ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:236

クリプトコッカス髄膜炎に対する抗真菌薬併用療法の有効性を確認/NEJM

 クリプトコッカス髄膜炎に対し、治療ガイドラインではアムホテリシンBデオキシコール酸(商品名:ファンギゾンほか)とフルシトシン(同:アンコチル)による抗真菌薬併用療法が推奨されている。しかしアムホテリシンB単独療法と比べて同療法による死亡率の低下は示されなかった。その後の検討で、高用量アムホテリシンBおよび高用量フルコナゾールの各単独療法の有効性は示され、ベトナム・オックスフォード大学臨床研究ユニットのJeremy N. Day氏らは、未検討であった高用量アムホテリシンB+フルシトシンあるいは高用量フルコナゾール(商品名:ジフルカンほか)との併用療法の有効性について無作為化オープンラベル試験を行った。その結果、高用量アムホテリシンB+フルシトシンの併用療法による生存改善は認められたが、高用量アムホテリシンB+高用量フルコナゾールについては有効性が認められなかったことを報告した。NEJM誌2013年4月4日号掲載の報告より。

禁煙で体重が増えても心血管疾患リスクは減少/JAMA

 非糖尿病者では、禁煙により心血管疾患(CVD)のリスクが大きく低下する一方で体重の増加がみられるが、禁煙による心血管ベネフィットは体重増加では損なわれないことが、米国・マサチューセッツ総合病院のCarole Clair氏らの検討で明らかとなった。米国では喫煙は予防可能な死亡の主要因とされ、CVDの重要なリスク因子である。禁煙によりCVDリスクは実質的に低減するが、禁煙の数少ない有害作用に体重増加があり、肥満もCVDのリスク因子であることから、禁煙を考慮中の喫煙者の高い関心を呼んでいる。JAMA誌2013年3月13日号掲載の報告。

デュロキセチン、がん化学療法薬による末梢神経障害に伴う疼痛を緩和/JAMA

 セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬デュロキセチン(商品名:サインバルタ)が、疼痛を伴う化学療法薬誘発性の末梢神経障害の軽減に有効なことが、米国・ミシガン大学のEllen M. Lavoie Smith氏らが実施したCALGB-170601試験で示された。タキサン系、プラチナ製剤、ビンカ・アルカロイド系、ボルテゾミブなどの化学療法薬により、がん患者の約20~40%に疼痛を伴う末梢神経障害が発現し、治療終了後も数ヵ月~数年にわたり持続する場合があるが、有効な治療法は確立されていない。同氏らは、第III相試験で疼痛を伴う糖尿病性神経障害に対する有効性が示されているデュロキセチンが、化学療法薬誘発性末梢神経障害に伴う疼痛の軽減にも有効ではないかと考えたという。JAMA誌2013年4月3日号掲載の報告。

PCI施行後の大出血で院内死亡率が上昇/JAMA

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行後の大出血により院内死亡率が有意に上昇し、出血関連死は推定で約12%にのぼることが、米国Saint Luke’s Mid America Heart InstituteのAdnan K. Chhatriwalla氏らの検討で示された。出血は最も高頻度にみられるPCIの合併症で、死亡率の上昇や医療費の増大をもたらす。米国では、これまでPCI後の出血関連死のデータはなく、出血リスク、部位と死亡率の関連も不明であった。JAMA誌2013年3月13日号掲載の報告。

転移性前立腺がんの間欠的アンドロゲン除去療法、持続的投与に対する非劣性示せず/NEJM

 ホルモン感受性の転移性前立腺がんの治療において、抗アンドロゲン薬の間欠的投与は持続的投与に対し、全生存期間(OS)に関して非劣性ではないことが、米国・ミシガン大学のMaha Hussain氏らの検討で明らかとなった。現在の標準治療である持続的アンドロゲン除去療法は高い奏効率をもたらすが、ほとんどの患者が去勢抵抗性(アンドロゲン非依存性)となり、OS中央値は2.5~3年とされる。間欠的投与はアンドロゲン依存性の期間を延長させる可能性があり、持続的投与に比べ投与期間が短縮するためQOLの改善も期待できると考えられていた。NEJM誌2013年4月4日号掲載の報告。

