ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:4

インスリン未治療の2型糖尿病、efsitora vs.デグルデク/NEJM

 インスリン治療歴のない2型糖尿病成人患者において、週1回投与のinsulin efsitoraα(efsitora)による治療は1日1回投与のインスリン デグルデク(デグルデク)治療に対して、糖化ヘモグロビン値(HbA1c)の低下に関して非劣性であることが示された。米国・the MultiCare Rockwood Center for Diabetes and EndocrinologyのCarol Wysham氏らQWINT-2 Investigatorsが、10ヵ国121施設で実施した52週間の無作為化非盲検実薬対照並行群間treat-to-target第III相試験「once-weekly [QW] insulin therapy:QWINT-2試験」の結果を報告した。efsitoraは、週1回投与を目的として設計された新しい基礎インスリンで、小規模な第I相ならびに第II相試験において、安全性および有効性はデグルデクと同等であることが示されていた。NEJM誌オンライン版2024年9月10日号掲載の報告。

頭蓋内動脈高度狭窄、バルーン血管形成術+積極的内科治療は?/JAMA

 症候性の頭蓋内アテローム性動脈硬化性狭窄(sICAS)患者において、積極的内科治療とバルーン血管形成術の併用は積極的内科治療のみと比較し、試験登録後30日以内の脳卒中または死亡、および30日以降12ヵ月後までの狭窄血管領域の虚血性脳卒中または血行再建の複合リスクが統計学的有意に低下した。中国・National Clinical Research Center for Neurological DiseasesのXuan Sun氏らBASIS Investigatorsが、同国の31施設で実施した無作為化非盲検試験「BASIS試験」の結果を報告した。これまでの無作為化試験では、sICAS患者において積極的内科治療より血管内ステント留置術が優れるとの結果は示されていなかったが、バルーン血管形成術については検討されていなかった。著者は今回の結果について、「バルーン血管形成術と積極的内科治療の併用はsICASに対する有効な治療法である可能性が示唆されるものの、実臨床ではバルーン血管形成術後30日以内の脳卒中または死亡のリスクを考慮する必要がある」とまとめている。JAMA誌2024年10月1日号掲載の報告。

高リスク局所進行子宮頸がん、ペムブロリズマブ+同時化学放射線療法がOS改善/Lancet

 新規に診断された高リスクの局所進行子宮頸がん患者において、ペムブロリズマブ+同時化学放射線療法(CCRT)は、CCRT単独と比較して全生存期間(OS)を有意に延長したことが、「ENGOT-cx11/GOG-3047/KEYNOTE-A18試験」で明らかとなった。イタリア・Fondazione Policlinico Universitario A Gemelli IRCCS and Catholic University of Sacred HeartのDomenica Lorusso氏らENGOT-cx11/GOG-3047/KEYNOTE-A18 investigatorsが、第2回中間解析の結果を報告した。本試験の第1回中間解析では、ペムブロリズマブ+CCRTにより、無増悪生存期間(PFS)の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善が示されていた。著者は、先の中間解析の結果も踏まえ、「本研究の結果は、この患者集団に対する新しい標準治療として免疫化学放射線療法を支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2024年9月14日号掲載の報告。

筋層浸潤性尿路上皮がん、術後ペムブロリズマブでDFS改善/NEJM

 膀胱全摘除術後の高リスク筋層浸潤性尿路上皮がんの治療において、経過観察と比較してPD-1阻害薬ペムブロリズマブによる補助療法は、無病生存期間(DFS)を有意に延長し、有害事象プロファイルは既報と一致し安全性に関する新たな懸念は認めないことが、米国国立がん研究所のAndrea B. Apolo氏らが実施した「AMBASSADOR試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年9月15日号に掲載された。  AMBASSADOR試験は、米国の246施設で実施した医師主導型の非盲検無作為化第III相試験であり、患者の登録を2017年9月に開始し、高リスク筋層浸潤性尿路上皮がん患者への術後ニボルマブ療法が米国食品医薬品局の承認を得た2021年8月に早期中止した(米国国立がん研究所などの助成を受けた)。

