テストステロンは統合失調症治療の標的となるか 攻撃的行動と陰性症状は、ホルモンを背景とする統合失調症の二大特徴である。クロアチア・Vrapce大学精神科病院のMirna Sisek-Sprem氏らは、統合失調症患者における陰性症状および攻撃的行動とテストステロン値との関連について検討を行った。その結果、攻撃性の患者ではテストステロン値とこれらパラメータとの間に関連はみられなかったが、非攻撃性の患者ではテストステロン値と陰性症状の重症度が負の相関を示し、興奮、敵意、衝動的行動と正の相関を示すことが判明した。結果を踏まえて、著者は「統合失調症の陰性症状に対して、テストステロンをターゲットとした治療戦略が有用な可能性がある」と示唆している。Nordic Journal of Psychiatry誌オンライン版2014年8月25日号の掲載報告。
統合失調症患者の感情は損なわれていない これまで、統合失調症では感情プロセスが障害されていることが示されていた。しかし、それら障害が認知障害によるものかについては不明であった。米国・Nathan Kline InstituteのFabien Tremeau氏らは、統合失調症患者では損なわれているとされる感情の刺激について健常対照との比較を行った。Schizophrenia Research誌オンライン版2014年8月23日号の掲載報告。
皮膚の構造や組成も人種間で異なる 英国・マンチェスター大学のAbigail K. Langton氏らは、皮膚の構造および組成の鍵となる決定要素について検討を行った。その結果、個々人の地理的系譜の違いにより根本的な皮膚の構造および皮膚組成に違いがあることが明らかになった。これまでの研究では、地理的系譜の検討は主として皮膚の色素沈着に焦点が当てられ、皮膚の全般的な形態構造や真皮と真皮表皮接合部(DEJ)の組成についての報告はほとんどなかったという。British Journal of Dermatology誌2014年8月号(オンライン版2014年6月18日号)の掲載報告。
変形性膝関節症の痛み、男女差が明らかに 米国・アイオワ大学のNatalie A Glass氏らは、変形性関節症(OA)およびそのハイリスク患者を対象とした多施設変形性関節症研究MOST(Multicenter Osteoarthritis Study)の解析から、Kellgren-Lawrence(KL)グレードに関係なく女性は男性より膝痛が強く、とくに膝蓋大腿OAで性差が大きいことを明らかにした。
SSRI依存による悪影響を検証 セロトニン再取り込み阻害薬(SRI)関連依存症の発生が増大しているが、その発生は低率だとみなされており、また多種薬剤依存症患者における実質的な影響は明らかになっていない。緊急救命部門に搬送された多種薬剤依存症患者を対象とした検討から、SRIの曝露が、セロトニン症候群および人工呼吸器装着のリスク増大と有意に関連していることが明らかにされた。フランス国立保健医学研究所(INSERM)のSebastien Beaune氏らが報告した。Basic & Clinical Pharmacology & Toxicology誌オンライン版2014年8月22日号の掲載報告。
慢性蕁麻疹に対する抑肝散の期待 抑肝散が慢性蕁麻疹を抑制させるメカニズムについての調査を、九州大学の山村 和彦氏らが行った。 7種の生薬からなる漢方薬の抑肝散は神経症や不眠、小児の夜泣きに用いられる漢方薬で、近年、認知症などの精神・神経領域でも応用されている。
抗PD-1抗体は卵巣がんの新たな治療となるか 卵巣がんは婦人科がん死亡の第1位であり、罹患率は8,000人/年、死亡者4,500人/年と年々増加している。2014年8月28日~30日、横浜市で開催された日本癌治療学会学術集会にて、京都大学医学部附属病院 産科婦人科の濱西 潤三氏は「抗PD-1抗体(ニボルマブ)を用いた卵巣がんに対する第II相医師主導治験」 と題し、自施設での臨床試験の結果を紹介した。
今後、精神科医療でも配合剤は増えるのか 精神科における薬物療法では、併用療法が多く用いられているにもかかわらず、配合剤は一般的に利用されていない。スタッフォードシャー大学のSaeed Farooq氏らは、臨床での配合剤の使用および有効性のエビデンスを検討した。Journal of psychopharmacology誌オンライン版2014年8月22日号の報告。
福島原発事故は甲状腺がんを増加させたか? 東日本大震災による東京電力福島原発事故で大量の放射性物質が放出された。事故はチェルノブイリと同じレベル7に評価されたが、環境中に放出された放射性物質の量は7分の1程度、小児甲状腺がん発症の可能性は少ないと考えられている。しかし、住民の不安は解消されていない。
