ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:51

無症候性高度頸動脈狭窄症、外科的介入なしの脳梗塞発症率は?/JAMA

 外科的介入を受けなかった無症候性高度頸動脈狭窄症患者において、頸動脈病変に関連した同側の急性虚血性脳卒中の推定発生率は5年間で4.7%であることが、米国・カイザーパーマネンテ北カリフォルニア(KPNC)のRobert W. Chang氏らによる後ろ向きコホート研究で示された。近年、医療が進歩しており、また、内科的治療と外科的治療の最新の比較データがないため、無症候性高度頸動脈狭窄症の最適な管理方法は不確かである。著者は、「今回の知見は、無症候性高度頸動脈狭窄症患者に対する外科的治療と内科的治療に関する意思決定に役立つだろう」とまとめている。JAMA誌2022年5月24日号掲載の報告。  研究グループは、KPNC(医療センター/病院21施設、会員450万人以上の統合医療システム)のデータを用い、2008~12年の間に無症候性高度頸動脈狭窄症(Society of Radiologists in Ultrasound Consensus基準、またはNASCET法で70~99%狭窄)と診断された患者で、同側の頸動脈インターベンション(頸動脈内膜切除術または頸動脈ステント留置)歴ならびに過去6ヵ月以内の脳卒中または一過性脳虚血発作既往歴がない成人患者を対象に、2019年12月31日まで追跡した。  主要評価項目は、頸動脈病変に関連した同側の急性虚血性脳卒中(脳梗塞)の発生であった。死亡、KPNC会員脱退または同側の頸動脈インターベンション実施があった時点で打ち切りとした。  2008~12年に頸動脈狭窄症のスクリーニングを受けた9万4,822例のうち、3,737例(平均[±SD]年齢73.8±9.5歳、男性57.4%)、標的動脈4,230本が適格基準を満たした。

4回目のコロナワクチン、感染予防の持続期間は?/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するBNT162b2ワクチン(Pfizer-BioNTech製)の4回接種は、3回接種と比較して新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染予防とCOVID-19重症化予防の両方の有効性が認められたが、感染予防効果は比較的早期に減弱することが示唆された。イスラエル・Maccabi Healthcare ServicesのSivan Gazit氏らが、後ろ向き診断陰性デザインによる症例対照研究の結果を報告した。BMJ誌2022年5月24日号掲載の報告。  研究グループは、イスラエルの健康保険組織Maccabi Healthcare Services(MHS、250万人が加入)のデータベースを用い、同国でオミクロン株が優勢であった2022年1月10日(初めて4回目接種が行われた日の7日後)から2022年3月13日までのデータを解析した。  解析対象は、SARS-CoV-2感染歴がなく2022年1月3日から4回目接種を受ける資格を有していた(すなわち、3回目接種から4ヵ月以上経過)60歳以上のMHS会員で、追跡期間中に少なくとも1回のPCR検査を受けた9万7,499例であった。COVID-19の既往歴を完全に把握できない可能性のある2020年3月以降にMHSに加入した人は除外された。

オミクロン株優勢下、小児~青少年でも追加接種が必要か/JAMA

 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のオミクロン変異株が優勢な時期に、年齢5~15歳の小児・青少年では、BNT162b2ワクチン(Pfizer-BioNTech製)の2回接種後の推定有効率は高くなく(約60%)、その後2ヵ月後までに急速な低下が認められたが、12~15歳では3回目の追加接種により上昇に転じたことが、米国・疾病予防管理センター(CDC)のKatherine E. Fleming-Dutra氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2022年5月13日号で報告された。  研究グループは、オミクロン変異株優勢期の小児および青少年における症候性SARS-CoV-2感染症とBNT162b2ワクチン接種との関連を評価し、当ワクチンの有効率を推定する目的で、検査陰性者を対照とする症例対照研究を行った(米国・CDCの助成を受けた)。

ワクチンはlong COVIDに有効か/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)におけるlong COVID(罹患後症状、いわゆる後遺症)の発現は、COVID-19ワクチンの登場以降に減少し、2回目の接種後は少なくとも約2ヵ月にわたり持続的な改善が得られることが、英国・国家統計局のDaniel Ayoubkhani氏らの調査で示された。研究の詳細は、BMJ誌2022年5月18日号に掲載された。  研究グループは、COVID-19ワクチン接種前に重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に感染した成人において、ワクチン接種とlong COVIDの症状の関連を評価する目的で、地域住民ベースの観察研究を実施した(特定の研究助成は受けていない)。

