医療一般|page:241

KRASG12C阻害薬ソトラシブ、KRAS G12C陽性肺がんに国内申請

 アムジェンは、2021年4月28日、KRAS G12C阻害薬ソトラシブについて、KRASG12C変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)を予定の効能又は効果として、日本国内で製造販売承認申請を行った。  KRAS G12C変異は、米国では肺腺がんの約13%、日本人では非扁平上皮がんの4.5%に認められると報告されている。しかし、KRASG12C変異を有するNSCLCに対する治療薬は承認されておらず、また既存の2次治療における転帰も不良である。

統合失調症患者に対するVR介入の可能性

 統合失調症は、重度および障害を伴う精神疾患であり、社会的機能の持続困難と関連する。仕事の継続や社会的な関係を維持することは、患者にとって困難な場合もあり、限られた薬物療法の選択肢では、機能不全の治療が難しいことも少なくない。医学的な治療の限界に対処するため、心理療法の分野では、いくつかの革新的かつ興味深いアプローチが導入されている。ハンガリー・センメルワイス大学のEdit Vass氏らは、統合失調症患者に対するバーチャルリアリティー(VR)介入の可能性について、症例ベースの報告を行った。Frontiers in Psychology誌2021年2月26日号の報告。

メマンチンによるPTSD治療の有効性

 現在、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に対する薬理学的治療の選択肢は十分でなく、新たな薬物治療アプローチの開発が待たれている。国立精神・神経医療研究センターの堀 弘明氏らは、一般人のPTSDに対するNMDA受容体拮抗薬であるメマンチンの有効性および安全性を評価するため、12週間のオープンラベル臨床試験を実施した。European Journal of Psychotraumatology誌2021年1月15日号の報告。  対象は、一般人女性のPTSD成人患者13例(DSM-IV基準)。対象患者には、4週目までは毎週、その後は12週目まで4週間ごとに外来診療を行った。各患者の現在の治療薬に、メマンチン5mg/日を追加し、その後用量調整を行った。基本的に併用薬は、試験期間中に変更しなかった。主要アウトカムは、外傷後ストレス診断尺度(PDS)で評価したPTSD診断および重症度とした。

貧血と不眠症~メタ解析

 最近、いくつかのゲノムワイド研究において、不眠症と貧血に共通の遺伝的要素が関連している可能性が示唆されている。米国・ペンシルベニア州立大学のSamantha N. Neumann氏らは、貧血を有する成人は、そうでない人と比較し、不眠症の有病率が高いかどうかを調査するため、横断的研究およびメタ解析を実施した。Chinese Medical Journal誌2020年12月21日号の報告。  対象は、進行中のコホート研究であるKailuan研究に参加した中国人成人1万2,614人。貧血の定義は、女性でヘモグロビンレベル12.0g/dL未満、男性で13.0g/dL未満とした。不眠症の評価には、アテネ不眠尺度(AIS)中国語版を用いた。不眠症の定義は、AIS総スコア6以上とした。貧血と不眠症との関連は、年齢、性別、慢性疾患の状態、血漿C反応タンパク質濃度などの潜在的な交絡因子で調整した後、ロジスティック回帰モデルを用いて評価した。成人集団における貧血と不眠症の関連を評価するため、本横断研究と以前実施した3つの横断研究の結果をプールし、固定効果モデルを用いて、メタ解析を実施した。

COVID-19ワクチンにまだ過半数が不安/アイスタット

 いよいよ4月から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が高齢者へ始まった。COVID-19収束に向けてワクチンへの期待、接種の希望など、どのような意識の変化があるのだろうか。  「一般市民へのワクチン接種の意識について」をテーマに、株式会社アイスタットは2020年12月に引き続き2回目となるワクチンに関するアンケートの調査を4月18日に行った。アンケートは、セルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の全国の会員20~79歳の300人が対象。

ALK陽性肺がん、第2世代ALK-TKI後のロルラチニブの頭蓋内・外有効性/Ann Oncol

 ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)は中枢神経系への転移が多い。それはALK-TKIの出現で予後が著しく改善した現在でも依然として問題である。 第3世代ALK/ROS1-TKIのロルラチニブは脳内移行が高く、ALK陽性のNSCLCに対して良好な抗腫瘍活性を示す。第2世代ALK-TKIで進行したALK陽性NSCLCにおけるロルラチニブの全体的、頭蓋内、頭蓋外の有効性を評価した第II相試験の結果が発表された。  この進行中の第II相試験(NCT01970865)では、第2世代ALK-TKI±化学療法の治療歴のあるALK陽性の進行NSCLC患者が、治療歴別に拡大コホート(EXP)に登録された。

新型コロナワクチン接種日や副反応の記録に有用なアプリ/MDV

 メディカル・データ・ビジョン株式会社(以下、MDV)は、同社が開発し2015年からサービスを開始しているパーソナルヘルスレコード(PHR)サービス『カルテコ』に新型コロナワクチン接種の実施状況や副反応の有無を残せる新機能を搭載したことを、4月26日にプレスリリースした。  同システムはこれまで「カルテコ」を導入している医療機関の患者やその病院に付設する健診施設の受診者のみが利用できるサービスだったが、今回の新機能をアプリにしたことで、アプリをダウンロードした誰もが利用可能になったという。

