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2024/07/10
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医療一般|page:8

高リスク早期TN乳がんに術後アベルマブ1年投与でOS改善、DFSは改善せず(A-BRAVE)/ASCO2024

 高リスクの早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)における抗PD-L1抗体アベルマブ1年投与の術後補助療法は、観察群と比べ無病生存期間(DFS)を有意に改善しなかったが、全生存期間(OS)を有意に改善した。医師主導で実施された多施設共同無作為化第III相A-BRAVE試験の結果について、イタリア・Padova大学のPierfranco Conte氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で発表した。

遠隔医療のビデオ通話では医師の「背景」が重要

 遠隔医療により医師はどこからでも診療することができるようになったが、ビデオ通話の際の背景を医師らしく見えるようにすることで、患者の診療内容やアドバイスへの信頼度が強まることが、米ミシガン大学医学部内科学分野のNathan Houchens氏らによる研究で明らかになった。これは、遠隔診療を行う際には、たとえ診療所や診察室から遠く離れていても、そこにいるかのように見せるべきことを示唆する結果だ。研究の詳細は、「JAMA Network Open」に5月15日掲載された。  この研究では、ミシガン・メディスンまたは米国退役軍人(VA)アナーバーヘルスケアシステムのいずれかで1年以内に診療を受けた18歳以上の患者1,213人(626人が女性を自認)を対象に、2022年2月22日から10月21日の間に実施された調査結果の分析が行われた。調査では、7種類の異なる環境(医師のオフィス、診察室、壁に卒業証書や資格証明書などが飾られたオフィス、書棚のある自宅オフィス、寝室、キッチン、無地の背景)にいる医師の写真が提示された。調査参加者は、自分の好みの環境を選び、また6つのドメイン(知識の豊富さ、信頼性、思いやり、親しみやすさ、専門性、患者が感じる居心地の良さ)について1〜10点で評価し、複合スコアが算出された。

atypical EGFR変異陽性NSCLC、amivantamab+lazertinibの有用性は?(CHRYSALIS-2)/ASCO2024

 EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)に感受性を示すcommon EGFR遺伝子変異(exon19欠失変異、exon21 L858R変異)以外の、uncommon変異を有する非小細胞肺がん(NSCLC)患者は、common変異を有する患者と比べて予後不良である。しかし、EGFR遺伝子のuncommon変異のうち、exon20挿入変異を除いたatypical変異を有するNSCLC患者において、EGFRおよびMETを標的とする二重特異性抗体amivantamabと第3世代EGFR-TKIのlazertinibの併用療法は、有望な抗腫瘍活性を示すことが明らかになった。国際共同第I/Ib相試験「CHRYSALIS-2試験」のコホートC(未治療または2ライン以下の治療歴を有するatypical EGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者が対象)の結果を、韓国・延世がんセンターのByoung Chul Cho氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で報告した。

早期子宮体がんへのホルモン療法、40歳未満では全摘術と長期予後に差がない可能性/ASCO2024

 子宮体がんの罹患者が増加し、女性の出産年齢の高年齢化が進む中で、妊孕性を温存するためにホルモン療法への関心が高まっているが、長期予後に関するデータは限られている。米国のNational Cancer Database(NCDB)登録データを用いて、ホルモン療法と子宮全摘術の長期予後を比較した後ろ向き解析結果を、米国・コロンビア大学の鈴木 幸雄氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で報告した。 ・対象:NCDBに登録された、18~49歳、臨床病期I、Grade1~2で、1次治療としてホルモン療法あるいは子宮全摘術を受けた子宮体がん患者(ホルモン療法あるいは子宮全摘術前に放射線療法あるいは化学療法を受けている患者は除外) ・評価項目:ホルモン療法の使用傾向(全体集団:1万5,849例)、生存期間(傾向スコアマッチングコホート:2,078例)

