ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:100

アナストロゾール5年投与の乳がん予防効果、11年後も(IBIS-II)/Lancet

 乳がん発症リスクが高い閉経後女性において、アナストロゾールの予防効果は投与終了後も長期にわたり維持されており、新たな遅発性の副作用は報告されなかったことが、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のJack Cuzick氏らによる長期追跡試験「IBIS-II試験」で示された。「MAP.3」および「IBIS-II」の2件の大規模臨床試験において、アロマターゼ阻害薬投与後最初の5年間で高リスク女性の乳がん発症率が低下することが報告されていたが、アナストロゾール投与終了後の長期的な乳がん発症率についてはこれまで不明であった。Lancet誌オンライン版2019年12月12日号掲載の報告。また同日、サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2019)にて発表された。

VMP療法+ダラツムマブ、多発性骨髄腫のOS延長/Lancet

 幹細胞移植の適応がない新規診断の多発性骨髄腫の患者では、標準治療であるボルテゾミブ+メルファラン+prednisone(VMP)療法にダラツムマブを追加(D-VMP療法)すると、標準治療単独に比べ全生存(OS)期間が有意に延長することが、スペイン・サラマンカ大学病院のMaria-Victoria Mateos氏らが行った「ALCYONE試験」の中間解析で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年12月9日号に掲載された。ダラツムマブは、CD38を標的とするヒトIgGκモノクローナル抗体製剤であり、直接的な腫瘍縮小作用とともに免疫調節作用を有するという。本試験の主解析では、D-VMP療法により無増悪生存(PFS)期間が有意に延長することが、すでに報告されている。

乳房温存手術後の同側再発の抑制に、加速乳房部分照射は有効か/Lancet

 乳房温存手術では、腫瘍摘出術後の加速乳房部分照射(APBI)は全乳房照射と比較して、同側乳房腫瘍再発(IBTR)のコントロールにおいて同等性の判定基準を満たさないことが、米国・NRG OncologyのFrank A. Vicini氏らの検討で示された。研究の詳細は、Lancet誌2019年12月14日号に掲載された。早期乳がんに対する乳房温存手術後の全乳房照射はIBTRを抑制し、乳房全切除術と同等の結果をもたらす。一方、腫瘍のある四分円にのみ照射するAPBIは治療期間の短縮をもたらすが、その効果が乳房全切除術と同等かは知られていない。

イキセキズマブ、X線陰性体軸性脊椎関節炎に有効/Lancet

 X線画像で明確な所見のない体軸性脊椎関節炎患者の治療において、イキセキズマブはプラセボに比べ、疾患の徴候と症状(ASAS40)を有意に改善することが、米国・オレゴン健康科学大学のAtul Deodhar氏らが行った「COAST-X試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年12月5日号に掲載された。イキセキズマブはインターロイキン17A(IL-17A)に高い親和性を有するモノクローナル抗体であり、すでにX線所見を伴う体軸性脊椎関節炎(別名:強直性脊椎炎)における有効性が報告されている。

新規ADC薬のDS-8201、既治療HER2+乳がんで腫瘍縮小効果/NEJM

 多くの前治療歴(レジメン数中央値6)のある転移を有するHER2陽性乳がんの治療において、trastuzumab deruxtecan(DS-8201)は持続的な腫瘍縮小効果(奏効率60.9%、奏効期間中央値14.8ヵ月)をもたらすことが、米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのShanu Modi氏らが行った「DESTINY-Breast01試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2019年12月11日号に掲載された。また同日、サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2019)にて発表された。trastuzumab deruxtecanは、トラスツズマブと同じアミノ酸配列を持ち、HER2を特異的な標的とするヒト化モノクローナル抗体と、細胞傷害性薬剤(ペイロード)である強力なトポイソメラーゼI阻害薬を、開裂可能なテトラペプチドベースのリンカーを介して結合した抗体薬物複合体(ADC)。既治療のHER2陽性進行乳がんの第I相用量設定試験(DS8201-A-J101試験)では、奏効率59.5%、奏効期間中央値20.7ヵ月と報告されている。