セマグルチドがHFpEF患者の心不全イベントを抑制/Lancet

 駆出率が軽度低下または保たれた心不全(HFpEF)患者の治療において、プラセボと比較してGLP-1受容体作動薬セマグルチドは、心血管死に対する効果は有意ではないものの、心血管死または心不全増悪イベントの複合エンドポイントと心不全増悪イベント単独のリスクを減少させ、忍容性も良好で重篤な有害事象の発現率は相対的に低いことが、米国・ミズーリ大学カンザスシティ校のMikhail N. Kosiborod氏らSELECT, FLOW, STEP-HFpEF, and STEP-HFpEF DM Trial Committees and Investigatorsの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌2024年9月7日号で報告された。

内分泌療法後の転移乳がん、T-DXdがPFSを有意に改善(DESTINY-Breast06)/NEJM

 内分泌療法を1ライン以上受けた、ホルモン受容体(HR)陽性かつHER2低発現またはHER2超低発現の転移を有する乳がん患者において、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)は医師選択の化学療法と比較し無増悪生存期間(PFS)を有意に延長し、新たな安全性シグナルは確認されなかった。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のAditya Bardia氏らDESTINY-Breast06 Trial Investigatorsが多施設共同無作為化非盲検第III相試験「DESTINY-Breast06試験」の結果を報告した。内分泌療法後の進行に対し、従来の化学療法の有効性は限定的となっている。T-DXdは、化学療法歴のあるHER2低発現の転移を有する乳がんに対する有効性が示されていた。NEJM誌オンライン版2024年9月15日号掲載の報告。

新規非複雑病変へのDCB、DESに非劣性示せず/Lancet

 標的血管径を問わず新規の非複雑病変を有する患者において、薬剤コーティングバルーン(DCB)血管形成術とレスキューステント留置を併用する治療戦略は、計計画された薬剤溶出性ステント(DES)留置と比較し、2年後のデバイス指向複合エンドポイント(DoCE)に関して非劣性を示さなかった。中国・第四軍医大学のChao Gao氏らREC-CAGEFREE I Investigatorsが、同国43施設で実施した医師主導の無作為化非盲検非劣性試験「REC-CAGEFREE I試験」の結果を報告した。新規冠動脈病変を有する患者に対するDCB血管形成術の長期的な影響はわかっていない。Lancet誌2024年9月14日号掲載の報告。

早期TN乳がんの術前・術後ペムブロリズマブ、最終OS結果(KEYNOTE-522)/NEJM

 高リスク早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者において、ペムブロリズマブ+化学療法による術前補助療法およびペムブロリズマブ単独による術後補助療法は、術前化学療法単独と比較して、全生存期間(OS)を有意に延長した。英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のPeter Schmid氏らKEYNOTE-522 Investigatorsが、21ヵ国181施設で実施された国際共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「KEYNOTE-522試験」の結果を報告した。KEYNOTE-522試験では、プラチナ製剤を含む化学療法にペムブロリズマブを追加することで、病理学的完全奏効(pCR)率と無イベント生存期間(EFS)が有意に改善することが示されており、今回はOSについての最終結果が報告された。NEJM誌オンライン版2024年9月15日号掲載の報告。

複雑病変へのPCI、OCTガイドvs.血管造影ガイド/Lancet

 複雑病変に対し薬剤溶出ステント(DES)の留置が必要な患者において、光干渉断層撮影(OCT)ガイド下の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は血管造影ガイド下PCIと比較し、1年後の主要有害心血管イベント(MACE)の発生率が有意に低下した。韓国・延世大学校のSung-Jin Hong氏らが、同国20病院で実施した医師主導の無作為化非盲検優越性試験「Optical Coherence Tomography-guided Coronary Intervention in Patients with Complex Lesions trial:OCCUPI試験」の結果を報告した。PCI施行中にOCTは詳細な画像情報を提供するが、こうした画像診断技術の臨床的有用性は不明であった。Lancet誌2024年9月14日号掲載の報告。

