ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:194

RAへのTNF阻害薬、漸減戦略は有効か/BMJ

 低疾患活動性の関節リウマチ(RA)患者に対し、腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬の投与を疾患活動性に応じて段階的に投与間隔を延長して投与量を減らす方法は、通常の一定量を継続して行う方法に比べ、有効性について非劣性であることが示された。オランダ・Sint MaartenskliniekのNoortje van Herwaarden氏らが、180例について行った非盲検無作為化非劣性試験で明らかにした。BMJ誌オンライン版2015年4月9日号掲載の報告より。

ダビガトランの服薬順守のカギは薬剤師?/JAMA

 67ヵ所の米国退役軍人病院を対象に、非弁膜症性心房細動患者のダビガトラン(商品名:プラザキサ)の服薬アドヒアランスを調べたところ、病院間でばらつきがあることが明らかにされた。適切な患者選択や薬剤師によるモニタリングを行っている施設では、アドヒアランスが高かったという。米国・エモリー大学のSupriya Shore氏らが報告した。同じ経口抗凝固薬でも、ワルファリンと異なりダビガトランは、ルーチンの検査と用量調整を必要としない。一方で、アドヒアランスが悪くてもそれを改善する適切なフォローアップ法は知られていなかった。JAMA誌2015年4月14日号掲載の報告より。

妊娠糖尿病は子供の自閉スペクトラム症のリスク/JAMA

 妊娠26週までに妊娠糖尿病(GDM)と診断された母親から出生した子供は、母親が糖尿病でない場合に比べ自閉スペクトラム症(ASD)を発症するリスクが高いことが、米国・カイザーパーマネンテ南カリフォルニア(KPSC)のAnny H Xiang氏らの検討で示された。胎児における母親の高血糖への曝露は、臓器の発達や機能に長期に影響を及ぼす可能性が示唆され、妊娠前の糖尿病だけでなく妊娠期間中の高血糖(=GDM)と、子供の肥満や代謝異常の長期的リスクとの関連が確認されている。一方、母親の糖尿病と子供のASDとの関連を検討した研究は少なく、GDMの発症時期を重視した報告はこれまでなかったという。JAMA誌2015年4月14日号掲載の報告より。

麻疹ワクチン、エアロゾルは皮下注に劣性/NEJM

 麻疹予防ワクチンの接種について、吸入タイプのエアロゾルワクチン接種は、従来タイプの皮下注ワクチン接種と比べて、免疫原性は認められたが、事前規定マージンに基づき評価した血清陽性率については劣性であったことが、WHOのNicola Low氏らによる非盲検無作為化非劣性試験の結果、示された。エアロゾル麻疹ワクチンはメキシコで開発され、1980年代以降400万人以上の子供たちに接種されている。臨床的な訓練を要さず注射関連の感染症の懸念もないことから、医療資源の乏しい発展途上国での使用拡大が期待されている。しかし、これまで有効性に関して相反するデータが示されてきたという。NEJM誌2015年4月16日号掲載の報告より。

ベーチェット病の口腔潰瘍にアプレミラストが有効/NEJM

 ベーチェット症候群の特徴的な病変である口腔潰瘍の治療に、アプレミラスト(apremilast、国内未承認)が有効であることが、トルコ・イスタンブール大学のGulen Hatemi氏らの検討で明らかとなった。ベーチェット症候群の他の粘膜病変には、陰部潰瘍や丘疹膿疱性、結節性の病変などがあるが、再発を繰り返す口腔潰瘍は身体機能を損ない、QOLに多大な影響を及ぼす。従来薬の効果は十分ではないため新規薬剤の開発が求められており、口腔潰瘍に有効な薬剤は他の病変への効果も有する可能性が示唆されている。アプレミラストはホスホジエステラーゼ4を特異的に阻害する低分子量の経口薬で、とくに免疫細胞内のサイクリックAMPを上昇させることでさまざまな炎症経路に作用するという。NEJM誌2015年4月16日号掲載の報告。

未治療の高齢CLL、オファツムマブ併用でPFS延長/Lancet

 未治療の高齢者または併存疾患を有する慢性リンパ球性白血病(CLL)の治療において、標準治療薬であるクロラムブシル(国内未承認)にオファツムマブ(商品名:アーゼラ)を併用すると、臨床転帰が大きく改善され副作用プロファイルは管理可能であることが、英国・セントジェームズ大学病院のPeter Hillmen氏らが行ったCOMPLEMENT 1試験で示された。若年者や他の疾患がみられないCLL患者の標準治療は、プリン類似体であるフルダラビンをベースとする多剤併用レジメンであるが、高齢者や併存疾患を有する患者の多くは耐用不能である。オファツムマブは、リツキシマブとは異なる作用機序を持つヒト型抗CD20モノクローナル抗体であり、臨床試験でフルダラビン抵抗性CLLへの有効性が確認されている。Lancet誌オンライン版2015年4月13日号掲載の報告より。

