ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:235

院内心停止後生存高齢者の1年生存率58%、3年生存率は心不全患者と同程度/NEJM

 Paul S. Chan氏らAssociation Get with the Guidelinesの心肺蘇生研究グループによる調査の結果、院内心停止を起こした高齢の生存者について、60%近くが1年時点で生存しており、3年時点の生存率は心不全患者と同程度であったことが明らかにされた。生存率と再入院率は、患者の人口統計学的特性と退院時の神経学的状態によって異なることも示された。院内心停止後の高齢生存者についての長期予後については、これまでほとんど明らかとなっていなかった。研究グループは、予想される転帰や予後因子を明らかにすることで、診療の評価と蘇生治療の目標がより明確になるとして本検討を行った。NEJM誌2013年3月14日号掲載の報告より。

抗菌薬治療でCOPD急性増悪例、市中肺炎患者の心血管イベントが増加/BMJ

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪例や市中肺炎患者に対するクラリスロマイシン(商品名:クラリスほか)治療により、心血管イベントが有意に増加することが、英国・ナインウェルス病院(ダンディー市)のStuart Schembri氏らの検討で示された。英国では、COPD急性増悪と市中肺炎は入院の主原因であり、治療にはクラリスロマイシンが頻用されている。同薬投与中に心血管イベントが増加する可能性が観察試験で示唆されており、短期投与により冠動脈心疾患患者の心血管死が増加したとする無作為化対照比較試験の結果が知られているが、呼吸器感染症の治療に用いた場合の心血管イベントに及ぼす影響はこれまで不明であった。BMJ誌オンライン版2013年3月21日号掲載の報告。

アジスロマイシン、非嚢胞性線維症性気管支拡張症の感染増悪を抑制/JAMA

 非嚢胞性線維症性(non-CF)の気管支拡張症の維持療法として、マクロライド系抗菌薬であるアジスロマイシン(商品名:ジスロマック)の12ヵ月間毎日投与法が有用なことが、オランダ・アルクマール医療センターのJosje Altenburg氏らが実施したBAT試験で示された。気管支拡張症では、小~中径の気管支にX線画像上特徴的な病的拡張と粘膜肥厚を認め、気管支壁の構造的異常により下気道クリアランスが低下して慢性的な細菌感染や炎症を来すという悪循環を呈する。マクロライド系抗菌薬は嚢胞性線維症やびまん性汎細気管支炎に対する効果が示されているが、non-CF気管支拡張症にも有効な可能性が示唆されている。JAMA誌2013年3月27日号掲載の報告。

冠動脈石灰化スコア、2型糖尿病患者のリスク評価に有用/BMJ

 冠動脈石灰化(CAC)スコア≧10の2型糖尿病患者は、<10の患者に比べ全死因死亡および心血管イベントの複合転帰の発生リスクが有意に高いことが、カナダ・マウントサイナイ病院(トロント市)のCaroline K Kramer氏らの検討で示された。一般人口を対象とした大規模な前向き試験により、CACスコアは心血管イベントの発生を予測し、リスクの再評価に有用なことが示されているが、これらの試験の多くは糖尿病患者を除外しているため、2型糖尿病患者におけるCACスコアの役割は不明であった。糖尿病患者の心血管リスクは広範にわたることから、CACスコアの転帰予測能の評価が求められていた。BMJ誌オンライン版2013年3月25日号掲載の報告。

肥満の重度精神障害者の減量に行動的介入が有効/NEJM

 過体重または肥満の重度精神障害者の減量法として、行動的減量介入が有効なことが、米国・ジョンズ・ホプキンス大学のGail L Daumit氏らが実施したACHIEVE試験で示された。欧米では、統合失調症、双極性障害、大うつ病などの重度精神障害者は一般人口に比べ死亡率が2~3倍以上高く、主な死因は心血管疾患だという。肥満の割合も一般人口の約2倍に達しており、ライフスタイル介入が必要とされる。一方、重度精神障害者は記憶や実行機能の障害および精神症状により新たな行動の学習や実践が困難なことが多いため、一般人口を対象とするライフスタイル介入試験からは通常除外され、これまでに行われた数少ない重度精神障害者限定の試験は、試験期間が短い、症例数が少ないなどの限界を抱える。NEJM誌オンライン版2013年3月21日号掲載の報告。

