ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:41

術中の超生理的酸素投与、臓器損傷リスクを増大/BMJ

 手術中の超生理的な酸素投与の増量は、急性腎障害(AKI)、心筋傷害および肺損傷の発生増大と関連することが、米国・ヴァンダービルト大学医療センターのDavid R. McIlroy氏らによる検討で明らかにされた。全身麻酔下で手術を受けるほとんどの患者は、十分な動脈血酸素飽和度維持のために必要量以上の酸素を投与される。超生理的酸素投与の有害な影響は分子レベルで確認されているが、手術中のこれらの影響の臨床的関連は明らかになっていなかった。なお今回の結果について著者は、「示された臓器損傷の発生増大との関連について残余交絡を排除することはできない」として、「手術中の酸素投与に関する指針を示すために、些少でも臨床的に重要な影響が検出できる大規模な臨床試験が必要である」とまとめている。BMJ誌2022年11月30日号掲載の報告。  研究グループは、手術中の超生理的酸素投与が術後の腎臓・心筋・肺損傷の発生減少または増加と関連するかどうかを観察コホート試験で調べた。  米国内42の医療センターが参加するMulticenter Perioperative Outcomes Groupデータレジストリを用いた。参加者は、2016年1月~2018年11月に、全身麻酔と気管内挿管による120分以上の手術を受けた入院成人患者であった。  超生理的酸素投与は、SpO2 >92%の間(分当たり)のFIO2 >21%の曲線下面積で定義(AUCFIO2)した。

bDMARD未治療の乾癬性関節炎、ビメキズマブの有効性は?/Lancet

 生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(bDMARD)による治療歴がない乾癬性関節炎患者において、ビメキズマブはプラセボと比較して、16週時の関節、皮膚、画像的な有効性アウトカムについて有意な改善が認められた。真菌感染の発現を含むビメキズマブの安全性プロファイルは、尋常性乾癬患者を対象にしたIL-17A阻害薬のこれまでの第III相試験結果と一致していた。英国・グラスゴー大学のIain B. Mclnnes氏らが、14ヵ国135施設で実施された52週間の第III相無作為化二重盲検プラセボ対照実薬(アダリムマブ)参照試験「BE OPTIMAL試験」の結果を報告した。ビメキズマブは、IL-17AおよびIL-17Fを選択的に阻害するモノクローナルIgG1抗体で、ビメキズマブの有効性と安全性は並行して実施されたBE OPTIMAL試験とBE COMPLETE試験の2つの第III相試験で検証された。Lancet誌オンライン版2022年12月6日号掲載の報告。

前立腺がんスクリーニング、MRI後標的生検のみは有用か?/NEJM

 前立腺特異抗原(PSA)高値者でのスクリーニングと早期発見に関して、系統的生検を避けMRIを用いた標的生検の実施は、過剰診断のリスクを半減するが、少数の患者で中リスクのがん発見が遅れるという代償を伴うことが、スウェーデン・Sahlgrenska University HospitalのJonas Hugosson氏らが行った無作為化試験「GOTEBORG-2試験」の結果、示された。前立腺がんのスクリーニングは過剰診断率の高さが難点で、住民ベースのスクリーニングに最適なアルゴリズムは明らかになっていない。NEJM誌2022年12月8日号掲載の報告。  研究グループは、PSA検査後、MRI検査陽性者に標的生検のみを行うスクリーニングアルゴリズムが、現在推奨されているスクリーニングと比較して過剰診断が少ないかどうかを検証した。Swedish Population Registerを用いて、2015~20年にスウェーデンのヨーテボリまたはその周辺の10の自治体に居住していた50~60歳の男性3万7,887例に対し、定期的PSAスクリーニングへの参加を促した。PSA検査を受け、試験への参加に同意した1万7,980例(47%)を、対照群、実験群1および2の3群に1対1対1の割合で割り付けた。  対照群では、PSA値3ng/mL以上の男性について全例MRIによる評価と系統的生検を行い、前立腺画像報告データシステム(PI-RADS)version 2のスコアが3~5点の場合は標的生検を追加した。実験群1では、PSA値3ng/mL以上の男性について、MRIによる評価を行い、疑わしい病変が発見された場合に標的生検のみを行った。また、PSA値10ng/mL以上の場合は、MRIの結果にかかわらず系統的生検(±標的生検)を実施した。実験群2は、実験群1と同様であるが、MRI実施のPSAカットオフ値を1.8ng/mLとした。

