ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:343

ユニセフとWHOが推奨する6ヵ月母乳養育には母親への教育が欠かせない

母乳栄養には多くの利点があり、ユニセフとWHOは1991年から、母乳栄養についてベストな選択を母親ができるようサポートするイニシアティブ(the baby friendly hospital initiative)を開始しているが、診療現場に普及するには至っていない国も多い。 シンガポール大学のLin-Lin Su氏らは、どのような方法が母乳養育率を改善するのかを調査するため、一般的に行われる院内ケアを受けるグループと出産前だけに母乳栄養について教育されるグループ、出産後授乳支援を受けるグループとを比較する無作為化試験を行った。本論はBMJ誌オンライン版8月1日付けで早期公開され、本誌では9月22日号で収載されている。

モザンビークにおける重篤な精神的・神経学的障害の出現率

モザンビークは世界でも最も貧しい国の一つである。人口約1,800万人のうち、7割は農村部に暮らしている。この国の精神科医はわずか10人に過ぎず、人々の精神的・神経学的健康状態に関する情報不足は、国の政策決定と医療資源への投資を妨げてきた。Vikram Patel氏らのグループはWHOの支援を受けたモザンビーク保健省とともに、都市部と農村部における発作性疾患、精神疾患、精神発達遅滞の出現率の評価を行った。LANCET誌9月22日号より。

国連ミレニアム開発目標4は達成可能か?

2000年開催の国連ミレニアム・サミットで採択された8つの国連ミレニアム開発目標(MDG)のうち、4番目の目標が、2015年までに世界の5歳未満死亡を1990年基準より67%減らそうというものである。 ワシントン大学のChristopher J L Murray氏らによる本論は、MDG 4目的達成の前提となる死亡率推計値について、現状データの統計方法に疑問を呈し、新たに再現性ある方法を開発するとともに既存データの再分析を行った。Lancet誌9月22日号より。

出生前コルチコステロイド反復投与の長期予後:MFMU研究グループ

 出生前コルチコステロイドの反復投与は、早期産児の新生児期における一部の疾患罹患や死亡リスクを改善するものの、出生時体重の低下および子宮内胎児の発育遅延のリスクを増すことが、先行研究によって示されている。本論文は、コロンビア大学Ronald J. Wapnerら米国NIHのMFMU(Maternal-Fetal Medicine Units)ネットワークの研究グループによる、出生前コルチコステロイド投与の長期追跡調査の結果報告。NEJM誌9月20日号に掲載された。

出生前コルチコステロイド反復投与の長期予後:ACTORDS研究グループ

 オーストラリアのアデレード大学Caroline A. Crowther氏らACTORDS(Australasian Collaborative Trial of Repeat Doses of Steroids)研究グループは以前、早期産のリスクを有する妊婦へのコルチコステロイド反復投与療法について無作為化対照臨床試験を行い、「新生児における呼吸窮迫症候群や重篤な疾患罹患リスクが減少した」と報告したが、この時のデータは本療法の長期予後に関しては有効ではなかったため、あらためて前向き臨床試験を実施した。NEJM誌9月20日号の報告から。

キャリアスクリーニングの本来意義を問う

ゴーシェ病(GD)は常染色体劣性遺伝疾患でアシュケナジ系ユダヤ人で比較的頻度が高く、1995年以降、イスラエルおよび全世界のアシュケナジ系ユダヤ人を対象にキャリアスクリーニングが行われているが、現在論争の的になっている。キャリアによく見られる1型GDは、大抵は無症候性であり効果的な治療法も存在するからだ。しかし、イスラエルのヘブライ大学ハダーサメディカルスクールのShachar Zuckerman氏らは「キャリアスクリーニングの目的は、重症で治療不能の遺伝病を未然に防ぐことにある。影響を受けた小児出生の前にリスクにさらされているカップルを確認すること、そしてそのようなカップルに子供に影響が及ぶことを教示しオプションを提示することも目的の1つである」と述べる。JAMA誌9月19日号より。