アルツハイマーの早期発見が可能となるか アルツハイマー病(AD)は最も一般的な神経変性疾患で、認知症の主因である。灰白質病変に加えて白質の変化が、疾患発生における重要な病理学的特徴として認識されている。ADの病因として白質異常の重要性に対する認識は高まっているものの、白質変性の原因は依然として不明であった。米国コロンビア大学のLyndsey E Collins-Praino氏らは、AD剖検例の白質中可溶性Aβ濃度をコントロールと比較し、ADの病因としての白質変性の原因を検討した。その結果、AD患者では白質中の可溶性Aβ-42濃度およびAβ-40濃度がコントロールと比べ高値であり、白質Aβペプチドが灰白質の原線維アミロイド病変とは独立して蓄積することを報告した。この所見から著者は、「灰白質萎縮に先立つ白質変性がADの早期のマーカーとなる可能性がある。また、白質減少を引き起こすメカニズムとリスクファクターを把握できれば、ハイリスク例の特定と疾患形成過程における早期介入に役立つであろう」とまとめている。Acta Neuropathologica Communications誌オンライン版2014年8月17日号の掲載報告。
エボラ出血熱の最新報告-国立国際医療研究センターメディアセミナー 9月3日(水)、都内にて「西アフリカのエボラ出血熱ウイルス流行と国際社会の課題」と題し、国立国際医療研究センターメディアセミナーが開催された。今回のセミナーでは、実際に現地リベリアで患者の診療や医療従事者への指導を担当した医師も講演し、最新の情報が伝えられた。
ブロナンセリンの薬理学的メカニズムを再考する ブロナンセリンはセロトニン5-HT2A受容体よりもドパミン-D2/3受容体に対し高い親和性を示し、その他のセロトニン5-HT2A/ドパミン-D2受容体アンタゴニストと薬理作用が若干異なる。名城大学の肥田 裕丈氏らは、統合失調症動物モデルを用いてブロナンセリンの視覚認知ならびに記憶障害に対する作用とその分子メカニズムを検討した。その結果、ブロナンセリンはフェンシクリジン(PCP)に誘発される視覚認知と記憶の障害を改善すること、その背景にはドパミンD3受容体とセロトニン5-HT2A受容体の両方の阻害が関わっていることを示唆した。Neuropsychopharmacology誌オンライン版2014年8月14日号の掲載報告。
ピロリ感染と糖尿病、胃がん発症に相乗効果 Helicobacter pylori(以下、HP)感染は胃がんの最も強力な危険因子と認められている。しかし、HP感染者の9割以上は胃がんを発症しないことから、HP感染下に胃がん発症リスクを増大させる他の要因があることが考えられる。久山町研究での検討結果から、その要因の1つに糖代謝異常が示唆されることを、第52回日本癌治療学会学術総会(2014年8月28日~30日、横浜市)にて、九州大学大学院医学研究院環境医学分野の池田 文恵氏が紹介した。
急性腰痛にデキサメタゾン静注は有効か 神経根障害を伴う腰痛はデキサメタゾン単回静脈内投与により軽減するのだろうか。オーストラリア・ボンド大学のRavichandra Balakrishnamoorthyらが、救急診療部の患者を対象にプラセボ対照二重盲検比較試験を行い、上記治療の通常治療への追加により神経根障害を伴う腰痛患者の疼痛を短期的に改善することを明らかにした。6週後では効果に有意差はみられなかったものの、デキサメタゾン投与により救急診療部滞在時間が減少することが示唆され、著者は「デキサメタゾン単回静脈内投与は標準的治療の補助療法として安全と考えられる」とまとめている。Emergency Medicine Journal誌オンライン版2014年8月13日号の掲載報告。
統合失調症の陰性症状改善は何と相関するか 米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のKenneth L. Subotnik氏らは、新規発症の統合失調症の陽性および陰性症状に対する、第二世代抗精神病薬のアドヒアランスの影響について調べた。その結果、高い服薬アドヒアランスは陰性症状レベル低下と関連しており、これは陽性症状との関連性で説明しうる、とまとめている。Schizophrenia Research誌オンライン版2014年8月6日号の掲載報告。
せん妄、意思決定能力が高齢がん患者の問題 2014年8月28日~30日、横浜市で開催された日本癌治療学会学術集会にて、名古屋市立大学 明智龍男氏は「高齢者がん治療の問題点~精神症状の観点から」と題し、高齢がん患者が抱える精神症状と、それらが及ぼす影響について紹介した。
10代の重症にきびは子宮内膜症の早期発見に有用? 10代での重症にきびと子宮内膜症リスク増大との関連が、米国、ハーバード・メディカル・スクールのJing Xie氏らによる前向きコホート研究の結果、示された。
6.5時間未満の睡眠で糖尿病リスク上昇 睡眠時間が6.5時間未満の人は、7時間以上の人よりも糖尿病発症リスクが高いことが、新潟大学の平安座 依子氏らの研究で明らかになった。しかし、年齢が上がるほど糖尿病発症リスクに対する短時間睡眠の影響は薄れるという。Diabetic medicine誌オンライン版2014年7月30日号の報告。