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コロナワクチン接種率の違いで死亡率に大きな差/JAMA

 2021年から2022 年にかけて、全世界で新型コロナワクチン接種が普及した一方、デルタ株とオミクロン株が流行した。米国・Brown School of Public HealthのAlyssa Bilinski氏らは、この期間におけるOECD加盟国中20ヵ国のワクチン接種率とCOVID-19死亡率、超過全死亡率を調査し報告した。米国については、ワクチン接種率上位10州と下位10州についても調査したところ、下位10州のCOVID-19死亡率は上位10州のほぼ倍だった。JAMA誌オンライン版2022年11月18日号のリサーチレターに掲載。  本研究では、ワクチン接種率は2022年1月時点で2回以上接種した人の割合とし、死亡率は2021年6月27日~2022年3月26日の死亡データを比較した。米国のデータはCDCから、その他の国のデータについては、COVID-19死亡率はWHO、全死亡率はOECD データベース、ワクチン接種率はOur World in Dataからそれぞれ入手した。  主な結果は以下のとおり。

うつ病と自殺念慮に対する思春期~成人期の24時間行動ガイドラインの重要性

 若年および成人の24時間行動ガイドラインでは、最適な健康状態を確保するために特定の身体活動時間、座位時間、睡眠時間を推奨しているが、メンタルヘルスの指標との関連についてはよくわかっていない。スペイン・ナバーラ州立大学のAntonio Garcia-Hermoso氏らは、思春期~成人期の24時間行動ガイドラインと、成人期のうつ病および自殺念慮を伴う思春期中期(12~17歳)から成人期(33~39歳)までの軌跡との関係を調査するため、本検討を行った。その結果、思春期中期~成人期での24時間行動ガイドラインの利用促進および継続で、メンタルヘルスに関する問題が予防可能であることが示唆された。ただし、本研究結果について著者らは、エラーやバイアスにつながる恐れのある自己評価や、1994~96年のガイドラインへの適合測定を2016年に行いデータセットを作成した点などから、慎重に解釈する必要があるとしている。The International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity誌2022年10月23日号の報告。

食道癌診療ガイドライン2022改訂、日本発エビデンスで治療戦略が大きく変更

 2022年9月に「食道癌診療ガイドライン」が刊行された。2002年に「食道癌治療ガイドライン」が発刊されてから20年、前版から5年振りの改訂となる。  10月に行われた日本癌治療学会の北川 雄光氏(慶應義塾大学・食道癌治療ガイドライン検討委員会委員長)の講演「食道癌集学的治療のこれまで、これから」、浜本 康夫氏(慶應義塾大学・腫瘍センター)による教育講演「食道扁平上皮がんに対する薬物療法」を参考として、主な改訂点をまとめた。  食道がんは他の消化器がんと比べて薬物療法において使用できる薬剤の種類が限られており、近年まで切除可能症例については外科手術を基軸として、化学療法や放射線療法を用いた周術期治療が主に術前治療として行われてきた。しかし、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が登場し、この3年ほどのあいだに大幅に治療戦略幅が広がってきた。そこには日本発のエビデンスも大きな役割を果たしている。今回の改訂において、とくに大きく変更のあったクリニカルクエスチョン(CQ)は以下のとおり。

コロナワクチンで帯状疱疹リスクは上がるのか~大規模調査

 新型コロナワクチン接種後に帯状疱疹が発症した症例が報告されているが、ワクチンによって帯状疱疹リスクが増加するのかどうかは不明である。今回、新型コロナワクチン接種が帯状疱疹リスク増加と関連するかどうかについて、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のIdara Akpandak氏らが検討した。その結果、新型コロナワクチン接種後の帯状疱疹の発生率比が0.91であり、本研究では帯状疱疹リスクの増加と関連していないことが示唆された。JAMA Network Open誌2022年11月16日号に掲載。