3~17歳へのコロナワクチン、オミクロン優勢期の効果は?/BMJ

 アルゼンチンで、3~17歳の小児・青少年に対する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン(mRNA-1273[モデルナ製]、BNT162b2[ファイザー製]、BBIBP-CorV[Sinopharm製])2回接種の有効性について調べたところ、死亡に対する予防効果は、優勢となっている変異株の種類にかかわらず、小児・青少年ともに高値を維持していたことが明らかにされた。ワクチン接種後の短期間におけるSARS-CoV-2感染予防効果については、オミクロン変異株が優勢であった間は低かったこと、また時間の経過とともに同効果は急激に低下することも明らかにされた。アルゼンチン・保健省のJuan Manuel Castelli氏らが、約14万人のケースとそのマッチング対照を解析した、診断陰性例コントロール試験の結果で、BMJ誌2022年11月30日号で発表された。

米国でのAMIの30日死亡率、保険プランでの差は?/JAMA

 米国高齢者向けの公的医療保険・メディケアの、マネジドケア型でカバーする健康保険プラン「メディケアアドバンテージ」加入者と、従来型の出来高払いでカバーするプラン加入者について、2009~18年の急性心筋梗塞(AMI)のアウトカムを比較したところ、30日死亡率は、2009年時点ではメディケアアドバンテージ加入者が従来型メディケア加入者より、わずかながら統計学的に低かったが、2018年までに統計学的有意差は認められなくなっていた。米国・ハーバード大学医学大学院のBruce E. Landon氏らが、メディケアプログラムのデータを基に行った後ろ向きコホート試験の結果で、JAMA誌2022年12月6日号で発表された。メディケアアドバンテージプラン加入者の支払いカバー率は、2018年は37%だったが、2022年には48%に増大している。メディケアアドバンテージプランにおいて、特定の臨床状態の患者に同質のケアを提供していたかどうかは明らかになっていないが、著者は「今回の結果は、他の結果も考慮したうえで、メディケアプランの違いによる治療とアウトカムの格差に関する見識を提供するものになるだろう」と述べている。

リバーロキサバン延長で、静脈血栓塞栓症の再発リスク低減/BMJ

 症候性の孤立性遠位深部静脈血栓症(DVT)の患者に対して、リバーロキサバンによる6週間の治療の後、さらに6週間の同薬の投与を行うと、プラセボと比較して、出血のリスクを増加させずに静脈血栓塞栓症の再発リスクが低減することが、イタリア・インスブリア大学のWalter Ageno氏らが実施した「RIDTS試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年11月23日号に掲載された。  RIDTS試験は、イタリアの28施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、2017年1月~2020年3月の期間に患者の登録が行われた(Bayerとインスブリア大学の助成を受けた)。  対象は、年齢18歳以上、下肢の症候性孤立性遠位DVTと診断され、標準的な用量のリバーロキサバンの投与を6週間受けた患者であった。被験者は、さらに6週間の同薬(20mg、1日1回)の追加投与を受ける群、またはプラセボ群に無作為に割り付けられ、24ヵ月間追跡された。

オピオイド使用障害の妊婦、ブプレノルフィンvs.メサドン/NEJM

 オピオイド使用障害の妊婦では、ブプレノルフィンの投与はメサドンと比較して、新生児の有害アウトカム発生のリスクは低下するが、母体における有害アウトカムのリスクに差はないことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のElizabeth A. Suarez氏らの調査で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年12月1日号で報告された。  研究グループは、オピオイド使用障害の妊婦において、2つのオピオイド作動薬が新生児および母体のアウトカムに及ぼす影響を比較する目的で、コホート研究を行った(米国国立薬物乱用研究所[NIDA]の助成を受けた)。  対象は、2000~18年に米国の公的保険(メディケイド)に加入していた47州とワシントンDCの妊婦であった。2つの薬剤への曝露は、妊娠前期(妊娠19週まで)、妊娠後期(妊娠20週~分娩前日)、分娩前30日間に評価が行われた。

