ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:191

認知症予測にMRI検査は役立つか/BMJ

 認知症発症の予測について、従来リスクデータにMRI検査の情報を加えても、予測能は改善しないことが示された。英国・ニューカッスル大学のBlossom C M Stephan氏らが10年間にわたる住民ベースコホート研究の結果、報告した。ただし、再分類能、予後予測能について統計的に有意な改善が示され、また臨床的有用性のエビデンスがあることも示されたという。従来リスク変数は、人口統計、神経心理、健康、生活習慣、身体機能、遺伝をベースとしたものである。これまでMRI情報を加えたモデルと従来モデルとを、住民ベースレベルで比較した検討は行われていなかった。BMJ誌オンライン版2015年6月22日号掲載の報告。

大腿膝窩動脈疾患での薬剤コーティングバルーンの成績/NEJM

 症候性大腿膝窩動脈疾患の患者に対し、パクリタキセル・コーティングバルーンによる血管形成術は、通常のバルーン血管形成術に比べ、長期アウトカムが良好であることが報告された。米国・マサチューセッツ総合病院のKenneth Rosenfield氏らが行った単盲検無作為化試験LEVANT2の結果、術後12ヵ月時点での標的病変1次開存性は、12.6ポイント高く、安全性についてもパクリタキセル・コーティングバルーンの非劣性が示された。経皮的血管形成術(PTA)による末梢動脈疾患(PAD)治療は、血管リコイルや再狭窄の発生により限定的である。薬剤コーティングバルーンによる血管形成術は、再狭窄による開存性を改善する可能性が示唆されていた。NEJM誌オンライン版2015年6月24日号掲載の報告より。

静脈血栓症でのがんスクリーニング、CT追加でも検出率向上せず/NEJM

 初回特発性深部静脈血栓症(DVT)を発症した人のうち、原発不明がんの罹患率は4%未満と低率で、血栓症発症時に腹部・骨盤部CT検査を含めたスクリーニングを行っても、がん検出率は向上しないことが明らかになった。カナダ・オタワ大学のMarc Carrier氏らが多施設共同非盲検無作為化比較試験の結果、報告した。静脈血栓症は、最も初期のがん徴候である可能性が示唆されている。一方、原発不明がんのスクリーニングについてはばらつきが大きいのが現状だった。NEJM誌オンライン版2015年6月22日号掲載の報告より。

COPDの肺容量減少術、気管支鏡下弁留置が有用か/Lancet

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療において、気管支内弁を用いた気管支鏡下肺容量減少手術(BLVR)は、肺機能および6分間歩行距離を有意に改善することが、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのClaire Davey氏らによるBeLieVeR-HIFi試験で示された。肺の最も増悪した病変部位を切除する肺容量減少手術(LVRS)は、肺気腫患者の肺機能や運動能、生存期間を改善するが、重大な合併症や約5%という早期死亡率が報告されている。BLVRは、最も肺気腫が進行した部位へ向かう気道に、気管支鏡で一方向弁を留置することで、病変のある肺葉を虚脱させる方法である。Lancet誌オンライン版2015年6月23日号掲載の報告。

心房細動患者の手術、ブリッジング抗凝固療法は必要か/NEJM

 待機的手術などの侵襲性の処置のためにワルファリン治療を中断する必要のある、心房細動(AF)患者に対するブリッジング抗凝固療法の必要性は不明とされる。今回、カナダ・マクマスター大学のJames D Douketis氏らは、BRIDGE試験を行い、低分子量ヘパリンによる周術期のブリッジング抗凝固療法は、動脈血栓塞栓症の予防や大出血リスクの抑制には効果がないことを確認したことを報告した。ブリッジング抗凝固療法の必要性そのものに対する根本的な疑問があり、エビデンスもないため、現行の診療ガイドラインの勧告には説得力がなく、一貫性に欠ける状況だという。NEJM誌オンライン版2015年6月22日号掲載の報告。

インスリンポンプ、1型糖尿病の心血管死抑制/BMJ

 1型糖尿病患者に対するインスリンポンプ療法は、インスリン頻回注射療法よりも心血管死のリスクが低いことが、デンマーク・オーフス大学のIsabelle Steineck氏らによる、スウェーデン人を対象とする長期的な検討で示された。糖尿病患者では、高血糖と低血糖の双方が心血管疾患(冠動脈心疾患、脳卒中)のリスク因子となるが、持続的皮下インスリン注射(インスリンポンプ療法)はインスリン頻回注射療法よりも、これらのエピソードが少なく、血糖コントロールが良好とされる。一方、これらの治療法の長期的予後に関する知見は十分ではないという。BMJ誌オンライン版2015年6月22日号掲載の報告。

