルバータ州の患者登録データを基に、約1万2,000例の患者について行った後ろ向きコホート試験により明らかにした。BMJ誌オンライン版2015年2月3日号掲載の報告より。

新開発の血管デバイス、難治性狭心症に有効/NEJM

 開発中の冠静脈洞径縮小デバイス(coronary-sinus reducing device)は、血行再建が適応外の難治性狭心症患者の症状およびQOLを有意に改善することが、ベルギー・Ziekenhuis Netwerk AntwerpenのStefan Verheye氏らが行ったCOSIRA試験で示された。血行再建が適応とならない冠動脈疾患患者の多くは、標準的薬物療法を行っても難治性狭心症を来す。このような患者は世界的に増加しており、新たな治療選択肢が求められている。本デバイスは、15例の非無作為化試験ですべてのクラスの難治性狭心症に対する効果が確認され、全デバイスが3年後も開存し、移動もしておらず、また最近の21例の試験では症状および虚血の改善が報告されている。NEJM誌2015年2月5日号掲載の報告。

IFNフリーレジメン、4つの遺伝子型のHCVとHIV重複感染に有効/Lancet

 C型肝炎ウイルス(HCV)とヒト免疫不全ウイルス(HIV)の重複感染患者の治療において、インターフェロン(IFN)フリーレジメンであるソホスブビル+リバビリン併用療法は、HCVの4つの遺伝子型のいずれに対しても高い有効性を発揮することが、フランス・パリ第7大学(ディドロ)のJean-Michel Molina氏らが行ったPHOTON-2試験で示された。欧州ではHIV感染例の25%にHCVの重複感染が認められ、遺伝子型2および3型HCVとHIVの重複感染例にはIFNフリーレジメンが承認されているが、1および4型HCV重複感染例の治療選択肢はIFNベースレジメンに限られる。PHOTON-1試験では、未治療の1~3型および既治療の2および3型HCVの重複感染例に対する本レジメンの有効性が確認されている。Lancet誌オンライン版2015年2月3日号掲載の報告。

超急性期脳卒中への硫酸Mgの有用性は?/NEJM

 脳卒中が疑われる患者に対し、病院到着前に神経保護療法として硫酸マグネシウムの投与を行っても、予後は改善されないことが、米国南カリフォルニア大学のJeffrey L Saver氏らが行ったFAST-MAG試験で示された。脳卒中急性期の再灌流療法の補完的治療戦略として、神経保護薬が有望視されている。硫酸マグネシウムは、脳卒中の前臨床モデルで神経保護作用が示され、ヒトでは発症早期の投与による有効性の徴候および許容可能な安全性プロファイルが確認されている。NEJM誌2015年2月5日号掲載の報告。

健康的な食事はCOPDリスクも減らす/BMJ

 先行研究で、食事の質を測る新たな代替健康食指数(Alternate Healthy Eating Index 2010:AHEI-2010)が、心血管疾患や糖尿病などの慢性疾患やがんのリスクに関連していることが報告されている。フランス・国立保健医学研究所(Inserm)のRaphaelle Varraso氏らは、米国人男女対象の前向きコホート研究を行い、同指数高値と慢性閉塞性肺疾患(COPD)リスク低下が関連することを明らかにした。AHEI-2010とは、全粒穀物、多価不飽和脂肪酸(PUFA)、ナッツ、長鎖オメガ3脂肪酸の摂取量が高く、赤身/加工肉、精製粉、甘味料入飲料の摂取量が低い食事を反映した健康食指数である。これまでCOPDリスクへの食事スコアの寄与については不明であったが、今回の結果を踏まえて著者は、「COPD予防には、多面的な介入プログラムが重要であることが支持された」とまとめている。BMJ誌オンライン版2015年2月3日号掲載の報告。

前立腺がん診断、高リスクを検出しやすい生検法/JAMA

 前立腺がんの診断能について、標準的な6分割法の超音波ガイド下生検と比較して、標的MR/超音波融合ガイド下生検は、高リスクの前立腺がんの検出を増大し、低リスクの検出を減少することが明らかにされた。米国立がん研究所(NCI)のM. Minhaj Siddiqui氏らが、前立腺がん疑いの男性1,003例を対象に行った前向きコホート研究の結果、報告した。今回の結果を踏まえて著者は、さらなる検討を行い、標的生検の臨床的適用を明らかにする必要があると述べている。JAMA誌2015年1月27日号掲載の報告より。

早産児介入試験、慢性肺疾患の報告は3割のみ/BMJ

 選択的なアウトカムの報告は、臨床試験およびシステマティックレビューの結果の妥当性に対する重大な脅威とされる。これまでに試験プロトコルと発表論文を比較した実証研究から、多くのアウトカムが選択的に報告されていることが示唆されている。そこで米国・スタンフォード大学のJohn P A Ioannidis氏らは、早産児介入のシステマティックレビュー論文および組み込まれた無作為化試験において、同集団で最も重大な臨床アウトカムの慢性肺疾患に関する情報が、どのように散見されるかを検討した。その結果、レビュー論文で慢性肺疾患について報告していたのは半数弱(45%)であり、同データを報告していた試験は31%のみであったことを明らかにした。BMJ誌オンライン版2015年1月26日号掲載の報告より。

治療抵抗性高血圧に動静脈吻合術が有効/Lancet

 降圧薬治療ではコントロール不良な高血圧患者に対し、動静脈吻合術を行うことで、血圧および高血圧性合併症が有意に減少したことが報告された。診察室測定の収縮期血圧値は6ヵ月後に約27mmHg低下したという。英国・ロンドン大学クイーンメアリー校のMelvin D Lobo氏らによる、非盲検多施設前向きの無作為化比較試験ROX CONTROL HTNの結果、示された。結果を踏まえて著者は、「このアプローチは、コントロール不良の高血圧患者に有益な補助的療法となるかもしれない」とまとめている。Lancet誌オンライン版2015年1月22日号掲載の報告より。

閉経後体重の増減で骨折リスク部位異なる/BMJ

 閉経後の体重増加や減少は、骨折リスクを増大するようだ。また、体重増加と減少では骨折リスクの増加する部位が異なるという。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のCarolyn J. Crandall氏らが、女性の健康イニシアチブ観察・臨床試験(Women’s Health Initiative Observational Study and Clinical Trials)に参加した12万例超のデータを事後解析した結果、報告した。BMJ誌オンライン版2015年1月27日号掲載の報告より。