急性心筋梗塞による心原性ショック、MCSデバイス使用は有益か/Lancet

 急性心筋梗塞による心原性ショック(AMICS)の患者に対する積極的な経皮的機械的循環補助(MCS)デバイスの使用は、6ヵ月死亡を抑制せず、大出血および血管合併症を増加したことが、ドイツ・ライプチヒ大学ハートセンターのHolger Thiele氏らMCS Collaborator Scientific Groupが行った個別患者データのメタ解析の結果で示された。ただし、低酸素脳症のリスクがないST上昇型心筋梗塞(STEMI)による心原性ショックの患者では、MCS使用後に死亡率の低下が認められた。積極的な経皮的MCSは、死亡への影響に関して相反するエビデンスが示されているにもかかわらず、AMICS治療での使用が増加しているという。

膀胱がんへの周術期デュルバルマブ併用、EFS・OSを改善(NIAGARA)/NEJM

 膀胱全摘除術が可能な筋層浸潤性膀胱がんにおいて、術前化学療法への周術期デュルバルマブ併用は、術前化学療法単独の場合と比較して、無イベント生存期間(EFS)と全生存期間(OS)の有意な改善をもたらしたことが、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のThomas Powles氏らNIAGARA Investigatorsによる第III相非盲検無作為化試験で示された。術前化学療法に続く膀胱全摘除術は、シスプラチン適応の筋層浸潤性膀胱がん患者における標準治療だが、周術期免疫療法の追加によりアウトカムを改善する可能性が示唆されていた。NEJM誌オンライン版2024年9月15日号掲載の報告。

僧帽弁閉鎖不全症を伴う心不全、経カテーテル修復術の追加は有効か/NEJM

 中等症~重症の機能性僧帽弁閉鎖不全症を有する心不全で薬物療法を受けている患者では、MitraClipデバイスを用いた経カテーテル僧帽弁修復術を追加することにより、薬物療法単独と比較して24ヵ月後の心不全による初回または再入院と心血管死の複合の発生率が改善し、12ヵ月後の健康状態が良好であることが、ドイツ・シャリテ大学のStefan D. Anker氏らRESHAPE-HF2 Investigatorsが実施した「RESHAPE-HF2試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年8月31日号に掲載された。

高齢NSTEMI患者に、侵襲的治療は有益か/NEJM

 非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)の高齢患者では、保存的治療と比較して侵襲的治療は、心血管死または非致死的心筋梗塞の複合のリスクを改善しないことが、英国・ニューカッスル大学のVijay Kunadian氏らBritish Heart Foundation SENIOR-RITA Trial Team and Investigatorsが実施した「SENIOR-RITA試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌オンライン版2024年9月1日号で報告された。  SENIOR-RITA試験は、高齢NSTEMI患者における侵襲的治療の有用性の評価を目的とする非盲検無作為化対照比較試験であり、2016年11月~2023年3月にイングランドとスコットランドの48施設で参加者のスクリーニングを行った(英国心臓財団[BHF]の助成を受けた)。

CRP・LDL・リポ蛋白(a)測定、30年後のCVDを予測/NEJM

 健康な米国人女性の高感度C反応性蛋白(CRP)値、LDLコレステロール値、リポ蛋白(a)値の単回組み合わせ測定が、その後30年間の心血管イベントの発症を予測したことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のPaul M. Ridker氏らによる検討で示された。高感度CRP値、LDLコレステロール値、リポ蛋白(a)値は、5年・10年の心血管リスクの予測に寄与し、薬理学的介入法を明確にすることが知られている。より若い時期での介入はリスク軽減にとって重要となるため、女性の長期にわたる心血管リスクを予測するこれらのバイオマーカーの有用性について、さらなる情報が必要とされていた。NEJM誌オンライン版2024年8月31日号掲載の報告。

安定CAD併存の重症AS、TAVIとPCIの同時施行は有益か/NEJM

 経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)を施行する冠動脈疾患(CAD)患者に対する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の施行は保存的治療と比較し、追跡期間中央値2年の時点で全死因死亡、心筋梗塞、緊急血行再建の複合リスクが低いことが、デンマーク・コペンハーゲン大学病院RigshospitaletのJacob Lonborg氏らNOTION-3 Study Groupによる国際非盲検無作為化優越性試験「NOTION-3試験」で示された。安定CADで重症大動脈弁狭窄症(AS)を有する患者において、TAVIに加えてPCIを施行するベネフィットは、依然として明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2024年8月31日号掲載の報告。