日本における妊娠中の社会的孤独と不眠症との関係

 東北大学(東北メディカル・メガバンク機構)の村上 慶子氏らは、妊娠中の女性の不眠症有病率を推定し、妊娠中の社会的孤独と不眠症との関連を調査した。その結果、妊娠中の女性における家族や友人からの社会的孤独は、不眠症リスク増加と関連していることが示唆された。Sleep Health誌オンライン版2022年10月10日号の報告。  本横断的研究は、2013~17年に東北メディカル・メガバンク機構の三世代コホート調査の一部として実施された。妊娠中の女性を宮城県の産婦人科クリニックおよび病院で募集し、調査票への回答および医療記録の提供を許可した女性1万7,586人を対象に分析を行った。

果物の摂取量が多いほどうつ病リスク低下/国立精神・神経医療研究センター

 日本のコホート研究において、野菜、果物、フラボノイドの豊富な果物(リンゴ、梨、柑橘類、ブドウ、イチゴなど)の摂取が、うつ病のリスク低下と関連するかどうかを調べた結果、果物およびフラボノイドの豊富な果物の摂取量が多いほど、うつ病の発症率が低かったことを、国立精神・神経医療研究センターの成田 瑞氏らの共同研究グループが発表した。Translational Psychiatry誌2022年9月26日掲載の報告。

頭痛患者におけるドライアイのリスク~メタ解析

 中国・大連医科大学のShuyi Liu氏らは、頭痛がドライアイのリスクに影響を及ぼすかどうか明らかにするためメタ解析を実施した。その結果、頭痛はドライアイの独立したリスク因子であることが示唆され、とくに片頭痛患者においては頭痛とドライアイのリスクに強い関連が認められた。Annals of Medicine誌2022年12月号の報告。  PubMed、Web of Science、Cochrane Library、EMBASEのデータベースより、関連文献の検索を行った。すべての原因による頭痛に対するドライアイのオッズ比(OR)を算出するため、ソフトウェアStataを用いた。異質性の因子の調査には、サブグループ解析と感度分析を実施した。出版バイアスの評価には、Funnel plotとEgger's testを用いた。

アトピー性皮膚炎の湿疹とかゆみ、臨床で推奨される測定手法は?

 臨床において、アトピー性皮膚炎患者の湿疹コントロールおよびかゆみの強度測定に推奨される手法は何か。イスラエル・ラビン医療センターのYael A. Leshem氏らHarmonising Outcome Measures for Eczema in Clinical Practice(HOME-CP)イニシアチブが、システマティックレビューを介して入手した測定手法についてエビデンスレビューを行った。  結果、湿疹の長期コントロールの測定には、Recap of Atopic Eczema(RECAP)とAtopic Dermatitis Control Tool(ADCT)が、かゆみ強度の測定には、かゆみに関するPatient-Reported Outcomes Measurement Information System(PROMIS)質問票に基づく、かゆみの数値評価スケール(NRS-itch)でみた24時間ピーク値および1週間ピーク値と1週間平均値が推奨される、とのコンセンサスステートメントを発表した。

統合失調症患者の入院および機能に対するLAI抗精神病薬の影響

 抗精神病薬のアドヒアランス不良は、統合失調症患者の再発および再入院に最も影響を及ぼす因子であり、医療費の増大や心理社会学的障害につながる可能性がある。長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬の使用は、治療の継続性やアドヒアランス改善に有効であると考えられる。イタリア・トリノ大学のCristiana Montemagni氏らは、経口抗精神病薬(OA)からLAI抗精神病薬への切り替えによる有効性を評価するため1年間のミラーイメージ研究を実施した。

AmoyDx肺癌マルチ遺伝子PCRパネル、KRAS G12C変異肺がんのコンパニオン診断薬として承認/理研ジェネシス

 理研ジェネシスは、2022年11月14日、AmoyDx肺癌マルチ遺伝子PCRパネルが、KRAS G12C変異陽性に適応する薬剤のコンパニオン診断薬の承認を取得したと発表した。  これにより同製品は、がん化学療法後に増悪したKRAS G12C変異陽性の切除不能進行・再発非小細胞肺がん患者に対するソトラシブ(商品名:ルマケラス)の適応判定の補助に使用可能となる。