高齢の心筋梗塞例でのICDの有用性/JAMA

 急性心筋梗塞(AMI)発症後に左室駆出率(EF)の低下がみられる高齢患者では、植込み型除細動器(ICD)の装着例は非装着例に比べ2年死亡率が良好であることが、米国・デューク大学医療センターのSean D Pokorney氏らの調査で示された。ACCF/AHAガイドラインでは、心筋梗塞(MI)患者における心停止による突然死の1次予防として、MI発症後40日以上、至適な薬物療法を行っても、EF<35%の場合にICDの装着を推奨している。一方、とくにMIの日常診療ではICDが十分に活用されていないことを示唆するエビデンスがあり、またMIやその結果としての虚血性心筋症は加齢に伴って増加するが、高齢患者におけるICDの有用性については議論があるという。JAMA誌2015年6月23・30日号掲載の報告。

予定外妊娠を減らすには…/Lancet

 予定外妊娠は、米国において引き続き重大な公衆衛生上の課題となっている。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のCynthia C Harper氏らは、長期間作用型可逆的避妊法(LARC)へのアクセスを増大する介入効果について、クラスター無作為化試験を行った。その結果、家族計画カウンセリング参加者へのLARCや子宮内避妊器具(IUD)へのアクセスに関するカウンセリングの提供により、予定外妊娠は減少可能であることを報告した。米国では妊娠の51%が予定外妊娠と推計されており、その多くが18~24歳の低所得でマイノリティに属する女性だという。米国疾病予防センター(CDC)は予定外妊娠の予防策としてLARCへのアクセス増大を推奨しているが、米国のIUD使用率は9%と他の先進国(フランス23%など)と比べて低い現状だという。Lancet誌オンライン版2015年6月16日号掲載の報告より。

壊疽性膿皮症、免疫療法とステロイドは同等/BMJ

 壊疽性膿皮症の治療について、シクロスポリンとプレドニゾロンの有効性は同等であることが、英国内39病院から121例を登録して行われた英国・アバディーン大学のAnthony D Ormerod氏らによる無作為化比較試験STOP GAPの結果、示された。壊疽性膿皮症治療のエビデンス報告は、これまで被験者30例による無作為化試験1件のみだが、現在シクロスポリンを使用する多くの医師が、プレドニゾロンよりもシクロスポリンのほうが有効であり副作用が少ないと確信しているという。プレドニゾロンもシクロスポリンも有力な薬剤で予測可能な副作用を有する。本検討で研究グループは、シクロスポリンのプレドニゾロンに対する優越性を検討した。BMJ誌オンライン版2015年6月12日号掲載の報告より。

膝痛に関節鏡視下手術は本当に有用か/BMJ

 中高年の膝の痛みや変形性膝関節症に対する膝関節鏡視下手術について、痛みの改善効果はわずかであり、機能性に対する効果は認められないとの見解を、南デンマーク大学のJ. B. Thorlund氏らがシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。膝関節鏡視下手術は、持続的な膝の痛みを有する中高年に対して実施される頻度が高く、かつ増大している。その付加的効果を示す無作為化試験はわずかに1件だが、多くの専門医がその手術介入の効果を確信しているという。BMJ誌オンライン版2015年6月16日号掲載の報告より。

ダビガトランの中和薬としてidarucizumabが有望/Lancet

 ヒト化モノクローナル抗体フラグメントIdarucizumabは、用量依存的にダビガトラン(商品名:プラザキサ)の抗凝固作用を、迅速かつ完全にリバースすることが明らかになった。薬剤関連の有害事象についても、重篤なものは認められなかった。ドイツ・ベーリンガーインゲルハイム社のStephan Glund氏らが健康な男性47例について行った第I相プラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果、示された。ダビガトランは心房細動後の脳卒中予防に、また静脈血栓塞栓症の治療および予防に関して、ワルファリンに代わる効果があることが示されている。Lancet誌オンライン版2015年6月15日号で発表した。

大手術後再入院患者、死亡リスクは?/Lancet

 大手術後の再入院について、手術を受けた病院へ再入院した患者の生存は、手術の種類を問わず改善していることが、米国・ユタ大学のBenjamin S Brooke氏らによる観察コホート研究の結果、明らかにされた。大手術後の再入院は一般的である。しかし、それら再入院患者のアウトカムが改善したのかどうか、受けたケアや、再入院先により違いはあるのかなどは不明であった。著者は、「今回の所見は、費用対効果の観点からの地域における手術施設の再編について重要な示唆を与えるものであった」と述べている。Lancet誌オンライン版2015年6月17日号掲載の報告より。

急性虫垂炎は抗菌薬で治療が可能か?/JAMA

 単純性急性虫垂炎への抗菌薬治療は、虫垂切除術に対して非劣性ではないことが、フィンランド・トゥルク大学病院のPaulina Salminen氏らが実施したAPPAC試験で示された。本症の治療では、1世紀以上にわたり手術が標準とされてきた。一方、近年、3つの無作為化試験や5つのメタ解析など、抗菌薬治療を支持するエビデンスが増えていたが、個々の試験には限界があるため、依然として標準治療は虫垂切除術とされている。JAMA誌2015年6月16日号掲載の報告より。