マルファン症候群における大動脈拡張の進行をイルベサルタンが抑制/Lancet

 長時間作用型選択的ARBのイルベサルタンは、マルファン症候群の小児および若年成人患者において大動脈拡張率を減少し、大動脈合併症の発症を減少させる可能性があることが、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のMichael Mullen氏らにより英国22施設で実施された無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「Aortic Irbesartan Marfan Study:AIMS試験」の結果、示された。ARBであるロサルタンとβ遮断薬との併用療法について検証した無作為化試験では、マルファン症候群の大動脈拡張に対する明らかな有効性は確認されなかったが、イルベサルタンはロサルタンと比較して降圧作用が強く生物学的利用率が良好で半減期も長いことから、マルファン症候群患者の大動脈解離や破裂に関連する大動脈拡張を抑制することが期待されていた。Lancet誌オンライン版2019年12月10日号掲載の報告。

ribociclib+フルベストラント、進行乳がんのOS延長/NEJM

 ホルモン受容体陽性HER2陰性進行乳がん患者において、CDK4/6阻害薬ribociclib+フルベストラント併用療法はプラセボ+フルベストラントと比較し、全生存(OS)を有意に改善することが示された。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校David Geffen医学校のDennis J. Slamon氏らが、国際多施設共同無作為化第III相試験「MONALEESA-3試験」のOSに関する第2回中間解析結果を報告した。同試験の初期解析結果では、ribociclib+フルベストラント併用療法によりフルベストラント単独療法と比較し、主要評価項目である無増悪生存(PFS)期間が延長することが報告されていた。NEJM誌オンライン版2019年12月11日号掲載の報告。

オベチコール酸、NASHによる肝線維化を有意に改善/Lancet

 非アルコール性脂肪肝炎(NASH)患者に対するオベチコール酸25mgの1日1回投与は、肝線維症およびNASH疾患活動性の主要要素を有意に改善することが示された。米国・Inova Health SystemのZobair M. Younossi氏らが、1,968例を対象に行っている多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験「REGENERATE試験」の中間解析の結果を報告し、「今回の計画されていた中間解析の結果は、相当な臨床的ベネフィットを予測させる臨床的に有意な改善を示すものであった」とまとめている。NASHは一般的にみられる慢性肝疾患の1つで、肝硬変に結び付く可能性がある。farnesoid X receptor(FXR)作動薬であるオベチコール酸は、NASHの組織学的特色を改善することが示唆されていた。Lancet誌2019年12月14日号掲載の報告。

転移を有するHER2+乳がん、トラスツズマブ+カペシタビンにtucatinib追加でPFS改善/NEJM

 トラスツズマブ、ペルツズマブ、トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)の治療を受けた、脳転移を含む転移のあるHER2陽性乳がん患者に対して、トラスツズマブ+カペシタビンにtucatinibを追加投与することはプラセボの追加投与と比較して、無増悪生存(PFS)および全生存(OS)アウトカムが良好であったことが示された。ただしtucatinib追加投与群では下痢とALT値上昇のリスクが高かった。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのRashmi K. Murthy氏らによる国際共同無作為化二重盲検試験の結果で、NEJM誌オンライン版2019年12月11日号で発表された。また同日、サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2019)にて発表された。転移のあるHER2陽性乳がん患者で、複数のHER2標的薬で治療後に病勢進行が認められた場合の治療選択肢は限られる。tucatinibは開発中の高度に選択的な経口HER2阻害薬。第Ib相の用量漸増試験で、脳転移を含む転移のあるHER2陽性乳がん患者において、トラスツズマブ+カペシタビンへの併用が抗腫瘍効果を示し有望視されていた。

