医療一般|page:13

ザヌブルチニブ、再発/難治慢性リンパ性白血病など3つのB細胞性悪性腫瘍に承認/BeiGene

 BeiGene Japanは、2024年12月27日、新たなBTK阻害薬ザヌブルチニブ(商品名:ブルキンザ)が、慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫含む)、原発性マクログロブリン血症、リンパ形質細胞リンパ腫を適応症として厚生労働省より承認されたことを発表した。  今回の承認は、慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)患者を対象にザヌブルチニブの有用性を評価したALPINE試験とSEQUOIA試験、原発性マクログロブリン血症/リンパ形質細胞リンパ腫(WM/LPL)患者を対象としたASPEN試験の3つの第III相臨床試験に基づいている。さらに、日本人患者を対象とした第I/II相臨床試験(BGB-3111-111)の結果は、ザヌブルチニブのプロファイルを裏付けるものであった。

高血圧患者の家庭脈拍数、66bpm以上で死亡リスク2倍超/帝京大

 診察室脈拍数は、心血管疾患の発症リスクや全死亡リスクと関連することが知られている。しかし、家庭脈拍数との関連は明らかになっていない。そこで、大久保 孝義氏(帝京大学医学部公衆衛生学講座 主任教授)、木村 隆大氏(帝京大学医学部附属溝口病院)らの研究グループは、高血圧を有する患者の家庭脈拍数と死亡、心血管イベントとの関連を検討した。その結果、家庭脈拍数が高いと全死亡リスクも高いことが示された。本研究結果は、Journal of the American Heart Association誌2024年12月17日号で報告された。

うつ病や不安症の予防に有効な飲み物を年齢別に分析

 メンタルヘルスには食習慣が関連しており、独立したリスク因子であることが示唆されている。しかし、飲料摂取とメンタルヘルスとの関連を年齢別に評価したエビデンスは限られている。中国・温州医科大学のJiali Xie氏らは、6種類の飲料とうつ病および不安症との関連を推定するため、UKバイオバンクのデータを用いて検討を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2024年11月23日号の報告。  食事に関するアンケートを1回以上回答したベースライン時にうつ病および不安症でなかった参加者18万8,355人をUKバイオバンクデータより抽出した。分析には、Cox比例ハザードモデルおよび置換分析を用いた。

肝臓手術前の瀉血療法は輸血リスクを低減する

 カナダ、オタワ在住の2児の母であるRowan Laddさん(46歳)は、2022年、予定されている肝臓に転移したがんを摘出する手術を開始する前に、血液を採取して保存する可能性があると医師から説明を受けた際、不思議には思ったが害はないだろうと考えた。Laddさんは、「肝臓には血管がたくさんあるので大出血のリスクがあることは手術前の説明で聞いている。研究者達がそのリスクを低減させるために努力しているのは素晴らしいことだと思った」と振り返る。  実際、Laddさんが参加した臨床試験の結果によると、このような採血により肝臓手術中に必要となる輸血のリスクが半減することが明らかになった。この研究結果は、「The Lancet Gastroenterology & Hepatology」に12月9日掲載された。論文の筆頭著者で、オタワ大学(カナダ)肝膵胆道研究部長のGuillaume Martel氏は、「大規模な肝臓手術の直前に血液を患者から採取することは、出血量と輸血を減らすための方法としてこれまでわれわれが見出した中で最良の方法だ」と述べている。

肥満は服薬遵守と独立した負の関連因子―国内CVD患者対象研究

 心血管疾患(CVD)患者を対象に、服薬遵守状況(アドヒアランス)を主観的指標と客観的指標で評価した研究結果が報告された。客観的指標に基づきアドヒアランス良好/不良に分けた2群間で主観的指標には有意差がないこと、および、肥満がアドヒアランス不良に独立した関連のあることなどが明らかにされている。福岡大学筑紫病院薬剤部の宮崎元康氏らの研究によるもので、詳細が「Pharmacy」に10月6日掲載された。  慢性疾患では服薬アドヒアランスが低下しやすく、そのことが予後不良リスクを高めると考えられる。しかし服薬アドヒアランスを評価する標準的な手法は確立されておらず、主観的な手法と客観的な手法がそれぞれ複数提案されている。例えば主観的評価法の一つとして国内では、12項目の質問から成るスケールが提案されている。ただし、そのスケールでの評価結果と、残薬数から客観的に評価した結果との関連性は十分検討されておらず、今回の宮崎氏らの研究は、この点の検証、およびCVD患者の服薬アドヒアランス低下に関連のある因子を明らかにするために実施された。