心不全への標準治療に加えたアリスキレン投与、長期アウトカム改善せず/JAMA

 心不全入院患者に対し、利尿薬やβ遮断薬などの標準的治療に加え、直接的レニン阻害薬の降圧薬アリスキレン(商品名:ラジレス)の投与を行っても、6ヵ月、12ヵ月後のアウトカム改善は認められなかったことが、米国・ノースウェスタン大学のMihai Gheorghiade氏らによるプラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果、報告された。研究グループは、先行研究における、心不全患者に対するアリスキレン投与は脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)を有意に低下し良好な血行動態をもたらすといった報告を踏まえて、アリスキレンの長期アウトカム改善の可能性に関する本検討を行った。JAMA誌2013年3月20日号掲載の報告より。

新たな核酸医薬品miR-122阻害薬ミラヴィルセン、慢性C型肝炎の治療に有望/NEJM

 C型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型1型の慢性感染患者に対し、microRNA-122(miR-122)阻害薬ミラヴィルセンは、用量依存的にHCV RNA濃度を低下することが示された。オランダ・エラスムス大学病院のHarry L.A. Janssen氏らが行った国際共同第2a相無作為化試験の結果で、NEJM誌オンライン版2013年3月28日号で発表した。ミラヴィルセンは、ロックド核酸-修飾DNAホスホロチオエート・アンチセンスオリゴヌクレオチドで、成熟したmiR-122を安定したヘテロ二本鎖に隔離することで、その機能を阻害する新たな核酸医薬品である。

非CF性気管支拡張症への長期低用量エリスロマイシン、急性増悪を抑制/JAMA

 オーストラリア・メーター成人病院のDavid J. Serisier氏らによる無作為化試験の結果、非嚢胞性線維症性(non-CF)気管支拡張症患者において、低用量エリスロマイシンの長期投与はプラセボと比較して、わずかではあるが有意に急性増悪を抑制することが報告された。一方で耐性菌の増大も確認された。これまでエリスロマイシンのようなマクロライド系抗菌薬は、non-CF気管支拡張症の臨床アウトカムを改善する可能性が示唆され、一方で耐性菌のリスクについて明らかではなかった。JAMA誌2013年3月27日号掲載の報告より。

院内心停止後生存高齢者の1年生存率58%、3年生存率は心不全患者と同程度/NEJM

 Paul S. Chan氏らAssociation Get with the Guidelinesの心肺蘇生研究グループによる調査の結果、院内心停止を起こした高齢の生存者について、60%近くが1年時点で生存しており、3年時点の生存率は心不全患者と同程度であったことが明らかにされた。生存率と再入院率は、患者の人口統計学的特性と退院時の神経学的状態によって異なることも示された。院内心停止後の高齢生存者についての長期予後については、これまでほとんど明らかとなっていなかった。研究グループは、予想される転帰や予後因子を明らかにすることで、診療の評価と蘇生治療の目標がより明確になるとして本検討を行った。NEJM誌2013年3月14日号掲載の報告より。

抗菌薬治療でCOPD急性増悪例、市中肺炎患者の心血管イベントが増加/BMJ

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪例や市中肺炎患者に対するクラリスロマイシン(商品名:クラリスほか)治療により、心血管イベントが有意に増加することが、英国・ナインウェルス病院(ダンディー市)のStuart Schembri氏らの検討で示された。英国では、COPD急性増悪と市中肺炎は入院の主原因であり、治療にはクラリスロマイシンが頻用されている。同薬投与中に心血管イベントが増加する可能性が観察試験で示唆されており、短期投与により冠動脈心疾患患者の心血管死が増加したとする無作為化対照比較試験の結果が知られているが、呼吸器感染症の治療に用いた場合の心血管イベントに及ぼす影響はこれまで不明であった。BMJ誌オンライン版2013年3月21日号掲載の報告。

