ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:213

8年間で小児糖尿病が20~30%増加:米国/JAMA

 2001~2009年の間で、米国の0~19歳の青少年における1型および2型糖尿病患者の有病率が上昇していたことが、米国・コロラド大学公衆衛生大学院のDana Dabelea氏らによる調査の結果、判明した。著者は、「さらなる検討を行い、上昇した原因について明らかにする必要がある」と述べている。JAMA誌2014年5月7日号掲載の報告より。

未治療HCVへのABT-450+リトナビル+ダサブビル、第III相試験/NEJM

 未治療のC型肝炎ウイルス(HCV)遺伝型1型感染患者への治療として、リバビリンを用いないABT-450+リトナビル(ABT-450/r)+ダサブビルの12週治療が、高い持続性ウイルス学的著効(SVR)を達成したことが示された。オーストリア・ウィーン大学医学部のPeter Ferenci氏らが2件の第III相無作為化試験の結果、報告した。また、ウイルス学的失敗の割合は、リバビリンを用いるよりも用いなかったほうが、HCV遺伝型1a型感染患者では高かったが、1b型感染患者では示されなかったという。NEJM誌オンライン版2014年5月4日号掲載の報告より。

心疾患への自家骨髄幹細胞治療、効果のバラツキはなぜ?/BMJ

 心機能を大幅に改善すると報告されている心疾患患者への自家骨髄幹細胞治療の試験報告について、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのAlexandra N Nowbar氏らは、試験間でみられる効果量のばらつきについて、なぜそのような状況が起きているのかを調べた。49試験について論文に事実と異なる矛盾点がないかを調べた結果、試験デザインや方法論、結果などにおいて多くの矛盾点が検出され、その数が多いほど治療効果が大きく示されるという有意な関連があることを報告した。著者は、「論文の不備を回避することは難しいが、その数と効果の大きさが関連していることから重大である」と述べている。また、矛盾点が検出されなかった5試験では効果がゼロであったと報告されていることから、判明していない同治療のメカニズムについて、今後の試験で調べることが必要だと指摘している。BMJ誌オンライン版2014年4月29日号掲載の報告より。

53歳時の身体能力でも長生きできるかを識別可能/BMJ

 身体能力テストの結果がよい人は全死因死亡率が低いことが、地域の高齢者を対象とした試験においては一貫して示されている。英国・ロンドン大学のRachel Cooper氏らは、それより若い世代でも、同様の関連が認められるかを検討した。53歳時の身体能力を3つのテストで調べ、13年間追跡した結果、ベースライン時の身体能力が低かったり、テストを受けられなかった人では、死亡率がより高かったことを報告した。結果を踏まえて著者は、「この若い世代でも同様のテストで、健康長寿を達成できそうな人と、できそうもない人を特定できるようだ」とまとめている。BMJ誌オンライン版2014年4月29日号掲載の報告より。

小児結核、遺伝子診断で鑑別精度改善へ/NEJM

 英国・サセックス大学のSuzanne T. Anderson氏ら共同研究グループ(ILULU Consortium and KIDS TB Study Group)は、アフリカにおける小児結核の診断について、他疾患との鑑別に有用なデータが得られたことを報告した。小児結核については、微生物学的診断の困難さから真の世界的負荷はどれぐらいなのか明らかとなっていない。また過小診断により重篤になってからや死亡後に結核であったと確認されることも少なくなく、診断の改善が求められている。研究グループは、宿主血液の転写シグネチャーを用いることで、HIV感染の有無を問わずアフリカの小児における結核と他の疾患との鑑別が可能であるという仮説を立て検証試験を行った。NEJM誌2014年5月1日号掲載の報告より。

軽度でも毎日の運動がOA患者の障害発生・進行リスクを抑制/BMJ

 運動は強度よりも持続性が、障害発生・進行リスクの抑制に寄与することが明らかにされた。米国・ノースウェスタン大学のDorothy D Dunlop氏らが、変形性膝関節症に罹患しているかそのリスク因子を有している、49歳以上の地域住民1,680例を前向きに追跡したコホート研究の結果、報告した。運動は、身体的能力の衰えを含む健康アウトカムの改善に有用な、低コストのアプローチであることは知られている。身体活動ガイドラインなどでは、中強度の運動を推奨しているが、その強度が障害抑制に必要なのかどうかは不明であった。BMJ誌オンライン版2014年4月29日号掲載の報告より。