小児期の心血管リスク因子、中年期の心血管イベントと関連/NEJM

 心血管リスク因子であるBMI、収縮期血圧、総コレステロール値、トリグリセライド値および若年期喫煙は、とくに幼少期からの組み合わせで、成人期の心血管イベントおよび60歳前の心血管死と関連することが、米国・ミネソタ大学のDavid R. Jacobs Jr氏らによるInternational Childhood Cardiovascular Cohort(i3C)コンソーシアムの前向きコホート研究の結果、示された。小児期の心血管リスク因子は潜在的な成人期の心血管疾患を予測するが、臨床イベントとの関連は明らかになっていなかった。NEJM誌2022年5月19日号掲載の報告。

膀胱がん摘除術後の生存・回復、ロボット支援 vs.開腹術/JAMA

 根治的膀胱摘除術を受けた転移のない膀胱がん患者において、体腔内尿路変向術(ICUD)を伴うロボット支援根治的膀胱摘除術(RARC)は開腹膀胱全摘除術(ORC)と比較し、術後90日間の生存および入院不要の院外療養日数を統計学的に有意に増加することが、英国・シェフィールド大学のJames W. F. Catto氏らによる医師主導型多施設共同第III相無作為化非盲検試験「iROC試験」の結果、示された。近年、RARCの実施頻度が増加しているが、ORCと比較して回復を改善するかどうかは不明であった。なお著者は、「今回示された両群の差については、臨床的意義があるかどうかまだ不確かである」と述べている。JAMA誌オンライン版2022年5月15日号掲載の報告。

RCTでの有害事象の可視化、どんなグラフが有効か/BMJ

 臨床試験の有害事象の伝達において、グラフ化(可視化)は強力なツールであり従来の頻度表に代わる他の視点を提供し、臨床試験の報告書で有害事象の可視化の使用が増加することよって、明確な情報の提示とより有益な解釈が可能となる。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのRachel Phillips氏らが、有害事象を視覚的に提示するための推奨事項を作成するコンセンサス研究の結果を報告した。有害事象のデータは複雑であるが、可視化は安全性プロファイルを明確にし、潜在的な副作用の特定に役立つ可能性がある。著者は、「デシジョンツリーは可視化の選択を補助するが、最終的には統計学者および臨床試験チームがそのデータと目的に最適な可視化を決定しなければならない」と述べている。BMJ誌2022年5月16日号掲載の報告。

高リスクIgA腎症への経口ステロイドで転帰改善、用量は?/JAMA

 高リスクIgA腎症患者において、経口メチルプレドニゾロンによる6~9ヵ月の治療は、プラセボと比較して、腎機能低下・腎不全・腎疾患死亡の複合アウトカムのリスクを有意に低下させた。ただし、経口メチルプレドニゾロンの高用量投与では、重篤な有害事象の発現率が増加した。中国・北京大学第一医院のJicheng Lv氏らが、オーストラリア、カナダ、中国、インド、マレーシアの67施設で実施された多施設共同無作為化二重盲検比較試験「Therapeutic Effects of Steroids in IgA Nephropathy Global study:TESTING試験」の結果を報告した。本試験は、重篤な感染症が多発したため中止となったが、その後、プロトコルが修正され再開されていた。JAMA誌2022年5月17日号掲載の報告。

虚弱高齢者への運動+栄養介入、運動障害の発生を約2割減/BMJ

 身体的フレイルおよびサルコペニアが認められるShort Physical Performance Battery(SPPB)スコアが3~9の70歳以上に対し、中等度身体的アクティビティ指導(対面週2回、家庭で週4回以下)と個別栄養カウンセリングを実施することで、運動障害の発生が減少したことが示された。イタリア・Fondazione Policlinico Universitario Agostino Gemelli IRCCSのRoberto Bernabei氏らが、技術的サポートと栄養カウンセリングによる身体活動ベースの多面的介入が、身体的フレイルとサルコペニアが認められる高齢者の運動障害を予防するかを確認するため検討した無作為化試験「SPRINTT project」の結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「身体的フレイルとサルコペニアは、虚弱高齢者の可動性を維持するターゲットになりうることが示された」とまとめている。BMJ誌2022年5月11日号掲載の報告。