悪性黒色腫、深達度0.8mm以上で関連死リスク上昇

 原発腫瘍深達度(Breslow厚)1mm以下の悪性黒色腫による死亡リスクは、Breslow厚0.8~1.0mmの患者が同0.8mm未満の患者と比較して有意に高かったことが、オーストラリア・シドニー大学のSerigne N. Lo氏らによるレジストリコホート研究で示された。なお、悪性黒色腫以外による死亡リスクは同等であった。原発性皮膚悪性黒色腫を有する多くの患者は、腫瘍の厚さが薄く(1.0mm以下、すなわちpT1aおよびpT1b)、一般的に予後は良好と考えられているものの、1.0mm以下の腫瘍深達度と死亡リスクの関連についての明確な情報は限られていた。著者は、「今回の解析結果から、悪性黒色腫AJCC病期分類の改訂時にT1の閾値を1.0mmから0.8mmに変更することを考慮すべきであることが示唆された」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2024年12月11日号掲載の報告。

ペムブロリズマブ、進行再発子宮体がんの1次治療に承認/MSD

 MSDは、2024年12月27日、ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)が、進行再発子宮体がんに対する化学療法との併用療法において、国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得したことを発表した。  今回の製造販売承認事項一部変更承認は、化学療法歴のない進行再発子宮体がん患者810例(日本人7例を含む)を対象に、ミスマッチ修復正常(pMMR)588例またはMMR欠損(dMMR)222例に分け、ペムブロリズマブ・化学療法(パクリタキセル+カルボプラチン)併用療法およびペムブロリズマブ単独維持療法の有用性を検討した国際共同第III相試験KEYNOTE-868/NRG-GY018試験の結果に基づいている。

FGFR-TKIエルダフィチニブ、FGFR3遺伝子異常陽性の尿路上皮がんに承認/J&J

 Johnson & Johnson(法人名:ヤンセンファーマ)は、2024年12月27 日、FGFRチロシンキナーゼ阻害薬エルダフィチニブ(商品名:バルバーサ)について、「がん化学療法後に増悪したFGFR3遺伝子変異又は融合遺伝子を有する根治切除不能な尿路上皮癌」を効能又は効果として、製造販売承認を取得した。  今回の承認は、1次または2次治療で病勢進行が認められた標的FGFR遺伝子異常陽性の切除不能尿路上皮がんを対象に、バルバーサの有用性を評価する第III相非盲検無作為化多施設共同試験THOR試験のコホート1の結果に基づくもの。

抗CD20/CD3二重特異性抗体モスネツズマブ、再発/難治濾胞性リンパ腫に承認/中外

 中外製薬は、抗CD20/CD3二重特異性抗体モスネツズマブ(商品名:ルンスミオ)について、過去に少なくとも2つの標準治療を受けたことのある再発又は難治性の濾胞性リンパ腫を適応として、2024年12月27日、厚生労働省より製造販売承認を取得したことを発表した。  モスネツズマブはCD20/CD3に対するT細胞誘導性二重特性抗体で、高い奏効割合と持続的な寛解が期待できる。治療期間は患者の治療効果に応じ、約半年または1年間と設定されている。

医師の学会発表と急性心筋梗塞の院内死亡率が関連~日本の後ろ向き研究

 臨床医が日本循環器病学会で発表している病院で治療された心筋梗塞患者は、発表していない病院で治療された患者より院内死亡率が低く、また、エビデンスに基づく薬剤処方が多かったことが京都大学の高田 大輔氏らによる後ろ向き研究でわかった。PLoS One誌2024年12月9日号に掲載。  本研究では、QIP(Quality Indicator/Improvement Project)に参加している日本の急性期病院の管理データベースを解析した。2014年4月1日~2018年12月31日に急性心筋梗塞で入院した患者を、入院した病院の医師がその年の日本循環器学会年次学術集会で発表があった患者(学会発表群)と、学会発表のなかった病院に入院した患者(対照群)に分け比較した。5つのモデル(未調整モデル、モデル1:性別・年齢・Killip分類・喫煙・救急車の使用・高血圧・心房細動・陳旧性心筋梗塞・糖尿病・腎臓病・慢性閉塞性肺疾患で調整、モデル2:モデル1に加え、入院年と各病院の年間入院数で調整、モデル3:病院コードでクラスター化し、モデル1と同じ変数で調整したマルチレベル分析、モデル4:モデル1に加え、因果媒介分析によりEvidence-based Practiceで調整)における院内全死亡リスクを、多変量ロジスティック回帰分析を用いて推定した。