神経線維腫症1型における叢状神経線維腫治療薬「コセルゴカプセル」発売/アレクシオン

 アレクシオンファーマは、11月16日付のプレスリリースで、「神経線維腫症1型における叢状神経線維腫」の効能または効果として、コセルゴカプセル10mgおよび25mg(一般名:セルメチニブ硫酸塩、以下「コセルゴ」)の販売を11月16日より開始したことを発表した。  神経線維腫症1型(NF1)は、世界で出生約3,000人に1人が罹患している遺伝性疾患であり、10歳未満の小児で最もよく診断される。患者の30~50%で神経鞘に叢状神経線維腫(PN)が発生し、外見の変形、運動機能障害、疼痛、気道の障害、視力障害、膀胱/腸の機能障害などの病的状態を引き起こすことがある。PNは幼児期に発症し、その重症度は多岐にわたる。NF1患者では健康な人と比較して、平均余命が最長で15年短くなる可能性があるとの報告もある。にもかかわらず、主な治療選択肢が手術に限られるケースもあり、新たな治療法の登場が望まれていた。

日本人アルツハイマー病に対する抗認知症薬の継続性

 アルツハイマー病(AD)の症状に対する治療には、ドネペジルが用いられることが多いが、早期の治療中断も少なくない。ドネペジル治療開始後の抗認知症薬使用の継続率を明らかにすることは、今後の治療戦略の開発および改善に役立つ可能性があるものの、これらに関する日本からのエビデンスはほとんどなかった。九州大学の福田 治久氏らは、日本人AD患者におけるドネペジル開始後の抗認知症薬の継続率を明らかにするため、保険請求データベースを用いて検討を行った。

コロナで日本の未成年者の自殺率とその理由が変化

 新型コロナウイルス感染症のパンデミック中に、日本の若年者(10~19歳)の自殺率はパンデミック前と比較して増加し、家族問題や人間関係の問題に起因する自殺が増加していたことを、東京大学医学部附属病院の後藤 隆之介氏らが明らかにした。パンデミックにより学校閉鎖などの前例のない感染防止対策が講じられ、若年者に多くのメンタルヘルスの課題をもたらしたが、これまでパンデミック中の若年者の自殺の傾向やその理由を調査した研究はほとんどなかった。The Lancet regional health. Western Pacific誌2022年8月10日掲載の報告。

ヒドロクロロチアジド、アモキシシリンなどに「使用上の注意」改訂指示

 厚生労働省は11月16日付で、ヒドロクロロチアジド含有製剤、アモキシシリン水和物含有製剤などに対し、使用上の注意の改訂指示を発出した。  今回の改訂指示は、ヒドロクロロチアジド含有製剤4剤の「重大な副作用」の項に「急性呼吸窮迫症候群」を、アモキシシリン水和物含有製剤6剤の「重要な基本的注意」の項のショックに関する問診の注意喚起にアナフィラキシー・アレルギー反応に伴う急性冠症候群などを、ロキサデュスタットの「重要な基本的注意」の項に定期的に甲状腺機能検査を促す注意を、イマチニブメシル酸塩の「重大な副作用」の項「血栓性微小血管症」に関する注意喚起を、それぞれ追記する内容となっている。詳細は以下。

モデルナBA.4/5対応2価ワクチン、第II/III相試験で主要評価項目達成

 Moderna(米国)は11月14日付のプレスリリースで、オミクロン株対応2価ワクチン候補mRNA-1273.222について、オミクロン株(BA.4/5)に対してmRNA-1273のブースター用量と比較して優れた抗体反応が得られたことを発表した。  同社が実施した第II/III相試験では、ワクチン接種歴のある19~89歳の511名を対象とし、前回のワクチン接種から約9.5ヵ月後にmRNA-1273.222を、約4.5ヵ月後にmRNA-1273をそれぞれ接種した。  mRNA-1273.222とmRNA-1273のオミクロン株BA.4/5幾何平均抗体価(GMT)は、ブースター接種前のSARS-CoV-2感染者と非感染者でそれぞれ5.11(95%信頼区間[CI]:4.10~6.36)と 6.29(95%CI:5.27~7.51)であった。すべての参加者において、オミクロン株BA.4/5 に対するGMTは4,289(95%CI:3,789.0~4,855.9)で、ブースター接種前から15.1倍(95%CI:13.3~17.1)上昇した。感染歴のない被験者では、GMTは2,325(95%CI:1,321.2~2,812.7)であり26.4倍(95%CI:22.0~31.9)の増加、感染歴のある被験者では、GMTは6,965(95%CI:6,043.7~8,025.4)でありブースター接種前から9.8倍(95%CI:8.4~11.4)上昇した。なお、65歳以上の被験者と18~65歳未満の被験者の間で、一貫した結果が認められた。

