褐色細胞腫の最初の記述所見について考察 NEJM誌9月27日号に掲載された本論文は、ドイツのフライブルグ大学医療センター腎臓病学Hartmut P.H. Neumann氏らによる、褐色細胞腫の最初の記述所見について検証したもの。 褐色細胞種を最初に報告したのはFelix Frankelであるという解釈が正しいのか、報告された患者は遺伝性疾患を有していたのではないか、という2点を明らかにすることがNeumann氏らの目的である。 Frankel報告を精査し、現在のテクノロジーを駆使してその記述の所見を更新するため症例患者の親戚にアプローチし評価を行った。
LDL-C値<70mg/dLにおいても、HDL-C値は心血管イベントの予測因子と成り得るか? 本研究はスタチン治験・TNT(Treating to New Targets study)の事後解析の1つ。高比重リポタンパク(HDL)コレステロール値と心血管イベントとの間にみられる強い逆相関性が、低比重リポタンパク(LDL)コレステロールの極低値との間でもみられるかを検証したもの。オーストラリア心臓血管研究所のPhilip Barter氏らTNT研究グループによる報告は、NEJM誌9月27日号に掲載された。
メタボと喫煙を因子に結腸直腸腫瘍とCADは強く相関 結腸直腸腫瘍と冠動脈疾患(CAD)は類似した危険因子を共有しており、発症の関連性も疑われている。そこでCADを有する患者の横断研究を行い、結腸直腸腫瘍の出現率を調査するとともに、2つの疾患の共通危険因子を同定する研究が、香港大学のAnnie On On Chan氏らによって行われた。JAMA誌9月26日号より。
うつ病労働者への治療プログラムは職場アウトカムをもたらす ガイドラインに沿ったうつ病治療の有効性は明らかだが、しばしば根拠に基づいた勧告から外れた治療が行われている。うつ病治療プログラムは有意に治療の質を向上させるが、雇用者たちは、対費用効果という点でエビデンスに乏しいとこれらプログラムの採用を後回しにしてきた。 そこで、うつ病治療プログラムの効果が職場に与える影響および雇用者の懸念を評価する無作為化対照試験が、アメリカ国立精神保健研究所(NIMH)のPhilip S. Wang氏らによって行われた。JAMA誌9月26日号より。
へテロ接合型家族性高コレステロール血症スクリーニングは1~9歳児を対象に ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症(FH)例は若年でも冠動脈イベントリスクが著明に増加する。そのため早期発見が必要とされるが、1~9歳時に血清脂質をチェックするのが最も有効なスクリーニング法であると、英国Barts and the LondonのDavid S Wald氏らがメタ解析の結果として報告した。BMJ誌オンライン版9月13日付け早期公開された後、本誌9月22日号で収載されている。
ユニセフとWHOが推奨する6ヵ月母乳養育には母親への教育が欠かせない 母乳栄養には多くの利点があり、ユニセフとWHOは1991年から、母乳栄養についてベストな選択を母親ができるようサポートするイニシアティブ(the baby friendly hospital initiative)を開始しているが、診療現場に普及するには至っていない国も多い。 シンガポール大学のLin-Lin Su氏らは、どのような方法が母乳養育率を改善するのかを調査するため、一般的に行われる院内ケアを受けるグループと出産前だけに母乳栄養について教育されるグループ、出産後授乳支援を受けるグループとを比較する無作為化試験を行った。本論はBMJ誌オンライン版8月1日付けで早期公開され、本誌では9月22日号で収載されている。
モザンビークにおける重篤な精神的・神経学的障害の出現率 モザンビークは世界でも最も貧しい国の一つである。人口約1,800万人のうち、7割は農村部に暮らしている。この国の精神科医はわずか10人に過ぎず、人々の精神的・神経学的健康状態に関する情報不足は、国の政策決定と医療資源への投資を妨げてきた。Vikram Patel氏らのグループはWHOの支援を受けたモザンビーク保健省とともに、都市部と農村部における発作性疾患、精神疾患、精神発達遅滞の出現率の評価を行った。LANCET誌9月22日号より。
国連ミレニアム開発目標4は達成可能か? 2000年開催の国連ミレニアム・サミットで採択された8つの国連ミレニアム開発目標(MDG)のうち、4番目の目標が、2015年までに世界の5歳未満死亡を1990年基準より67%減らそうというものである。 ワシントン大学のChristopher J L Murray氏らによる本論は、MDG 4目的達成の前提となる死亡率推計値について、現状データの統計方法に疑問を呈し、新たに再現性ある方法を開発するとともに既存データの再分析を行った。Lancet誌9月22日号より。
出生前コルチコステロイド反復投与の長期予後:MFMU研究グループ 出生前コルチコステロイドの反復投与は、早期産児の新生児期における一部の疾患罹患や死亡リスクを改善するものの、出生時体重の低下および子宮内胎児の発育遅延のリスクを増すことが、先行研究によって示されている。本論文は、コロンビア大学Ronald J. Wapnerら米国NIHのMFMU(Maternal-Fetal Medicine Units)ネットワークの研究グループによる、出生前コルチコステロイド投与の長期追跡調査の結果報告。NEJM誌9月20日号に掲載された。