高齢者の術後せん妄予防に最も効果的な薬剤は〜ネットワークメタ解析

 高齢患者における術後せん妄の発生率および死亡率は高く、予防戦略の必要性が求められている。さまざまな薬理学的予防戦略が有効であることが報告されているものの、高齢者を対象としたベネフィットや安全性は、依然として明らかになっていない。台湾・Chi Mei Medical CenterのTing-Hui Liu氏らは、高齢者患者における術後せん妄予防に対するさまざまな薬理学的介入の有効性をシステマティックに評価し、ランク付けするため、ネットワークメタ解析を実施した。Journal of Psychiatric Research誌2025年1月号の報告。

炭水化物制限で糖尿病患者のβ細胞機能が改善

 2型糖尿病患者を対象に、炭水化物制限食と高炭水化物食で介入した結果、前者において膵β細胞機能が改善したとする論文が、「The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism」に10月22日掲載された。米アラバマ大学バーミンガム校のBarbara A. Gower氏らが行った、12週間にわたるランダム化比較試験の結果として報告された。  この研究は、エネルギー量が等しい炭水化物制限(carbohydrate-restricted;CR〔炭水化物由来のエネルギーが約9%、脂質由来が約65%〕)食と、高炭水化物(higher carbohydrate;HC〔炭水化物由来が約55%、脂質由来が約20%〕)食が、2型糖尿病患者のβ細胞機能に与える影響を比較するために実施された。対象は、糖尿病診断からの経過が10年以内でHbA1cが8%以下のインスリン療法を行っていない、アフリカ系米国人(African American;AA)および欧州系米国人(European American;EA)の成人2型糖尿病患者57人。なお、AAは人種的にβ細胞の脆弱性がEAより高いと考えられている。

高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫患者、ダラツムマブ vs.積極的経過観察(AQUILA)/ASH2024

 高リスクのくすぶり型骨髄腫(smoldering multiple myeloma:SMM)に対するダラツムマブ(DARA)導入治療の有用性が示された。  SMMでは治療介入せずに積極的経過観察が推奨されてきたが、症候性の多発性骨髄腫(MM)への進行リスクも懸念されることから、高リスクSMMに対する治療介入の可能性が示唆されている。  CD38標的モノクローナル抗体であるDARAは、再発/難治MM(R/R MM)への有用性が示されている。DARAが積極的経過観察と比較してSMMからMMへの進行を遅らせることができるかを検討した。第III相AQUILA試験の中間解析結果が第66回米国血液学会(ASH2024)で発表された。

ダトポタマブ デルクステカン、HR陽性/HER2陰性乳がんに承認/第一三共

 第一三共は、抗TROP-2抗体薬物複合体ダトポタマブ デルクステカン(商品名:ダトロウェイ)について、2024年12月27日、「化学療法歴のあるホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」を適応として日本で製造販売承認を取得したと発表。  同剤は上記(HR陽性/HER2陰性)患者を対象とした第III相臨床試験(TROPION-Breast01)の結果に基づき、承認された。同剤の承認は世界で初めてで、日本においてHR陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がんを対象とするTROP-2を標的とした薬剤として初めて承認された。

「小児・AYA世代がん患者等の妊孕性温存に関する診療GL」第2版が発刊

 日本癌治療学会編『小児・AYA世代がん患者等の妊孕性温存に関する診療ガイドライン2024年12月改訂 第2版』が12月20日に発刊された。本書は、「小児、思春期・若年がん患者の妊孕性温存に関する診療ガイドライン 2017年版」をMinds診療ガイドライン作成マニュアル2020に準拠して、7年ぶりに全面改訂された。  2024年版は、女性生殖器、乳腺、泌尿器、小児、造血器、骨軟部、消化器、脳の8つの領域に、新たに肺、耳鼻咽喉・頭頸部、膠原病が加わり11領域をカバーしている。また、従来の性腺毒性分類は、2003年のASCOの分類表以降の国際的な報告を元に最新のJSCO分類として生まれ変わっている。