がん患者のCOVID-19、免疫抑制と免疫療法の両方で重症化

 免疫療法を受けたがん患者は、免疫系の活性化により新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるサイトカインストームがより多く発生する可能性がある。今回、米国・Dana-Farber Cancer InstituteのZiad Bakouny氏らが、がん患者におけるベースラインの免疫抑制と免疫療法、COVID-19の重症度およびサイトカインストームとの関連を調べた。その結果、COVID-19を発症したがん患者において、免疫抑制と免疫療法のどちらか片方のみでは重度の感染症やサイトカインストームのリスクは増加せず、ベースラインで免疫抑制のあるがん患者に免疫療法を実施すると、COVID-19の重症化やサイトカインストームの発生につながるリスクが高いことが示唆された。JAMA Oncology誌オンライン版2022年11月3日号に掲載。

急性期治療における抗精神病薬の使用状況~スコーピングレビュー

 せん妄などの原発性精神疾患以外の症状に対して、急性期治療で抗精神病薬が使用されることは少なくない。このようなケースで使用された抗精神病薬は、退院時およびフォローアップ時においても継続使用されていることが多いといわれている。カナダ・カルガリー大学のNatalia Jaworska氏らは、抗精神病薬処方の慣行の特徴、抗精神病薬処方と中止に対する専門家の認識、急性期治療における抗精神病薬処方中止戦略などを明らかにするため、スコーピングレビューを実施した。その結果、急性期治療で専門家が認識していた抗精神病薬処方と実際に測定された処方の慣行は異なっており、また院内での処方中止戦略についての報告はほとんどないことが明らかとなった。結果を踏まえ著者らは、抗精神病薬の有効性およびリスクを評価するためには、処方中止戦略を継続的に評価する必要があるとしている。BMC Health Services Research誌2022年10月21日号の報告。

非専門医が使える「糖尿病治療のエッセンス」2022年版/日本糖尿病対策推進会議

 わが国の糖尿病患者数は、糖尿病が強く疑われる予備群を含め約2,000万人いるとされているが、糖尿病の未治療者や治療中断者が少なくない。  そこで、糖尿病診療のさらなる普及を目指し、日本糖尿病学会をはじめとする日本糖尿病対策推進会議は、糖尿病治療のポイントをとりまとめて作成した『糖尿病治療のエッセンス(2022年版)』を制作し、日本医師会のホ-ムページより公開した。今回の改訂で5回目となる。

職場へのお土産の予算は?/医師1,000人アンケート

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行し始めた頃、出張や旅行は自主的に制限され、また学術集会もオンラインで開催されるなど、外出への機会は失われ、お土産を買ったり、もらったりということは減少した。しかし、最近では、コロナワクチンの普及や治療薬の登場により、COVID-19以前の生活に戻りつつある。  出張や学術集会が再開されて気になるのは、残してきた家族や医局の同僚などへの「お土産」である。実際、医師がどの範囲の集団に、どの程度の予算でお土産を購入しているのか、今回会員医師1,000人にアンケート調査を行った。

精神病性うつ病の死亡率~18年フォローアップ調査

 精神病性うつ病に関連する死亡率や併発する精神症状の影響に関するエビデンスは、非常に限られている。英国・オックスフォード大学のTapio Paljarvi氏らは、併発する精神症状を制御した精神病性うつ病の原因別死亡率を推定するため、本研究を実施した。その結果、精神医学的併存疾患を制御した後、重度のうつ病に関連する死亡リスクに対し、精神症状の著しい影響が認められた。著者らは、自殺やその他の外的原因による死亡を減少させるためにも、すべての重度うつ病患者に対し、迅速な治療および精神症状のモニタリング強化が求められると報告している。The British Journal of Psychiatry誌オンライン版2022年10月17日号の報告。