医療一般|page:64

ChatGPT、ワクチン忌避に関する質問を正確に処理

 ChatGPTは、ワクチン接種のためらいや安全性に関する質問に対して正確な回答を提供するが、時には不完全な場合もあるとの研究結果が、「Human Vaccines & Immunotherapeutics」に9月3日掲載された。  サンティアゴ・デ・コンポステーラ大学(スペイン)のAntonio Salas氏らは、ワクチンの安全性に関してインターネット上で流布している50の最も一般的な偽情報、真偽両方の禁忌、俗説についてチャットボットに質問することで、ワクチン接種のためらいに関する意見を生成するChatGPTの能力を検討した。

ソーシャルメディアの使用時間削減で仕事もメンタルヘルスも上向きに?

 仕事の合間にInstagramやTikTokを見ることはちょっとした気晴らしになるように思われるが、この行為は、実際には仕事の満足度を低下させている要因なのかもしれない。ソーシャルメディアの使用時間を1日わずか30分減らすだけで、その人のメンタルヘルス、仕事の満足度、仕事へのコミットメント(責任を持って仕事に積極的に関わっていくこと)が向上したとする研究結果が報告された。ルール大学ボーフム(ドイツ)メンタルヘルス研究・治療センターのJulia Brailovskaia氏らによるこの研究の詳細は、「Behavior and Information Technology」に12月8日掲載された。

PARP阻害薬タラゾパリブ、BRCA変異陽性乳がん、前立腺がんに承認/ファイザー

 ファイザーは2024年1月18日、PARP阻害薬タラゾパリブ(商品名:ターゼナ)について、同剤の単剤療法による「がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」、および同剤とエンザルタミドとの併用による「BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌」の治療薬として、国内における製造販売承認を取得した。

開発中の外用PDE4阻害薬、アトピー性皮膚炎・尋常性乾癬に有望

 軽症~中等症アトピー性皮膚炎または尋常性乾癬患者において、開発中の外用PDE4阻害薬PF-07038124は、忍容性が良好で有効性に優れることが示された。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のLawrence F. Eichenfield氏らが海外第IIa相無作為化二重盲検比較試験の結果を報告した。アトピー性皮膚炎および尋常性乾癬は、外用治療薬についてアンメットニーズが存在する。外用PF-07038124は、オキサボロール骨格を有するPDE4阻害薬で、T細胞ベースアッセイにおいて免疫調節活性が確認されており、IL-4およびIL-13に対する阻害活性を有している。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年12月20日号掲載の報告。  試験は2020年12月21日~2021年8月18日に、4ヵ国の34施設で行われた(データ解析は2021年12月15日まで)。対象は、軽症~中等症アトピー性皮膚炎(病変が体表面積の5~20%)または尋常性乾癬(体表面積の5~15%)を有する18~70歳の患者とした。対象患者を1対1の割合で、PF-07038124(0.01%外用軟膏)群または溶媒群に無作為に割り付け、1日1回6週間塗布した。

早期アルツハイマー病における多剤併用と身体能力との関係

 トルコ・University of Health SciencesのAysegul Akkan Suzan氏らは、早期アルツハイマー病患者の歩行を評価するために用いられる特定の身体能力測定と、多剤併用との関連を評価する目的で本研究を実施した。Current Medical Research and Opinion誌オンライン版2023年12月11日号の報告。  3次医療センターの認知症外来クリニックで横断的研究を実施した。1日当たり5剤以上の薬物治療を多剤併用の定義とし、対象患者から中等度~重度の認知症患者は除外した。身体的パフォーマンスステータスの評価には、通常歩行速度(UGS)、Timed Up & Go(TUG)テスト、椅子立ち上がりテスト(CSST)を用いた。

コロナワクチンとインフルワクチンで異なる、接種を躊躇する理由とは?