フリードライヒ運動失調症に次世代ニコチンアミドが有望/Lancet

 脊髄小脳変性症に類するフリードライヒ運動失調症に対して、ヒストン脱アセチル阻害薬ニコチンアミド(ビタミンB3)の高用量投与が有望であることが報告された。フリードライヒ運動失調症は遺伝性の進行性変性障害で、フラタキシン(FXN)タンパク質の変異に起因する。FXN遺伝子のイントロン1内に存在するGAAのリピートが伸長することで、ヘテロクロマチン形成と遺伝子転写のサイレンシングに結びつくが、前臨床においてニコチンアミドが、ヘテロクロマチン形成を再構築し、FXN発現を上方制御することが示されていた。それらを踏まえて英国・ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのVincenzo Libri氏らは、フリードライヒ運動失調症へのニコチンアミドの有効性と安全性を評価する探索的非盲検用量増加試験を行った。Lancet誌オンライン版2014年5月1日号掲載の報告より。

心筋梗塞後、食物繊維の摂取が多いほど全死因死亡低下/BMJ

 健康な人における食物繊維の豊富な摂取は、冠動脈疾患の低リスクと関連しているが、心筋梗塞後の患者でも同様のベネフィットがあることが明らかにされた。米国・ハーバード公衆衛生大学院のShanshan Li氏らが行った大規模前向きコホート研究の結果、摂取量が多いほど、全死因死亡と逆相関の関連が認められたという。とくに穀物由来の食物繊維の摂取量を心筋梗塞前よりも増やすことが、全死因死亡および心血管死亡の有意な低下と関連していたことも明らかにされた。これまで、心筋梗塞後に食物繊維の摂取量を増やすことが、死亡率の低下と関連しているかは不明であった。BMJ誌オンライン版2014年4月29日号掲載の報告より。

膵炎リスク、インクレチン関連薬vs. SU薬/BMJ

 2型糖尿病患者における急性膵炎リスクについて、インクレチン関連薬使用者はSU薬使用者と比較して、同リスク増大と関連していなかったことが、カナダ・ジューイッシュ総合病院のJean-Luc Faillie氏らによるコホート研究の結果、報告された。2型糖尿病患者における急性膵炎の発症とインクレチン関連薬の使用については、相反する報告が、前臨床の動物試験、臨床試験、有害イベントデータベース、そして観察試験において報告されている。研究グループは、同関連を明らかにするため観察試験を行った。BMJ誌オンライン版2014年4月24日号掲載の報告より。

英国で明らかになった外国人医師登録制度の改善点/BMJ

 英国・ダラム大学のPaul A Tiffin氏らは、PLAB(Professional and Linguistic Assessment Board)試験に合格した外国人医師(英国以外の医学校卒業生)と、ARCP(Annual Review of Competence Progression)による評価を受けた英国の医学卒業生を比較する検討を行った。PLABは、外国人医師が英国で医師登録(General Medical Council:GMCに登録)をして働くための第一関門となる試験で、言語力と臨床能力がチェックされる。ARCPは、2007年8月1日に導入された臨床研修制度の評価プログラム(英国では全医師が定期的に評価を受けることになっている)で、PLAB合格者は、臨床1年目のARCP評価をクリアしているとみなされる仕組みとなっていた。BMJ誌オンライン版2014年4月17日号掲載の報告より。

肝硬変なし未治療のC型肝炎に対するレディパスビル+ソホスブビル/NEJM

 肝硬変が認められない未治療のC型肝炎ウイルス(HCV)感染患者に対するレディパスビル+ソホスブビル治療について、8週間投与が、同12週間投与やリバビリン併用投与と比べ、有効性において非劣性であることが示された。米国・バージニア・メイソン・メディカル・センターのKris V. Kowdley氏らが行った治験(第III相)の結果、明らかにした。EJM誌オンライン版2014年4月11日号掲載の報告より。

脳卒中対応救急車の導入による効果/JAMA

 CT機器や遠隔医療接続装置などを備えた脳卒中対応救急車、通信指令係の段階でのスクリーニングなどの専門的システムの構築により、急性虚血性脳卒中に対する通報から血栓溶解療法開始までの所要時間は、有害イベントの増大なく15~25分短縮したことが報告された。ドイツ・ベルリン大学附属シャリテ病院のMartin Ebinger氏らが、6,000例超について行った試験で明らかにした。JAMA誌2014年4月23・30日号掲載の報告より。

特発性頭蓋内圧亢進症、アセタゾラミド投与のエビデンス/JAMA

 軽度視力低下を有する特発性頭蓋内圧亢進症(IIH)患者への、減量目的の減塩食療法+アセタゾラミド(商品名:ダイアモックス)治療は、減塩減量食単独療法と比較して、わずかだが視野の改善に結びついたことが示された。米国・アイオワ大学のMichael Wall氏らNORDIC Idiopathic Intracranial Hypertension研究グループが、165例を対象とした多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。IIHは主に妊娠可能年齢の肥満女性にみられる。治療薬として一般にアセタゾラミドが用いられているが、使用の根拠を裏付ける情報は十分とは言えなかった。JAMA誌2014年4月23・30日号掲載の報告より。