70歳以上の重症大動脈弁狭窄症、TAVI vs.大動脈弁置換術/JAMA

 重症症候性大動脈弁狭窄症で手術リスクが中程度の70歳以上の患者において、経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)は、大動脈弁置換術に対し1年全死因死亡率について非劣性であることが示された。英国・レスター大学のWilliam D. Toff氏らUK TAVI試験研究グループが、913例を対象に行った無作為化試験の結果を報告した。TAVIは、大動脈弁置換術に代わる低侵襲の治療法であり、手術リスクが高い患者にとって最適な治療法とされる。一方で、低リスクの患者へのTAVIの効果等については明らかになっていなかった。JAMA誌2022年5月17日号掲載の報告。

コロナ治療薬の効果、観察研究とRCTで一致するか/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬(ヒドロキシクロロキン、ロピナビル-リトナビル、デキサメタゾン)を評価した観察研究のメタ解析と無作為化臨床試験(RCT)のメタ解析を比較すると、4分の3以上で治療効果の要約が一致していることが、米国・イェール大学のOsman Moneer氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年5月10日号で報告された。  研究グループは、COVID-19の同じ治療薬や対照薬、アウトカムを評価した個別の観察研究とRCTまたはこれらの研究のメタ解析から、治療効果と人口統計学的データを系統的に同定し、これらをマッチさせて比較することで、観察研究とRCTの治療効果が一致するかを評価する目的で、メタ疫学研究を行った(著者の1人であるJoshua D. Wallach氏は、米国国立アルコール摂取障害・依存症研究所[NIAAA]の助成を受けた)。

lenacapavir、多剤耐性HIV-1感染症でウイルス量が著しく減少か?/NEJM

 多剤耐性ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)感染症の治療において、画期的新薬(first-in-class)である長時間作用型HIV-1カプシド機能阻害薬lenacapavirはプラセボと比較して、ウイルス量のベースラインからの減少幅が格段に大きく、重篤な有害事象や有害事象による投与中止は認められないため、有望な治療選択肢となる可能性があることが、米国・ニューヨーク・プレスビテリアン・クイーンズ病院のSorana Segal-Maurer氏らが実施した「CAPELLA試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年5月12日号に掲載された。

有害事象の系統的レビュー、データ抽出時に注意すべき5つのエラー/BMJ

 中国・安徽医科大学のChang Xu氏らは、有害事象の系統的レビューでのデータ抽出の妥当性と、メタ解析結果へのデータ抽出エラーの影響を調べ、データ抽出エラーの分類フレームワークを開発した。検討の結果、起きうるエラーは、数的エラー、あいまいさによるエラーなど5つのタイプに分類でき、そのうち2つ以上のエラーがあると結果に影響を及ぼす可能性が高まることが示されたという。著者は、「有害事象の系統的レビューでは、データ抽出の再現性に関して深刻な問題が起きる可能性があり、抽出エラーは結論を誤らせる可能性がある。系統的レビューの著者が妥当なデータ抽出ができるよう、早急に実施ガイドラインを整備することが必要だ」と述べている。BMJ誌2022年5月10日号掲載の報告。

6~11歳へのモデルナ製ワクチン、50μg2回接種が安全かつ有効/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)mRNA-1273ワクチン(Moderna製)について、小児(6~11歳)への50μgの2回投与は安全かつ有効であることを、米国・ヴァンダービルト大学医療センターのC. Buddy Creech氏らが、2つの試験の結果を踏まえて報告した。免疫応答および予防を含めて若年成人に対する非劣性が確認されたという。COVID-19予防のための小児へのワクチン接種は、緊急性の高い公衆衛生上必要な取り組みとされるが、小児におけるmRNA-1273ワクチンの安全性、免疫原性および有効性は明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2022年5月11日号掲載の報告。

高血圧合併妊娠または妊娠高血圧症の妊婦、自己血圧測定は有用か?/JAMA

 高血圧合併妊娠または妊娠高血圧症の妊婦において、遠隔モニタリングによる自己血圧測定は通常ケアと比較して、臨床的高血圧の有意な改善をもたらすことはなかった。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのLucy C. Chappell氏らが、無作為化非盲検臨床試験「Blood PressureMonitoring in High Risk Pregnancy to Improve the Detection and Monitoring of Hypertension 2 trial:BUMP 2試験」の結果を報告した。高血圧の不十分な管理は、妊産婦死亡の重要な要因であるが、妊婦および乳児の臨床転帰改善に対する妊娠中の自己血圧測定の役割は不明であった。JAMA誌2022年5月3日号掲載の報告。