コリンエステラーゼ阻害薬で治療した認知症高齢者における抗精神病薬の使用~コホート研究

 認知症に関連する行動症状のマネジメントのために抗精神病薬が用いられるが、各コリンエステラーゼ阻害薬(ChEI)と抗精神病薬使用開始との関連に関するエビデンスは不足している。米国・ヒューストン大学のSanika Rege氏らは、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミンで治療された認知症高齢者における抗精神病薬使用開始リスクの比較を行った。Drugs & Aging誌オンライン版2021年3月25日号の報告。  パートA、B、Dを含む2013~15年のメディケアクレームデータを用いて、レトロスペクティブに検討を行った。対象は、認知症と診断された65歳以上の地域在住高齢者。ChEIの新規使用患者を特定し、抗精神病薬の使用開始について最大180日間フォローした。ChEIはドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、抗精神病薬は定型および非定型抗精神病薬を含めた。ドネペジルは、最も一般的に使用されている薬剤であり、アセチルコリンエステラーゼのみに作用することから、参照カテゴリーとして用いた。他のリスク因子で調整した後、3種類のChEIにおける抗精神病薬使用開始リスクと開始までの期間を比較するため、多変量Cox比例ハザード解析を用いた。

全がん・がん種別の10年生存率を初集計/国立がん研究センター

 国立がん研究センターは、全国のがん診療連携拠点病院等から収集した院内がん登録情報を用いて、2008年に診断された患者の10年生存率を発表した。がん診療連携拠点病院等をはじめとする国内240施設約24万例の登録データを集計したもので、10年生存率が発表されるのは初、既存の10年生存率集計としては最大規模となる。  がん種別には、胃がん、大腸がん、肝細胞がん・肝内胆管がん、小細胞肺がん・非小細胞肺がん、女性乳がん、食道がん、膵臓がん、前立腺がん、子宮頸がん・子宮内膜がん、膀胱がん。肺がんや子宮がんをさらに分類した上で、Stage別のデータも集計された。

レンバチニブ+ペムブロリズマブ、子宮体がんに国内申請

 エーザイとMDSは、2021年4月23日、マルチキナーゼ阻害薬レンバチニブ(商品名:レンビマ)と抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の併用療法について、日本において進行性子宮体がんに係る適応追加を申請したと発表。  この申請は、プラチナ製剤による前治療歴のある進行性子宮内膜がん(日本においては子宮体がん)を対象とした臨床第III相試験(309/KEYNOTE-775試験)の結果に基づいたもの。この試験結果は、2021年3月に開催された米国婦人科腫瘍学会(SGO)で発表された。

ワクチン副反応疑い、リンパ節腫脹や消化器症状など多様/厚労省

 新型コロナワクチン接種後、倦怠感や頭痛、発熱などのほかに、稀ではあるもののリンパ節腫脹や消化器症状など多様な症状がみられていることが報告された。4月23日に開催された厚生労働省第56回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会で、ファイザー社製ワクチン接種者の安全性を調査する前向き観察研究の更新データを、伊藤 澄信氏(順天堂大学医学部臨床研究・治験センター)が報告した。

小児期の低血圧とADHDとの関連~10年間のフォローアップ調査

 注意欠如多動症(ADHD)は、心理社会的障害に関連する小児および青年期の最も一般的な行動障害の1つである。ADHDの基本的な病態生理は、少なくとも部分的に自律神経の覚醒プロセスの欠損と関連している可能性があり、疾患の中核症状に影響を及ぼすだけでなく、覚醒調整の変化に伴い血圧の変動を引き起こす可能性がある。ドイツ・ゲッティンゲン大学医療センターのJan Schulz氏らは、ADHD患者の小児および青年~成人期の長期的な血圧変動を調査した。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2021年2月14日号の報告。

COVID-19を経験した男性は勃起不全になりやすい?

 勃起不全(ED)は、COVID-19の短期的または長期的な合併症の可能性がある。今回、イタリア・ローマ大学のAndrea Sansone氏らが、COVID-19と診断された被験者におけるEDの有病率を調査し、COVID-19とEDの関連を検討した。Andrology誌オンライン版2021年3月20日号に掲載。  本研究では、2020年4月7日~5月4日、イタリアで実施されたSex@COVIDオンライン調査(心理的、社会的、性的健康を調査する匿名のWebアンケート)に参加した18歳以上6,821例(女性4,177例、男性2,644例、平均年齢32.83±11.24歳)のデータから、性的に活発なイタリア人男性985例が抽出され、そのうち25例(2.54%)がSARS-CoV-2陽性だった。

コロナの現状を鑑み、識者らが東京五輪の再考求め提言/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はここへ来て急拡大の様相を呈している。これに対し政府は、東京など4都府県に対し緊急事態宣言を発出。まん延防止等重点措置よりも強い規制力をもって感染拡大を抑え込みたい考えだ。それは今夏に延期・開催が予定されている東京オリンピックまで3ヵ月を切り、待ったなしの状況への強い憂慮にほかならない。そんな状況の中、4月14日付のBMJ誌に、「大会の安全管理には重大な疑問があり、再考すべき」と断じる論文(エディトリアル)が掲載された。

アダリムマブ、バイオシミラーへの切り替えでアウトカムは?