早期乳がん術前Dato-DXd+デュルバルマブ、33%が化学療法をスキップ可(I-SPY2.2)/ASCO2024

 70遺伝子シグネチャー(MammaPrint)で高リスクのStageII/IIIの早期乳がんの術前療法として、抗TROP2抗体薬物複合体datopotamab deruxtecan(Dato-DXd)+デュルバルマブ併用療法を4サイクル投与した第II相I-SPY2.2試験の結果、33%の患者が化学療法を行わずに手術が可能となったことを、米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のRebecca A. Shatsky氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で発表した。  I-SPY2.2試験は、高リスク早期乳がんの術前療法を評価する多施設共同第II相プラットフォーム連続多段階ランダム割付試験(Sequential Multiple Assignment Randomized Trials:SMART)で、患者が最大の病理学的完全奏効(pCR)を得るための個別化医療を提供することを目的としている。ブロックAでDato-DXd+デュルバルマブを4サイクル投与し、MRIと生検でpCRが予測された場合は早期に手術を受けることができ、予測されない場合は化学療法や標的療法を行うブロックB/Cに進む。今回は、ブロックAの結果が報告された。

コーヒー・紅茶と認知症リスク、性別や血管疾患併存で違い

 コーヒーや紅茶の摂取は、認知症リスクと関連しているといわれているが、性別および血管疾患のリスク因子がどのように関連しているかは、よくわかっていない。台湾・国立台湾大学のKuan-Chu Hou氏らは、コーヒーや紅茶の摂取と認知症との関連および性別や血管疾患の併存との関連を調査するため、本研究を実施した。Journal of the Formosan Medical Association誌オンライン版2024年5月6日号の報告。  対象は3施設より募集したアルツハイマー病(AD)の高齢患者278例、血管性認知症(VaD)患者102例、対照者468例は同期間に募集した。コーヒーや紅茶の摂取頻度および量、血管疾患の併存の有無に関するデータを収集した。コーヒーや紅茶の摂取と認知症リスクとの関連性を評価するため、多項ロジスティック回帰モデルを用いた。性別および血管疾患の併存により層別化して評価を行った。

血液検査で危険なタイプの脳卒中を判別

 脳卒中を発症すると、ニューロンは数分で死滅し始めるため、脳卒中のタイプを迅速に特定して対処することが鍵となる。その特定プロセスを早めることができる血液検査の開発についての研究成果が、米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のJoshua Bernstock氏らにより報告された。この血液検査により、患者の発症した脳卒中が致死率の高い主幹動脈閉塞(LVO)を伴うものであるかどうかを高い精度で判定できることが示されたという。この研究結果は、「Stroke: Vascular and Interventional Neurology」に5月17日掲載された。  LVOを伴う脳梗塞であることが分かれば、医師は機械的血栓回収療法による治療を実施できる。これは、脳梗塞の原因となっている血栓を取り除く外科的手法だ。研究論文の上席著者であるBernstock氏は同病院のニュースリリースの中で、「機械的血栓回収療法のおかげで、この手術を行わなければ死亡するか重大な障害を負っていたであろう人が、あたかも脳卒中など経験しなかったかのように完全回復することができる」と説明している。同氏は続けて、「この治療は、迅速に行えば行うほど、患者の予後も良好になる」と指摘し、「われわれが開発したこの素晴らしい検査法は、世界中でより多くの人がより迅速にこの治療を受けられるようにする可能性を秘めている」と話している。

うつ病と心血管疾患発症の関連、女性でより顕著

 日本人400万人以上のデータを用いて、うつ病と心血管疾患(CVD)の関連を男女別に検討する研究が行われた。その結果、男女とも、うつ病の既往はCVD発症と有意に関連し、この関連は女性の方が強いことが明らかとなった。東京大学医学部附属病院循環器内科の金子英弘氏らによる研究であり、「JACC: Asia」2024年4月号に掲載された。  うつ病は、心筋梗塞、狭心症、脳卒中などのCVD発症リスク上昇と関連することが示されている。うつ病がCVD発症に及ぼす影響について、性別による違いを調べる研究はこれまでにも行われているものの、その明確なエビデンスは得られていない。

T-DXd治療中の転移乳がん患者、ePROモニタリングがQOLに効果(PRO-DUCE)/ASCO2024

 トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)で治療中のHER2+転移乳がん患者において、通常ケアに加え、電子患者報告アウトカム(ePRO)モニタリングを実施することにより、24週目のglobal QOLスコアのベースラインからの変化が良好だったことが、わが国で実施されたPRO-DUCE試験で示された。関西医科大学の木川 雄一郎氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で発表した。

