医療一般|page:106

患者からの「心付け」、角が立たない断り方は?/医師1,000人アンケート

 患者さんがお世話になった医師に診療対価のほかに金銭や物品などを渡すという慣習に対して、受け取りたくない/受け取ることができない医師が断り方に苦慮するという話を聞く。そこで、CareNet.comでは、患者さんやそのご家族からの感謝の気持ちとして、診療対価のほかに「お礼(心付け)」を受け取った経験や、申し出を断る言葉や方法に関するアンケートを実施した。その結果、内科系・外科系診療科を問わず80%超の医師がお礼を受け取った経験があるが、もはや過去の慣習と考えている医師が多く、さらに、何とかして渡したい患者vs.受け取りたくない医師のやり取りも明らかになった(2023年6月2日22日実施)。

レンバチニブ+ペムブロリズマブの腎がん1次治療、4年超でも生存改善を維持(CLEAR)/ASCO2023

 進行期腎細胞がんの1次治療における、レンバチニブ・ペムブロリズマブ併用療法の生存期間延長効果は、長期追跡期間を経ても維持されていたというデータが、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)において、米国・Texas OncologyのThomas E. Hutson氏より発表された。  国際共同非盲検第III相CLEAR試験(KEYNOTE-581)試験の追跡期間中央値4年超の最終結果報告である。

近年の流行性耳下腺炎のアウトブレイクは免疫減弱が原因

 免疫減弱モデルが、流行性耳下腺炎(ムンプス、おたふくかぜ)ワクチン接種率が高い国で近年観察されたアウトブレイク再燃と強く合致しているとの研究結果が、「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」1月9日号に掲載された。  米ジョージア大学Odum School of EcologyのDeven V. Gokhale氏らは、流行性耳下腺炎ワクチン接種率の高い複数の国での同疾患のアウトブレイク再燃を踏まえ、この傾向の促進因子として、2つのワクチン効果不全のメカニズムを提示した。それらは、(1)免疫の段階的な減弱、(2)ワクチン免疫を回避する新規ウイルス遺伝子型の登場、である。米国の、年齢構造化した疫学、人口統計学的属性、およびワクチン接種に関する時系列データを基に、伝播メカニズムモデルを用いて尤度に基づく仮説検定を実施した。

オンコタイプDX乳がん再発スコアプログラム、9月に保険適用へ/エグザクトサイエンス

 エグザクトサイエンスは、「オンコタイプDX乳がん再発スコアプログラム」の保険適用について、中央社会保険医療協議会が2023年7月5日付けで了承したことを発表した。9月1日に保険収載される見込みという。  オンコタイプDX乳がん再発スコアプログラムは、オンコタイプDX乳がん再発スコア検査および日本向けに開発されたソフトウエアを組み合わせたプログラム医療機器。

既存の保険証の有効期限の延長も必要/日医

 日本医師会常任理事の釜萢 敏氏が、7月5日の定例記者会見で、新型コロナウイルス感染症の現在の感染状況について報告し、「現状は第9波に入ったと判断するのが妥当」との見解を示した。  「4月上旬から、緩やかではあるけれども新規感染者が増えているという状況が今日までずっと続いていて、今後も夏に向けて引き続き感染者が増える恐れがある。幸いに全国的には医療の逼迫はまだそれほど多くはなく、救急搬送困難事例は少し増えてはいるがまだそれほどではない」と述べた一方で、感染者が増加している沖縄県の状況について危機感を示した

IL-6R阻害薬、irAE改善効果とICIの効果への影響

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は、広範ながん種において生存率の向上をもたらし、使用が拡大している。しかし、ICIによって生じる免疫関連有害事象(irAE)が治療の中断・中止の原因となるため、その管理が重要である。irAEに対する標準治療は副腎皮質ステロイドであるが、高用量かつ長期間の使用は、抗腫瘍免疫の減弱や有害事象の原因となる可能性がある。そこで、米国・Laura and Isaac Perlmutter Cancer CenterのFaisal Fa'ak氏らは、後ろ向き研究によりIL-6受容体(IL-6R)阻害薬のirAEに対する有効性と、ICIの抗腫瘍効果への影響を検討した。その結果、IL-6R阻害薬は、ICIの抗腫瘍効果を減弱せずにirAEを改善することが示唆された。本研究結果は、Journal for ImmunoTherapy of Cancer誌2023年6月11日号で報告された。