 2021年4月現在、日本では15種のバイオシミラー(バイオ後続品)が承認されており1)、アダリムマブ(先発品:ヒュミラ)もその1つだが、アダリムマブバイオシミラーへの切り替え後のアウトカムについて、デンマークの乾癬患者に関するコホート研究の結果が、同国・コペンハーゲン大学のNikolai Loft氏らにより示された。切り替え群と非切り替え群の計726例を対象とした検討で、両群間の1年治療継続率の有意差はなかったという。アダリムマブバイオシミラーの有効性は、臨床試験で先発品と同等であることが示されているが、リアルワールドにおけるデータは限定的である。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年4月7日号掲載の報告。

片頭痛に対するeptinezumabの安全性・忍容性

 ヒト化抗CGRPモノクローナル抗体の1つであるeptinezumabは、片頭痛患者を対象とした5つの大規模臨床試験により評価が行われている。米国・StudyMetrix ResearchのTimothy R. Smith氏らは、これらの研究結果を統合分析し、eptinezumabの包括的な安全性および忍容性を評価した。The Journal of Headache and Pain誌2021年3月30日号の報告。  4つのランダム化二重盲検プラセボ対照試験のデータおよび1つのオープンラベル試験における最初の1年間のデータをプールし、分析を行った。  主な結果は以下のとおり。

産後うつ病ケアの利用と仕事に及ぼす影響

 オランダの産後うつ病女性に対するケアが、産後うつ病の症状、子供、仕事にどのような影響を及ぼすかについて、オランダ・Universiteit TwenteのA. I. van der Zee-van den Berg氏らが、検討を行った。Nederlands Tijdschrift voor Geneeskunde誌2021年3月11日号の報告。  子供のヘルスケア環境下における産後うつ病スクリーニングの有効性に関するプロスペクティブ比較試験の対照群よりデータを抽出した。2つのオンラインアンケートを用いてデータを収集した。出産3週間後における母親の特性を調査した。出産12ヵ月後、産後うつ病、うつ症状のケア、産後の母子に対する一般的なケア、産後12ヵ月以内の仕事復帰について調査した。違いを確認するために、カイ二乗検定とスチューデントt検定を行った。

CLLに対するアカラブルチニブ、初回治療でも有効性示す

 2021年3月、再発・難治の慢性リンパ性白血病(CLL)に対して国内承認された選択的ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬アカラブルチニブ(商品名:カルケンス)について、CLL初回治療においても有効性が認められたという。オハイオ州立大学のJohn C Byrd氏らの研究によるもので、Blood誌2021年3月30日号オンライン版に掲載された。  CLLは白血病の中で、リンパ系幹細胞が比較的時間をかけてがん化するものを指す。日本においては10万人あたり0.2人(2008年調査)と比較的稀な疾患だ。現在、CLL初回治療として承認されたBTK阻害薬にイブルチニブがあるが、アカラブルチニブとは有害事象の出現の特性が異なるとされ、アカラブルチニブが承認されれば治療の選択肢が広がることとなる。

片頭痛発作の発症を抑えるエムガルティ皮下注発売/日本リリー・第一三共

 日本イーライリリーと第一三共は2021年4月26日、ヒト化抗CGRPモノクローナル抗体製剤 ガルカネズマブ(遺伝子組換え)(商品名:エムガルティ)を発売したことを発表した。本剤は2020年1月に製造販売承認申請を行い、2021年1月に「片頭痛発作の発症抑制」の効能又は効果で製造販売承認を取得していた。  本剤はイーライリリー・アンド・カンパニーにより創製されたヒト化抗CGRPモノクローナル抗体で、新規作用機序を持つ片頭痛発作の発症を抑制する薬剤として開発された。本剤は、片頭痛発作時に上昇することが知られているカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)に選択的な結合親和性を有し、その活性を阻害することで、片頭痛発作の発症を抑制することが期待される。

COVID-19の第3の治療薬、バリシチニブ承認/日本リリー・インサイト

 2021年4月23日、日本イーライリリー株式会社とインサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン合同会社は、経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤バリシチニブ(商品名:オルミエント)がSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)による肺炎(ただし、酸素吸入を要する患者に限る)に対する治療薬として、適応追加の承認を取得したと発表した。  現在、バリシチニブは関節リウマチ、アトピー性皮膚炎の治療薬として承認されている。今回の適応追加では、通常、成人にはレムデシビルとの併用においてバリシチニブ4mgを1日1回経口投与し、総投与期間は14日間まで。本剤は、酸素吸入、人工呼吸管理または体外式膜型人工肺(ECMO)導入を要する患者を対象に入院下で投与を行うことで承認された。