糖尿病妊婦の子供は早発性CVDリスクが高い/BMJ

 糖尿病の母親の子供は、小児期から成人期初期に、非糖尿病の母親の子供に比べ早発性の心血管疾患(CVD)の発生率が高く、とくに母親がCVDや糖尿病性合併症を併発している場合はCVDリスクがさらに増加することが、デンマーク・オーフス大学のYongfu Yu氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2019年12月4日号に掲載された。最近の数10年間で、世界的に子供や若年成人のCVD有病率が高くなっている。妊娠前および妊娠中の母親の糖尿病は、子供のメタボリック症候群や先天性心疾患のリスク上昇と関連するとされるが、母親の糖尿病への出生前の曝露が、生命の初期段階にある子供の早発性CVDに影響を及ぼすか否かは知られていないという。

院内心停止の生存率を左右する予後因子とは/BMJ

 院内心停止患者では、心停止前に悪性腫瘍や慢性腎臓病がみられたり、心停止から自己心拍再開までの蘇生時間が15分以上を要した患者は生存の確率が低いが、目撃者が存在したり、モニタリングを行った患者は生存の確率が高いことが、カナダ・オタワ大学のShannon M. Fernando氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2019年12月4日号に掲載された。院内心停止は生存率が低く、臨床的知識の多くは院外心停止に関する豊富な文献からの推測だという。院内心停止と関連する心停止前および心停止中の予後因子の理解は、重要な研究分野とされる。

米国中高生にフレーバー電子タバコが蔓延/JAMA

 2019年の米国の高等学校(high school)および中学校(middle school)の生徒における電子タバコ使用者の割合は高く(それぞれ27.5%、10.5%)、特定の銘柄の電子タバコ使用者の多くがフレーバー電子タバコを使用(72.2%、59.2%)している実態が、米国食品医薬品局(FDA)タバコ製品センターのKaren A. Cullen氏らの調査で明らかとなった。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2019年11月5日号に掲載された。米国の青少年における電子タバコの使用率は、2011年から2018年に、実質的に増加しているという。青少年の電子タバコや他のタバコ製品の使用率の継続的な監視は、公衆衛生学上の施策や計画立案、規制の取り組みへの情報提供として重要とされる。

ddTC療法、上皮性卵巣がんの1次治療でPFS改善せず/Lancet

 上皮性卵巣がん患者の1次治療において、毎週投与を行うdose-dense化学療法は施行可能であるが、標準的な3週ごとの化学療法に比べ無増悪生存期間を改善しないことが、英国・マンチェスター大学のAndrew R. Clamp氏らが行った「ICON8試験」で示された。研究の詳細は、Lancet誌2019年12月7日号に掲載された。上皮性卵巣がんの標準的1次治療は、従来、カルボプラチン+パクリタキセルの3週ごとの投与とされる。一方、日本のJGOG3016試験では、dose-dense weekly PTX+3-weekly CBDCAにより、PFSと全生存がいずれも有意に改善したと報告されている。

食道アカラシア、POEMの2年後治療成功率は?/NEJM

 症候性アカラシアの治療において、経口内視鏡的筋層切開術(POEM)は腹腔鏡下Heller筋層切開術(LHM)+Dor噴門形成術に対し、2年後の治療成功率に関して非劣性であることが示された。ただし、有害事象である胃食道逆流の発現頻度は、POEM群がLHM群より高値であった。ドイツ・University Hospital Hamburg-EppendorfのYuki B. Werner氏らが、欧州6ヵ国8施設で実施した多施設共同無作為化試験の結果を報告した。バルーン拡張術+LHMは突発性アカラシアの治療法として確立されているが、POEMは侵襲が少なく初期研究で有望な結果が得られていた。NEJM誌2019年12月5日号掲載の報告。

転移性脊髄圧迫への放射線療法、単回照射vs.分割照射/JAMA

 固形がん患者のがん転移に伴う脊柱管圧迫に対する放射線療法において、単回照射は5日間分割照射と比較し、主要評価項目である8週時の歩行に関して非劣性基準を満たさなかった。ただし、信頼区間の下限が非劣性マージンと重なっており、単回照射の臨床的重要性の解釈には留意すべき点もあることが示された。英国・Mount Vernon Cancer CentreのPeter J. Hoskin氏らが、多施設共同非劣性無作為化臨床試験「The single-fraction radiotherapy compared to multifraction radiotherapy trial:SCORAD試験」の結果を報告した。がんの骨転移等による脊髄圧迫は、可動性の維持や痛みの軽減のため放射線療法で管理されるが、これまで標準照射レジメンはなかった。JAMA誌2019年12月3日号掲載の報告。

