ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:7

MRD陰性寛解BCP-ALLの地固め療法、ブリナツモマブ追加でOS改善/NEJM

 測定可能残存病変(MRD)陰性の寛解を達成した前駆B細胞性急性リンパ芽球性白血病(BCP-ALL)の成人患者に対する化学療法による地固め療法にブリナツモマブ(二重特異性T細胞誘導[BiTE]抗体)を追加すると、地固め化学療法単独と比較して、3年全生存(OS)率を有意に改善し、3年無再発生存(RFS)率も有意に良好であることが、米国・メイヨー・クリニックのMark R. Litzow氏らが実施したE1910試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2024年7月25日号に掲載された。  E1910試験は、MRD陰性寛解を達成したBCP-ALL成人患者に対する地固め療法におけるブリナツモマブ追加の有効性と安全性の評価を目的とする無作為化第III相試験であり、2013年12月~2019年10月にカナダ、イスラエル、米国の参加施設で患者を登録した(米国国立衛生研究所[NIH]などの助成を受けた)。

慢性手湿疹、デルゴシチニブ外用薬が有効/Lancet

 中等症~重症の慢性手湿疹を有し、基本的なスキンケアやコルチコステロイド外用薬では十分にコントロールできない患者の治療において、基剤を含み有効成分を含まないクリームと比較してヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬デルゴシチニブを含有するクリームは、16週の投与で高い有効性を示し、忍容性も良好であることが、カナダ・Innovaderm ResearchのRobert Bissonnette氏らtrial investigatorsが実施した2つの臨床試験(DELTA 1試験、DELTA 2試験)で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年7月18日号で報告された。

公共の場でのマスク着用、呼吸器感染症の発症予防効果は/BMJ

 14日間にわたり公共の場でサージカルフェイスマスクを着用した場合、着用しない場合と比較して、自己申告に基づく呼吸器感染症の症状発症リスクが有意に減少した。ノルウェー・公衆衛生研究所のRunar Barstad Solberg氏らが実用的無作為化優越性試験の結果を報告した。感染予防策としてのサージカルフェイスマスクの有効性は定かではなく、観察研究でフェイスマスクの着用が呼吸器感染症のリスクを減少させることが示唆されているが、これまでの無作為化試験は検出力不足など方法論的に限界があった。著者は、「本研究は多くの先行試験と異なり、十分な検出力を有している。フェイスマスクの着用は、負担の少ない比較的低コストで簡単な、呼吸器感染症の流行を抑えるために検討する価値があると考えられるいくつかの公衆衛生および社会的対策の1つである」とまとめている。BMJ誌2024年7月24日号掲載の報告。

中等~重症の潰瘍性大腸炎、リサンキズマブの導入・維持療法が有効/JAMA

 中等症~重症の活動期潰瘍性大腸炎患者において、IL-23p19阻害薬リサンキズマブは寛解導入療法および維持療法として、プラセボと比較し臨床的寛解率を改善することが示された。ベルギー・リエージュ大学病院のEdouard Louis氏らINSPIRE and COMMAND Study Groupが、第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「INSPIRE試験」および「COMMAND試験」の結果を報告した。JAMA誌オンライン版2024年7月22日号掲載の報告。  導入療法試験「INSPIRE試験」は、2020年11月5日~2022年8月4日(最終追跡日2023年5月16日)に41ヵ国261施設で実施された。

院外心停止者の血管アクセス、骨髄路vs.静脈路/BMJ

 非外傷性院外心停止成人患者において、骨髄路確保は静脈路確保と比較して、生存退院、病院到着前自己心拍再開、持続的自己心拍再開、良好な神経学的アウトカムのいずれについても差はなかった。台湾・国立台湾大学病院のYing-Chih Ko氏らが、クラスター無作為化比較試験「Venous Injection Compared To intraOsseous injection during Resuscitation of patients with out-of-hospital cardiac arrest trial:VICTOR試験」の結果を報告した。蘇生に関するガイドラインでは、院外心停止時の薬物投与には静脈路を優先し、静脈路が確保できない場合は骨髄路を使用することが推奨されているが、これまでの後ろ向き研究には限界があった。著者は、今回の前向き試験の結果に基づき、「骨髄路確保は、静脈路確保の代替ではなく第1選択として考慮しうるもので、患者や救急医療システムのさまざまな特徴に基づいた血管アクセスの最適な意思決定プロセスを検討する必要がある」とまとめている。BMJ誌2024年7月23日号掲載の報告。