模擬運転プログラムで、10代ADHDの衝突事故が低減/NEJM

 注意欠如・多動症(ADHD)を持つ10代は自動車衝突事故のリスクが高く、衝突リスクの一因として、道路から長時間目をそらす行為が指摘されている。米国・シンシナティ小児病院医療センターのJeffery N. Epstein氏らは、この長時間の目そらしを少なくするためのコンピュータ化された模擬運転プログラムによる介入が、従来の自動車運転教育と比較して、模擬運転で道路から長時間目をそらす行為の回数を減少させ、車線内の中心からの位置のずれを抑制し、実社会でも衝突事故や異常接近が低下することを示した。研究の成果は、NEJM誌2022年12月1日号に掲載された。

週1回のrezafungin、侵襲性カンジダ症治療に有望/Lancet

 カンジダ血症または侵襲性カンジダ症の成人患者の治療において、週1回投与の次世代エキノカンジン系抗真菌薬rezafunginは、2つの有効性の主要評価項目について、毎日1回投与のカスポファンギンに対し非劣性であることが、米国・カリフォルニア大学デービス校医療センターのGeorge R. Thompson III氏らが実施した「ReSTORE試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2022年11月25日号で報告された。  ReSTORE試験は、15ヵ国66施設が参加した多施設共同二重盲検ダブルダミー無作為化非劣性第III相試験であり、2018年10月~2021年8月の期間に患者のスクリーニングが行われた(Cidara TherapeuticsとMundipharmaの助成を受けた)。

新型コロナ、コミュニティ迅速抗原検査は入院を減少/BMJ

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染の無症状者を対象とした全市的なコミュニティ迅速抗原検査の導入は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連入院の大幅な減少と関連していることが、英国・リバプール大学のXingna Zhang氏らによる合成コントロール研究の結果、示された。多くの国が、COVID-19の拡大を制御するために住民ベースの無症状者対象検査プログラムを展開したが、地域での大規模な自主検査が感染拡大を阻止しCOVID-19の重症化を抑制するかどうかのエビデンスは不足していた。著者は、「SARS-CoV-2の大規模なコミュニティ迅速抗原検査は、感染減少および入院予防に役立つ可能性がある」とまとめている。BMJ誌2022年11月23日号掲載の報告。

早期パーキンソン病へのdeferiprone、疾患進行に有効か?/NEJM

 レボドパ製剤による治療歴がなく、ドパミン作動薬の投与が予定されていない早期パーキンソン病患者において、deferiproneによる36週間の治療はプラセボと比較して、パーキンソン病の臨床的な悪化が認められたことが、フランス・リール大学のDavid Devos氏らにより欧州の23施設で実施された医師主導の第II相無作為化二重盲検比較試験「FAIR PARK II試験」の結果、示された。パーキンソン病患者では黒質の鉄量増加が認められており、疾患の病態生理に寄与している可能性が示唆されている。鉄キレート剤のdeferiproneは、パーキンソン病患者の黒質線条体の鉄量を減少させることが、初期の研究で示されていたが、疾患進行に対する有効性は不明であった。NEJM誌2022年12月1日号掲載の報告。

早期アルツハイマー病へのlecanemab、第III相試験結果/NEJM

 早期アルツハイマー病において、可溶性アミロイドβ(Aβ)凝集体プロトフィブリルに選択的に結合するヒトIgG1モノクロナール抗体lecanemabの投与は、18ヵ月時点でプラセボよりも脳内アミロイド蓄積量を減少させ、認知および機能低下をわずかだが抑制した。一方で、有害事象との関連が報告されている。米国・イェール大学のChristopher H. van Dyck氏らが、1,795例を対象に行った第III相無作為化比較試験「Clarity AD試験」の結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「早期アルツハイマー病におけるlecanemabの有効性と安全性を確認するための長期試験が必要だ」とまとめている。NEJM誌オンライン版2022年11月29日号掲載の報告。