双極性障害とうつ病で異なる臨床的特徴

 中国・上海交通大学のZhiguo Wu氏らは、うつ病と診断された患者とうつ病と診断されたものの双極性障害(BP)I型およびII型であった患者における、現在のうつ病エピソードの人口統計学的および臨床学的特徴を調査した。BMC Psychiatry誌2024年5月10日号の報告  うつ病およびうつ病と診断されたBP-I、BP-IIのDSM-IV診断を確定させるために精神疾患簡易構造化面接法(MINI)を実施した。中国の8ヵ所の精神科施設より抽出されたBP-I、BP-II、うつ病患者1,463例を対象に、人口動態、うつ症状、精神疾患の併存を比較した。診断の臨床的相関を評価するため、多項ロジスティック回帰モデルを用いた。

大腸がん検診、検査方法の選択肢提示で受診率が向上

 患者に大腸がんの検査方法の選択肢を与えることで、検診を受ける患者数が2倍以上に増えたとする研究結果が報告された。米ペンシルベニア大学医学部のShivan Mehta氏らによるこの研究結果は、「Clinical Gastroenterology and Hepatology」に4月30日掲載された。  研究グループの説明によると、大腸がん検診は現在、リスクレベルが平均的な人には45歳からの受診が推奨されているが、大腸がんの既往歴や家族歴がある人は、より早い時期から検診を受けなければならない可能性もあるという。

SMART療法を処方される喘息患者は少ない

 吸入ステロイド薬(ICS)と長時間作用型β2刺激薬(LABA)の合剤を、喘息の長期管理薬としても発作発現時の治療薬としても用いる治療法をSMART(スマート)療法という。この治療法は、全米喘息教育予防プログラムと喘息グローバルイニシアチブのそれぞれのガイドラインで使用が推奨されている。しかし、新たな研究で、中等度から重度の成人喘息患者のうち、SMART療法が処方されているのはわずか15%程度に過ぎず、呼吸器およびアレルギー専門医の40%以上がこの治療法を採用していないことが明らかになった。米イエール大学医学部の呼吸器・集中治療医であるSandra Zaeh氏らによるこの研究結果は、米国胸部学会(ATS 2024、5月17〜22日、米サンディエゴ)で発表された。

世界の平均寿命、2050年までに4年以上の延長を予測/Lancet

 今後30年間に世界の平均寿命(出生時平均余命)は男性では5年近く、女性で4年以上延長することが予測されるとの最新の分析結果を、世界疾病負担研究(GBD)の研究者らが、「The Lancet」5月18日号に発表した。こうした平均寿命の延長は、一般的に平均寿命が短い国々で顕著だという。研究グループは、「このような変化は、心臓病や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に加え、感染症や出産、栄養に関連するさまざまな健康問題の予防と発見、治療の改善をもたらした公衆衛生対策によるところが大きい」と説明している。

賞金がかかると減量達成率が向上する

 男性を対象とした研究から、金銭的なインセンティブがあると減量目標の達成率が有意に向上するという結果が報告された。第31回欧州肥満学会(ECO2024、5月12~15日、イタリア・ベニス)で英スターリング大学のPat Hoddinott氏らが発表し、同14日に「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に論文が掲載された。  この研究におけるインセンティブは、設定された減量目標を達成した場合に、最大400ポンド(約8万円)を受け取れるというもの。研究に参加して減量に成功したNevil Chesterfieldさん(68歳)は、「私にとって研究参加は大変有意義だった。もちろん金銭的インセンティブは重要だったが、大学の研究に参加するということに価値があると思えたし、将来の医療政策に役立てるために行うという研究趣旨の説明にも真剣さを感じた」と語っている。

プラチナ+ICI既治療NSCLCへのSG、第III相試験結果(EVOKE-01)/ASCO2024

 プラチナ製剤を含む化学療法および免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による治療で病勢進行に至った非小細胞肺がん(NSCLC)の標準治療は、いまだにドセタキセルとなっており、治療成績は十分ではない。そのため、新たな治療法の開発が望まれている。そこで、既治療のNSCLC患者を対象として、Trop-2を標的とする抗体薬物複合体sacituzumab govitecan-hziy(SG)の有用性を検討する国際共同第III相比較試験「EVOKE-01試験」が実施された。