各向精神薬の投与量は死亡リスクとどのように関連しているか

 抗精神病薬、抗うつ薬、ベンゾジアゼピンの使用は、統合失調症患者の死亡リスクに影響を及ぼす可能性がある。しかし、多くの観察研究では、向精神薬投与患者が必然的に生存している期間(フォローアップ開始から薬物治療開始までの期間)がある場合の不死時間バイアス(immortal time bias:ITB)は考慮されておらず、ITBを考慮しないと、向精神薬と死亡率との関連の解釈を誤認する可能性がある。カナダ・ラバル大学のSebastien Brodeur氏らは、抗精神病薬、抗うつ薬、ベンゾジアゼピンの累積投与量と統合失調症患者の死亡リスクとの関連を調査し、ITBを考慮しない場合の潜在的な影響についても評価した。JAMA Network Open誌2024年11月22日号の報告。

Ca拮抗薬・NSAID・テオフィリンと逆流性食道炎リスク/国立国際医療研究センター

 逆流性食道炎の有病率と薬剤などの危険因子について調査した結果、カルシウム拮抗薬、テオフィリン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の使用が逆流性食道炎の独立した予測因子であることが示唆された。国立国際医療研究センターの植田 錬氏らが、BMJ Open Gastroenterology誌2024年12月16日号で報告した。  この後ろ向き横断研究は、2015年10月~2021年12月に国立国際医療研究センターで食道・胃・十二指腸内視鏡検査を受けた患者を対象とし、質問票を用いて患者の特徴、病歴、喫煙・飲酒歴、内視鏡検査時に服用していた薬剤に関するデータを収集した。

健康な高齢者では高用量ビタミンDで糖尿病リスクは低下しない

 たとえ高用量のビタミンDサプリメントを摂取したとしても、糖代謝異常がない高齢者の場合、2型糖尿病の発症リスク低下にはつながらないとする研究結果が発表された。東フィンランド大学のJyrki K. Virtanen氏らが行ったプラセボ対照二重盲検ランダム化比較試験によるもので、詳細は「Diabetologia」に12月2日掲載された。  過去の観察研究からは、血中ビタミンD濃度が低い場合に2型糖尿病の発症リスクが高いという関連が示されている。しかし、観察研究の結果のみでは、ビタミンDサプリの摂取が糖尿病リスク抑制につながるかどうかは不明。他方、既に血糖値がやや高い前糖尿病の人を対象に行われた研究では、ビタミンDサプリ摂取が糖尿病への移行リスクをわずかに抑制する可能性も示唆されているが、健康な集団での有用性のエビデンスはない。これを背景としてVirtanen氏らは、フィンランドの一般住民を対象にビタミンDサプリ摂取の影響を検討した大規模研究(FIND)のデータを用いた解析を行った。

紙巻きタバコと電子タバコの併用は禁煙成功率を下げる

 紙巻きタバコを吸っている人が禁煙のため、一時的に電子タバコを併用したとしても禁煙につながらず、むしろ喫煙継続率が高まるとする研究結果が報告された。ゲッティンゲン大学医療センター(ドイツ)のJosef Hamoud氏らが行ったシステマティックレビューとメタ解析の結果であり、詳細は「ERJ Open Research」に12月3日掲載された。  Hamoud氏らは、紙巻きタバコと電子タバコの二重喫煙者が、その後、禁煙したか、電子タバコまたは紙巻きタバコのどちらか一方のみの喫煙としたか、あるいは二重喫煙を継続していたかを検討した過去の研究報告を検索。16件の研究に基づく46報の論文を抽出した。このうち8件の研究データがメタ解析に利用され、研究参加者は二重喫煙者2,432人を含む9,337人だった。

無症候性アテローム性動脈硬化症の負担は全死亡と関連

 無症候性アテローム性動脈硬化症では、頸動脈プラークの負荷(carotid plaque burden;cPB)と冠動脈石灰化(coronary artery calcium;CAC)が全死亡と有意に関連していることを明らかにした研究結果が、カルロス3世国立心血管研究センター(スペイン)のValentin Fuster氏らにより、「Journal of the American College of Cardiology」10月8日号に発表された。  アテローム性動脈硬化症は進行性のプロセスであるが、無症候性の段階でも、頸動脈での動脈硬化の程度や進行を定量化することで全死亡リスクを予測できるのかどうかについては、エビデンスがほとんどない。