 米国・ハーバード大学T.H. Chan公衆衛生大学院のGillian K. SteelFisher氏らの研究グループは、新型コロナウイルス感染症ワクチンとインフルエンザワクチンに対して、人々の有効性や安全性の捉え方、接種の意向、躊躇する理由などについて調査した。その結果、有効性については両ワクチンとも40%の人が非常に効果的だと考える一方で、インフルワクチンのほうがコロナワクチンに比べて安全性への信頼度が高く、同様に接種の意向も高いことが示された。JAMA Network Open誌2023年12月21日号Research Letterでの報告。  本調査は2023年7月7~16日に、米国の18歳以上の成人の確率に基づくサンプルを対象にアンケート調査を実施した。

低所得の糖尿病患者に対する野菜などの無料配布でHbA1cが有意に改善―AHA

 所得の低い2型糖尿病患者に対して農産物を無料で配送するというプログラムによって、対象者のHbA1cが有意に低下することを示した研究結果が、米国心臓協会(AHA)学術集会(AHA Scientific Sessions 2023、11月11~13日、フィラデルフィア)で報告された。米カイザーパーマネンテ南カリフォルニア病院のClaudia Nau氏らの研究によるもの。  Nau氏はこの研究の背景を、「食習慣が治療状態に影響を及ぼす疾患を有する人にとって、生鮮食品や野菜を手軽に入手できるか否かという状況の違いは、疾患管理の社会的決定要因の一つと言える。また健康的な食品と食事に関するカウンセリングの提供は、医療を補完する重要な手段となり得、そのような手法によりこの問題に対処することは、社会経済状況による健康格差の改善につながると考えられる」と語っている。なお、無料の農産物引換券や新鮮な果物・野菜の割引配送の有用性は、過去の研究からも示唆されている。Nau氏らはこの点について、無作為化比較試験を行いエビデンスの強化を試みた。

多くの親子が新年や新学期に目標を設定、米調査

 米ミシガン大学ヘルスシステムC.S.モット小児病院が12月18日に公表した「小児の健康に関する全国調査」から、米国では多くの親子が、新年や子どもが新学期を迎える際に目標を立てていることが明らかになった。  この調査は2023年の8月に、ランダムに抽出された、0〜18歳の子どもと同居する親2,044人を対象に実施された(調査完了率62%)。調査では、育児に関する目標を立てているか、11〜18歳の子どもがどのような目標を持ち、それを親がどのようにサポートするかなどが問われた。  その結果、71%の親が新年(25%)や新学期(9%)、あるいは自分の誕生日(8%)に個人的な目標を立てていることが明らかになった。その目標が子育てに関するものであると答えたのは、母親の47%、父親の35%に上った。また、74%は「目標を設定することで自分がより良い親になれるように思う」と答え、また85%は「目標を設定することで、それを達成するためにどうすれば良いのかを子どもが学ぶのに役立つ」と答えた。

スパイクバックス筋注の新規剤形、0.5mLバイアル製剤を承認申請/モデルナ

 Moderna(米国)の日本法人モデルナ・ジャパンは、2024年1月19日付のプレスリリースで、同日に新型コロナウイルスワクチン「スパイクバックス筋注」の新規剤形を、厚生労働省に承認申請したと発表した。  今回申請した新規の剤形は以下のとおり。 ・0.5mLバイアル製剤  この新規剤形は、2023年9月に開始された予防接種法上の特例臨時接種において使用されることはない。  モデルナ・ジャパンは、新型コロナウイルス感染症の感染状況が地域によっては第10波に入ったともいわれているため、一年を通した感染状況のモニタリングや、とくに高齢者や免疫不全といったリスクの高い人のワクチン接種の重要性について引き続き啓発していきたい、としている。

プラチナ治療歴のある進行TN乳がんの維持療法、オラパリブ±デュルバルマブが有効(DORA)

 プラチナ製剤ベースの化学療法に感受性のある進行トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対する維持療法として、オラパリブ±デュルバルマブの有効性を検討した第II相DORA試験において、デュルバルマブ併用/非併用のいずれの群も化学療法による維持療法のヒストリカルコントロールより無増悪生存期間(PFS)が長く、BRCA野生型プラチナ製剤感受性の進行TNBCの患者集団において、化学療法なしの維持療法で持続的な病勢コントロールが可能なことが示唆された。シンガポール・国立がんセンターのTira J. Tan氏らがClinical Cancer Research誌オンライン版2024年1月18日号で報告した。

