ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:316

関節リウマチ患者、アダリムマブ、インフリキシマブ服用は帯状疱疹リスクが増大

関節リウマチ患者で、ヒト型抗TNF-αモノクロナール抗体のアダリムマブ(商品名:ヒュミラ)やインフリキシマブ(同:レミケード)を服用する人は、そうでない人に比べ、帯状疱疹の発症リスクが増大するようだ。一方、抗TNF-αクラスの薬全体、また完全ヒト型可溶性TNFα/LTαレセプターのエタネルセプト(同:エンブレル)のみでは、同リスクの増大は認められなかった。ドイツGerman Rheumatism Research CenterのAnja Strangfeld氏らの調べで明らかになったもので、JAMA誌2009年2月18日号で発表されている。

米国ICU、中心静脈カテーテル関連MRSA血流感染率が大幅減少

米国の主な集中治療室(ICU)では、過去7年間で、中心静脈カテーテル関連のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の血流感染率が大幅な減少傾向にあることがわかった。ICUの種類により減少率は異なるものの、50%を超える減少幅だという。米国疾病対策センター(CDC)のDeron C. Burton氏らが、全米の医療機関がCDCに報告したデータを分析して明らかにしたもので、JAMA誌2009年2月18日号で発表した。

研修医が指導医に臨床サポートを求める際の決定因子

研修医・医学生が指導医に臨床サポートを請う際、どのような因子が影響しているのか。ウィルソン教育研究センター(カナダ、トロント)のTara J T Kennedy氏らが行った、決定プロセスを理論化するグラウンデッドセオリー研究の結果が、BMJ誌2009年2月14日号(オンライン版2009年2月9日号)で報告されている。研修医らが戦略的な思考プロセスを経てアドバイスを求める姿勢が浮き彫りになった。

がん患者のカテーテル関連静脈血栓症にワルファリンは有効か?:WARP試験

中心静脈カテーテルによる化学療法を受けているがん患者に予防的ワルファリン(商品名:ワーファリンなど)投与を行っても、症候性カテーテル関連血栓症は抑制できないことが、イギリスBirmingham大学のAnnie M Young氏らが実施したWARP試験で判明した。静脈血栓塞栓症はがん患者によく見られる合併症として知られる。原因としては、がんそのものや特定の化学療法、ホルモン療法、さらに中心静脈カテーテルの使用によって広範な凝固促進因子が産生されるためと考えられている。Lancet誌2009年2月14日号掲載の報告。

重症の足首捻挫には膝下キャストを

重症の足首捻挫に対する機械的な支持法では、膝下キャストの効果が最も優れることが、イギリスWarwick大学のS E Lamb氏らが実施した無作為化試験で明らかとなった。イギリスでは救急診療部の受診件数の3~5%を重症足首捻挫が占め、年間約100~150万例にのぼる。最も多いのは外側靱帯の捻挫だという。Lancet誌2009年2月14日号掲載の報告。

幹細胞移植によるHIV-1長期コントロールの可能性

これまでの知見として、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)感染には、CD4レセプターとケモカイン・レセプター(CCR、主にCCR5)の存在が不可欠であり、CCR5アレル(対立遺伝子)のうち、32塩基対が突然変異で欠損した遺伝子(CCR5 delta32)をホモ接合で持つ人はHIV-1感染に対して抵抗性を示すことが知られている。シャリテ医科大学(ドイツ)Gero Hutter氏らの研究グループは、このCCR5 delta32ホモ接合のドナーから取り出した幹細胞を、急性骨髄性白血病に罹患したHIV-1感染症患者1例に移植し、HIVの長期間にわたるコントロールが可能かどうかを調べた。NEJM誌2009年2月12日号に短報が掲載された。

標的化筋肉再神経分布により高機能人工腕をリアルタイムに制御可能

上腕部を切断した後、標的化筋肉再神経分布(TMR)という技術を用いて、人工腕をリアルタイムに制御できることが明らかになった。TMRとは、残っている腕の神経を別の筋肉へ再分布するもの。ここから発生する筋電シグナルを使い、人工腕を制御しようという仕組みだ。これは、米国Rehabilitation Institute of ChicagoのTodd A. Kuiken氏らが行った研究で、明らかになったもので、JAMA誌2009年2月11日号で発表した。

ケアコーディネーションによる高齢者慢性疾患の医療費削減は困難:米国

高齢者の慢性疾患について、ケアコーディネーションを強化しても、医療費の削減や、医療の質の改善は難しいようだ。米国の公的高齢者医療保険(メディケア)加入者を対象に行った試験で、明らかになった。米国Mathematica Policy ResearchのDeborah Peikes氏らの研究結果で、JAMA誌2009年2月11日号で発表した。