黄色ブ菌、大腸菌などの感染症関連死は依然多い/Lancet

 2019年の世界の感染症関連死は推定1,370万人で、うち黄色ブドウ球菌、大腸菌など33の細菌属・種が原因の死亡は770万人だった。また、同細菌による年齢標準化死亡率はサハラ以南アフリカのスーパーリージョンで最も高かった。米国・ワシントン大学のMohsen Naghavi氏ら、薬剤耐性の世界疾病負担(Global Burden of Antimicrobial Resistance)に関する研究グループ「GBD 2019 Antimicrobial Resistance Collaborators」が解析結果を報告した。先行研究により、薬剤耐性感染症と敗血症関連の死亡数が推定され、感染症が依然として世界の主要な死因を占めることが明らかになっている。公衆衛生上の最大の脅威を特定するためには、一般的な細菌(抗菌薬への耐性あり/なしの両者を含む)の世界的負荷を理解することが求められている中、本検討は、33の細菌属・種による11の重大感染症と関連する死亡について世界的な推算値を求めた初となる研究で、Lancet誌オンライン版2022年11月18日号で発表された。

女性のサル痘感染、性自認や性行為で臨床症状が異なる/Lancet

 2022年5月~11月に、世界で7万8,000人以上のヒトサル痘ウイルス感染が報告されたが、主に男性と性行為を持つ男性で発生している。英国・ロンドン大学クイーンメアリー校のJohn P. Thornhill氏らは、今回、15ヵ国のシスジェンダーおよびトランスジェンダー女性と、出生時に女性性を割り当てられたノンバイナリーにおけるサル痘感染の疫学的および臨床的な特性を記述し、リスク因子の特定と理解の向上を目的とする症例集積研究を行った。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2022年11月17日号に掲載された。  本研究では、サル痘ウイルス感染の診断件数が多い地域の研究者と連絡を取り、サル痘ウイルス感染が確定された女性およびノンバイナリーのデータを提供するよう依頼した。

ソトロビマブ、高リスクCOVID-19で優れた重症化予防効果/BMJ

 オミクロンBA.1およびBA.2変異株が優勢な時期のイングランドでは、重症化のリスクが高い新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の日常診療において、中和モノクローナル抗体ソトロビマブは抗ウイルス薬モルヌピラビルと比較して、28日以内の重症化の予防効果が優れ、60日の時点でも結果はほぼ同様であったことが、英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のBang Zheng氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年11月16日号で報告された。  研究グループは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に感染し、COVID-19による重症転帰のリスクが高い患者において、重症化の予防効果をソトロビマブとモルヌピラビルで比較する目的でコホート研究を行った(UK Research and Innovation[UKRI]などの助成を受けた)。

baxdrostat、治療抵抗性高血圧で有望な降圧効果/NEJM

 治療抵抗性高血圧患者の治療において、選択的アルドステロン合成阻害薬baxdrostatは用量依存性に収縮期血圧の低下をもたらし、高用量では拡張期血圧に対する降圧効果の可能性もあることが、米国・CinCor PharmaのMason W. Freeman氏らが実施した「BrigHTN試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年11月7日号で報告された。  BrigHTN試験は、適応的デザインを用いた二重盲検無作為化プラセボ対照用量設定第II相試験であり、2020年7月~2022年6月の期間に患者のスクリーニングが行われた(米国・CinCor Pharmaの助成を受けた)。  対象は、年齢18歳以上、利尿薬を含む少なくとも3剤の降圧薬の安定用量での投与を受けており、座位平均血圧が130/80mmHg以上の患者であった。被験者は、3種の用量のbaxdrostat(0.5mg、1mg、2mg)またはプラセボを1日1回、12週間、経口投与する4つの群に無作為に割り付けられた。  主要エンドポイントは、プラセボ群と比較したbaxdrostat群の各用量における、収縮期血圧のベースラインから12週目までの変化量とされた。