出生前コルチコステロイド反復投与の長期予後:ACTORDS研究グループ オーストラリアのアデレード大学Caroline A. Crowther氏らACTORDS(Australasian Collaborative Trial of Repeat Doses of Steroids)研究グループは以前、早期産のリスクを有する妊婦へのコルチコステロイド反復投与療法について無作為化対照臨床試験を行い、「新生児における呼吸窮迫症候群や重篤な疾患罹患リスクが減少した」と報告したが、この時のデータは本療法の長期予後に関しては有効ではなかったため、あらためて前向き臨床試験を実施した。NEJM誌9月20日号の報告から。
キャリアスクリーニングの本来意義を問う ゴーシェ病(GD)は常染色体劣性遺伝疾患でアシュケナジ系ユダヤ人で比較的頻度が高く、1995年以降、イスラエルおよび全世界のアシュケナジ系ユダヤ人を対象にキャリアスクリーニングが行われているが、現在論争の的になっている。キャリアによく見られる1型GDは、大抵は無症候性であり効果的な治療法も存在するからだ。しかし、イスラエルのヘブライ大学ハダーサメディカルスクールのShachar Zuckerman氏らは「キャリアスクリーニングの目的は、重症で治療不能の遺伝病を未然に防ぐことにある。影響を受けた小児出生の前にリスクにさらされているカップルを確認すること、そしてそのようなカップルに子供に影響が及ぶことを教示しオプションを提示することも目的の1つである」と述べる。JAMA誌9月19日号より。
研修医の75%が学術誌論文の統計解析について全く理解できていない 医師は医学文献を正しく理解するのに必要な統計的知識をどれぐらい持ち得ているのだろうか。内科研修医を対象とする統計方法および調査結果を正しく解釈できるか否かに関するサーベイが、エール大学医学部内科学Donna M. Windish氏らによって行われた。JAMA誌9月5日号の報告から。
公共禁煙法により非喫煙者の受動喫煙量が減少 2006年に公共の屋内における喫煙を禁じる法律が施行された英国スコットランドでは、非喫煙者の受動喫煙量が40%近く減少することが、英国NIHのSally J Haw氏とLaurence Gruer氏の調査で明らかになった。BMJ誌オンライン版9月9日付、本誌9月15日号に掲載された。
公共禁煙法施行で学童の受動喫煙減少 2006年3月から公共の屋内における喫煙が原則的に禁止された英国スコットランドでは、学童の受動喫煙が有意に減少していることがUniversity of EdinburghのPatricia C Akhtar氏らによるCHETS研究の結果、明らかになった。同研究報告はBMJ誌オンライン版9月9日付、本誌9月15日号に掲載された。
dabigatran etexilateの有効性・安全性はエノキサパリンと同程度:RE-NOVATE試験 関節置換術後のリスクとして静脈血栓塞栓症があり、その予防治療が術後および退院後も一定期間行われる。本稿は、その新しい予防治療剤として開発中の新規経口トロンビン阻害剤dabigatran etexilateに関する臨床試験RE-NOVATEの結果報告。LANCET誌9月15日号より。
薬物溶出ステントの安全性はベアメタルステントと同等か:メタ解析 (超)遠隔期のステント内血栓が問題となっている薬物溶出ステント(DES)だが、死亡率はベアメタルステント(BMS)と同等とするメタ解析がLancet誌9月15日号に掲載された。ドイツUniversity of BernのChristoph Stettler氏らが、ネットワークメタ解析と呼ばれる手法を用いて解析した結果だ。
STAT4と関節リウマチや全身性エリテマトーデスのリスク 関節リウマチは重要な遺伝的要因をもつ慢性炎症性疾患である。疾患に対する感受性は、染色体2q上の領域と関連付けられてきた。特に、Jakキナーゼアとともにサイトカインシグナルの伝達経路となるSTAT 分子は7種類あることがわかっており、Th1反応を起こすIL-12に反応するSTAT4 の役割の解明に注目が集まっている。 アメリカ国立衛生研究所関節炎・骨格筋・皮膚疾患研究所のElaine F. Remmers氏らは、すでに関節リウマチと関連づけられている染色体2q領域中の13の候補遺伝子の内外にある一塩基多型(SNP)を調べた。NEJM誌9月6日号の報告から。
エポエチンαの有効性と安全性に関する知見 重症患者によくみられる貧血に対して施行される赤血球輸血療法は、予後不良と関連している。そこでHoward L. Corwin氏らエポ治験グループは、「遺伝子組換え型ヒトエリスロポエチン(エポエチンα)の投与が赤血球輸血の必要性を減少させる」との仮説を立て、前向き臨床試験を行った。NEJM誌9月6日号の報告より。
血漿ホモシステイン濃度低下は慢性腎臓病と末期腎不全の死亡率低下に有効か 血漿ホモシステイン濃度の上昇が死亡率と血管疾患の危険因子であることは慢性腎臓病患者の観察研究で明らかになっている。ホモシステイン濃度を下げる葉酸とビタミンB群の投与が、慢性腎臓病と末期腎不全患者の予後を改善するか否かをテーマに無作為化対照試験が実施され、その結果がJAMA誌9月12日号に掲載された。
医学教育研究における提供資金量と論文引用回数は相関する 医学教育研究の方法論上の弱点は資金の不足にあるとよく言われるが、資金と研究の質との相関は証明されていない。教育研究の質を測定する指標の開発とともに、研究資金と研究の質の関係を評価することを目的とした、学術誌に掲載された論文の質と提供された資金量についての調査が行われた。JAMA誌9月5日号より。