STAT4と関節リウマチや全身性エリテマトーデスのリスク

 関節リウマチは重要な遺伝的要因をもつ慢性炎症性疾患である。疾患に対する感受性は、染色体2q上の領域と関連付けられてきた。特に、Jakキナーゼアとともにサイトカインシグナルの伝達経路となるSTAT 分子は7種類あることがわかっており、Th1反応を起こすIL-12に反応するSTAT4 の役割の解明に注目が集まっている。 アメリカ国立衛生研究所関節炎・骨格筋・皮膚疾患研究所のElaine F. Remmers氏らは、すでに関節リウマチと関連づけられている染色体2q領域中の13の候補遺伝子の内外にある一塩基多型(SNP)を調べた。NEJM誌9月6日号の報告から。

血漿ホモシステイン濃度低下は慢性腎臓病と末期腎不全の死亡率低下に有効か

血漿ホモシステイン濃度の上昇が死亡率と血管疾患の危険因子であることは慢性腎臓病患者の観察研究で明らかになっている。ホモシステイン濃度を下げる葉酸とビタミンB群の投与が、慢性腎臓病と末期腎不全患者の予後を改善するか否かをテーマに無作為化対照試験が実施され、その結果がJAMA誌9月12日号に掲載された。

医学教育研究における提供資金量と論文引用回数は相関する

医学教育研究の方法論上の弱点は資金の不足にあるとよく言われるが、資金と研究の質との相関は証明されていない。教育研究の質を測定する指標の開発とともに、研究資金と研究の質の関係を評価することを目的とした、学術誌に掲載された論文の質と提供された資金量についての調査が行われた。JAMA誌9月5日号より。

グリタゾン系薬剤は糖尿病合併心不全患者の予後増悪?:体系的レビュー

慢性心不全患者ではHbA1c低値が予後増悪の予知因子と報告されているが、予後を増悪させているのはチアゾリジン誘導体(グリタゾン系薬剤)で、メトホルミンではそのようなおそれが少ないことが示唆された。Institute of Health Economics(カナダ)のDean T. Eurich氏らがBMJ誌8月30日付けHPにて早期公開論文として報告した(その後本誌では9月8日号にて掲載)。

血糖値自己測定を活かすには医療従事者の協力が必要

BMJ誌では7月にDiGEMスタディを掲載し、2型糖尿病患者による血糖値自己測定の有用性に疑問を呈したが、今回はその背景にある患者心理を調査した Aston University(英国)のElizabeth Peel氏らによる研究結果で、8月30日付けHPにて早期公開された(その後本誌では9月8日号にて掲載)。患者は自己測定の結果をどう利用するかを十分に教育されていないようである。

うつ病は健康状態を悪化する一番の要因:WHO報告

うつ病は世界中で重要な公衆衛生問題であり主要な病因の1つとなっている。また他の慢性疾患との共存で健康状態を悪化させることは、少数ではあるが先行研究として伝えられてきた。 Lancet誌9月8日号に掲載された本報告は、世界保健機構(WHO)のSaba Moussavi氏らによる世界健康調査(World Health Survey:WHS)からの、うつ病の健康状態への影響を分析した結果。

高リスク糖尿病患者に対する積極的降圧療法の有用性が示される:ADVANCE試験

心血管系高リスクあるいは既往を認める糖尿病患者では、血圧に関わりなくACE阻害薬+利尿薬を用いた降圧により血管系イベントが減少することが、 Lancet誌9月8日号に掲載されたADVANCE試験の結果より明らかになった。本研究は論文掲載に先立ち、欧州心臓病学会(ESC)において報告されている。

心室ペーシングを最小化する新型両室ペースメーカーの有効性

従来の両室ペーシングは房室同期を維持するものの、本来不要な心室ペーシングの割合を高める。そのため心室の脱同期化を来たし、洞房結節不全患者の心房細動リスクを高めるとの指摘がなされていた。そこで心室ペーシングを最少化する新型の両室ペースメーカーが開発。その有効性を検証する臨床試験の結果が公表された。NEJM誌9月6日号より。