ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:17

透析高齢女性へのデノスマブ、重度低Ca血症が大幅に増加/JAMA

 65歳以上の透析女性患者において、デノスマブは経口ビスホスホネート製剤と比べて、重度~きわめて重度の低カルシウム血症の発現率がきわめて高率であることが、米国・食品医薬品局(FDA)のSteven T. Bird氏らによる検討で示された。透析患者は骨折を引き起こす割合が高いが、エビデンスのある最適な治療戦略はない。今回の結果を踏まえて著者は、「透析患者に極めて一般的に存在する骨病態生理の診断の複雑さや、重度の低カルシウム血症のモニタリングおよび治療に複雑な戦略を要することを踏まえたうえで、デノスマブは、慎重に患者を選択し、十分なモニタリング計画を立てたうえで投与すべきである」と述べている。JAMA誌2024年2月13日号掲載の報告。

心臓移植候補者の順位付け、より有用なリスクスコアモデル開発/JAMA

 米国・シカゴ大学のKevin C. Zhang氏らは、米国の心臓移植候補者約1万7,000例を対象としたレジストリベースの研究を行い、医学的緊急性に基づく心臓移植候補者の順位付けの連続多変数割り当てスコアモデルを開発した。現行の6段階システムに比べ、心臓分配の医学的緊急性の要素に関して、より有用である可能性があるという。米国の心臓分配システムは、移植をしなければ死亡するリスクが高い医学的緊急性がある候補者を優先しているが、現行の治療ベースの6段階システムは操作がされやすく、順位付けに限界があるとされている。JAMA誌2024年2月13日号掲載の報告。

痛風再燃の98%はベースライン尿酸値5mg/dL以上/JAMA

 痛風の既往歴のある患者において、ベースラインの血清尿酸値は、その後の痛風再燃および再発による入院のリスクと関連しており、再発リスクの評価の指標として使用可能であることが、米国・マサチューセッツ総合病院のNatalie McCormick氏らの調査で示唆された。研究の成果は、JAMA誌2024年2月6日号で報告された。  本研究は、英国のプライマリケアにおいて、痛風の既往歴を有する患者における1回の血清尿酸値測定と、その後の急性痛風再燃および痛風の再発による入院のリスクとの関連の評価を目的とする住民ベースの後ろ向きコホート研究である(米国国立衛生研究所[NIH]の助成を受けた)。  対象は、2006~10年に英国で確認された痛風の既往歴を有する患者3,613例(平均年齢60.2[SD 6.8]歳、男性3,104例[86%])であり、2020年まで追跡調査を行った。

急性期脳梗塞のIVT+血栓回収療法、140分以内のIVTで有効/JAMA

 急性期脳梗塞に対する静注血栓溶解療法(IVT)の有用性は、症状発現からIVT施行までの時間が長いほど低下するが、IVT後に血栓回収療法を行った場合に、同様の時間依存性が存在するかは知られていない。スイス・ベルン大学のJohannes Kaesmacher氏らIRIS共同研究グループは、IVT+血栓回収療法は血栓回収療法単独と比較して、症状発現からIVT施行までの時間が2時間20分以内と考えられる場合には、90日後の機能的アウトカムが有意に良好だが、この時間以降は統計学的に有意な関連はないことを示した。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年2月7日号に掲載された。

心房細動のない心房性疾患患者の潜因性脳卒中、アピキサバンの再発予防効果は?/JAMA

 心房細動を伴わない心房性心疾患の証拠がある、潜因性脳卒中(cryptogenic stroke)を呈した患者において、アピキサバンはアスピリンと比較して脳卒中再発リスクを有意に低下しなかった。米国・Weill Cornell MedicineのHooman Kamel氏らが「ARCADIA試験」の結果を報告した。心房性心疾患は、臨床的に明らかな心房細動を認めない場合において、脳卒中と関連することが示されている。心房細動への有益性が示されている抗凝固療法が、心房性疾患を有するが心房細動は有さない患者の脳卒中を予防するかどうかは不明であった。JAMA誌オンライン版2024年2月7日号掲載の報告。