新型コロナ、軽症でも精子に長期ダメージ

 欧州ヒト生殖医学会(European Society of Human Reproduction and Embryology:ESHRE)第39回年次総会で発表された新たな知見によると、COVID-19に感染した男性は、3ヵ月以上が経過しても精子の濃度が低下し、泳ぐことのできる精子も減少していたという。同学会が2023年6月26日付のプレスリリースで発表した。  スペイン・IERA財団の生殖専門家であるRocio Nunez-Calonge氏は、COVID-19感染後、平均100日が経過しても精子の質と濃度に改善はみられなかった、と述べた。

片頭痛治療薬抗CGRP抗体の比較~メタ解析

 抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)抗体は、新しい片頭痛予防薬である。また、米国においてCGRP受容体拮抗薬であるatogepantが片頭痛予防薬として承認された。中国・首都医科大学のWenfang Sun氏らは、将来の臨床試験の参考となるよう、さまざまな用量の抗CGRPモノクローナル抗体およびatogepantを含む片頭痛治療に対する有効性および安全性を評価するため、ネットワークメタ解析を実施した。その結果、すべての抗CGRP薬は片頭痛予防に効果的であり、とくにフレマネズマブ225mg/月、エレヌマブ140mg/月、atogepant 60mg/日は、副作用リスクが低く、効果的な介入であることが示唆された。The Clinical Journal of Pain誌オンライン版2023年6月2日号の報告。

百寿者は腸内ウイルス叢の多様性が高い

 100歳まで生きるための鍵は、腸内に生息するウイルスの多様性かもしれない。日本人を含む百寿者の腸内細菌叢(マイクロバイオーム)とウイルス叢(バイローム)の解析から、その可能性が浮かび上がった。米ブロード研究所のRamnik Xavier氏らの研究によるもので、詳細は「Nature Microbiology」に5月15日掲載された。同氏は、「マイクロバイオームとバイロームの相互作用を示したこの研究結果は、人の加齢とともに腸内の微生物の生態がどのように変化するのかを教えてくれるかもしれない。明らかになったデータは、腸内生態系が健康を左右する仕組みを解明するための重要な出発点となる」と語っている。

de novo StageIV乳がんの初期薬物療法、サブタイプ・薬剤別の効果(JCOG1017副次的解析)/日本乳癌学会

 治療歴のない(de novo)StageIV乳がんに対する初期薬物療法の効果は術後再発乳がんより良好とされるが、その効果について詳細なデータはない。今回、JCOG1017(薬物療法非抵抗性StageIV乳がんに対する原発巣切除の意義に関するランダム化比較試験)の副次的解析として、de novo StageIV乳がんに対する初期薬物療法の効果と効果予測因子を検討した結果、サブタイプにより治療効果が異なり、とくにPgR、HER2発現の有無および内臓転移の状況が影響している可能性が示唆された。岡山大学の枝園 忠彦氏が第31回日本乳癌学会学術総会で発表した。

既治療のKRAS G12C変異大腸がんに対するソトラシブ+パニツムマブ+FOLFIRIの安全性と有効性(CodeBreaK 101)/ASCO2023

 既治療の転移のあるKRAS G12C変異陽性の大腸がん(mCRC)に、ソトラシブとパニツムマブ、FOLFIRIレジメンの併用が有効である可能性が明らかとなった。CodeBreaK 101サブプロトコールHの結果として、米国・MDアンダーソンがんセンターのDavid S. Hong氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表した。  CodeBreaK 101サブプロトコールHは、多施設共同のオープンラベル第Ib相試験。今回は、用量探索コホート(6例)と拡大コホート(40例)を合わせた全体成績が解析された。