急性虚血性脳卒中へのt-PA開始、全国的取り組みで有意に改善/JAMA

 急性虚血性脳卒中への組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)投与の適時開始を推進するため、米国では2010年1月から全国的な質的改善の取り組み「Get With The Guidelines-Stroke」が始められた。その成果についてカリフォルニア大学のGregg C. Fonarow氏らが調べた結果、60分未満で開始するというdoor-to-needle time(DTN時間)内での実施率は、取り組み開始直前四半期の29.6%から開始後最終四半期には53.3%まで増え、それに伴い院内死亡、頭蓋内出血の発生は低下し自宅に退院する患者の割合は増加していたことが明らかになった。JAMA誌2014年4月23・30日号掲載の報告より。

分化型甲状腺がんに新たな治療オプション/Lancet

 進行性放射性ヨウ素治療抵抗性の分化型甲状腺がんに対するソラフェニブ(商品名:ネクサバール)治療は、無増悪生存期間を有意に改善することが明らかにされた。米国・ペンシルベニア大学アブラムソンがんセンターのMarcia S Brose氏らによる第III相の多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験「DECISION」の結果で、有害事象はソラフェニブの既知の安全性プロファイルと一致していた。放射性ヨウ素131治療抵抗性の局所進行または転移性の分化型甲状腺がんを有する患者には、現時点では効果的な治療オプションがなく予後は不良とされる。著者は、「今回の結果は、ソラフェニブが同患者への新たな治療選択肢であることを支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年4月24日号掲載の報告より。

パルスオキシメーター+臨床的評価、先天性心疾患発見に有用/Lancet

 新生児の先天性心疾患の発見に、パルスオキシメーター+臨床的評価のスクリーニングは実質的で信頼性が高いことを、中国・復旦大学附属小児病院・Qu-ming Zhao氏らが前向き試験の結果、報告した。著者は、「この簡便で精度の高い複合的手法を、産科病院では先天性心疾患のスクリーニング法として活用すべきである」と提言している。これまでにいくつかの先駆的な試験において、クリティカルな先天性心疾患検出にパルスオキシメータースクリーニングを広く導入することに関するエビデンスは示されていた。著者は、「しかし、それらの報告は、高所得国で検討されたもので、低所得国でも同様に導入メリットがもたらされるかは不明であった」と、本検討を実施した理由を述べている。Lancet誌オンライン版2014年4月23日号掲載の報告より。

未破裂脳動静脈奇形の長期アウトカム、保存療法が良好/JAMA

 未破裂脳動静脈奇形(bAVMs)に対し、血管内塞栓術や神経外科的切除などを行った場合と比べて、行わないほうが長期アウトカムは良好であることが明らかにされた。スコットランド・エディンバラ大学のRustam Al-Shahi Salman氏らが、204例について行った住民ベースの発端コホート試験の結果、報告した。これまで介入治療が保存療法よりも優れているのかについては、長期比較のデータが不足していたため判明していなかった。JAMA誌4月23・30日号掲載の報告より。

小児痙攣性てんかん、ロラゼパムの効果はジアゼパムと同等/JAMA

 小児の痙攣性てんかん発作重積状態に対して、ロラゼパム(商品名:ワイパックスほか)がジアゼパム(同:セルシンほか)よりも有効性や安全性が上回ることはなく、両者の治療効果は同等であることが判明した。米国・国立小児病院のJames M. Chamberlain氏らが、11病院を介して273例について行った無作為化比較試験の結果、明らかにした。これまでに発表されたいくつかの試験結果では、ロラゼパムがジアゼパムより効果・安全性ともに高いことが示唆されていた。JAMA誌4月23・30日号掲載の報告より。

妊婦の肥満、BMI 5単位増大で死産リスク1.24倍/JAMA

 妊娠中のBMI上昇はわずかであっても、胎児死亡や死産、新生児・周産期および乳児死亡のリスクを増大することが明らかにされた。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのDagfinn Aune氏らが、38件のコホート試験について行ったメタ解析の結果、BMIが5単位増大するごとに、同リスクは1.15~1.24倍増大することが示された。これまで両者の関連についていくつかの試験で示唆されていたが、各試験ではサンプルサイズや死亡報告例が少ないため、有意な関連を見つけるには至っていなかった。JAMA誌2014年4月16日号掲載の報告より。

インクレチン関連薬、膵炎リスクを増大しない/BMJ

 中国・四川大学のLing Li氏らが行ったメタ解析(60試験、被験者総数約35万例)の結果、インクレチン関連薬を服用している2型糖尿病患者における膵炎の発生率は低く、同薬は膵炎リスクを増大しないことが明らかにされた。これまで、インクレチン関連薬を服用する2型糖尿病患者の急性膵炎症例が数多く報告されているが、試験によって所見はさまざまだった。BMJ誌オンライン版2014年4月15日号掲載の報告より。