結核性心膜炎でのステロイドや免疫療法を検証/NEJM 結核性心膜炎患者に対し、補助的プレドニゾロン治療またはM. indicus pranii免疫療法のいずれも、有意な効果は認められなかったことが示された。南アフリカ共和国のケープタウン大学のBongani M Mayosi氏らが報告した。結核性心膜炎は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症を有している患者の頻度が高く、抗結核治療にもかかわらず有病率や死亡率が高いことが報告されている。また、補助的グルココルチコイド療法の効果については、死亡率の減少などが報告されていたが、HIV感染症患者についてはがんリスクを増大するといった報告が寄せられ、その使用について国際ガイドラインでは相反する勧告が示されている。研究グループは、補助的プレドニゾロンについてHIV感染症患者を含む結核性心膜炎に対し効果があるのではないかと仮定し検討を行った。NEJM誌オンライン版2014年9月1日号掲載の報告より。
心拍数低下薬、心不全症状のない安定冠動脈疾患には?/NEJM 心不全症状を認めない安定冠動脈疾患に対し、心拍数低下薬イバブラジン(国内未承認)を標準治療に追加して投与しても、アウトカムの改善には結びつかなかったことが報告された。英国・王立ブロンプトン病院のKim Fox氏らによる、無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、示された。これまでの検討でイバブラジンは、左室機能不全、心拍数70回/分以上の安定冠動脈疾患患者について、アウトカムを改善することが示唆されていた。NEJM誌オンライン版2014年8月31日号掲載の報告より。
新規アンドロゲン標的薬が無効なCRPCの予測因子/NEJM 去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)患者の血中循環腫瘍細胞(CTC)におけるアンドロゲン受容体スプライスバリアント7のmRNA(AR-V7)は、CRPC治療薬エンザルタミドやアビラテロンに対する抵抗性獲得の原因である可能性が、米国ジョンズ・ホプキンス大学のEmmanuel S. Antonarakis氏らの検討で示された。両薬剤は、転移性CRPC(mCRPC)の治療にブレークスルーをもたらしたが、患者の約20~40%が反応せず、奏効例も最終的に抵抗性となる。抵抗性の原因として、アンドロゲン受容体のスプライスバリアントの可能性が指摘されており、AR-V7によってコードされるタンパク質は、両薬剤が標的とする受容体のリガンド結合領域を欠くが、リガンド非依存性の転写因子として構成的活性化の状態にあることが知られている。NEJM誌2014年9月11日号(オンライン版2014年9月3日号)掲載の報告。
HPV16/18型ワクチン、感染歴ある成人にも有効/Lancet 25歳以上の女性においても、ヒトパピローマウイルス(HPV)16/18型AS04アジュバントワクチンは、31/45型を含むHPV感染および子宮頸部病変に対し効果を発揮することが、オーストラリア・テレソン小児健康リサーチ研究所のS Rachel Skinner氏らが行ったVIVIANE試験で示された。HPV予防ワクチンの主な対象は思春期の少女であるが、すでにHPV 6/11/16/18型ワクチンは成人女性(24~45歳)にも有効との知見がある。発がん性のあるHPVは16/18/45/31/33型が約85%を占めるが、感染歴のある成人女性は新たなパートナーから以前とは異なる型のHPVに感染する可能性が高いという。Lancet誌オンライン版2014年9月2日号掲載の報告。
各種ダイエット法の減量効果/JAMA アトキンス式(Atkins、低炭水化物[糖質制限]食)やオーニッシュ式(Ornish、低脂肪食)など固有の名称が付されたダイエット法は、実際に良好な減量効果をもたらしていることが、カナダ・トロント大学のBradley C Johnston氏らの調査で示された。個々のダイエット法の優位性については種々の主張があり、どの方法が優れるかは明らかではなかったが、今回の解析では、どれも大きな差はないことが確認された。JAMA誌2014年9月3日号掲載の報告。
PCI前の血栓吸引、1年死亡率も改善せず/NEJM ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者に対する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)前の冠動脈内血栓吸引療法は、PCI単独に比べ1年後の全死因死亡を改善しないことが、スウェーデン・ウプサラ大学のBo Lagerqvist氏らが行ったTASTE試験で示された。急性STEMIの多くは冠動脈内の血栓形成に起因し、血栓の重症度や血流量低下、心筋灌流障害は、不良な臨床アウトカム(心筋梗塞の再発、ステント血栓症、死亡など)の重要な予測因子とされる。プライマリPCI前の血栓吸引療法の有用性が示唆されているが、短期的な死亡率の改善効果は確立されていない。NEJM誌オンライン版2014年9月1日号掲載の報告。