アジスロマイシン、非嚢胞性線維症性気管支拡張症の感染増悪を抑制/JAMA

 非嚢胞性線維症性(non-CF)の気管支拡張症の維持療法として、マクロライド系抗菌薬であるアジスロマイシン(商品名:ジスロマック)の12ヵ月間毎日投与法が有用なことが、オランダ・アルクマール医療センターのJosje Altenburg氏らが実施したBAT試験で示された。気管支拡張症では、小~中径の気管支にX線画像上特徴的な病的拡張と粘膜肥厚を認め、気管支壁の構造的異常により下気道クリアランスが低下して慢性的な細菌感染や炎症を来すという悪循環を呈する。マクロライド系抗菌薬は嚢胞性線維症やびまん性汎細気管支炎に対する効果が示されているが、non-CF気管支拡張症にも有効な可能性が示唆されている。JAMA誌2013年3月27日号掲載の報告。

冠動脈石灰化スコア、2型糖尿病患者のリスク評価に有用/BMJ

 冠動脈石灰化(CAC)スコア≧10の2型糖尿病患者は、<10の患者に比べ全死因死亡および心血管イベントの複合転帰の発生リスクが有意に高いことが、カナダ・マウントサイナイ病院(トロント市)のCaroline K Kramer氏らの検討で示された。一般人口を対象とした大規模な前向き試験により、CACスコアは心血管イベントの発生を予測し、リスクの再評価に有用なことが示されているが、これらの試験の多くは糖尿病患者を除外しているため、2型糖尿病患者におけるCACスコアの役割は不明であった。糖尿病患者の心血管リスクは広範にわたることから、CACスコアの転帰予測能の評価が求められていた。BMJ誌オンライン版2013年3月25日号掲載の報告。

肥満の重度精神障害者の減量に行動的介入が有効/NEJM

 過体重または肥満の重度精神障害者の減量法として、行動的減量介入が有効なことが、米国・ジョンズ・ホプキンス大学のGail L Daumit氏らが実施したACHIEVE試験で示された。欧米では、統合失調症、双極性障害、大うつ病などの重度精神障害者は一般人口に比べ死亡率が2~3倍以上高く、主な死因は心血管疾患だという。肥満の割合も一般人口の約2倍に達しており、ライフスタイル介入が必要とされる。一方、重度精神障害者は記憶や実行機能の障害および精神症状により新たな行動の学習や実践が困難なことが多いため、一般人口を対象とするライフスタイル介入試験からは通常除外され、これまでに行われた数少ない重度精神障害者限定の試験は、試験期間が短い、症例数が少ないなどの限界を抱える。NEJM誌オンライン版2013年3月21日号掲載の報告。

18~50歳成人の脳卒中後20年累積死亡率、一般成人の予測死亡率の2.6~3.9倍/JAMA

 18~50歳成人の脳卒中後20年間の累積死亡率は、一般成人の予測死亡率よりもかなり高いことが明らかになった。オランダ・ナイメーヘン・ラットバウト大学医療センターのLoes C. A. Rutten-Jacobs氏らが報告した。これまで同年代成人の初発脳卒中後の死亡率についての報告は不十分で、一般的には脳梗塞に限られたものであったという。脳卒中は主に高齢者で発生するが、約10%は50歳未満の若・中年者で発生している。JAMA誌2013年3月20日号掲載の報告より。

抗TNF療法は帯状疱疹リスクを増大しない/JAMA

 先行研究において、関節リウマチ(RA)やその他の炎症性疾患に対する生物学的製剤は、結核などの感染リスクを増大することが知られる。一方、同療法の帯状疱疹リスクに与える影響については相反する試験結果が示され、これまで明らかではなかった。米国・オレゴン健康科学大学のKevin L. Winthrop氏らは、Safety Assessment of Biologic Therapyの一環として、抗TNF療法が帯状疱疹リスクを増大するのか、米国の4つの大規模データベースの集約コホートにて後ろ向き研究を行った。その結果、抗TNF療法群は非生物学的抗リウマチ薬(DMARDs)療法群と比べて帯状疱疹リスクが高くはなかったことを報告した。JAMA誌2013年3月6日号掲載の報告より。

