ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:192

肺気腫の進行抑制にA1PI増強治療は有効か/Lancet

 重症α1アンチトリプシン欠損症を有し肺気腫を合併した患者について、α1プロテイナーゼ阻害薬(A1PI)増強治療は、肺気腫の進行抑制に有効であることが示された。カナダのユニバーシティ・ヘルス・ネットワークのKenneth R Chapman氏らが、多施設共同二重盲検無作為化並行群間プラセボ対照試験RAPIDの結果、明らかにした。α1アンチトリプシン欠損症に対するA1PI増強療法の有効性について、これまで無作為化プラセボ対照試験による検討は行われていなかった。研究グループは今回、スパイロメトリーよりもα1アンチトリプシン欠損症での肺気腫進行度の測定感度が高い、CT肺密度測定法を用いた評価で検討を行った。Lancet誌オンライン版2015年5月27日号掲載の報告より。

週1回デュラグルチド、1日1回グラルギンに非劣性/Lancet

 コントロール不良の2型糖尿病患者に対し、食前インスリンリスプロ併用下でのGLP-1受容体作動薬dulaglutideの週1回投与は、同併用での就寝時1日1回インスリン グラルギン(以下、グラルギン)投与に対し、非劣性であることが示された。米国Ochsner Medical CenterのLawrence Blonde氏らが行った第III相の非盲検無作為化非劣性試験「AWARD-4」の結果、示された。Lancet誌2015年5月23日号掲載の報告より。

混合型経口避妊薬、静脈血栓塞栓症リスクが3倍/BMJ

 混合型経口避妊薬の服用は、静脈血栓塞栓症(VTE)発症リスクを3倍近く増大することが明らかにされた。なかでも新世代の避妊薬では約4倍と、第2世代避妊薬に比べ有意に高い。英国・ノッティンガム大学のYana Vinogradova氏らが、2件の大規模なプライマリケアデータベースを用いたコホート内ケース・コントロール試験を行い明らかにした。BMJ誌オンライン版2015年5月26日号掲載の報告より。

大豆イソフラボン、喘息コントロール効果なし/JAMA

 コントロール不良の喘息患者に対し、1日100mgの大豆イソフラボンを24週間投与したが、喘息症状の改善には結び付かなかった。米国・ノースウェスタン大学のLewis J. Smith氏らが、386例の患者を対象に行った、無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果、示された。複数の慢性疾患治療において、大豆イソフラボンが用いられているが、使用を裏づけるデータは限定的であった。コンロトール不良の喘息患者については、大豆イソフラボンが有望であることを示唆するいくつかのデータが示されていたという。JAMA誌2015年5月26日号掲載の報告。

標準外のITT解析は介入効果を過大評価/BMJ

 標準的ITT解析から逸脱した分析を行っている無作為化試験では、介入効果がより大きく示される傾向があることが、イタリア・ウンブリア州地方健康局疫学部門のIosief Abraha氏らが、300件以上の無作為化試験についてメタ疫学研究を行い明らかにした。ITT解析から逸脱した試験結果の報告例が増える中で、そうした試験が介入効果を過大評価するかどうかについては、これまで明らかではなかったという。BMJ誌オンライン版2015年5月27日号掲載の報告より。

急性期重症患者、経腸栄養の至適目標量は?/NEJM

 急性期重症患者の経腸栄養療法について、非タンパクカロリー量を制限する低栄養許容(permissive underfeeding)の補給戦略は、標準量の補給法と比較して90日死亡率の低下について有意な差はなかったことが示された。サウジアラビア・King Saud Bin Abdulaziz大学のYaseen M. Arabi氏らが、同国およびカナダの7施設のICU入室患者894例を対象とした無作為化試験の結果、報告した。急性期重症患者の至適目標栄養量については明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2015年5月20日号掲載の報告より。

糖尿病合併CKD、降圧薬治療は有益か/Lancet

 糖尿病合併慢性腎臓病(CKD)患者に対する降圧薬治療について、生存を延長するとのエビデンスがあるレジメンはないことが、ニュージーランド・オタゴ大学のSuetonia C Palmer氏らによるネットワークメタ解析の結果、明らかにされた。また、ACE阻害薬とARBの単独または2剤併用療法は、末期腎不全に対して最も効果的な治療戦略であること、一方でACE阻害薬とARBの併用療法は、レジメンの中で高カリウム血症や急性腎不全を増大する傾向が最も高いことも示され、著者は「リスクベネフィットを考慮して用いる必要がある」と報告している。糖尿病合併CKD患者への、降圧薬治療の有効性と安全性については議論の余地が残されたままで、研究グループは、同患者への降圧薬治療の有益性と有害性を明らかにするため本検討を行った。Lancet誌2015年5月23日号掲載の報告より。 