早産児へのEPO、脳損傷リスク大幅減/JAMA 早産児への、出生前3時間~出生後42時間のエリスロポエチン(EPO)製剤投与は、脳損傷リスクを約40~80%低減することが示された。スイス・ジュネーブ大学病院のRussia Ha-Vinh Leuchter氏らが、早産児165例について行ったプラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果、報告した。JAMA誌2014年8月27日号掲載の報告より。
痂皮性膿痂疹にST合剤が有用/Lancet 小児の痂皮性(非水疱性)膿痂疹に対する、経口ST合剤(トリメトプリム+スルファメトキサゾール、商品名:バクトラミンほか)の3~5日投与は、従来のベンジルペニシリンベンザチン筋注(同:バイシリンG)による治療と比べて非劣性であることが示された。オーストラリアのチャールズ・ダーウィン大学Asha C. Bowen氏らが、504例の小児患者について行った無作為化非劣性試験の結果、報告した。Lancet誌オンライン版2014年8月27日号掲載の報告より。
妊婦の抗てんかん薬服用、自然流産と関連なし/BMJ 妊娠中に抗てんかん薬治療を受けることと自然流産のリスク増大との間に関連はみられず、抗てんかん薬使用と死産との関連も分析データがわずかではあったが確認できなかったことが、デンマーク・オーフス大学のBodil Hammer Bech氏によるレジストリベースの研究の結果、報告された。妊娠中の抗てんかん薬服用については、先天奇形との関連が認められることが報告されている。しかし、同服用と自然流産および死産のリスクとの関連についてはほとんど報告されていなかった。BMJ誌オンライン版2014年8月21日号掲載の報告より。
降圧薬投与量の自己調整の有用性/JAMA 心血管疾患高リスクの高血圧患者の血圧管理について、家庭血圧(自己モニタリング)と降圧薬の自己調整投与を組み合わせた管理は、外来受診時に血圧を測定し医師が投薬を調整する通常ケアによる管理と比較した結果、12ヵ月時点の収縮期血圧は前者のほうが低下したことが示された。英国・オックスフォード大学のRichard J. McManus氏らが行った無作為化試験TASMIN-SRの結果、報告された。これまでに同自己管理手法の有用性は報告されていたが、高リスク患者を対象としたデータは報告されていなかった。JAMA誌2014年8月27日号掲載の報告より。
高所得国は心血管リスク高いが発症少ない/NEJM 心血管リスクは、低所得国が最も低く高所得国が最も高いにもかかわらず、実際の心血管イベント発生率や致死率は、高所得国が最低で低所得国が最高であることが明らかになった。背景として、高所得国では予防的薬物治療や血行再建術の実施率が高いことがあることも判明したという。カナダ・ハミルトン総合病院のSalim Yusuf氏らが行った17ヵ国、約16万人を対象とした検討の結果、判明した。NEJM誌2014年8月28日号掲載の報告より。
メタ解析、引用されても活かされず/BMJ メタ解析の結果が、その後の研究デザインに活かされているケースは比較的少ないことが明らかにされた。後続試験の7割以上がメタ解析について引用しているものの、試験デザインは引用のない試験と同様だったという。スイス・ジュネーブ大学病院のCeline Habre氏らが、プロポフォール注射の疼痛予防に関する無作為化試験について、2000年に発表されたメタ解析の前後の試験を対象に行った、システマティックレビューの結果、明らかにした。BMJ誌2014年8月26日号掲載の報告より。
大腸がん死亡率、切除腺腫のリスクで差/NEJM 大腸腺腫切除後の大腸がん長期死亡率について、一般集団と比較して、切除した腺腫が低リスクであった患者では低下がみられた一方、高リスクであった患者は高かったことが明らかにされた。ノルウェー・オスロ大学のMagnus Lphiberg氏らが1,273例を中央値7.7年間追跡し報告した。腺腫切除後には大腸内視鏡によるサーベイランスが広く推奨されているが、同患者における大腸がん死亡についてはこれまでほとんど報告されていなかった。NEJM誌2014年8月28日号掲載の報告より。
ACE阻害薬を超える心不全治療薬/NEJM 新規開発中のLCZ696は、ACE阻害薬エナラプリル(商品名:レニベースほか)よりも、駆出率低下の心不全を有する患者の死亡および入院リスクの抑制に優れることが示された。英国・グラスゴー大学のJohn J.V. McMurray氏らPARADIGM-HF研究グループが二重盲検無作為化試験の結果、報告した。LCZ696は、新規クラスのアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI:ネプリライシン阻害薬sacubitril[AHU377]とARBバルサルタンからなる)で、高血圧症および駆出率保持の心不全を有する患者を対象とした小規模試験において、ARB単剤よりも血行動態および神経ホルモンに関する効果が大きかったことが示されていた。NEJM誌オンライン版2014年8月30日号掲載の報告より。
