ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:72

ウパダシチニブ、単剤で中等症~重症アトピー性皮膚炎に有効/Lancet

 中等症~重症のアトピー性皮膚炎の治療において、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬ウパダシチニブの単剤療法はプラセボと比較して、安全性および有効性が優れ、新たな治療選択肢となる可能性があり、ベネフィット・リスクのプロファイルも良好であることが、米国・マウント・サイナイ・アイカーン医科大学のEmma Guttman-Yassky氏らが実施した2つのプラセボ対照無作為化試験「Measure Up 1試験」および「Measure Up 2試験」で示された。Lancet誌オンライン版2021年5月20日号掲載の報告。  これら2つの試験は、反復的な多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験であり、Measure Up 1試験には日本を含む24ヵ国151施設が、Measure Up 2試験には23ヵ国154施設が参加し、それぞれ2018年8月~2019年12月および2018年7月~2020年1月の期間に患者の無作為化が行われた(米国・AbbVieの助成による)。

高齢の急性心不全入院患者、漸進的リハ併用で身体機能が改善/NEJM

 急性非代償性心不全で入院した高齢の多様な患者集団において、通常治療に加え、4つの身体機能領域を含む、早期の段階的で個別化された漸進的リハビリテーションを併用すると、通常治療単独と比較して、身体機能の改善効果が促進されるが、再入院や死亡の抑制効果には差はないことが、米国・Wake Forest School of MedicineのDalane W. Kitzman氏らが実施した「REHAB-HF試験」で示された。NEJM誌オンライン版2021年5月16日号掲載の報告。

ウパダシチニブ、ステロイド併用でアトピー性皮膚炎を改善/Lancet

 中等症~重症のアトピー性皮膚炎の治療において、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬ウパダシチニブと副腎皮質ステロイド外用薬の併用は、プラセボと同外用薬の併用と比較して忍容性および有効性が優れ、ベネフィット・リスクのプロファイルが良好であることが、ドイツ・ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターのKristian Reich氏らが実施した「AD Up試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2021年5月20日号で報告された。  本研究は、日本を含む22ヵ国171施設が参加した二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験であり、2018年8月~2019年12月の期間に参加者の無作為化が行われた(米国・AbbVieの助成による)。

心血管疾患へのアスピリン、用量による有効性・安全性の差なし/NEJM

 心血管疾患患者のアスピリン治療において、1日用量81mgは同325mgと比較して、心血管イベントや大出血の頻度について統計学的に有意な差はなく、投与中止や用量変更の割合は325mgで高いことが、米国・デューク大学のW. Schuyler Jones氏らが実施した「ADAPTABLE試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2021年5月27日号に掲載された。  研究グループは、心血管疾患患者における死亡、心筋梗塞、脳卒中のリスクを抑制し、大出血の発生を最小化する適切なアスピリンの用量を検討する目的で、実践的デザインの非盲検無作為化試験を行った(米国患者中心アウトカム研究所[PCORI]の助成による)。参加者の募集は、米国のPCORnetに参加する40施設において、2016年4月に開始され2019年6月に終了した。

低出生体重児、出生直後からのカンガルーケアで生存率改善/NEJM

 出生時体重が1.0~1.799kgの低出生体重児において、出生直後からカンガルーケアを受けた新生児は、従来ケアで状態が安定した後にカンガルーケアを開始した新生児と比較し、28日死亡率が低下した。72時間死亡率も、出生直後からカンガルーケアを受けた新生児のほうが、有意差は認められなかったものの良好であった。WHO Immediate KMC Study Groupが、アフリカとインドの5施設で実施した無作為化試験の結果を報告した。カンガルーケアは、母親または他のケア提供者が新生児を胸の上で抱き皮膚と皮膚を接触させるなどの新生児ケアの一種で、従来、低出生体重児(2.0kg未満)において状態安定後にカンガルーケアを受けた新生児は受けなかった新生児と比べ死亡率が低下することが示されていた。しかし、低出生体重児の死亡の大多数は、状態安定前に生じている。低出生体重児において出生後すぐにカンガルーケアを開始した場合の安全性と有効性は、これまで不明であった。NEJM誌2021年5月27日号掲載の報告。