肝線維化を伴うNASHへのresmetirom、52週での有用性/NEJM

 肝線維化を伴う非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に対し、開発中のresmetiromの80mgおよび100mg投与はプラセボとの比較において、NASH消失および肝線維化ステージの1段階以上の改善に関して、優れていることが示された。米国・Pinnacle Clinical ResearchのStephen A. Harrison氏らが、第III相二重盲検無作為化プラセボ対照試験「MAESTRO-NASH試験」の結果を報告した。NASHは進行性の肝疾患で、現在までに承認された治療薬はない。resmetiromは、肝指向性の経口選択的甲状腺ホルモン受容体β作動薬で、先行する第IIおよび第III相試験で、成人NASHに対する有効性、安全性を支持するデータが示されていた。NEJM誌2024年2月8日号掲載の報告。

広範囲脳梗塞の血栓除去術、虚血コアの大きさ等で有効性は異なるか?/JAMA

 広範囲脳梗塞患者の治療において、内科的治療のみと比較して血管内血栓除去術の併用は、幅広い虚血コア体積およびペナンブラプロファイルにわたって機能的アウトカムを改善することが示された。米国・ケース・ウエスタン・リザーブ大学のAmrou Sarraj氏らが、非盲検無作為化第III相試験「SELECT2試験」の探索的解析の結果を報告した。急性脳梗塞で大きな虚血コアを有する患者に対する血管内血栓除去術の有効性が、虚血傷害の程度によって異なるかどうかは不明であった。JAMA誌オンライン版2024年2月7日号掲載の報告。

院内心停止、心肺蘇生時間1分ごとの患者転帰との関連/BMJ

 米国・ピッツバーグ大学の大久保 雅史氏らは、院内心停止に関する大規模レジストリの後ろ向きコホート研究において、心肺蘇生時間1分ごとの患者アウトカムの時間依存確率を定量化し、生存および良好な神経学的アウトカムの確率は心肺蘇生時間とともに低下し、それぞれ心肺蘇生時間39分および32分時点で1%未満であることを明らかにした。心肺蘇生時間と患者転帰との関連性は、院内心停止患者については十分に調査されていなかった。著者は、「今回の結果は、蘇生チーム、患者、およびその代理人に、最初の自己心拍再開を待っている患者が、さらなる心肺蘇生を受けた場合に、良好なアウトカムが得られる客観的確率を提供するものである」とまとめている。BMJ誌2024年2月7日号掲載の報告。

乳がん検診、異型検出後の罹患リスクは?/BMJ

 乳がん検診で異型を伴う病変が検出された場合、その後の短期間において、マンモグラフィ検査を毎年行うことは有益ではないことが、英国・ウォーリック大学のKaroline Freeman氏らによる検討で示された。悪性か否かが不明の異型を伴う乳房病変が検出された場合、乳がんの長期リスクが3~4倍増加する可能性が示されている。英国、欧州、米国のガイドラインでは、異型部位を吸引式乳房組織生検(VAB)または手術で切除し、画像サーベイランスを行うことが推奨されている。しかし、画像サーベイランスを5年間にわたり毎年行うことについてはエビデンスがなく、期間、頻度、妥当性が議論の的となっていた。なお、今回の結果について著者は、「長期的リスクについてさらなるエビデンスが必要である」と述べている。BMJ誌2024年2月1日号掲載の報告。

小児・思春期の2価コロナワクチン、有効性は?/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する2価mRNAワクチンについて、小児・思春期(5~17歳)へのSARS-CoV-2感染および症候性COVID-19に対する保護効果が認められることが示された。米国疾病予防管理センター(CDC)のLeora R. Feldstein氏らが、3つの前向きコホート試験に参加した約3,000例のデータを解析し報告した。米国では12歳以上については2022年9月1日から、5~11歳児については同年10月12日から、COVID-19に対する2価mRNAワクチンの接種を推奨しているが、その有効性を示す試験結果は限られていた。著者は、「今回示されたデータは、小児・思春期へのCOVID-19ワクチンの有益性を示すものである。対象となるすべての小児・思春期は、推奨される最新のCOVID-19ワクチン接種状況を維持する必要がある」と述べている。JAMA誌2024年2月6日号掲載の報告。

検診以外で発見の非浸潤性乳管がん、浸潤性病変・乳がん死の長期リスク高い/BMJ

 検診以外で発見された非浸潤性乳管がん(DCIS)の女性は、診断後少なくとも25年間は、一般集団の女性と比較して浸潤性乳がんや乳がん死のリスクが高く、検診でDCISが検出された女性に比べ長期的なリスクも高いことが、英国・オックスフォード大学のGurdeep S. Mannu氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年1月24日号に掲載された。  本研究は、検診以外で検出されたDCISにおける浸潤性乳がんと乳がん死の長期的なリスクの評価を目的に、一般集団の女性と検診でDCISと診断された女性を比較する住民ベースのコホート研究である(Cancer Research UKなどの助成を受けた)。