急性心筋梗塞患者にEBM治療進化がもたらす可能性:MONICAプロジェクト

1980年代中盤から比べて90年代前半に治療を受けた急性心筋梗塞患者は、予後が改善し長期生存していることが、世界保健機構(WHO)のMONICAプロジェクト(心血管疾患の傾向と決定因子のモニタリング)下にある、オーストラリア、パースの住民を対象としたコホート群の調査から報告された。西オーストラリア大学Tom Briffa氏らによる1984~2005年の追跡調査結果は、BMJ誌2009年2月7日号(オンライン版2009年1月26日号)に掲載されている。

乳がん治療後の経過観察は専門看護師による電話フォローが最適

乳がん治療後の経過観察を、通院ではなく専門看護師による電話で行ったら? 英国マンチェスター大学看護学部Kinta Beaver氏らによる無作為化同等性試験の結果が、BMJ誌2009年2月7日号(オンライン版2009年1月14日号)で報告された。電話フォローのほうが、肉体的にも精神的にも負荷が少ないと患者に好評であること、再発の発見に関しても遅れをとるようなことはないとしている。

liraglutideの血糖コントロール作用はグリメピリドを凌駕:LEAD-3 Mono試験

新たな2型糖尿病治療薬であるliraglutideは有効かつ安全で、グリメピリド(商品名:アマリール)よりも良好な血糖コントロールを示すことが、アメリカ・ベイラー医科大学のAlan Garber氏らが行った無作為化第III相試験(LEAD-3 Mono)で明らかとなった。liraglutideはグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)のアナログで、半減期が13時間と長いため1日1回の自己注射が可能。GLP-1はグルコース依存性のインスリン分泌を刺激してグルカゴンの分泌を抑制し、食欲の抑制効果も有するという。Lancet誌2009年2月7日号(オンライン版2008年9月25日号)掲載の報告。

腰痛の画像検査は無用?

重篤な基礎疾患のない腰痛患者に画像検査を行っても臨床転帰は改善しないことが、アメリカ・オレゴン健康科学大学のRoger Chou氏らが実施したメタ解析で明らかとなった。Agency for Healthcare Policy and Research(AHCPR)ガイドラインは急性腰痛発症1ヵ月以内の画像検査を否定しており、重篤な基礎疾患を示唆する臨床所見(いわゆるred flags:癌、感染症、馬尾神経症候群など)のない慢性腰痛には画像検査を行うべきではないとするガイドラインもある。しかし、現実には患者の要望などもあってルーチンに施行したり、臨床所見がないのに行われる場合が多いという。Lancet誌2009年2月7日号掲載の報告。

乳幼児RSV感染症は入院・外来医療ともに大きな負荷をもたらす

乳児の入院に至る主要な要因にRSVウイルスがあることはよく知られているが、幼児におけるRSV感染症が医療資源全体に与える負荷については明らかではない。ロチェスター医科大学(アメリカ)のCaroline Breese Hall氏らは、アメリカの3つの郡(テネシー州ナッシュビル、ニューヨーク州ロチェスター、オハイオ州シンシナティ)で、5歳未満児における急性呼吸器感染症について、住民ベースの前向き調査を行った。NEJM誌2009年2月5日号より。

転移性大腸がんへのセツキシマブ併用はQOLの低下をもたらす

転移性大腸がんへの、CBレジメン(カペシタビン+オキサリプラチン+ベバシズマブ併用療法)に、上皮細胞増殖因子(EGFR)阻害剤セツキシマブ(商品名:アービタックス)を加えた場合のCBCレジメンについて、無増悪生存期間を有意に短縮し、QOLの低下をもたらすことが、臨床試験の結果として明らかにされた。KRAS遺伝子の変異が臨床予後悪化の予測因子であることも報告されている。ラドバウト大学(オランダ)のJolien Tol氏らによる報告は、NEJM誌2009年2月5日号に掲載された。

高齢者の軽度骨粗鬆症性骨折後、長期死亡リスクは増大

高齢者の軽度骨粗鬆症性骨折の後、5~10年後の死亡リスクは増大することが、オーストラリアSt Vincent’s HospitalのDana Bliuc氏らによって明らかになった。骨折5年以内の標準化死亡比は、約1.4~3.5に上るという。また再度骨折は、5年間の死亡リスクのさらなる増大につながることも報告された。これまで、骨粗鬆症性骨折後の長期死亡率については、あまりデータが発表されていなかった。JAMA誌2009年2月4日号より。

産後うつ病:電話による母親対母親のピアサポートに予防効果

出産後2週間以内に産婦の13%が産後うつ病にかかるとの報告があり、特に、対人関係の希薄な場合に産後うつ病発症リスクが高いことが知られている。逆に言えば、リスクの高い女性を対象に介入を行えば、高い予防効果が得られるのではないか。トロント大学(カナダ)C-L Dennis氏らの研究グループが行った報告が、BMJ誌2009年1月31日号(オンライン版2009年1月15日号)に掲載された。