シス女性のHIV曝露前予防、レナカパビル年2回投与が有効/NEJM

 レナカパビル年2回皮下投与によりHIV感染の発生は認められず、バックグラウンドおよびエムトリシタビン/テノホビル・ジソプロキシルフマル酸塩(F/TDF)と比較してHIV感染の発生率を100%低下させることが、南アフリカ・ケープタウン大学のLinda-Gail Bekker氏らPURPOSE 1 Study Teamによる第III相無作為化二重盲検実薬対照比較試験「PURPOSE 1試験」において示された。シスジェンダー女性におけるHIV曝露前予防は、予防薬の服薬、服薬アドヒアランスおよび服薬継続に限界があり、新たな選択肢の開発が望まれていた。NEJM誌オンライン版2024年7月24日号掲載の報告。

妊娠初期のコロナ感染・ワクチン接種、児の先天異常と関連せず/BMJ

 妊娠第1三半期(13週+6日)における新型コロナウイルス感染およびワクチン接種は、生児の先天異常のリスクに大きな影響を及ぼさないことが、ノルウェー・公衆衛生研究所のMaria C. Magnus氏らの調査で示された。研究の詳細は、BMJ誌2024年7月17日号で報告された。  研究グループは、妊娠第1三半期における新型コロナウイルス感染およびワクチン接種による主要な先天異常のリスクへの影響の評価を目的に、北欧の3ヵ国でレジストリベースの前向き研究を行った(ノルウェー研究会議[RCN]などの助成を受けた)。

ベイピング製品の長期使用、電子タバコの普及で増加/BMJ

 イングランドの成人では、2013年から2023年にかけて長期のベイピング(vaping)が大幅に増加し、その多くが新しい使い捨て電子タバコ(e-cigarettes)の人気が高まった2021年に使用を開始していた。現時点での長期ベイピング者の半数は使い捨てデバイスを使用し、この増加は喫煙歴のある集団に集中しているものの非喫煙者でもとくに若年層で増加していることが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのSarah E. Jackson氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年7月17日号に掲載された。

中等症~重症クローン病、リサンキズマブvs.ウステキヌマブ/NEJM

 中等症~重症のクローン病患者を対象としたリサンキズマブとウステキヌマブの直接比較試験において、リサンキズマブのウステキヌマブに対する、24週時の臨床的寛解の非劣性および48週時の内視鏡的寛解の優越性が認められたことが、28ヵ国187施設で実施された第IIIb相無作為化非盲検評価者盲検比較試験「SEQUENCE試験」で示された。フランス・Centre Hospitalier Regional Universitaire de NancyのLaurent Peyrin-Biroulet氏らが報告した。NEJM誌2024年7月18日号掲載の報告。  研究グループは、18~80歳で、3ヵ月以上前に中等症~重症のクローン病と診断され、1種類以上の抗TNF-α抗体製剤で効果不十分または不耐容の患者を、リサンキズマブ群またはウステキヌマブ群に1対1の割合に無作為に割り付け、標準用量を48週間投与した。

12歳未満の重症血友病A、エフアネソクトコグ アルファの有用性~XTEND-Kids試験/NEJM

 重症血友病Aの小児において、エフアネソクトコグ アルファによる週1回の定期補充療法は、投与後3日間ならびに約7日間にわたり高い第VIII因子活性を維持して効果的な出血予防効果をもたらし、有害事象はほとんどが非重篤であったことが示された。米国・ウィスコンシン医科大学のLynn Malec氏らXTEND-Kids Trial Groupが、第III相非盲検試験「XTEND-Kids試験」の結果を報告した。エフアネソクトコグ アルファは、12歳以上の重症血友病A患者において、週1回投与で前治療の第VIII因子製剤と比較し持続的な高い第VIII因子活性と優れた出血予防効果が認められていた。NEJM誌2024年7月18日号掲載の報告。