脳梗塞再発予防のための卵円孔開存閉鎖術vs.薬物療法/NEJM

 これまで有効性が明らかとなっていなかった、原因不明の脳梗塞を起こした成人患者に対する再発予防目的の卵円孔開存閉鎖術について、薬物療法と比較した無作為化試験の結果が報告された。intention-to-treat解析では閉鎖術の有意なベネフィットは認められなかったが、事前に規定したper-protocolコホートなどでは有意差が認められたという。米国・コロラド・デンバー大学/コロラド大学病院のJohn D. Carroll氏らが、980例を対象とした前向き多施設共同無作為化オープンラベル試験の結果、報告した。NEJM誌2013年3月21日号掲載の報告より。

RA単独療法は、トシリズマブがアダリムマブよりも症状改善が有意/Lancet

 メトトレキサート(商品名:リウマトレックスほか、MTX)が使用できない関節リウマチ(RA)患者に対する生物学的製剤の単独療法は、トシリズマブ(同:アクテムラ)がアダリムマブ(同:ヒュミラ)よりも優れることが、スイス・ジュネーブ大学病院のCem Gabay氏らによる第4相国際多施設共同無作為化二重盲検並行群間試験「ADACTA」の結果、示された。先行研究(第3相無作為化二重盲検対照試験)において、トシリズマブ+MTXまたはDMARDsの併用療法が異なるRA患者の症状を改善することが示されていたが、米国のRAレジストリにおいて約3分の1が生物学的製剤単独療法を受けているとの実態を受けて本検討が行われた。また、トシリズマブ単独療法の有効性および安全性は、先の第3相試験で示されていた。Lancet誌オンライン版2013年3月18日号掲載の報告より。

長距離ドライバーのカフェイン摂取、事故リスク減少と関連/BMJ

 商業用自動車の長距離ドライバーにとって、お茶やコーヒー、カフェイン錠剤などの法的に認められているカフェイン添加物は、事故のリスクを6割強減少することが、オーストラリア・ジョージ国際保健研究所のLisa N Sharwood氏らによる症例対照研究の結果、明らかになった。長距離ドライバーに関しては、疲労対策として違法な刺激物(コカインなど)の使用が知られる。一方で、カフェインは法的に認められた刺激物で広く消費されており、シミュレーションでは運転者の敏捷性や作業効率を亢進することが示されていたが、リアルワールドでの研究は行われていなかったという。BMJ誌オンライン版2013年3月18日号の掲載報告。

退院時診断に基づくERの軽症患者の受診抑制策は効果的なのか?/JAMA

 米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のMaria C. Raven氏らは、非緊急の救急部門(ER)受診を退院時診断で特定できるのか、主訴と退院時診断を比較する検討を行った。米国では増大する医療費削減策として、ERのいわゆる軽症患者の受診を抑制するため、非緊急ER受診が退院診断と関連しているような場合は医療費支払いを拒否または制限するというメディケア施策が、複数の州で制定・実行または検討されているという。本施策については効果的とする一方、たとえば高齢の糖尿病患者で胸痛を訴えた後の逆流性食道炎が退院時診断であったような場合や、医療費支払いの制限を心配した過度の受診抑制が起きるのではないかという懸念も示されている。JAMA誌2013年3月20日号掲載の報告より。

高力価スタチン服用者、急性腎障害による入院リスクが高い/BMJ

 慢性腎障害がみられない患者の場合、高力価スタチン服用者は低力価スタチン服用者に比べ急性腎障害による入院率が有意に高いことが、カナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学のColin R Dormuth氏らの検討で示された。スタチンの腎臓に対する有害作用の可能性を示唆する研究がいくつかあるが、スタチンによる急性腎障害に関する検討はこれまで行われていなかったという。BMJ誌オンライン版2013年3月20日号掲載の報告。