18~50歳成人の脳卒中後20年累積死亡率、一般成人の予測死亡率の2.6~3.9倍/JAMA

 18~50歳成人の脳卒中後20年間の累積死亡率は、一般成人の予測死亡率よりもかなり高いことが明らかになった。オランダ・ナイメーヘン・ラットバウト大学医療センターのLoes C. A. Rutten-Jacobs氏らが報告した。これまで同年代成人の初発脳卒中後の死亡率についての報告は不十分で、一般的には脳梗塞に限られたものであったという。脳卒中は主に高齢者で発生するが、約10%は50歳未満の若・中年者で発生している。JAMA誌2013年3月20日号掲載の報告より。

抗TNF療法は帯状疱疹リスクを増大しない/JAMA

 先行研究において、関節リウマチ(RA)やその他の炎症性疾患に対する生物学的製剤は、結核などの感染リスクを増大することが知られる。一方、同療法の帯状疱疹リスクに与える影響については相反する試験結果が示され、これまで明らかではなかった。米国・オレゴン健康科学大学のKevin L. Winthrop氏らは、Safety Assessment of Biologic Therapyの一環として、抗TNF療法が帯状疱疹リスクを増大するのか、米国の4つの大規模データベースの集約コホートにて後ろ向き研究を行った。その結果、抗TNF療法群は非生物学的抗リウマチ薬(DMARDs)療法群と比べて帯状疱疹リスクが高くはなかったことを報告した。JAMA誌2013年3月6日号掲載の報告より。

脳梗塞再発予防のための卵円孔開存閉鎖術vs.薬物療法/NEJM

 これまで有効性が明らかとなっていなかった、原因不明の脳梗塞を起こした成人患者に対する再発予防目的の卵円孔開存閉鎖術について、薬物療法と比較した無作為化試験の結果が報告された。intention-to-treat解析では閉鎖術の有意なベネフィットは認められなかったが、事前に規定したper-protocolコホートなどでは有意差が認められたという。米国・コロラド・デンバー大学/コロラド大学病院のJohn D. Carroll氏らが、980例を対象とした前向き多施設共同無作為化オープンラベル試験の結果、報告した。NEJM誌2013年3月21日号掲載の報告より。

RA単独療法は、トシリズマブがアダリムマブよりも症状改善が有意/Lancet

 メトトレキサート(商品名:リウマトレックスほか、MTX)が使用できない関節リウマチ(RA)患者に対する生物学的製剤の単独療法は、トシリズマブ(同:アクテムラ)がアダリムマブ(同:ヒュミラ)よりも優れることが、スイス・ジュネーブ大学病院のCem Gabay氏らによる第4相国際多施設共同無作為化二重盲検並行群間試験「ADACTA」の結果、示された。先行研究(第3相無作為化二重盲検対照試験)において、トシリズマブ+MTXまたはDMARDsの併用療法が異なるRA患者の症状を改善することが示されていたが、米国のRAレジストリにおいて約3分の1が生物学的製剤単独療法を受けているとの実態を受けて本検討が行われた。また、トシリズマブ単独療法の有効性および安全性は、先の第3相試験で示されていた。Lancet誌オンライン版2013年3月18日号掲載の報告より。

長距離ドライバーのカフェイン摂取、事故リスク減少と関連/BMJ

 商業用自動車の長距離ドライバーにとって、お茶やコーヒー、カフェイン錠剤などの法的に認められているカフェイン添加物は、事故のリスクを6割強減少することが、オーストラリア・ジョージ国際保健研究所のLisa N Sharwood氏らによる症例対照研究の結果、明らかになった。長距離ドライバーに関しては、疲労対策として違法な刺激物(コカインなど)の使用が知られる。一方で、カフェインは法的に認められた刺激物で広く消費されており、シミュレーションでは運転者の敏捷性や作業効率を亢進することが示されていたが、リアルワールドでの研究は行われていなかったという。BMJ誌オンライン版2013年3月18日号の掲載報告。