アリピプラゾール含有グミ製剤でアドヒアランスは向上するか

 精神疾患の治療を成功させるためには、服薬アドヒアランスを良好に保つことが重要である。医薬品のオーダーメイドは、アドヒアランスが不十分な患者に対し、個々の患者ニーズを満たす剤形を提供可能とする。静岡県立大学の河本 小百合氏らは、市販されているアリピプラゾール(ARP)製剤を用いて、ARP含有グミ製剤の調製を試みた。Chemical & Pharmaceutical Bulletin誌2023年号の報告。  健康対照者10人(平均年齢:23.7±1.2歳)を対象に、味覚検査を実施し、ARP含有グミ製剤の味を調査した。ココア味とフルーツ味の2種類のグミ(ARP:6.0mg、グミ:3.5g)を用いて、味覚テストを実施した。全体的なおいしさの評価には、100mmビジュアルアナログスケール(VAS)を用いた。ARP含有グミ製剤の嗜好性と5段階評価スケールを用いて評価した受容性のVASスコアの分析には、ROC曲線分析を用いた。

暑くても脳卒中が増加?~メタ解析

 暑さと寒さの両方が脳卒中の罹患率および死亡率を増大させ、発展途上国よりも先進国のほうが暑さによるリスクが高いことが、中国・Tongji Medical CollegeのJing Wen氏らによって明らかになった。Brain and Behavior誌オンライン版2023年6月2日号掲載の報告。  これまでの研究で、気温は脳卒中の罹患率および死亡率と関連することが示唆されているが、そのエビデンスは十分ではない。そこで研究グループは、気温と脳卒中の罹患率および死亡率との関連を評価するためにメタ解析を行った。

新たなCT技術で高リスク患者での冠動脈疾患の診断精度が向上

 超高精細CTによる冠動脈の血管造影検査(UHR CCTA)により、重度の冠動脈石灰化があったりステントを留置している高リスク患者でも冠動脈疾患を正確に診断できることが新たな研究で示された。フライブルク大学(ドイツ)のMuhammad Hagar氏らによるこの研究結果は、「Radiology」に6月20日掲載された。  冠動脈疾患は、狭心症、心筋梗塞の総称であり、冠動脈の内壁にコレステロールなどが蓄積することで血管が狭まって血流が悪くなり、心筋への血液供給が不足したり途絶えたりすることで生じる。静脈から造影剤を注入して、冠動脈内に脂肪やカルシウムの沈着がないかなどをCTで確認する非侵襲的なCCTAは、冠動脈疾患のリスクが低度から中等度の患者では、同疾患の除外診断に極めて有効な手段だ。しかし、冠動脈の石灰化が進んでいたり、すでにステントを留置していることの多い高リスク患者に対するCCTAの場合には、石灰化が実際以上に広範囲に描写されることがあり、それが閉塞やプラークの過大評価、偽陽性判定の多発につながる。「その結果、患者に、本来は不必要で多くの場合は侵襲的な検査が行われることになる。このため、現行のガイドラインでは、高リスク患者に対するCCTAの使用は推奨されていない」とHagar氏は説明する。

気功ががんサバイバーの倦怠感を軽減

 米ブラウン大学神経科学分野のCatherine Kerr氏は、自身ががん患者となったときに中国の伝統的な健康法である気功を実践し、倦怠感が軽減したことから、気功ががんサバイバーの倦怠感に与える影響について調べ始めた。Kerr氏は2016年に死去したが、彼女の研究を引き継いだ同大学脳科学がん研究所のStephanie Jones氏らが、気功とがんサバイバーの倦怠感に関するランダム化比較試験の結果を、「Integrative Cancer Therapies」に5月19日報告した。それによると、気功には、エネルギーを大量に消費する運動や栄養プログラムと同程度に倦怠感を軽減する効果のあることが明らかになったという。   がんサバイバーに倦怠感が生じるのは珍しいことではなく、研究グループによると、がんサバイバーの45%が中等度から重度の倦怠感を経験するという。研究グループは、「倦怠感は、痛みや吐き気、抑うつよりも大きな負担になり得る」と説明する。