バス運転手の危険運転に対する不眠症の影響

 近年、バス運転手の心身の健康問題に起因する交通事故が増加している。一般的な睡眠障害である不眠症は、交通事故リスクやメンタルヘルス問題、とくに運転行動に関連する不安や抑うつとの有意な正の相関を持つといわれている。しかし、バス運転手のみを対象に睡眠関連の問題とメンタルヘルスを調査した研究はほとんどなく、これらの問題が運転パフォーマンスにどのように影響するかはよくわかっていない。中国・同済大学のYujun Jiao氏らは、不眠症とメンタルヘルスがバス運転手の危険運転行動に及ぼす影響を調査し、不眠症、不安、抑うつ、危険運転行動の4つの変数の相互作用を評価した。Accident Analysis & Prevention誌2024年2月号の報告。

急性冠症候群へのニトログリセリン、高齢者には有害?

 ニトログリセリンは急性冠症候群(ACS)の第1選択薬として長い間使用されてきたが、ACSの転帰改善のための使用を支持する研究は限られている。また、高齢患者の増加や、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)と最適な薬物療法(OMT)などのACS管理の進歩により、PCI後の転帰におけるニトログリセリンの有効性を再評価する必要性が高まっている。今回、宮崎大学の小牧 聡一氏らが単施設での後ろ向き研究で検討した結果、とくに75歳以上の高齢患者においてPCI実施前のニトログリセリン投与が血圧低下および有害な臨床転帰と関連することが示された。Open Heart誌2024年1月11日号に掲載。

初潮発来が早いと糖尿病リスクが高い

 より低年齢の時期に月経が始まった女性は、成人後の2型糖尿病リスク、および2型糖尿病に伴う65歳以前の脳卒中リスクが高くなる可能性を示すデータが報告された。米チューレーン大学のSylvia Ley氏らの研究によるもので、詳細は「BMJ Nutrition Prevention & Health」に12月5日掲載された。  これまでにも初潮発来(初めての月経)の早さが肥満や2型糖尿病、心血管疾患のリスクの高さと関連のあることが報告されてきているが、それらの研究は閉経後の女性のみを対象にしているなど、解釈上の限界点があった。そこでLey氏らは、1999~2018年の米国国民健康栄養調査(NHANES)のデータを用いて、20~65歳という幅広い年齢の女性を対象として、初潮年齢と2型糖尿病や心血管疾患(CVD)のリスクとの関係を検討した。

父親の飲酒は子の先天性異常と関連

 妊婦の飲酒が胎児の健康に悪影響を及ぼすことは、これまで多くの研究で指摘されている。しかし、男性の飲酒も新生児の先天性異常のリスクを高める可能性のあることが新たな研究で明らかになった。論文の上席著者である米テキサスA&M大学獣医学・生物医学科学大学教授のMichael Golding氏は、「新生児の先天性異常を避けたい男性は、妊娠を試みる3カ月前から禁酒するべきだ」と述べている。この研究結果は、「Andrology」に12月3日掲載された。  胎児性アルコール症候群は妊娠中の大きなリスクであり、出生児に顔面などの形態異常、低出生体重、注意力や多動性の問題、協調性の欠如などを引き起こす可能性がある。胎児性アルコール症候群を診断する際には、母親の妊娠中の飲酒の有無を確認する必要があるが、父親に対する確認は必要とされていない。Golding氏は、「長い間、男性の飲酒については全く考慮されてこなかった。ここ5〜8年間でようやく、特定の条件下では、父親のアルコール摂取が胎児の発育に非常に強い影響を及ぼす可能性のあることが検討されるようになった」と話す。

小児期の学校での逆境体験が成人後の社会的ひきこもりに関連

 他人との関係を築こうとせずに「社会的ひきこもり」の状態にあるとされる成人には、子どもの頃に学校で逆境体験のあった人が多いとするデータが報告された。公益社団法人子どもの発達科学研究所の和久田学氏らの研究によるもので、詳細は「Frontiers in Public Health」に10月26日掲載された。  小児期の逆境体験(adverse childhood experience;ACE)は、成人後のメンタルヘルスに悪影響を及ぼすことが知られている。就労や婚姻などの人生の重要なイベントに多大な影響が生じる成人後のひきこもりも、ACEと関連のある可能性が考えられるが、そのような視点での検討は十分なされていない。また、ACEに関するこれまでの研究の多くは主として家庭内で保護者から受けた行為の影響を調査しており、学校で教師や級友から受けた行為の影響については理解があまり進んでいない。これらを背景として和久田氏らは、学校でのACEを体験した成人の割合、それらの体験と成人後の抑うつ・不安レベルおよび社会的ひきこもりとの関連についてのインターネット調査を行った。