モデルナ・ジャパン、RSウイルスワクチンを承認申請

 2024年5月30日、モデルナ・ジャパン株式会社は、60歳以上の成人を対象としたRSウイルス(RSV)感染症予防のためのmRNAワクチン「mRNA-1345」の製造販売承認を厚生労働省に申請したと発表した。  RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus、RSV)は、高い感染力を持つ呼吸器ウイルスで、感染者の咳やくしゃみ、またはウイルスが付着した手や物体に触れることで伝播する。感染症状は、一般的な風邪の症状から始まり、進行すると、とくに脆弱な乳児や高齢者においては、呼吸困難や入院、最悪の場合は死亡に至ることもある。

せん妄に対するアリピプラゾール治療〜システマティックレビュー

 せん妄は、医療現場、とくに高齢者において一般的に見られる神経精神疾患である。せん妄の第1選択の薬理学的介入としてハロペリドールが挙げられるが、強力なエビデンスが存在しているわけではなく、その副作用は重篤となる可能性があり、ドパミンおよびセロトニンを標的とした代替治療薬(非定型抗精神病薬)の使用が検討される。非定型抗精神病薬の中でも、アリピプラゾールは、最も良好な安全性プロファイルを有する薬剤であると考えられる。イタリア・Mental Health Center of FrosinoneのStefano Maddalena氏らは、せん妄に対する薬理学的介入としてのアリピプラゾールに関する研究について、最新の研究を含めたシステマティックレビューを実施した。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2024年4月30日号の報告。

能登半島地震でのJMAT活動を終了、累計1万2,374人を派遣/日医

 日本医師会会長の松本 吉郎氏が、2024年6月5日の定例記者会見で、能登半島地震における日本医師会災害医療チーム(JMAT)の活動を5月31日をもって終了したことを報告した。最終的には、累計3,849チーム、1万2,374人が派遣された。松本氏は、47都道府県すべての医師会からチームが派遣されたことに謝意を示した。  石川県庁の災害対策本部によれば、5月下旬時点で能登地方の避難所に約1,800人、1.5次や2次避難所に約1,600人が避難しているという。松本氏は、「一刻も早く地域社会を再建し、日常生活を取り戻してもらうことが必要であり、そのためには地域に根差して医療や介護を担うかかりつけ医機能の復旧が不可欠」としたうえで、「地域社会の再建と地域医療の復旧のため、石川県の行政と医師会が車の両輪となって復旧・復興につとめてもらいたい。日本医師会としても今後も被災地を支えていく」と述べた。

未治療HER2+進行乳がん、T-DXd±ペルツズマブの12ヵ月PFS率(DESTINY-Breast07)/ASCO2024

 HER2+(IHC 3+またはIHC 2+/ISH+)の進行・転移乳がんの1次療法として、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)単独療法とT-DXd+ペルツズマブ併用療法の有用性を検討した第Ib/II相DESTINY-Breast07試験の中間解析の結果、両群ともに12ヵ月無増悪生存(PFS)率は80%以上であり、薬剤性間質性肺疾患(ILD)による死亡は認められなかったことを、フランス・Gustave RoussyのFabrice Andre氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で発表した。  DESTINY-Breast07試験は、HER2+の進行・転移乳がん患者を対象に、T-DXd単独または他の抗がん剤との併用による安全性、忍容性および抗腫瘍活性を検討する国際共同無作為化非盲検第Ib/II相試験。用量漸増パートと用量拡大パートで構成され、今回は1次療法としてのT-DXd±ペルツズマブを評価した用量拡大パートの中間解析の結果が報告された。

極端な運動でも寿命が縮まることはない

 何世紀にもわたり、運動と健康の間にはU字型の関係があると考えられてきた。つまり、運動量は少な過ぎても多過ぎても健康を損なうという考え方だ。しかし、最大限のパフォーマンスに自分を追い込むアスリートは、長寿に関しては代償を払う必要はないようだ。1マイル(約1.6km)を4分以内で走り切った最初の200人のアスリートは、一般的な人よりも平均5年近く長生きする可能性のあることが、新たな研究で明らかにされた。アルバータ大学(カナダ)のMark Haykowsky氏らによるこの研究結果は、「British Journal of Sports Medicine」に5月10日掲載された。