身長とCADリスクとの関連が大規模研究で判明/NEJM

 遺伝的に低身長であることと冠動脈疾患(CAD)リスク増大との関連が、英国・レスター大学のChristopher P Nelson氏らによる大規模な調査の結果、明らかにされた。これまで、身長とCADリスクに負の相関があることは知られていたが、メカニズムについては不明であった。なお、関連の一部は低身長と脂質プロファイル異常との関連で説明されることも示され、著者は、成人身長と動脈硬化の進展プロセスを調べることで、関連の一部を説明できるのではないかと述べている。NEJM誌オンライン版2015年4月8日号掲載の報告より。

巨大児出産、分娩誘発のほうが安全?/Lancet

 巨大児出産が疑われる場合には、自然分娩よりも分娩誘発を行うほうが肩甲難産や関連疾患のリスクを低下することが、スイス・ジュネーブ大学のMichel Boulvain氏による無作為化試験の結果、示された。分娩誘発は、帝王切開となるリスクを増大することなく自然経腟分娩の尤度を改善することも示されたという。結果を踏まえて著者は、「早期分娩誘発の影響とバランスをみながら検討すべきである」とまとめている。巨大児については、肩甲難産のリスクが高いことが知られている。Lancet誌オンライン版2015年4月8日号掲載の報告より。

BRCA遺伝子、変異型・部位の違いで乳がん・卵巣がんリスク異なる/JAMA

 BRCA遺伝子の変異型とヌクレオチド配列部位によって、乳がんや卵巣がんリスクが異なることが明らかにされた。米国・ペンシルベニア大学のTimothy R. Rebbeck氏らが、33ヵ国のBRCA1/2変異を持つ女性について行った観察研究の結果、報告した。これまで同遺伝子キャリアに関するがんリスクについては、限定的であり、研究グループは大規模な検討を行い、特有のがんリスクの特定を試みた。今回の結果を踏まえて著者は、「確証が得られれば、BRCA1/2変異のキャリアに対してリスク評価とがん予防への意思決定に寄与する知見となるだろう」とまとめている。JAMA誌2015年4月7日号掲載の報告より。

市中肺炎へのβラクタム系抗菌薬、単独療法でも有効/NEJM

 成人市中肺炎疑い患者へのβラクタム系抗菌薬単独療法は、マクロライド系抗菌薬との併用療法やフルオロキノロン系抗菌薬単独療法に比べ、90日死亡率に関して非劣性であることが示された。オランダ・ユトレヒト大学メディカルセンターのDouwe F. Postma氏らが、3群で約2,300例の患者を対象に行った試験の結果、報告した。NEJM誌2015年4月2日号掲載の報告より。

切除不能大腸がん、CAPOX-B後の維持療法でPFS延長/Lancet

 切除不能大腸がんの1次治療において、カペシタビン+オキサリプラチン+ベバシズマブ(CAPOX-B)による導入療法に加えカペシタビン+ベバシズマブによる維持療法を行うと予後が改善することが、オランダ・アムステルダム大学のLieke H J Simkens氏らオランダ大腸がん研究グループ(DCCG)が実施したCAIRO3試験で示された。切除不能大腸がんに対する化学療法薬の間欠投与は持続投与に比べて生存期間が劣らず、OPTIMOX1試験ではフルオロウラシル+ロイコボリンの継続投与下にオキサリプラチンを休薬し、病勢進行(PD)後に再投与しても生存期間は持続投与と同等であることが報告されている。一方、分子標的薬であるベバシズマブは、PD後も継続的に投与することで予後の改善をもたらすことが示唆されている。Lancet誌オンライン版2015年4月7日掲載の報告より。

心臓手術の輸血、赤血球保存期間の違いで転帰は?/NEJM

 輸血用赤血球の保存期間と多臓器機能障害スコア(MODS)変化に、関連はないことが示された。米国・ミネソタ大学フェアビューメディカルセンターのM.E. Steiner氏らが、12歳以上の高難度の心臓手術を受ける患者を対象に行った多施設共同無作為化試験の結果、報告した。10日以下vs. 21日以上を検討したが差はみられなかったという。これまで一部の観察研究で、保存期間が2~3週を超えると、ときに致死的となる重大な有害転帰と関連するとの報告があった。NEJM誌2015年4月9日号掲載の報告より。

非重症妊娠高血圧、早期分娩は早計か?/Lancet

 妊娠34~37週、非重症の妊娠高血圧症候群の妊婦について、早期の分娩は母体の有害アウトカムリスクを、わずかだが減少する可能性がある一方、新生児呼吸窮迫症候群(respiratory distress syndrome:RDS)のリスクが有意に増大することが示された。オランダ・フローニンゲン大学のKim Broekhuijsen氏らが非盲検無作為化試験HYPITAT-IIの結果、報告した。結果を踏まえて著者は「ルーチンな早期分娩が正しいとはいえない」と述べ、臨床症状の悪化がみられるまで待機的モニタリング戦略を考慮すべきであるとまとめている。Lancet誌オンライン版2015年3月24日号掲載の報告より。