心筋炎と心筋梗塞を簡便に鑑別できる新規miRNAを同定/NEJM

 心筋炎のマウスおよびヒトにおいて同定された新規マイクロRNA(miRNA)のヒト相同体(hsa-miR-Chr8:96)は、心筋炎患者と心筋梗塞患者の区別に利用できる可能性があることを、スペイン・国立心臓血管研究センターのRafael Blanco-Dominguez氏らが明らかにした。心筋炎は、冠動脈閉塞を伴わない心筋梗塞(MINOCA)と初期診断を受けた患者の最終診断となることが多く、心筋梗塞の基準を満たす患者の約10~20%にみられる。急性心筋炎の診断は通常、心内膜心筋生検または心臓MRIのいずれかが必要であるが、前者は侵襲的であり、後者はすべての施設で利用できるわけではない。そのため、新たな診断法が求められていた。NEJM誌2021年5月27日号掲載の報告。

3剤配合剤抵抗性の高血圧、腎デナベーションが有効/Lancet

 利尿薬を含む3剤配合降圧薬に抵抗性を示す高血圧患者に対し、超音波腎デナベーションは、2ヵ月後の収縮期血圧低下に有効であることが示された。偽治療に比べ、収縮期血圧値は中央値5.8mmHg低下したという。フランス・パリ大学のMichel Azizi氏らが、米国・欧州50ヵ所以上の医療機関を通じて行った無作為化単盲検偽治療対照試験の結果を報告した。血管内腎デナベーションは、軽症~中等症高血圧患者の降圧に有効だが、真性の抵抗性高血圧患者の有効性は示されていなかった。結果を踏まえて著者は、「降圧効果と腎デナベーションの安全性が長期的に維持されるのならば、抵抗性高血圧患者にとって腎デナベーションは降圧薬に追加しうる治療法となる可能性がある」と述べている。Lancet誌オンライン版2021年5月16日号掲載の報告。

中国のコロナワクチン2種、初の第III相試験中間解析/JAMA

 中国で開発された新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)不活化ワクチン2種の、第III相二重盲検無作為化試験の事前規定中間解析の結果が、アラブ首長国連邦・Abu Dhabi Health Services CompanyのNawal Al Kaabi氏らによって発表された。試験は中国Sinopharmの子会社であるChina National Biotec Group(CNBG)に属する武漢生物製品研究所と北京生物製品研究所がデザインし、中東4ヵ国で被験者を集めて行われた。中間解析にはうち2ヵ国(アラブ首長国連邦とバーレーン)の被験者4万例超のデータが包含された。ワクチンの症候性COVID-19に対する予防効果はプラセボ接種の対照群と比較し72.8~78.1%であり、重篤な有害事象発生率は0.4~0.5%で対照群と同等だったという。JAMA誌オンライン版2021年5月26日号掲載の報告。

高齢患者の術後の記憶力低下、CABG vs.PCI/JAMA

 冠動脈バイパス術(CABG)または経皮的冠動脈インターベンション(PCI)による冠動脈血行再建術を受けた患者では、記憶力低下に関して、術式の違いによる差はないが、off-pump CABGはPCIと比較して、記憶力低下の割合が有意に高いことが、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のElizabeth L. Whitlock氏らの調査で示された。JAMA誌2021年5月18日号掲載の報告。  研究グループは、CABGはPCIに比べ記憶力低下率が高いとの仮説を立て、これを検証する目的で後ろ向きコホート研究を行った(米国国立老化研究所などの助成による)。

ziltivekimab、中等~重度CKDでhs-CRP値を抑制/Lancet

 残存炎症リスクを有する中等度~重度の慢性腎臓病(CKD)の患者において、インターロイキン(IL)-6リガンドを標的とする完全ヒト型モノクローナル抗体ziltivekimabはプラセボと比較して、炎症マーカーである高感度C反応性蛋白(hs-CRP)値を有意に抑制することが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のPaul M. Ridker氏らが実施した「RESCUE試験」で示された。Lancet誌オンライン版2021年5月17日号掲載の報告。  本研究は、米国の40施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照第II相試験であり、2019年6月~2020年1月の期間に患者登録が行われた(Novo Nordiskの助成による)。