non-HDL-C高値はCVD長期リスク上昇と関連/Lancet

 血中non-HDLコレステロール(non-HDL-C)値は、アテローム硬化性心血管疾患の長期リスクと強い関連があることが明らかにされた。ドイツ・University Heart & Vascular Center HamburgのFabian J. Brunner氏らが、欧州、オーストラリア、北米の19ヵ国、計44の住民ベースコホート(総被験者数52万4,444例)を含む「Multinational Cardiovascular Risk Consortium」データを基に行ったリスク評価・モデリング試験で明らかにした。これまで血中脂質値と心血管疾患の長期発生の関連、および脂質低下治療と心血管疾患アウトカムの関連については明らかとはなっておらず、研究グループは、心血管リスクとnon-HDL-C値(全範囲)の関連について調べ、長期的な心血管イベントに関連するnon-HDL-C値を推定するのに役立つツールを作成し、さらに脂質低下治療によるリスクの低下をモデル化する検討を行った。Lancet誌オンライン版2019年12月3日号掲載の報告。

片頭痛に対するubrogepantの痛み消失効果は?/NEJM

 前兆症状の有無にかかわらず、片頭痛に対してubrogepant投与はプラセボ投与と比べて、2時間後に痛みが消失した人の割合は有意に高率であり、最もつらい片頭痛関連の症状がなかった人の割合は有意に低率だった。米国・メイヨー・クリニックのDavid W. Dodick氏らが、1,672例を対象に行った無作為化二重盲検プラセボ対照パラレル群間比較試験の結果で、NEJM誌2019年12月5日号で発表した。ubrogepantは、経口小分子カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体拮抗薬で、急性期の片頭痛治療に有効であることが示されていた。

爆発的流行中のエボラ出血熱に、MAb114とREGN-EB3が有効/NEJM

 2018年8月に発生したコンゴ共和国におけるエボラウイルス病(EVD)の爆発的流行(outbreak)中に行われた治療において、MAb114とREGN-EB3はいずれも、ZMappに比べ死亡率が有意に低かったことが、同国Institut National de Recherche BiomedicaleのSabue Mulangu氏らが行ったPALM試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2019年11月27日号に掲載された。2018年8月、同国北キブ州とイトゥリ州において、同国で10回目のEVDの爆発的流行が発生し、2番目に大きな規模に達した。EVDの実験的な治療法がいくつか開発されており、最も有望な治療法に関する無作為化対照比較試験の実施が求められていた。

EGFR変異陽性NSCLCの1次治療、オシメルチニブがOS延長/NEJM

 上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異を有する未治療の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者の治療において、オシメルチニブは他のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)に比べ、全生存(OS)期間を有意に延長することが、米国・エモリー大学のSuresh S. Ramalingam氏らが行った「FLAURA試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2019年11月21日号に掲載された。第3世代の不可逆的EGFR-TKIであるオシメルチニブは、EGFR活性型変異およびEGFR T790M抵抗性変異の双方を選択的に阻害する。本試験の主要エンドポイントである無増悪生存(PFS)期間はすでに報告されており、オシメルチニブ群で有意に延長した(18.9ヵ月vs.10.2ヵ月、ハザード比[HR]:0.46、p<0.001)。

早発閉経、心血管疾患リスク増大の可能性/JAMA

 閉経後女性のうち、40歳になる前に早期の自然閉経/外科的閉経を経験した女性は、40歳以降に閉経した女性に比べ心血管疾患のリスクが、小さいとはいえ統計学的に有意に増加することが、米国・ハーバード大学医学大学院のMichael C. Honigberg氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2019年11月18日号に掲載された。最近のガイドラインでは、中年女性におけるアテローム性動脈硬化に基づく心血管疾患リスク評価の改善策として、40歳以前での閉経歴を考慮することが推奨されているが、確固としたデータはないという。