死亡リスクが高い気温は?/Lancet

 日本を含む世界13の国と地域の384地点で、1985~2012年の異常気温と死亡の関連を調べた結果、非至適温度による死亡は7.71%であり、その大半(7.29%)は低気温によるものであったことが明らかにされた。また、異常高温・低気温日の死亡への影響は中程度の異常気候による影響よりもかなり小さかったことも示された。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のAntonio Gasparrini氏らによる報告で、「今回示されたエビデンスは、異常気温による健康への悪影響を最小とするための公衆衛生介入の立案に、またさらなる気候変動シナリオにおいて予測される影響に対して重要な示唆となる」と述べている。Lancet誌オンライン版2015年5月20日号掲載の報告より。

アミロイドPET陽性率で若年性認知症診断の可能性/JAMA

PET画像診断で検出されたアミロイド陽性率について、アルツハイマー型認知症(AD)の患者では加齢に伴い低下することが、一方、非ADでは、加齢に伴い上昇することが明らかにされた。またAD患者における同低下の程度はアポリポ蛋白E(APOE)ε4非キャリアのほうがキャリアと比べると大きいことなども判明したという。オランダ・アムステルダム自由大学医療センターのRik Ossenkoppele氏らが、メタ解析の結果、明らかにした。所見について著者は、「若年性認知症診断へのアミロイドPETの臨床有用性、および70歳超のAPOEε4非キャリアAD患者の鑑別診断をサポート可能であることを示唆するものである」と述べている。JAMA誌2015年5月19日号掲載の報告より。

気管支鏡の肺がん診断、遺伝子スコアで精度改善/NEJM

 気管支鏡検査による肺がん診断の精度改善に、気管支上皮細胞の遺伝子発現分類を加味することが有用であることが、米国・南カリフォルニア大学のGerard A. Silvestri氏らが行った2つの多施設共同前向き試験(AEGIS-1、AEGIS-2)の結果、示された。米国では年間約50万例の気管支鏡検査が行われているが、そのうち約半数例は肺がんの診断が不能で、それらの多くで追加の侵襲的検査が行われ、結果として良性病変であることが多いという。研究グループは、気管支の遺伝子発現分類を用いることで気管支鏡検査の診断が改善することを確認するため本検討を行った。NEJM誌オンライン版2015年5月17日号掲載の報告より。

進行卵巣がんの術前化療、術後に非劣性/Lancet

 病期III・IVの卵巣がんに対して、化学療法を先行して後に手術を行う場合でも、手術を先行して後に化学療法を行う場合と比べてアウトカムは非劣性であることが示された。英国・バーミンガム大学のSean Kehoe氏らが、550例を対象に行った第III相の非盲検非劣性無作為化試験「CHORUS」の結果、報告した。著者は「今回の試験集団において進行卵巣がんについて、化学療法を手術よりも先行して行うことは標準療法として容認できるものであった」と述べている。Lancet誌オンライン版2015年5月19日号掲載の報告より。

高齢者への脂質降下薬、脳卒中リスク3割減/BMJ

 血管イベント歴のない高齢者(平均年齢74歳)について、脂質降下薬(スタチンまたはフィブラート系薬)の使用有無別に平均9年間フォローアップした検討において、非使用群と比べて使用群の脳卒中リスクが約30%低下したことが報告された。フランス・ボルドー大学のAnnick Alperovitch氏らが、7,484例の大規模集団を対象に行った住民ベースのコホート試験の結果、示された。また、リスク低下についてスタチンとフィブラート系薬の服用者別にみた場合、同等であったという。著者は「今回の試験データは、高齢者の1次予防として脂質降下薬を長期に用いることは脳卒中の予防に結び付くという仮説を提起するものであった」と述べている。BMJ誌オンライン版2015年5月19日号掲載の報告より。

急性坐骨神経痛に経口ステロイドは有効か/JAMA

 経口ステロイド薬は、椎間板ヘルニアによる急性神経根障害に起因する坐骨神経痛の治療に一般的に用いられるが、適切な統計学的パワーを備えた臨床試験による評価は行われていないという。米国カイザー・パーマネンテ北カルフォルニアのHarley Goldberg氏らは、今回、プレドニゾンの短期投与により身体的な機能障害はある程度改善されるが、疼痛には効果がないことを確認した。JAMA誌2015年5月19日号掲載の報告。