退院時診断に基づくERの軽症患者の受診抑制策は効果的なのか?/JAMA

 米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のMaria C. Raven氏らは、非緊急の救急部門(ER)受診を退院時診断で特定できるのか、主訴と退院時診断を比較する検討を行った。米国では増大する医療費削減策として、ERのいわゆる軽症患者の受診を抑制するため、非緊急ER受診が退院診断と関連しているような場合は医療費支払いを拒否または制限するというメディケア施策が、複数の州で制定・実行または検討されているという。本施策については効果的とする一方、たとえば高齢の糖尿病患者で胸痛を訴えた後の逆流性食道炎が退院時診断であったような場合や、医療費支払いの制限を心配した過度の受診抑制が起きるのではないかという懸念も示されている。JAMA誌2013年3月20日号掲載の報告より。

高力価スタチン服用者、急性腎障害による入院リスクが高い/BMJ

 慢性腎障害がみられない患者の場合、高力価スタチン服用者は低力価スタチン服用者に比べ急性腎障害による入院率が有意に高いことが、カナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学のColin R Dormuth氏らの検討で示された。スタチンの腎臓に対する有害作用の可能性を示唆する研究がいくつかあるが、スタチンによる急性腎障害に関する検討はこれまで行われていなかったという。BMJ誌オンライン版2013年3月20日号掲載の報告。

心肺蘇生への立ち会い、家族のPTSDを抑制/NEJM

 自宅で心停止を来した患者に対する心肺蘇生(cardiopulmonary resuscitation:CPR)に家族が立ち会うことで、立ち会わない場合に比べ心的外傷後ストレス障害(PTSD)の発症が有意に改善することが、フランス・アヴィセンヌ病院(ボビニー)のPatricia Jabre氏らの検討で示された。先進工業国では心停止が年間約60万件発生しており、蘇生に立ち会う家族の心理的、身体的負担は大きいが、可能な限りの蘇生処置が行われたことを知るという長所がある。また、家族が立ち会うことで、見えない場所で行われる蘇生処置への疑念や非現実的な期待が払拭されるとともに、最後の別れの機会が提供され、死の現実を理解することで死別のプロセスの遷延化や病的な悲嘆、PTSDを軽減する可能性があるという。NEJM誌オンライン版2013年3月14日号掲載の報告。

血中循環腫瘍DNA、転移性乳がんに特異的で高感度のバイオマーカー/NEJM

 血中循環腫瘍DNA(circulating tumor DNA)は、転移性乳がんに関し、特異的で感度の高いバイオマーカーであることが示された。従来マーカーのがん抗原15-3(CA 15-3)や血中循環腫瘍細胞(circulating tumor cells)よりも、腫瘍量との相関関係が強いという。英国・ケンブリッジ大学のSarah-Jane Dawson氏らが、転移性乳がん患者30例について行った試験で明らかにしたもので、NEJM誌2013年3月13日号で発表した。転移性乳がん患者については、その治療反応性のモニタリングを目的とした、より適切なバイオマーカーが必要とされている。

off-pump CABGの長期アウトカム、on-pump CABGと有意差なし/NEJM

 off-pump冠動脈バイパス術(CABG)は、on-pumpCABGと比べて、1年後の臨床アウトカムについて有意差はないことが示された。冠動脈血行再建の再施行率についても、両群で有意差は示されなかった。カナダ・マックマスター大学のAndre Lamy氏らが、約4,800例について行った無作為化比較試験「CORONARY」の結果、報告したもので、NEJM誌2013年3月11日号で発表した。CORONARYの結果についてはすでに、30日後の臨床アウトカムについて両群で有意差がないことは発表されていた。