研究の無駄は簡単・安価な補正で回避可能/BMJ

 研究が無駄になるのは、方法論が不十分であることと関連しており、簡便かつ安価な補正により一部は回避できるとする報告が、フランス国立保健医学研究所(INSERM)のYouri Yordanov氏らにより発表された。2009年に発表された先行研究で、研究の85%が無駄になっており、大部分が不十分な方法論と関連しているとする報告があった。BMJ誌オンライン版2015年3月24日号掲載の報告より。

PCI前の出血リスク予測は有用/BMJ

 ST上昇型心筋梗塞でPCI実施が予定されている患者に対し、術前に周術期出血リスク予測を行うことで、出血回避戦略の実施率が上がり、出血リスクが減少することが明らかにされた。米国Saint Luke’s Mid America Heart InstituteのJohn A Spertus氏らが、1万例超について行った前向きコホート試験の結果、報告した。BMJ誌オンライン版2015年3月24日号掲載の報告より。

頭蓋内動脈狭窄へのバルーン拡張型ステントは転帰不良/JAMA

 頭蓋内動脈狭窄症の患者に対し、内科的治療+バルーン拡張型ステント治療は、内科的治療のみに比べ、12ヵ月間の同一部位の脳卒中やTIAのリスク増大、また30日間のあらゆる脳卒中やTIAのリスク増大に至ったことが報告された。米国・ウィスコンシン医科大学のOsama O. Zaidat氏らが無作為化比較試験の結果、示された。これまで、無作為化試験による、同比較の検討は行われていなかったという。著者は今回の結果について、「症候性頭蓋内動脈狭窄症の患者には、バルーン拡張型ステントの使用を支持しないものであった」とまとめている。JAMA誌2015年3月24・31日号掲載の報告より。

僧帽弁術中のアブレーション、術後に好影響/NEJM

 僧帽弁手術を受ける持続性心房細動患者に対し、術中に外科的心房細動アブレーションを行うことで、術後6ヵ月および12ヵ月の心房細動の無発生率が大幅に増大することが示された。ただし、永久ペースメーカー植込みリスクも上昇が示された。米国・クリーブランドクリニックのA. Marc Gillinov氏らが、260例の心房細動患者について行った無作為化比較試験の結果、報告した。僧帽弁手術を受ける患者のうち30~50%に心房細動がみられる。心房細動に対する外科的アブレーションは広く行われているが、安全性、有効性に関するエビデンスは限定的であった。NEJM誌2015年4月9日号(オンライン版2015年3月16日号)掲載の報告より。

CADへのエベロリムスPCI vs.CABG~アジアでのRCT/NEJM

 多枝冠動脈疾患の患者へのエベロリムス溶出ステントによる経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は、冠動脈バイパス術(CABG)に比べ、長期アウトカムが不良であることが明らかにされた。韓国・蔚山大学校のSeung-Jung Park氏らが、880例の患者について行った無作為化非劣性試験の結果、報告した。これまで多くのPCI対CABG比較試験が行われているが、第2世代薬剤溶出ステントを用いた検討は行われていなかった。NEJM誌2015年3月26日号(オンライン版2015年3月16日号)掲載の報告より。

アリロクマブ併用による長期のLDL-C改善効果/NEJM

 米国・アイオワ大学のJennifer G Robinson氏らODYSSEY LONG TERM試験の研究グループは、心血管リスクの高い患者の治療において、新規LDLコレステロール(LDL-C)低下薬アリロクマブ(alirocumab、国内未承認)を最大耐用量のスタチンと併用すると、長期にわたりLDL-C値が有意に減少し、心血管イベントが抑制されることを確認した。アリロクマブは、前駆蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に対するモノクローナル抗体であり、第II相試験では短期的投与(8~12週)により、スタチン治療を受けている患者のLDL-C値を40~70%減少させることが示されている。NEJM誌オンライン版2015年3月15日号掲載の報告より。

CADへのエベロリムスPCIの長期転帰、CABGと同等か/NEJM

 多枝冠動脈疾患に対するエベロリムス溶出ステントを用いた経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の長期的な死亡リスクは、冠動脈バイパス術(CABG)とほぼ同等であることが、米国・ニューヨーク大学のSripal Bangalore氏らの検討で示された。多枝冠動脈疾患患者の長期的死亡率は、CABG施行後のほうがPCI施行後よりも低いことが、臨床試験や患者登録研究で報告されているが、それらの解析では第2世代薬剤溶出ステントによるPCIの評価は行われていないという。NEJM誌2015年3月26日号(オンライン版2015年3月16日号)掲載の報告より。