遺伝性血管性浮腫、CRISPR-Cas9ベースの生体内遺伝子編集治療が有望/NEJM

 遺伝性血管性浮腫の治療において、NTLA-2002の単回投与は、血漿中の総カリクレイン濃度を強固に、用量依存性で恒久的に減少させ、重度の有害事象は観察されないことが、ニュージーランド・Auckland City HospitalのHilary J. Longhurst氏らによる検討で示された。遺伝性血管性浮腫はまれな遺伝性疾患で、予測不能な重度の浮腫発作を引き起こす。NTLA-2002は、CRISPR-Cas9に基づく生体内遺伝子編集治療で、カリクレインB1をコードする遺伝子(KLKB1)を標的とする。研究の成果は、NEJM誌2024年2月1日号で報告された。

四肢骨折の手術部位感染予防、最適な皮膚消毒薬は?/NEJM

 四肢骨折の手術部位感染予防における手術前の皮膚消毒では、閉鎖骨折の場合は、クロルヘキシジングルコン酸塩のアルコール溶液と比較して、ヨウ素ポバクリレックスのアルコール溶液は有効性が高い一方で、開放骨折ではこのような差はないことが、カナダ・マクマスター大学のSheila Sprague氏らが実施した「PREP-IT試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2024年2月1日号に掲載された。  PREP-IT試験は、四肢骨折の手術部位の感染予防における手術前の皮膚消毒として、2種のアルコールベースの消毒薬の有効性と安全性の評価を目的とするクラスター無作為化クロスオーバー試験であり、米国とカナダの25の病院で行った(米国患者中心アウトカム研究所[PCORI]などの助成を受けた)。

神経発達障害リスク、中等度/後期早産児で高い/BMJ

 正期産(在胎期間39週0日~40週6日)で出生した子供と比較して、中等度早産(同32週0日~33週6日)および後期早産(同34週0日~36週6日)で出生した子供は、有害な神経発達アウトカムのリスクが高く、このリスクは在胎週数32週から41週まで徐々に低下することが、スウェーデン・カロリンスカ研究所のAyoub Mitha氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年1月24日号で報告された。  本研究は、異なる在胎週数で出生した子供における長期的な神経発達アウトカムの評価を目的とするスウェーデンの全国規模のコホート研究である(スウェーデン・カロリンスカ研究所研究基金などの助成を受けた)。  解析には、Swedish Medical Birth Registerといくつかの全国的な登録システムのデータを用いた。対象は、1998~2012年に、在胎期間32週0日~41週6日の単胎の生児として出生し、先天奇形のない子供128万1,690人であった。

母乳最低限の超早産児の神経発達、ドナーミルクvs.早産児用粉ミルク/JAMA

 最小限の母乳しか与えられなかった超早産児は、ドナーミルクまたは早産児用粉ミルクのいずれを与えられても、修正月齢22~26ヵ月時点の神経発達アウトカムに差異は認められなかった。米国・アイオワ大学のTarah T. Colaizy氏らが、Eunice Kennedy Shriver National Institute of Child Health and Human Development Neonatal Research Networkに参加している米国の大学医療センター15施設で実施した無作為化二重盲検臨床試験「MILK試験」の結果を報告した。出生後入院中の超早産児の母乳育児は、早産児用粉ミルクと比較して神経発達の良好なアウトカムと関連しているが、母乳をまったく与えていない、または最小限しか与えていない超早産児において、ドナーミルクが早産児用粉ミルクと同様の神経発達上の利点をもたらすかは不明であった。JAMA誌オンライン版2024年1月30日号掲載の報告。