低用量徐放性モルヒネ、COPD患者の慢性息切れを改善せず/JAMA

 重度の慢性的な息切れを伴う慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、低用量徐放性モルヒネの毎日の使用はプラセボと比較して、治療開始から1週間後までで、最も重度な息切れに有意な改善は認められず、1日の平均歩数にも有意な変化はなかったことが、スウェーデン・ランド大学のMagnus Ekstrom氏らが実施した「BEAMS試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2022年11月22・29日合併号に掲載された。  BEAMS試験は、オーストラリアの20施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、2016年9月~2019年11月の期間に患者の登録が行われた(オーストラリア国立保健医療研究評議会[NHMRC]などの助成を受けた)。  対象は、年齢18歳以上、COPDと診断され、呼吸器内科医によって確定された根本的な原因に対する至適な治療を行っても重度の慢性的息切れ(修正MRC息切れスケールのスコア3または4[「平坦な道を約100ヤード〈91.4m〉または数分歩くと息切れのため立ち止まる」「息切れがひどくて家から出られない」「衣服の着替えをする時にも息切れがする」])がみられる患者であった。

乳がん内分泌療法中のホットフラッシュに有効な新規薬剤/Lancet

 新規非ホルモン性小分子化合物Q-122は、乳がん後に経口内分泌療法中の女性患者において、ホットフラッシュや発汗など血管運動神経症状の改善に有効で忍容性は良好であることが、オーストラリア・QUE OncologyのAmanda Vrselja氏らが、オーストラリア、ニュージーランド、米国の18施設で実施した第II相無作為化二重盲検プラセボ対照概念実証試験の結果、示された。血管運動神経症状は、経口内分泌療法中の乳がん女性の3分の2以上にみられるが、安全で有効な治療法はない。Q-122は、視床下部にあるエストロゲンに反応するKNDyニューロンの活性化を減少することにより、血管運動神経症状を抑制する可能性が示唆されていた。著者は、「今回の結果は、Q-122の大規模かつ長期的な試験の実施を支持するものであり、更年期のホルモン療法に代わる治療を必要としている閉経後女性にも使用できる可能性もある」とまとめている。Lancet誌2022年11月12日号掲載の報告。

STEMIのPCI時の抗凝固療法、bivalirudin vs.ヘパリン/Lancet

 主に経橈骨動脈アプローチによる初回経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けるST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者において、bivalirudinのボーラス投与+PCI後2~4時間の高用量点滴静注は、ヘパリンのボーラス投与と比較し、30日全死亡/大出血の発生が有意に低下した。中国・General Hospital of Northern Theater CommandのYi Li氏らが、中国63都市の87施設で実施した医師主導の無作為化非盲検比較試験「Bivalirudin With Prolonged Full-Dose Infusion During Primary PCI Versus Heparin Trial-4 trial:BRIGHT-4試験」の結果を報告した。初回PCIを受けるSTEMI患者を対象にbivalirudinとヘパリンを比較したこれまでの無作為化試験では、bivalirudinの用法・用量あるいは糖蛋白IIb/IIIa阻害薬の併用の有無など試験方法が異なるため、矛盾する結果が報告されていた。Lancet誌2022年11月26日号掲載の報告。

軽症のコロナ入院患者、ARB上乗せは無益/BMJ

 軽症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者において、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)(主にテルミサルタン40mg/日)による治療は疾患重症度に対する有益性がないことが、オーストラリア・シドニー大学のMeg J. Jardine氏らがインドとオーストラリアの17施設で実施したプラグマティックなアダプティブデザインの無作為化比較試験「CLARITY試験」の結果、示された。これまで、ARB未治療の患者を対象とした5件の無作為化臨床試験において、レニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬の主要評価項目に対する中立的効果が報告され、1件では副次評価項目である死亡に対し高用量テルミサルタン(80mgを1日2回14日間投与)の有益性が報告されていた。