妊娠高血圧腎症の高リスク妊婦、自己血圧測定は有用か?/JAMA

 妊娠高血圧腎症のリスクが高い妊婦において、遠隔モニタリングによる自己血圧測定は通常ケアと比較して、臨床的高血圧の早期発見にはつながらなかった。英国・オックスフォード大学のKatherine L. Tucker氏らが、無作為化非盲検試験「Blood Pressure Monitoring in High Risk Pregnancy to Improve the Detection and Monitoring of Hypertension trial:BUMP 1試験」の結果を報告した。血圧上昇の不十分な管理は、妊産婦死亡の重要な要因である。一般集団における自己血圧測定は高血圧の診断および管理を改善することが示されているが、妊娠中の血圧自己測定の使用についてはほとんど知られていなかった。JAMA誌2022年5月3日号掲載の報告。

非都市部の脳卒中治療、ヘリでのドクター派遣が有益/JAMA

 ドイツ非都市部の脳卒中医療センターネットワークにおいて、急性虚血性脳卒中患者への脳血管内血栓除去術(EVT)実施の決定から施行までの経過時間を検討したところ、ヘリコプターで医師らを現地に派遣するほうが、患者を別の医療機関に移送するよりも約1時間半、短縮できることが示され、3ヵ月後の機能性アウトカムに有意差はなかったという。ドイツ・ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンのGordian J. Hubert氏らが、約160例の患者を対象に行った非盲検非無作為化比較試験の結果を報告した。急性虚血性脳卒中へのEVTの有益性は時間に依存しており、遠隔地患者への治療推進は困難とされている。今回の結果を踏まえて著者は、「長期的な転帰を確認し、地理的条件への適用を明らかにするさらなる検討は必要だが、脳卒中治療システムにフライング治療チームを取り入れる検討をすべきことが示された」と述べている。JAMA誌2022年5月5日号掲載の報告。

妊婦の新型コロナ感染は早産リスク増、入院リスク2.65倍/JAMA

 カナダで行われた探索的サーベイランススタディで、妊娠中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染は、母体の有害アウトカムおよび早産のリスク増大と有意に関連していることが示された。カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のElisabeth McClymont氏らが、妊娠中にSARS-CoV-2感染が認められた妊婦6,012人について、2つのコントロール群を対照に行った検討の結果を報告した。これまで妊婦へのSARS-CoV-2感染の影響について、対照比較コホートを用いた質の高い住民ベースの検証データは限定的であった。JAMA誌オンライン版2022年5月2日号掲載の報告。

RBDダイマーベースの新規コロナワクチン、有効性を確認:第III相試験/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「ZF2001」について、大規模な成人集団において、完全接種後6ヵ月以上にわたり症候性COVID-19の発症および重症化に対する安全性と有効性が確認されたことを、中国科学院のLianpan Dai氏らが発表した。ZF2001は、武漢-Hu-1株からの重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の二量体タンデム-リピートスパイクタンパク質RBDを用いて開発されたワクチン。第I相および第II相の臨床試験で成人における安全性、忍容性および免疫原性があることが示されていた。NEJM誌オンライン版2022年5月4日号掲載の報告。

血栓回収脳卒中センターと地方脳卒中センター、死亡率に有意差なし/JAMA

 大血管閉塞による脳卒中が疑われる患者を、地方脳卒中センターに搬送した場合と血栓回収脳卒中センターへ搬送した場合を比較した結果、90日神経学的アウトカムについて有意な差は示されなかった。スペイン・Hospital Universitari Germans Trias i PujolのNatalia Perez de la Ossa氏らが、同国カタルーニャ州で行った住民ベースの多施設共同クラスター無作為化試験の結果を報告した。地方では血栓回収脳卒中センターへのアクセスが制限されており、大血管閉塞による脳卒中が疑われる患者の最適な搬送先病院の戦略は明らかになっていなかった。JAMA誌2022年5月10日号掲載の報告。  試験は2017年3月~2020年6月に、スペインのカタルーニャ州で、血栓摘出術が提供できない地方の脳卒中センターに近在する救急医療サービスを利用した、急性大血管閉塞による脳卒中が疑われる患者1,401例を対象に行われた。  被験者は、血栓回収脳卒中センターへと搬送された群(688例)と近接の地方脳卒中センターに搬送された群(713例)に無作為化され、追跡評価を受けた。最終フォローアップは2020年9月。