PCI後のDAPT終了後、クロピドグレル単剤が有効/Lancet

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)として薬剤溶出ステント(DES)留置術を施行され、6~18ヵ月の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)を受けた後、抗血小板薬単剤による長期の維持療法を要する患者において、クロピドグレルはアスピリンと比較して、死亡や血栓性疾患、出血を含む複合エンドポイントのリスクが低いことが、韓国・ソウル大学病院のBon-Kwon Koo氏らが実施した「HOST-EXAM試験」で示された。Lancet誌オンライン版2021年5月16日号掲載の報告。

術中左心耳閉鎖術併用で、脳卒中/塞栓症リスクが低減/NEJM

 多くが経口抗凝固薬の投与を受けている心房細動の患者集団において、冠動脈バイパス術や弁置換術などの心臓手術の術中に左心耳閉鎖術を併用すると、これを併用しない場合と比較して、虚血性脳卒中/全身性塞栓症のリスクが低下することが、カナダ・ハミルトン総合病院のRichard P. Whitlock氏らが実施した「LAAOS III試験」で示された。NEJM誌オンライン版2021年5月15日号掲載の報告。  本研究は、心臓手術時の脳卒中予防における左心耳閉鎖術の有効性と安全性の検証を目的とする無作為化試験であり、2012年7月~2018年10月の期間に、27ヵ国105施設で患者登録が行われた(カナダ健康研究所などの助成による)。

中等症~重症喘息、3剤併用vs.2剤併用/JAMA

 中等症~重症の小児(6~18歳)および成人喘息患者において、吸入ステロイド薬(ICS)と長時間作用型β2刺激薬(LABA)に長時間作用型抗コリン薬(LAMA)を併用する3剤併用療法は、2剤併用療法(ICS+LABA)と比較して重度増悪の減少ならびに喘息コントロールの中等度改善と有意に関連し、QOLや死亡に差は認められなかった。カナダ・マックマスター大学のLisa H. Y. Kim氏らが、システマティックレビューとメタ解析の結果を報告した。中等症~重症の喘息患者に対する3剤併用療法の有益性と有害性は、これまで不明であった。JAMA誌オンライン版2021年5月19日号掲載の報告。

非責任病変へのPCI追加、FFRガイドvs.血管造影ガイド/NEJM

 多枝病変を有するST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者において、梗塞関連病変へのPCI成功後の非責任病変の完全血行再建は、冠血流予備量比(FFR)ガイド下と血管造影ガイド下で有益性に差は認められなかった。フランス・パリ大学のEtienne Puymirat氏らが、Flow Evaluation to Guide Revascularization in Multivessel ST-Elevation Myocardial Infarction(FLOWER-MI)試験の結果を報告した。ただし、イベント発生率が予想より低く統計学的検出力が計画より低下したため、著者は、「FFRガイド下治療の有意な効果は認められなかったが、主要評価項目のハザード比の95%信頼区間(CI)が0.78~2.23と非常に広く、これはFFRガイド下治療により相対的に22%リスクが低下または123%リスクが上昇することを表しており、今回の結果を結論付ける解釈はできない」との見解を示している。非責任病変へのPCI追加による完全血行再建が、責任病変単独治療より優れているが、FFRガイド下治療が血管造影ガイド治療より優れているかどうかは不明であった。NEJM誌オンライン版2021年5月16日号掲載の報告。

脳底動脈閉塞、血管内治療vs.内科的治療/NEJM

 脳底動脈閉塞による脳梗塞患者において、血管内治療と内科的治療は良好な機能的アウトカムに有意差は認められなかったことが、オランダ・St. Antonius HospitalのLucianne C M Langezaal氏らが7ヵ国23施設300例を対象に実施した評価者盲検無作為化比較試験の結果で示された。なお、この結果について著者は、「主要評価項目の信頼区間が広いことから、血管内治療の実質的な有益性を排除するものではないと考えられる」と指摘し、「脳底動脈閉塞に対する血管内治療の有効性と安全性を判断するためには、より大規模な試験が必要である」とまとめている。NEJM誌2021年5月20日号掲載の報告。