リチウムの腎臓・内分泌系の有害作用/Lancet

 リチウムは気分障害の治療に広く用いられ、優れた有効性が示されているが、腎臓や内分泌系への有害作用の特性はよくわかっていないという。英国・John Radcliffe病院のBrian Shine氏らは、今回、リチウムは腎機能を低下させ、甲状腺機能低下症や高カルシウム血症を引き起こすことを報告した。Lancet誌オンライン版2015年5月21日号掲載の報告より。

心臓手術後の呼吸不全、ネーザルハイフローは有用/JAMA

 心臓手術後の呼吸不全患者または同リスクのある患者に対して、ネーザルハイフロー(high-flow nasal oxygen)療法はバイレベル気道陽圧(BiPAP)療法と比較して、遜色のない治療法であることが明らかにされた。フランス、マリ・ラヌロング記念外科センター(CCML)のFrancois Stephan氏らが無作為化試験の結果、報告したもので、「所見は、類似の患者であれば、ネーザルハイフロー療法の使用を支持するものであった」とまとめている。心臓手術後に低酸素血症を来した患者について、再挿管を回避しアウトカム改善する非侵襲的な換気法として、しばしばBiPAP療法が用いられる。一方でネーザルハイフロー療法は、施行の簡便さ、耐用性および臨床的効果の観点から酸素投与が必要な患者への使用が増大しており、研究グループは、ネーザルハイフロー療法がBiPAP療法に劣らないと仮定し無作為化試験で検証した。JAMA誌オンライン版2015年5月17日号掲載の報告より。

HPVワクチン、男児にも接種するメリット/BMJ

 ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種を女児だけでなく男児へも接種をすることのメリットについて、オランダ・VU大学メディカルセンターのJohannes A Bogaards氏らが、ベイズ法によるエビデンス統合解析を行い報告した。女児への接種で男性は間接的な利益を得られるが、現状の接種率60%ではHPV関連がん、とくに肛門がんのリスクは残ったままで、女児への接種率が90%に高まり、男児への接種も行うことで肛門がんの予防がもたらされ、男性同性愛者へのHPV予防に寄与することが示唆されたという。BMJ誌オンライン版2015年5月12日号掲載の報告より。

禁煙プログラム、成功報酬型が効果的/NEJM

 禁煙継続のためのインセンティブプログラムは、デポジット方式(預託金+報酬型)よりもリワード方式(成功報酬型)のほうが多くの人に受け入れられ、禁煙継続率が高い。また、集団指導のほうが個人指導よりも禁煙率は高率であったが有意な差はなかったことが、米国・ペンシルベニア大学のScott D. Halpern氏らによる無作為化試験の結果、報告された。インセンティブプログラムは、種々の健康行動を促進するために取り入れられているが、効果的な方法については明らかにされていない。禁煙プログラムについては、これまでデポジット方式とリワード方式を比較したことがなく、また集団指導のほうが競争心をあおり効果的だと考えられてきたという。NEJM誌オンライン版2015年5月13日号掲載の報告より。

関節リウマチ、生物学的製剤で重度感染症リスク増大?/Lancet

 関節リウマチ(RA)患者への標準用量・高用量の生物学的製剤投与は、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)服用に比べ、重度感染症リスクを1.3~1.9倍に増加することが明らかにされた。低用量の投与については、同リスクの増加は認められなかったという。米国・バーミンガム退役軍人医療センターのJasvinder A. Singh氏らが、メタ解析の結果、報告した。生物学的製剤がDMARDsと比べて、重篤感染症のリスクを増大するかについては、これまで相反する報告が示されていた。Lancet誌オンライン版2015年5月11日号掲載の報告より。

TEX11変異、減数分裂停止のある無精子症の原因に/NEJM

 遺伝子変異は、減数分裂停止のある無精子症の原因であることが報告された。米国ピッツバーグ大学医学部のAlexander N. Yatsenko氏らが、289例の無精子症の男性とその対照群についてスクリーニング試験を行い明らかにした。非閉塞性無精子症の遺伝的要因はこれまで明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2015年5月13日号掲載の報告より。

心房細動の有病率4倍に、転帰は改善~フラミンガム研究50年/Lancet

 欧米では、人口の高齢化に伴い心房細動の増加が予測されているが、その傾向に関する包括的な長期データは十分でないという。米国国立心肺血液研究所(NHLBI)のRenate B Schnabel氏らは、フラミンガム心臓研究の50年の心房細動に関するデータを解析した。その結果、この50年間で心房細動の有病率は4倍以上に、罹患率は3倍以上に増加したが、発症後の脳卒中の発生率や死亡率は大きく改善していたという。Lancet誌オンライン版2015年5月7日掲載の報告。