初発統合失調症の臨床症状改善とBMIとの関連

 統合失調症患者は、一般集団と比較し、肥満の有病率が高いことが知られている。これまでの研究では、統合失調症患者における体重増加は、抗精神病薬に対する治療反応と関連していることが報告されている。しかし、統合失調症患者のBMIと治療効果との関連は依然としてよくわかっていない。中国・北京大学のXiaofang Chen氏らは、初回エピソードおよび抗精神病薬未治療の統合失調症患者におけるベースライン時のBMIと抗精神病薬治療による臨床症状改善効果との関連を調査するため、本研究を実施した。その結果、統合失調症患者のベースライン時のBMIは、その後の陰性症状改善と関連している可能性が示唆された。Frontiers in Pharmacology誌2023年11月9日号の報告。

ビタミンDは高齢者の風邪を減らせるか、RCTで検証

 毎日のビタミンD補給がビタミンD欠乏症において急性呼吸器感染症のリスクを低下させたという報告がある一方で、異なる集団・条件下で行われた試験では無効という結果が報告されている。米国・ハーバード大学医科大学院のCarlos A. Camargo氏らは、ビタミンDとオメガ3脂肪酸の補給に関する無作為化二重盲検プラセボ対照試験(VITAL)のデータを用いて高齢者の上気道感染症リスクに対するビタミンD補給の影響を評価した。Clinical Infectious Diseases誌オンライン版2023年12月19日号への報告。

母親と子どもの誕生月が同じことが多いのはなぜ?

 フランスとスペインの1000万件以上の分娩データを解析した結果、親と子などの肉親の誕生月は特定の月に集中し、また、親と子の間だけでなくきょうだい間でも誕生月が同じケースは、想定されるよりも多いことが明らかになった。アルカラ大学(スペイン)の疫学者であるAdela Recio Alcaide氏らによるこの研究の詳細は、「Population Studies」に12月13日掲載された。  Alcaide氏らは、スペインの1980〜1983年(210万1,497件)と2016〜2019年(151万817件)の全出生データと、フランスの2000〜2003年(322万1,741件)と2010〜2013年(319万9,344件)の全出生データを収集して分析した。出生データには、親や最も年齢が近いきょうだいのデータも含まれていた。

不規則な入眠覚醒サイクルは認知症リスクを上昇させる?

 入眠と覚醒のサイクルがひどく不規則な人では、より規則的な人に比べて認知症の発症リスクが高い可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。モナシュ大学(オーストラリア)のMatthew Pase氏らによるこの研究結果は、「Neurology」1月23日号に発表された。  Pase氏は、「健康的な睡眠に関する推奨では、1日7~9時間の睡眠時間を確保することばかりに重点が置かれ、規則正しい睡眠スケジュールを維持することはあまり重視されていない」と指摘。「われわれの研究結果は、認知症リスクを回避するために規則正しい睡眠が重要な要素となることを示唆するものだ」と同大学のニュースリリースで述べている。

マスクにアロマシールを貼るとメンタルにも好影響

 香りのするシール(アロマシール)をマスクに貼ると、息切れなどの症状が軽くなり、メンタルヘルスにも良い影響が生じることが、無作為化二重盲検比較試験の結果として報告された。星薬科大学の湧井宣行氏らの研究によるもので、詳細は「PLOS ONE」に11月16日掲載された。  新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック以降、マスクを着用する機会が増加した。マスク着用時に8割以上の人が息苦しさや暑苦しさなどのストレスを感じていると報告されている。COVID-19の感染抑止にマスクが有効であったことが示されたことから、パンデミック終息後にも他の呼吸器感染症のリスク低減のために、引き続きマスク着用が推奨される傾向が続くと考えられ、着用時のストレス対策の重要性が増している。