厳格降圧vs.標準降圧:SPRINT最終報告/NEJM

 糖尿病や脳卒中の既往がない心血管イベント高リスク患者では、収縮期血圧目標を120mmHg未満とする厳格降圧が同目標を140mmHg未満とする標準降圧より、無作為割り付けされた治療を受けている期間と試験終了後の両方で、主要有害心血管イベントおよび全死因死亡の発生を有意に低下させることを、米国・アラバマ大学バーミングハム校のCora E. Lewis氏らがSPRINT試験の最終報告として示した。ただし、低血圧等の有害事象の発現率は、厳格降圧群で高かった。NEJM誌2021年5月20日号掲載の報告。

看護師1人当たりの患者数最小化で、患者転帰が改善/Lancet

 看護師1人当たりの患者数を最小化する施策により、死亡率、再入院率、在院日数が改善され、その結果として支出せずに済んだ費用は、看護師の増員に要した費用の2倍以上に達したことが、米国・ペンシルベニア大学のMatthew D. McHugh氏らが実施した「RN4CAST-Australia試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2021年5月11日号で報告された。  研究グループは、2016年にオーストラリア・クイーンズランド州で制定された最小看護師-患者比率に関する施策が看護師の人員配置や患者転帰に及ぼす影響の評価および、同施策が人員配置と患者アウトカムに関連があるかを検討する目的で、前向きパネル調査を行った(オーストラリア・クイーンズランド州保健局などの助成による)。  クイーンズランド州の最小看護師-患者比率施策(午前と午後の勤務では1対4を超えない、夜間勤務では1対7を超えない)の対象となった病院(介入病院:27施設)と、退院患者が類似するがこの施策の対象ではない病院(対照病院:28施設)を、施策の導入前(ベースライン)と導入から2年の時点で比較した。

tezepelumab、コントロール不良の重症喘息患者に有効/NEJM

 コントロール不良の重症喘息成人/思春期患者の治療において、胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)のヒト型モノクローナル抗体であるtezepelumabはプラセボと比較して、喘息の増悪が少なく、肺機能や喘息コントロール、健康関連QOLの改善効果が良好であることが、英国・Royal Brompton HospitalのAndrew Menzies-Gow氏らが実施した「NAVIGATOR試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2021年5月13日号で報告された。  本研究は、18ヵ国297施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2017年11月~2020年9月の期間に行われた(AstraZenecaとAmgenの助成による)。  対象は、年齢12~80歳で喘息と診断され、スクリーニングの12ヵ月以上前の期間に、中~高用量の吸入グルココルチコイドの投与を受け、インフォームドコンセントの3ヵ月以上前の期間に、経口グルココルチコイドの有無を問わず、少なくとも1剤の長期管理薬の投与を受けていた患者であった。

心房細動後1年以内のリズムコントロールで心血管転帰良好/BMJ

 心房細動の診断から1年以内の患者では、リズムコントロール治療の早期開始により、レートコントロールに比べ有害心血管イベントのリスクが有意に低下したが、この関連性は心房細動を発症して1年以上経過した患者では認められなかった。韓国・延世大学校医科大学のDaehoon Kim氏らが、長期観察コホート研究の結果を報告した。心房細動患者の予後に対するレートコントロールとリズムコントロールの効果の比較については結論が得られておらず、最近発表されたEAST-AFNET 4試験では、発症後1年以内の心房細動患者の場合、リズムコントロール治療は通常治療より有害心血管イベントのリスクが低いことが示されていた。BMJ誌2021年5月11日号掲載の報告。

新型コロナワクチン戦略、65歳未満は1回目接種優先が有益/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンは、PfizerのBNT162b2およびModernaのmRNA-1273共に2回接種が標準となっているが、米国・メイヨー・クリニックのSantiago Romero-Brufau氏らは、エージェント・ベース・モデリングによるシミュレーションの結果、65歳未満の人々には1回目の接種を優先して行い2回目の接種を遅らせるワクチン接種戦略が、有益であることを明らかにした。同戦略で1日当たりのワクチン接種率が人口の0.1~0.3%で死亡率は最大20%低下し、1回接種のワクチン有効率が80%以上になる可能性があるという。BMJ誌2021年5月12日号掲載の報告。