T-DXd、脳転移や髄膜がん腫症を有するHER2+乳がんに有効(ROSET-BM)/日本乳癌学会

 わが国における実臨床データから、脳転移や髄膜がん腫症(LMC)を有するHER2陽性(HER2+)乳がんにトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)が有効であることが示唆された。琉球大学の野村 寛徳氏が第31回日本乳癌学会学術総会で発表した。T-DXdはDESTINY-Breast01/03試験において、安定した脳転移を有するHER2+乳がんに対して有望な効果が報告されているが、活動性脳転移やLMCを有する患者におけるデータはまだ限られている。  本研究(ROSET-BM)はわが国における多機関共同レトロスペクティブチャートレビュー研究である。

周術期非小細胞肺がんに対する化学療法+toripalimabのEFS中間解析(Neotorch)/ASCO2023

 非小細胞肺がん(NSCLC)に対する周術期治療に、抗PD-1抗体toripalimabを追加投与することで、無イベント生存期間(EFS)が延長することが、無作為化二重盲検プラセボ対照第III相Neotorch試験の中間解析から示された。中国・上海市胸科医院のShun Lu氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表した。

成人のアトピー性皮膚炎は静脈血栓塞栓症のリスクか

 アトピー性皮膚炎(AD)の成人患者は、静脈血栓塞栓症(VTE)の発症リスクが高いことが、台湾・台北栄民総医院のTai-Li Chen氏らが実施した住民ベースの全国コホート研究で示唆された。AD成人と非AD成人のVTE発症の絶対差はわずかであったが、著者は、「VTEを示唆する症状を呈するAD成人患者には、心血管系の検査と指導管理を考慮すべきだろう」と述べ、「ADとVTEの関連の基礎をなす、病態生理を解明するため、さらなる研究が求められる」とまとめている。ADの病態メカニズムとして慢性全身性炎症があり、潜在的な血管への影響が考えられることから、複数の心血管疾患についてADとの関連が研究されているが、成人におけるADとVTEの関連はほとんど解明されていなかった。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年5月31日号掲載の報告。

双極性障害ラピッドサイクラーの特徴

 双極性障害(BD)におけるラピッドサイクリング(RC、1年当たりのエピソード回数:4回以上)の存在は、1970年代から認識されており、治療反応の低下と関連する。しかし、1年間のRCと全体的なRC率、長期罹患率、診断サブタイプとの関連は明らかになっていない。イタリア・パドヴァ大学のAlessandro Miola氏らは、RC-BD患者の臨床的特徴を明らかにするため、プロスペクティブに検討を行った。その結果、BD患者におけるRC生涯リスクは9.36%であり、女性、高齢、BD2患者でリスクが高かった。RC患者は再発率が高かったが、とくにうつ病では罹患率の影響が少なく、エピソードが短期である可能性が示唆された。RC歴を有する患者では転帰不良の一方、その後の再発率の減少などがみられており、RCが持続的な特徴ではなく、抗うつ薬の使用と関連している可能性があることが示唆された。International Journal of Bipolar Disorders誌2023年6月4日号の報告。

スタチンで肝疾患を予防できる可能性の高い人は

 スタチン服用が肝疾患を予防する可能性が示唆されている。今回、ドイツ・University Hospital RWTH AachenのMara Sophie Vell氏らは、肝疾患・肝細胞がん発症の減少、および肝臓関連死亡の減少と関連するかどうかを3つのコホートで検討した。その結果、スタチン服用者は非服用者に比べ、肝疾患発症リスクが15%低く、肝細胞がん発症リスクについては最大74%低かった。また、このスタチンのベネフィットは、とくに男性、糖尿病患者、肝疾患の遺伝的リスクがある人で得られる可能性が高いことが示唆された。JAMA Network Open誌2023年6月26日号に掲載。