ニルマトレルビル・リトナビル、曝露後予防の効果なし/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の家庭内接触者を対象に、ニルマトレルビル・リトナビルの曝露後予防の有効性および安全性を検討した第II/III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、ニルマトレルビル・リトナビルの5日間または10日間投与はいずれも、症候性COVID-19発症リスクの有意な低下が認められなかった。米国・PfizerのJennifer Hammond氏らが報告した。COVID-19治療薬の臨床試験では、これまで曝露後予防の有効性は示されていなかった。NEJM誌2024年7月18日号掲載の報告。

卵巣がんリスク、卵巣子宮内膜症/深部子宮内膜症では9.7倍/JAMA

 卵巣がんのリスクは、卵巣子宮内膜症や深部子宮内膜症を有する女性で顕著に高いことを、米国・ユタ大学のMollie E. Barnard氏らが、ユタ州住民データベース(Utah Population Database:UPDB)を用いたコホート研究の結果を報告した。子宮内膜症は卵巣がんのリスク増加と関連しているが、子宮内膜症のサブタイプと卵巣がんの組織型との関連は十分に明らかになっていなかった。著者は、「卵巣子宮内膜症ならびに深部子宮内膜症を有する女性は、卵巣がんのリスクと予防に関するカウンセリングによって恩恵を受ける可能性がある。スクリーニングと予防研究の対象として重要な集団となるだろう」とまとめている。JAMA誌オンライン版2024年7月17日号掲載の報告。

コロナ罹患後症状の累積発生率、変異株で異なるか/NEJM

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染後に生じる罹患後症状(postacute sequelae of SARS-CoV-2 infection:PASC)は多くの臓器システムに影響を及ぼす可能性がある。米国・退役軍人省セントルイス・ヘルスケアシステムのYan Xie氏らは、パンデミックの間にPASCのリスクと負担が変化したかを調べた。感染後1年間のPASC累積発生率はパンデミックの経過に伴って低下したが、PASCのリスクはオミクロン株が優勢になった時期のワクチン接種者においても依然として持続していることが示された。NEJM誌オンライン版2024年7月17日号掲載の報告。

オピオイド拮抗薬ナロキソン、患者自己負担と処方の関連~米国/JAMA

 オピオイド使用障害の治療薬ナロキソンについて、患者の一部自己負担(cost sharing、費用分担)の廃止で、民間保険加入患者およびメディケア患者への処方調剤は増加可能であることが、米国・ミシガン大学のKao-Ping Chua氏らによる検討で示された。オピオイド使用障害による死亡が深刻な米国では、オピオイド死の抑止のために、ナロキソンへのアクセスの障壁を取り除くことが重要なステップとされている。先行研究で、費用分担がナロキソン処方調剤の障壁になっている可能性が示唆されていたが、横断研究のデザインや使用したデータベースが調剤されなかった処方箋を捕捉していないという限界があった。JAMA誌2024年7月9日号掲載の報告。

線維筋痛症、治療用スマホアプリで症状改善/Lancet

 線維筋痛症の成人患者の管理において、スマートフォンアプリを用いて毎日の症状を追跡するアクティブコントロール群と比較して、アプリを用いたアクセプタンス・コミットメント療法(ACT)によるセルフガイド型のデジタル行動療法は、患者評価による症状の改善度が優れ、デバイス関連の安全性に関するイベントは発生しないことが、米国・Gendreau ConsultingのR. Michael Gendreau氏らが実施した「PROSPER-FM試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年7月8日号で報告された。