論文での生成AI使用、投稿雑誌のガイドライン整備状況は?/BMJ

 著者による生成人工知能(generative artificial intelligence:生成AI)の使用に関して、一部の大手出版社や雑誌によるガイドラインが不足しており、ガイドラインを提示していても許容される生成AIの使用やその開示方法は大きく異なり、出版社と提携雑誌間でガイドラインの不均一性が存在している場合があるという。米国・南カルフォルニア大学のConner Ganjavi氏らが、学術出版社および科学雑誌による著者に対する生成AI使用のガイダンスの範囲と内容を明らかにすることを目的に、横断的な計量書誌学的研究を行った結果を報告した。2022年後半以降、ChatGPTを含む生成AIツールが学術論文や研究で広く利用されるようになり、出版社、雑誌、監督官庁のメンバーを含む出版エコシステム(publishing ecosystem)の関係者は、この新しいテクノロジーを監視し、安全に使用する方法について議論をしている。著者は、「標準化の欠如は、著者への負担につながり、規制の効果を限定的なものとする可能性がある。生成AIの人気が拡大し続ける中、研究成果の科学的誠実性を確保し続けるためにも標準化されたガイドラインが必要となる」とまとめている。BMJ誌2024年1月31日号掲載の報告。

GLP-1受容体作動薬、血糖値や体重減少効果が高いのは?~76試験メタ解析/BMJ

 中国・北京中医薬大学のHaiqiang Yao氏らが成人の2型糖尿病患者を対象としたGLP-1受容体作動薬の76試験をネットワークメタ解析した結果、プラセボと比べ、チルゼパチドによるヘモグロビンA1c(HbA1c)と空腹時血糖値の低下が最も大きく、血糖コントロールの有効性が最も高いGLP-1受容体作動薬であることが示された。また、GLP-1受容体作動薬は体重管理も大幅に改善することが示され、なかでも体重減の効果が最も大きかったのはCagriSema(セマグルチドとcagrilintideの合剤)だった。一方で、GLP-1受容体作動薬は、とくに高用量の投与で消化器系の有害事象がみられ、安全性について懸念があることも明らかになったという。BMJ誌2024年1月29日号掲載の報告。

ニーマン・ピック病C型へのN-アセチル-L-ロイシン、神経学的状態を改善/NEJM

 ニーマン・ピック病C型(NPC)の患者において、リソソームと代謝の機能障害改善が期待されるN-アセチル-L-ロイシン(NALL)による12週間の治療はプラセボと比較し、神経学的状態を改善したことが、スイス・ベルン大学のTatiana Bremova-Ertl氏らが、60例を対象に行ったプラセボ対照無作為化二重盲検クロスオーバー試験の結果で示された。NPCは、進行性、衰弱性、早期致死性の常染色体劣性遺伝性リソソーム蓄積症(ライソゾーム病)で、発症頻度は10万人に1人(本邦では12万に1人)と報告される希少疾病である。現行では、ミグルスタットによる薬物治療があるが進行抑制に限定され、欧州連合(EU)と本邦を含むいくつかの国では承認されているが、米国では未承認である。NALLの有効性と安全性を評価した今回の結果について著者は、「さらなる検討で長期の有効性を確認する必要がある」とまとめている。NEJM誌2024年2月1日号掲載の報告。

強迫症患者に多い/少ない死因は?/BMJ

 強迫症(OCD)患者はOCD非罹患者と比較して、さまざまな自然死因による死亡のリスクが上昇しており、その多くは非伝染性で予防可能なものである一方で、自殺や事故といった外因死の寄与が大きく、新生物による死亡リスクはむしろ低いことが、スウェーデン・カロリンスカ研究所のLorena Fernandez de la Cruz氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年1月17日号で報告された。   研究グループは、スウェーデンのOCD患者における全死因死亡と原因別死亡のリスクの評価を目的に、2つのコホートでOCD罹患者と非罹患者の比較を行った(Swedish Research Council for Healthなどの助成を受けた)。

医療者の体重減少、1年以内のがん罹患リスク高い/JAMA

 過去2年以内に体重減少がみられなかった集団と比較して、この間に体重減少を認めた集団では、その後の12ヵ月間にがんに罹患するリスクが有意に高く、とくに上部消化管のがんのリスク増大が顕著なことが、米国・ハーバード大学医学大学院のQiao-Li Wang氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌2024年1月23/30日号に掲載された。  研究グループは、米国のNurses’ Health Study(NHS)に参加した40歳以上の女性看護師(追跡期間1978年6月~2016年6月)と、Health Professionals Follow-Up Study(HPFS)に参加した40歳以上の男性医療従事者(追跡期間1988年1月~2016年1月)のデータを用いた前向きコホート研究を行った(NHSとHPFSは米国国立衛生研究所[NIH]の助成を、今回の解析はSwedish Research Councilなどの助成を受けた)。