PCI予定での抗凝固療法、ヘパリン vs ビバリルジン/Lancet 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行予定患者への抗凝固療法について、ヘパリンベースと比べてビバリルジン(国内未承認)ベースのレジメンは、心筋梗塞およびステント血栓症のリスクを増大するが、出血リスクは低下することが、メタ解析の結果、示された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のMatthew A Cavender氏らが報告した。ただし出血リスクの低下は、糖蛋白IIb/IIIa阻害薬(GPI)併用の有無によって大きく変化し、使用が想定される試験や予定されていた試験を解析対象に含んだ分析では、同リスクの低下についてレジメン間に有意差はみられなかったという。ビバリルジンは、PCI施行患者においてヘパリンに代わりうる選択肢とされている。Lancet誌2014年8月16日号掲載の報告より。
40年ぶりの新規抗結核薬の有効性/NEJM 多剤耐性結核に対して、推奨基本レジメンに抗結核薬ベダキリン(国内未承認)を追加し24週間治療を行った結果、プラセボ追加と比較して120週時点の評価で、培養陰性化がより速やかかつ有意に高率に認められたことが報告された。死亡例はプラセボ群よりもベダキリン追加群が多かったが、因果パターンは示されなかったという。南アフリカ共和国・ステレンボス大学のAndreas H. Diacon氏らによる第2b相の無作為化二重盲検プラセボ対照試験ステージ2の結果、報告された。ベダキリン(Sirturo、TMC207)は40年ぶりとなる新規の抗結核薬で、結核菌のATP合成酵素を阻害するジアリルキノリン系薬である。第2b相試験ステージ1の8週投与の検討において、ベダキリンの追加投与群では、喀痰培養陰性化までの期間が短縮したことが報告されていた。NEJM誌2014年8月21日号掲載の報告より。
マクロライドと心臓死リスクの関連/BMJ デンマーク住民を対象とした大規模コホート研究から、クラリスロマイシン使用と心臓死増大との有意な関連が、とくに女性の使用において見つかったことが、Statens Serum Institute社のHenrik Svanstrom氏らにより報告された。同リスクの増大は、ロキシスロマイシン使用ではみられなかったという。マクロライド系抗菌薬はQT間隔を延長するため、致死的不整脈リスクを増大する可能性が示唆されていた。結果を踏まえて著者は、「今回の所見を臨床での意思決定に取り入れる前に、マクロライド系抗菌薬の広範投与について独立集団で確認を行うことが優先すべき課題である」と提言している。BMJ誌オンライン版2014年8月19日号掲載の報告より。
RSウイルス感染にGS-5806が有効/NEJM 開発中の抗ウイルス薬GS-5806は、RSウイルス(RSV)感染健常人のウイルス量を減少させ、臨床症状の重症度を低下することが、米国・テネシー大学医学大学院のJohn P. DeVincenzo氏らの検討で示された。RSVは乳児の入院の主要な原因であり、重篤な疾患や死亡の原因としての認識が高まっているが、有効性が確認されている抗ウイルス治療はない。GS-5806は、ウイルスエンベロープの宿主細胞膜との融合を阻害することで、低ナノモル濃度でRSVの細胞内侵入を阻止する低分子量の経口薬である。NEJM誌2014年8月21日号掲載の報告。
降圧薬の投与は治療前の心血管リスクで判断すべきか/Lancet 降圧薬治療による心血管リスクの相対的な抑制効果は、ベースラインの絶対リスクの高低にかかわらずほぼ一定だが、絶対リスクの低下の程度は、ベースラインの絶対リスクが高いほど大きくなることが、スウェーデン・ウプサラ大学のJohan Sundstrom氏らBlood Pressure Lowering Treatment Trialists' Collaboration(BPLTTC)の検討で示された。この知見は、降圧薬治療は血圧の高い集団ではなく心血管リスクの高い集団をターゲットとすべきとの見解を支持するものだという。BPLTTCは本論文を、「リスクに基づくアプローチは、血圧に基づくアプローチよりも費用効果が優れるとともに、治療を要する患者数を減らし、薬剤費を抑制する一方で、脳卒中や心臓発作の回避数を増やす」と締めくくっている。Lancet誌2014年8月16日号掲載の報告。
若者への新規髄膜炎ワクチンの効果/Lancet 4価髄膜炎菌結合型(MenACWY-CRM)ワクチンとB群血清型(4CMenB)ワクチンについて、接種後1ヵ月時点で両群間の髄膜炎菌保菌率に有意差はみられず、接種後1年間の保菌率も低下したことが示された。英国・サウサンプトン大学のRobert C Read氏らによる観察者盲検第III相無作為化試験の結果、報告された。著者は、「広範な接種導入により、伝播が抑制される可能性がある」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年8月19日号掲載の報告より。