パーキンソン病の構音障害、音声治療LSVT LOUDが有効/BMJ

 パーキンソン病患者の構音障害の治療において、Lee Silverman音声治療(Lee Silverman voice treatment:LSVT)は、国民保健サービスの言語聴覚療法(NHS SLT)を行う場合やSLTを行わない場合(非介入)と比較して、構音障害の影響の軽減に有効であり、またNHS SLTは非介入と比較して有益性はないことが、英国・ノッティンガム大学のCatherine M. Sackley氏らPD COMM collaborative groupが実施した「PD COMM試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年7月10日号に掲載された。

高齢の心臓手術患者、脳波ガイド下麻酔は術後せん妄を抑制せず/JAMA

 心臓手術を受ける高齢患者において、脳電図(EEG)ガイド下で脳波の抑制(suppression)を最小限にして行う麻酔投与は、通常ケアと比較して術後せん妄の発生を抑制しなかった。カナダ・モントリオール大学のAlain Deschamps氏らCanadian Perioperative Anesthesia Clinical Trials Groupが「Electroencephalographic Guidance of Anesthesia to Alleviate Geriatric Syndromes(ENGAGES)試験」の結果を報告した。術中の脳波の抑制は、全身麻酔の投与量が過剰であることを示唆するとともに、術後せん妄と関連することが先行研究で示されていた。JAMA誌2024年7月9日号掲載の報告。

CAR19療法後再発LBCL、CAR22療法が有望/Lancet

 CD19を標的としたキメラ抗原受容体(CAR)-T細胞(CAR19)療法後に疾患進行が認められた大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)患者において、CD22が免疫療法の標的として特定され、このCD22を標的としたCAR-T細胞(CAR22)療法により持続する臨床的有効性が認められたことが、米国・スタンフォード大学のMatthew J. Frank氏らCARdinal-22 Investigator groupが行った第I相の用量設定試験で示された。CD22はほぼ普遍的に発現しているB細胞表面抗原であるが、LBCLにおけるCAR22療法の有効性は不明であった。今回の結果について著者は、「有望ではあるが、第I相用量設定試験であることを認識することが重要である」とし、「さらなる検討を行い、長期有効性を確立するとともに、CAR22療法によって最も利益を受けられる患者サブグループを特定する必要がある」と述べている。Lancet誌オンライン版2024年7月9日号掲載の報告。

動機付け面接などの行動介入で、身体活動は増える?97試験のメタ解析/BMJ

 動機付け面接を含む行動介入は、総身体活動を増加させるがエビデンスの確実性は低く、中高強度身体活動(MVPA)の増加と座位時間の減少効果についてはエビデンスの確実性が非常に低かった。また、介入の効果は時間の経過と共に低下し、1年を超えて身体活動を増加させる動機付け面接の有用性を示すエビデンスは確認されなかった。英国・オックスフォード大学のSuFen Zhu氏らが、システマティックレビューとメタ解析の結果を報告した。動機付け面接は患者を中心とした行動変容アプローチで、少数の臨床試験のこれまでのメタ解析では、慢性の健康障害を有する人々においては比較対照群より優れていることが報告されていたが、これらは効果を過大評価している可能性があった。BMJ誌2024年7月10日号掲載の報告。

ニルセビマブ、乳児のRSV感染症入院リスクを83%減少/NEJM

 実臨床において、長時間作用型の抗RSVヒトモノクローナル抗体であるニルセビマブは、RSウイルス(respiratory syncytial virus:RSV)関連細気管支炎による入院リスクの低下に有効であることが示された。フランス・Paris Cite UniversityのZein Assad氏らが、生後12ヵ月未満の乳児を対象とした多施設共同前向きマッチング症例対照研究「Effectiveness of Nirsevimab against RSV-Associated Bronchiolitis Requiring Hospitalization in Children:ENVIE研究」の結果を報告した。RSVは細気管支炎の主な原因であり、世界中で毎年300万例が入院している。ニルセビマブ承認後の、実臨床におけるRSV関連細気管支炎に対する有効性については不明であった。NEJM誌2024年7月11日号掲載の報告。