大腸内視鏡検診、がんの生涯リスクを抑制/JAMA

 大腸内視鏡による大腸がん検診では、腺腫検出率(adenoma detection rate:ADR)が高いほど、大腸がんの発症や大腸がん死の生涯リスクが抑制され、費用は増大しないことが、オランダ・エラスムスMC大学医療センターのReinier GS Meester氏らの検討で示された。ADRは検診の質の指標とされるが、施術者によって3倍以上の大きなばらつきがみられ、最もADRが高い施術者に比べ最も低い施術者では、10年以内の大腸がんの発症リスクが約50%、がん死のリスクは約60%上昇するという。一方、ADRが高いと低リスクの小ポリープの検出が増加し、追加検査や合併症が増えるため、不利益が利益を上回る可能性が示唆されている。JAMA誌2015年6月16日号掲載の報告。

複合免疫不全症の遺伝子欠損を特定/NEJM

 複合免疫不全症からの早期発症の侵襲性細菌・ウイルス感染症を発症した小児について、常染色体劣性のdedicator of cytokinesis 2 遺伝子(DOCK2)の欠損を特定したことを、米国・ボストン小児病院のKerry Dobbs氏らが報告した。複合免疫不全症は、存在するT細胞の量的および機能的不足というT細胞免疫の先天異常を特徴とする。液性免疫障害も一般的にみられ、患者は重度の感染症または自己免疫疾患、あるいは両方を呈する。複合免疫不全症は複数のタイプがみられ、特異的な分子、細胞および臨床的特徴は不明のままであった。NEJM誌2015年6月18日号掲載の報告より。

中等度~重度の尋常性乾癬にトファシチニブが有望/Lancet

 中等度~重度の慢性尋常性乾癬に対し、トファシチニブ(商品名:ゼルヤンツ、慢性尋常性乾癬に対しては未承認)の10mg1日2回投与はエタネルセプト(50mgを週2回)に非劣性であり、プラセボより優れることが示された。フランス・サンルイ病院のHerve Bachelez氏らが第III相の無作為化非劣性試験の結果、報告した。トファシチニブは、経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬である。今回の検討では、トファシチニブの5mgまたは10mgの2種の用量について、高用量のエタネルセプトおよびプラセボとの比較が行われた。Lancet誌オンライン版2015年6月4日号掲載の報告より。

オピオイド服用中のBZD、過剰摂取死リスク増大/BMJ

 オピオイド鎮痛薬服用中のベンゾジアゼピン系薬投与は、過剰摂取による死亡リスクの増大と用量依存的に関連することが、米国・ブラウン大学のTae Woo Park氏らによる症例コホート研究の結果、報告された。また薬剤種別の検討において、クロナゼパムと比較してtemazepam(国内未承認)の同死亡リスクが低いことも明らかにされた。BMJ誌オンライン版2015年6月10日号掲載の報告より。

障害生存年数の増加、主な原因は腰痛とうつ/Lancet

 188ヵ国を対象とした世界の疾病負担研究(Global Burden of Disease Study)2013の結果、世界的に高齢者人口が増加しており、また高齢者ほど疾患や外傷の後遺症を持つ人の割合が増加していることが判明した。米国・Institute for Health Metrics and EvaluationのTheo Vos氏らGlobal Burden of Disease Study 2013研究グループが、1990~2013年の188ヵ国の医療データをシステマティックに分析した結果、明らかになった。Lancet誌オンライン版2015年6月7日号掲載の報告より。

携帯GPS機能で心肺蘇生実施率が向上/NEJM

 携帯電話使用者の位置情報を瞬時に特定する携帯電話位置情報システムを使って、救急通報があった院外心停止が疑われる患者の近くにいる心肺蘇生(CPR)訓練を受けたボランティア市民に連絡し、現場への急行を依頼することで、“居合わせた市民(バイスタンダー)によるCPR実施率”が有意に上昇したことが示された。スウェーデン・カロリンスカ研究所のMattias Ringh氏らが、二重盲無作為化比較試験を行い明らかにした。バイスタンダーによるCPRは、院外心停止患者の生存率上昇と関連することが示されている。NEJM誌2015年6月11日号掲載の報告より。

心血管デバイスの承認申請書と公表論文を比較/BMJ

 米国・マサチューセッツ総合病院のLee Chang氏らは、最近承認されたハイリスク医療機器の心血管デバイスについて、米国FDAに報告された臨床試験の特徴および安全性、有効性に関する結果を調べ、ピアレビュー論文の同報告と比較した。その結果、臨床試験が未発表であるものが多く、発表されたものについても、試験集団、主要エンドポイントや試験結果が、FDAに提出されたデータとはかなり異なる可能性があることを報告した。これまでに、新規上市の医薬品については、臨床試験データにバイアスをかけた論文の発表が報告されている。医療機器については、臨床試験がどれほど選択的に報告されているのか明らかになっていなかった。BMJ誌オンライン版2015年6月10日号掲載の報告。