ソホスブビル+リバビリン併用12週治療で、慢性HCV患者のSVR24達成/Lancet

 肝硬変のない未治療の慢性C型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型1の患者に対する、NS5Bポリメラーゼ選択的阻害薬ソホスブビルのペグインターフェロンα-2a+抗ウイルス薬リバビリン(商品名:レベトールほか)との併用12週間治療の有効性と安全性を検討した第2相試験「ATOMIC」の結果が報告された。本試験は、同患者に対する標準療法の24週間治療法(ポリメラーゼ阻害薬+リバビリン)と同等の効果が、ソホスブビルレジメンの12週間治療法で認められるか、また同レジメン12週投与後にソホスブビル単独療法もしくはソホスブビル+リバビリン併用投与を12週間追加した場合のあらゆるベネフィットを調べることが目的であった。Lancet誌オンライン版2013年3月14日号掲載の報告より。

非緊急PCI、心臓外科部門のない施設でもアウトカムは非劣性/NEJM

 非緊急の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)について、心臓外科部門のない病院(非専門施設)での実施のアウトカムが、同部門がある病院に劣らないことが、米国・ボストン大学医学部のAlice K. Jacobs氏らによる多施設共同の前向き無作為化非劣性試験「MASS COMM」の結果、明らかにされた。PCI後に緊急手術を要する事象の発生はまれになったが、最良のアウトカムを得るためには、PCI実施は専門施設を基本とするべきかについては不明であった。MASS COMMは、政策へのエビデンス提供を目的に州公衆衛生局と共同で2006年に企画された研究であった。NEJM誌オンライン版2013年3月11日号掲載の報告。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療、プライマリ・ケアでも提供可能/JAMA

 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の治療について、プライマリ・ケアでの提供が、睡眠専門医療施設での提供に匹敵することが、オーストラリア・フリンダース大学のChing Li Chai-Coetzer氏らによる無作為化非劣性試験の結果、示された。睡眠障害への気づきと受診を促す啓発活動や肥満者の増大でOSA治療のために専門施設を受診する患者が増え、戦略的な外来治療への関心が高まってきている。プライマリ・ケア受診患者の約3分の1にOSAの疑いがあるとの報告もあり、Chai-Coetzer氏らは、適切な訓練と簡便なマネジメントツールで、プライマリ・ケアでのOSA治療が提供可能か本検討を行った。JAMA誌2013年3月13日号掲載の報告より。

乳がんの放射線療法、その後の虚血性心疾患を増大/NEJM

 乳がんの放射線療法は、虚血性心疾患を増大することが、英国・オックスフォード大学のSarah C. Darby氏らによる住民ベースの症例対照研究の結果、報告された。疾患増大は平均照射線量に比例しており、照射曝露後数年以内に増大し始め20年以上続くこと、もともと心臓リスク因子を有する女性の絶対リスクが大きいことも明らかになった。乳がんの放射線療法では、心臓への偶発的な電離放射線曝露の頻度が高い。しかし、曝露による心臓への影響、その後の虚血性心疾患リスクについては確認されていなかった。NEJM誌2013年3月14日号掲載の報告。

75歳以上高齢者に対するCABG、off-pumpとon-pumpに有意差なし/NEJM

 75歳以上の高齢者に焦点をあてoff-pump冠動脈バイパス術(CABG)のベネフィットについて検討した、ドイツ・ヘルツ&ゲファスクリニックのAnno Diegeler氏らによる無作為化試験「GOPCABE」の結果が発表された。on-pump CABGと比べて、30日時点、12ヵ月時点ともに死亡や脳卒中など複合アウトカムに関する有意差は認められなかったという。off-pump CABGについてはその有用性はなお議論の的である。これまで低リスク患者や異なるリスク背景をもつ患者を対象とした試験は行われているが、高齢者については確認されておらず、Diegeler氏らは、高リスク患者におけるoff-pump CABGの有効性を明らかにできることを確信して本検討を行った。NEJM誌オンライン版2013年3月11日号の掲載報告より。