二次性僧帽弁逆流症、TEER vs.僧帽弁手術/NEJM

 心不全および二次性僧帽弁逆流症を有する患者において、経カテーテルedge-to-edge修復術(transcatheter edge-to-edge repair:TEER)は、1年時の複合エンドポイント(死亡、心不全による入院、僧帽弁再治療、補助デバイス植込み、脳卒中)に関して、僧帽弁手術に対し非劣性であることが示された。ドイツ・ケルン大学のStephan Baldus氏らが、前向き多施設共同無作為化非劣性試験「Multicenter Mitral Valve Reconstruction for Advanced Insufficiency of Functional or Ischemic Origin trial:MATTERHORN試験」の結果を報告した。二次性僧帽弁逆流症を有する心不全患者に対する現在の推奨治療には、TEERおよび僧帽弁手術が含まれるが、この患者集団においてこれらの治療法を比較した無作為化試験のデータは不十分であった。NEJM誌オンライン版2024年8月31日号掲載の報告。

β遮断薬長期服用MI既往患者、服薬の中断vs.継続/NEJM

 心筋梗塞既往の患者において、長期β遮断薬治療の中断は継続に対して非劣性が認められなかったことを、フランス・ソルボンヌ大学のJohanne Silvain氏らABYSS Investigators of the ACTION Study Groupが、「Assessment of BetaBlocker Interruption 1 Year after an Uncomplicated Myocardial Infarction on Safety and Symptomatic Cardiac Events Requiring Hospitalization trial:ABYSS試験」の結果、報告した。心筋梗塞後のβ遮断薬による治療については、適切な投与期間は不明である。合併症のない心筋梗塞既往患者において、副作用を軽減しQOLを改善するために、長期β遮断薬治療を中断することの有効性と安全性に関するデータが求められていた。NEJM誌オンライン版2024年8月30日号掲載の報告。

新たな抗PACAPモノクローナル抗体、片頭痛予防に有効か/NEJM

 片頭痛の新たな治療手段として、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)を標的とするアプローチの開発が進められている。デンマーク・コペンハーゲン大学のMessoud Ashina氏らは「HOPE試験」において、プラセボと比較してLu AG09222(PACAPリガンドに対するヒト化モノクローナル抗体)の単回投与は、4週間後の片頭痛の頻度を有意に減少させたことから、PACAPシグナル伝達の阻害は片頭痛の新たな予防的治療戦略となる可能性があることを示した。研究の成果は、NEJM誌2024年9月5日号に掲載された

心房細動を伴う安定冠動脈疾患、エドキサバン単剤が有効/NEJM

 心房細動と安定冠動脈疾患を有する患者の治療において、直接第Xa因子阻害薬エドキサバンと抗血小板薬による抗血栓薬2剤併用療法と比較してエドキサバン単剤療法は、12ヵ月後の全死因死亡、心筋梗塞、脳卒中、全身性塞栓症、予期せぬ緊急血行再建術、大出血または臨床的に重要な非大出血の複合リスクを有意に低下させることが、韓国・蔚山大学校のMin Soo Cho氏らが実施した「EPIC-CAD試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年9月1日号で報告された。

脳卒中リスクのある心房細動、asundexian vs.アピキサバン/NEJM

 脳卒中のリスクを有する心房細動患者の治療では、活性化凝固第Xa因子阻害薬アピキサバンと比較して活性化凝固第XI(XIa)因子阻害薬asundexianは、試験が早期中止となるまでの期間において、大出血イベントは少ないものの、有効性の主要エンドポイントである脳卒中または全身性塞栓症の発生率が高いことが、米国・デューク大学医学校のJonathan P. Piccini氏らOCEANIC-AF Steering Committee and Investigatorsが実施した「OCEANIC-AF試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌オンライン版2024年9月1日号で報告された。